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ヒューマンエヌディーの代表取締役・山本昌人氏(左)とロボ・ガレージ代表の高橋智隆氏
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ヒューマンホールディングス株式会社の事業子会社で、キッズスクールの直営教室及びフランチャイズ事業などを展開するヒューマンエヌディー株式会社は10月30日(木)、ヒューマンアカデミー心斎橋本校にて「ヒューマンキッズサイエンス ロボット教室」の記者発表会を開催した。内容は同社が展開する小学生を対象とした理科実験教室「ヒューマンキッズサイエンス」で、ロボ・ガレージ代表の高橋智隆氏をアドバイザーに迎えた「ロボット教室」を2009年1月より開講するというもの。
記者発表会には、ヒューマンエヌディーの代表取締役である山本昌人氏、そして「ロボット教室」のアドバイザーに就任したロボ・ガレージ代表の高橋智隆氏らが出席し、コンテンツの指針やフランチャイズ展開などの概要説明が行なわれた。
● 公教育でカバーできない部分を補いたい
ヒューマンキッズサイエンスは2つの教育コンテンツから成る。1つは「理科実験教室」。ここでは科学への導入(化学反応や物質の変化を通じた感動)、生物への導入(動植物の生命に触れる感動)が目的となっている。そして、新たに加わる「ロボット教室」では創造する喜び(想像・形状表現・完成の感動)、物理への導入(動力・歯車・摩擦等基礎知識の学習)を目的に掲げている。
山本氏は「コンセプトは“子ども達に科学のロマンを教えたい”です。公教育ではカバーしきれない部分を補うことが主な目的。実際に現在の学校教育では、実験や実習の時間が少なくなり、リトマス試験紙すら触ったことがないという子どもも沢山います。これは時間的な余裕がなかったり、実験に伴う危険性などの理由で公教育ではなかなか取り組みにくい分野になってしまっているからです。先日ノーベル賞を獲られた先生方も仰っていましたが、今の子ども達は科学のロマンを教わっていないのではないかと。我々はそういった部分を補いたいという思いで取り組んでいます。今回開講するロボット教室では、自分が作りたいものを想像し、自分で形づくり、それが動くという創造や表現とその感動とともに科学への興味を持ってもらいたい。そして動力の仕組みを理解したり、歯車によってスピードが変化するといった、作る過程を楽しみながら物理の基礎を学んでもらいたいと考えています」と語った。また、理科実験教室でも「化学や生物に自ら実際に見て触れて感動し、学ぶ」ことがコンテンツの主軸となっているという。
フランチャイズ展開については、全国の個人塾をターゲットに併習科目としての導入を狙っており、現在フランチャイズパッケージの準備を急いでいるということだ。
2009年1月からの正式開講に先駆け、2008月11月から直営教室のうち12教室において試験導入を開始し、加えて既にフランチャイズ加盟している子ども向けの英語教室への併設を促進していくという。同社は、生徒数を1教室あたり10名を想定して、年度末で200教室・2,000人の生徒獲得、同社売上は約2億7,000万円を見込んでおり、更に外部のフランチャイズの加盟を促進し、2年後には1,000教室・生徒32,000人を獲得し、同社売上を約13億円にするという。そして最終的には2,000教室・64,000人の生徒獲得、同社売上は約27億円を目標にしていると述べた。
加盟料を無料にすることで新規フランチャイズ加盟の獲得を狙っているが、「個人でヒューマンキッズサイエンスを単体で開講するのではなく、あくまで既存の塾への付設導入を想定している」と山本氏は語る。同社による収支シミュレーションでも、家賃・広告費は塾そのものの経費として除き、加盟教室は年間66.8%という高い利益率が得られると想定している。ちなみに現在検討中であるという教材・教具費は上記の想定売上やFC収支シミュレーションには含まれていない。
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塾への付設でFC展開したいと語る山本氏
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会場に貼られていた「ロボット教室」開講の告知ポスター
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● ロボットは学んだことを実体化できる存在
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少年時代の思い出とともに「ロボット教室」のメリットを語る高橋氏
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続いて、ロボ・ガレージ代表の高橋氏のプロフィール紹介があり、アドバイザー就任の挨拶へと移った。
「ロボットの教室ができるのはとても喜ばしいです。先日もロボットのイベントに沢山の親子連れが来場されているのを見て、丁度いまロボット好きの世代が親の年齢になって、お子さんを連れてイベントに来られているのだなと思います。経済アナリストの方などは産業としてのロボットは伸び悩んでいると考えているかもしれませんが、一方で、子ども達のロボットへの期待は大きく伸びていて、そこからモノ作りや科学への興味や理解が広まり、やがて産業や経済の発展、国の豊かさへと結びついていくのではないかと考えています」と高橋氏は語った。
次に、高橋氏はロボット教室への思いについて、自らの子ども時代の経験とともに語った。「私自身、ロボット作りに携わる中で、沢山の企業や学校等と関わる機会があります。いろんな所でよく聞く話が、最近の学生さんはCADを器用に使って設計図面を描くことはできるのですが、それは実際には立体としてありえない形であったり、実際に製作することが不可能だったりというケースがよくあるそうです。やはり、実際に自分の手でモノを作る経験が少なくなってきたことで、立体を想像したり、頭の中で把握し、作り上げていくという能力が乏しくなってきているのかもしれません。私はロボット・クリエイターとして活動しているわけですが、その原点の1つとなったのが子どもの頃に両親が買い与えてくれたブロックでした。両親の教育方針からか、当時流行った超合金のロボットなど完成された玩具は買い与えてもらえず、ブロックでロボットやいろいろな乗り物を形作って遊んでいました。また、工作好きの祖父とよく一緒に玩具を作って遊んだ思い出があり、それが今のモノ作りという仕事に繋がっているのだと思います。このロボット教室ではそんな機会やきっかけを沢山のお子さんに提供したいという思いがあります」。
また、ロボットを教材とする理由について高橋氏は「ロボットはとてもわかりやすい存在です。算数や理科、図工など学んだ成果が、ロボットを作ることで目の前に実体化することができます。昨今は子ども達の理科離れ・科学離れが囁かれていますが、例えばナノテクノロジーやバイオテクノロジー、先端医療といった昨今注目されている理系分野は、大人には面白くても、小学生にとっては難解すぎるかもしれません。そんな中、サッカー選手やケーキ屋さんなどわかりやすい職業に興味を持ち、理系分野から離れていってしまう。しかし、ロボットというわかりすいものをきっかけにすることで、算数、理科といった理系分野にも興味を持ってもらえるのではないかと思います」と語った。
● 使用教材は検討段階
高橋氏は現在、カリキュラムを鋭意制作中だという。「ブロック玩具や工作セットのようなものを使っていく中で、子ども達の創意工夫を育み、また更に上手く作れるよう考える部分も残したものにしたい」ということだ。
製作例として、今回レゴ・マインドストームを使った短いムービーを数種類披露し、質疑応答を経て記者発表は終了した。ムービーでは、あくまで参考例としてレゴ・マインドストームが紹介されたわけだが、試験開講が間近に迫る中で気になるのが、実際の教室でどのような教材が使われるかだ。この点に関して山本氏と高橋氏の回答は、「実際に採用する教材はまだ検討段階」ということだった。しかし教材の価格帯は例として紹介されたレゴ社のものと同等程度にはなるだろうと山本氏は語っていた。
既にさまざまなロボット教室が存在し、それぞれが工夫を凝らし生徒獲得を図る昨今、具体的にどのような教材・コンテンツで他と差をつけスタートしていくのか、今後の展開に注目が集まりそうだ。
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製作例にはレゴ・マインドストームを使用
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数種類の製作例が披露された
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「教材は検討中だが、ブロックや工作セットのようなものにしたい」と高橋氏は語る
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■URL
ヒューマンエヌディー
http://www.athuman.com/hnd/?code=
ヒューマンホールディングス
http://www.athuman.com/
ロボ・ガレージ
http://www.robo-garage.com/
( 新町新地 )
2008/10/31 15:49
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