10月19日(日)、大阪・ミナミのアメリカ村で、「AMEMURA DANCE CHALLENGE 2008」が開催された。主催は、アメ村ダンスチャレンジ実行委員会。このイベントに、京商の二足歩行ロボット“マノイ”がゲスト出場した。
● アメリカ村から若者をターゲットにしたコンテンツの発信
「AMEMURA DANCE CHALLENGE 2008」は、近畿経済産業省のクリエイティブ・インダストリー・ショーケース in 関西(通称:CrIS関西・クリス関西)の正式参加イベントでもある。CrIS関西は、コンテンツの新たな利活用とコンテンツ人材創出を目的に、人材の発掘・育成・交流、マーケットの形成などのイベントを集中的に実施するもの。昨年に続いて2回目の取り組みとなる。今年は、10月19日(日)から11月3日(月・祝)までの期間中、大阪・京都・兵庫などで、関西の特徴を活かしたさまざまなジャンルのイベントを展開した。
関西の若者文化中心地であるアメリカ村の三角公園からは、いま若者にもっとも人気があるパフォーマンスのストリートダンスを、世代を超えて楽しめるカルチャー・コンテンツとして発信した。
アメリカ村は、大阪を訪れる修学旅行生にも人気の高い街だ。このアメリカ村の中央、ビルの谷間で道路敷地にある三角スペースは、1970年代から街の発展とともに「三角公園」という呼び名で親しまれてきた。1990年代に周囲の状況にあわせて街の雰囲気に融けこんだ広場へと改修がなされ、今では大阪だけではなく、近隣府県の若者にも知られた大阪一有名な街区公園だ。だがその一方で、近頃のアメリカ村は、強引なキャッチセールスや恐喝などの事件が頻発しイメージダウンが懸念されている。
そこで今回、小学生~18歳以下を対象としたイベントの開催で、家族で楽しめる安全で安心な街“アメ村”をアピールしたかったという。夢を育て新しい大阪文化を創造発信する「AMEMURA DANCE CHALLENGE 2008」に、大阪市が力を注いでる“ロボット”をコラボレーションする企画が生まれた。
大会の予選は、携帯メールで送られた動画データで審査された。大阪府外からの応募もあったなかから15チームが選抜され、夢のダンスステージに立った。快晴に恵まれた日曜日の午後、三角公園は十重二十重の観客に取り巻かれ、身動きができない状況だった。
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AMEMURA DANCE CHALLENGE 2008
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ステージとなったのは、関西の若者文化中心地であるアメリカ村の三角公園。多くの観客に取り囲まれた
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● 二足歩行ロボットがストリートダンスに初挑戦! 「Choo Choo TRAIN」を披露
ゲストとして出場したのは、京商から発売中のパフォーマンスロボット「マノイPF01」だ。ダンス・ヴォーカル・演技など、幅広いエンターテイナーを育成するEXPG大阪校のキッズダンサーズ9名と一緒に、EXILEの“Choo Choo TRAIN”に合わせて踊った。
マノイPF01の振り付けは、実際にEXILEの振り付けをしているSEVA氏が担当した。激しいストリートダンスの動きをロボットに移植するために、通常のモーションよりも時間をかけて作り込みをしたという。
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振り付けの監修をしたSEVA氏
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マノイPF01のダンスを披露する前にインタビューを受けるSEVA氏と高橋智隆氏
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出番を待つマノイPF01(ユニット名は「ROBO-TRAIN」)
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まずキッズダンサーズが、ノーマルスピードと1/3スピードで踊ったデータを京商に送り、それを元にしてマノイアドバイザーの内村氏がロボットに振り移しをしたという。
「サビの部分は子ども達とシンクロして踊ろう」と考えたが、ストリートダンスの動きは激しくて捻りが入ったり、床に開脚で沈み込んで一瞬で立ち上がるなどロボットでは再現できない振りもある。そっくり真似できないダンスをいかに格好よく見せるかに苦心したそうだ。
そして作成されたダンスモーションはSEVA氏がチェックし、スピードやタイミングなどの細かい改善点を指示。修正して再チェックを繰り返し、キッズダンサーズと踊って微調整と、モーション作成には1カ月掛かったという。また、素早い横歩きモーションなどはマノイユーザーとして有名なGIY氏にも協力を仰いだそうだ。
一番難しかったのは、「複数のロボットの同期を取ることだった」という。イベントには三角公園のステージで踊る2体と、三角公園の向かいにあるRIBIA内イベントステージに3体が登場した。計5体のロボットにはキャラクタ設定がされており、もちろんダンスも全員違う。ロボットの関節を動かしているサーボモーターは固有のクセがあるため、複数のロボットを完全にシンクロさせて動かすことは不可能だそうだ。
ロボットが4分という長い時間を曲に合わせて踊りまくるというのは初めての試みで、「モーションを作りこみ、タイミングを合わせるための微調整に時間を掛けたが、曲の後半に差し掛るとズレが大きくなってしまう」と、京商の岡本正行氏(ロボットグループマネージャー)氏はいう。
だが、本番のマノイPF01とキッズのダンスを見ると、ぴったりと息を合わせて実に楽しそうに踊っていた。
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【動画】オープニングのローリングで3体のタイミングを取るのが難しかったそうだ
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【動画】観客から手拍子をもらい、リズミカルにダンスを披露した
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SEVA氏は、ロボットのモーションでどこまでEXILEっぽさを表現できるのかに挑戦したかったそうだ。「最初は“ロボット”に過ぎなかったのに、だんだん1人の子どものように可愛く感じられてきたことに驚いた」という。
マノイPF01のデザインを手掛けた高橋智隆氏(ロボ・ガレージ代表)は、「その世界の一流の人と組めば、一流のエンターテインメントができる。ロボットの魅力は、もっと引き出せると感じた」と語った。
岡本氏は、「子ども達と一緒に、ダンスをやれたことが何より嬉しい。他のイベントでもダンスを披露できればいいのだけれど……」と、今回限りでは残念という口調だった。マノイPF01の“Choo Choo TRAIN”をイベント等で再演するかどうかは、現在のところ未定だという。
なお、「AMEMURA DANCE CHALLENGE 2008」の模様は、11月29日(土)にJ:COMで14:00から放映予定。
■URL
AMEMURA DANCE CHALLENGE 2008
http://www.americamura.biz/dance/
CrIS関西2008
http://criskansai.jp/
京商
http://www.kyosho.com/
マノイ公式サイト
http://www.kyosho.com/jpn/products/robot/index.html
ロボ・ガレージ
http://www.robo-garage.com/
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