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北九州市で「第10回西日本国際福祉機器展」開催
~ホンダのパワーアシストも出展


 11月28日(金)~30日(日)、北九州市小倉北区にある西日本総合展示場新館において、第10回西日本国際福祉機器展が開催された。

 その名前の通り、福祉に関係した企業や団体が出展する見本市で、ロボット関連の製品もいくつか出展されていた。それを紹介する。


会場の西日本総合展示場 西日本国際福祉機器展の案内板 西日本国際福祉機器展会場

ホンダの歩行アシスト

 会場では自動車メーカーによる、障害者用の福祉車両が多数展示されていた。その中でホンダは装着型歩行アシストシステムを展示していた。

 装着型アシストシステムというと、全身の筋力を強化する外骨格型のシステムを思い出すが、ホンダが出展していた歩行アシストシステムは、腰と太腿だけに装着するコンパクトなものだ。

 その機能はシンプルに徹しており、歩行する時の足の振り出しをアシストするものとなっている。従って歩行することが困難な障害者向けではなく、「歩行は可能だが、筋力が衰えて上り坂や長時間歩行が難しい人」(たとえば老人など)をターゲットにしたものだ。

 歩行アシストの機構は、腰の両脇につけた部分に角速度センサーが入っており、これにより足の動きを検知して、その動きをモーターで補助する(ホンダの担当者の話によると、歩行する時の支持脚の支えも行なっているとのこと)。

 記者も装着してみたが、アシスト機構自体は大変コンパクト(重量2.8kg)で短時間で装着できる。ただし、健常者である記者が使用するとふわふわした感じで逆に歩きにくかった。やはり筋力が衰えた人向けなのだろう(なお、会場を長時間歩いて疲れた人には好評だったとの話も聞いた)。

 この歩行アシストは、かなり使用を限定されるとはいえ、コンパクトでデザインも洗練されており、状況次第では十分実用化も可能なように思われた。しかし、今のところは研究段階で製品化の予定はないとのことだった。

 ぜひとも実用化に向けて研究を進めてほしい。


ホンダの歩行アシストシステム 腰に装着する部分。丸い部分にモーターが入っている 太腿に装着する部分

太腿に装着する部分 側面から見たところ。コンパクトにまとまっている 歩行アシストシステムの説明板

ホンダの福祉車両 【動画】両腕に障害のある人向けの運転システム。足でハンドルを操作する

人を運べる階段昇降機

 会場で目をひいたのが、ナブテスコ株式会社が販売していた階段昇降機だ(機械自体はドイツ製とのこと)。

 車椅子を使う人にとって最大の難敵は階段だ。その階段を上るための専用機械が階段昇降機だ。

 階段昇降機は障害者を乗せて階段を運べる機器で、機器の下部から2本のアームが伸びて階段を一段ずつ持ち上げて移動する(階段を下る時はその逆の動作を行なう)。バッテリで稼動し(フル充電で300段の階段を往復できる)、転倒を防ぐための各種の工夫がなされている。

 階段を昇降するためだけの専用機だが、それゆえに実用的なマシンだと言えるだろう。


階段昇降機 こちらは専用の車椅子がついているタイプ 階段昇降機はアームを伸ばして階段を一段ずつ昇降する

【動画】階段昇降機が階段を下りていく様子。前方向に転倒しないようにストッパーが前に伸びているなど工夫が見られる 電動アシスト車椅子。基本的には介助者が押すもので、坂などで押すのが辛い時に電動でアシストするもの。つまり電動アシスト自転車の車椅子版

リハビリ用機器

 株式会社サンワテクノスは、安川電機の下肢リハリビ用ロボット「TEM LX2」を展示していた。

 TEM LX2は脳卒中などで半身に麻痺が残った人のリハリビ用ロボットで、下肢をアームで動かして膝関節が固まらないようにするものだ。

 今まで病院を中心として、20台ほどが使われているとのこと。

 動力源のある機械ではないが、興味を惹かれたのが、セノー株式会社のリハリビ用トレーニングマシーン「ニューステップ」だ。アメリカで発明され、それをセノーが日本人用に改良を加えたものを販売している。

 主に脳卒中などで半身に麻痺の残った人の運動用マシーンで、その特徴は左右が連動して交互に動くことだ。つまり麻痺のない半身で、麻痺の残った半身を動かすというアイディアに基づいている。

 数千台の納入実績があるそうで、ロボットの実用化に向けて、1つのヒントになるのかもしれない。


安川電機のTEM LX2 TEM LX2の説明板 セノーのトレーニングマシン。左右が連動して交互に動く

その他の機器

 会場では音声対話ロボットや、大学の研究を福祉に役立てられないかというデモ装置も出展されていた。それを写真で紹介する。


テムザックはロボリアを展示。ロボリアのカバーは、来場者の意見でつけたものだそうだ キットヒットのキットくん。音声認識の能力があり、老人などの話し相手を想定している 福祉での実績がある産総研のパロ

九州工業大学の視覚障害者用歩行支援装置(デモ用)。床に張られたICタグから情報を拾い、音声ガイドで目的地に向かっているかどうかを判断する 九州工業大学の視覚障害者用情報呈示装置(デモ用)。ペルチェ素子を使用し、端子の冷たさの違いで視覚障害者の手のひらに情報を伝える。カタカナなどの教育用に使えるのではないかとのことだった 地元北九州市の木原鉄工所が展示していたロボットハンド。現在は試作中で、再来年の春くらいには実用的なロボットハンドを完成させたいとのこと

 福祉機器展には、障害のある人や介護の現場で働いている人が多く来場する。その人たちの最大の関心は「現場で使えるかどうか」であり、ある意味でシビアな展示会と言える。

 今回の福祉機器展を見て感じたのは、福祉機器に関して必要なのは「シンプルさ」と「使いやすさ」の2点だ。「シンプルさ」は「できる機能を絞ってあるが、その機能に関しては確実に動作し、危険がない」ことであり、「使いやすさ」は健常者が使う機器よりも使いやすくなければならないというのは言うまでもない。

 これらのことはロボットの実用化に関しても、大きなヒントになるのではないだろうか。


URL
  第10回西日本国際福祉機器展
  http://www.convention-a.jp/fukushi/


( 大林憲司 )
2008/12/16 18:29

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