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「国際物流総合展2008」レポート
〜物流システムは巨大なロボット!?


【写真1】物流を対象にしたイベントであるため、扱うもの大掛かりで、デモも迫力があった
 9月9日(火)〜12日(金)の4日間、江東区の東京ビッグサイトにおいて、「国際物流総合展2008」が開催された【写真1】。このイベントは、交易、情報、人的交流などを促進する国内外の物流機器やシステムにフォーカスを当てたイベントだ。本レポートでは、弊誌に関連する物流ロボットやシステムなど、最新の製品について紹介しよう。


物流プロセスで活躍する搬送用ロボットや棚卸ロボット

 物流プロセスで活躍する自動機器を挙げると、まず倉庫での部品の入出庫(ピッキング)や、専用ロボット、無人搬送車(以下、AGV)などが頭に思い浮かぶ。本イベントでも、これらの部品入手庫システムや搬送用ロボットなどが数多く見られた。

 まず専用ロボットとして、日立製作所が先ごろ発表した知能型ロジスティック支援ロボット「Lapi」(Logistics Automation Partner with Intelligence)のデモンストレーションを行なっていた【写真2】。このロボットが従来のAGVと大きく異なる点は、搬送経路を誘導するためのガイドラインがいらないこと。通常の無人搬送車ではガイドラインに磁気テープを利用するものが主流。この場合、物流現場でのレイアウト変更が必要になると、ガイドラインも貼り直さなければならない。

 Lapiは日立が開発した人間共生型ロボット「EMIEW」と「EMIEW2」の自律走行や障害物回避といった機能を利用し、ガイドラインがなくても物品の自動搬送が行なえる。もし搬送路に何か荷物が置かれたり、歩行者が横切ったりしても、回避行動をとり走行を停止することなくスムーズに移動できるため、効率のよい作業が行なえる。駆動系には4つの車輪の向きを独立制御する「四輪独立操舵機構」を採用し、その場での回転や真横移動など走行形態も多彩だ。もちろん狭い経路へ進入したり、切り返し動作なしで方向転換もできる【動画1】。

 さらに実際の物流現場では、物量が変動することも多い。そこで1台のロボットだけでなく、複数のロボットが通信しあい、連携作業を行なえるようにしている。これにより運搬量が多くなっても、目的の作業に合わせて柔軟に対応する。また今回の展示では、Lapiにカメラやセンサーを取り付け、自動で棚卸作業を行なう応用例も披露していた【写真3】【動画2】。Lapiに搭載した直交ロボットハンドにRFIDリーダーを取り付け、棚にある物品をスキャンしてRFID情報を読み取り、物品を認識して棚卸作業が行なえる【写真4】。今後は物流分野だけでなく、オフィス、病院、駅、空港などで応用範囲を広げていく構えだ。


【写真2】日立の知能型ロジスティック支援ロボットLapi。搬送経路を誘導するガイドラインが不要な点が従来のAGVとの大きな違い 【動画1】Lapiの動き。全方向移動が可能で、動画のような複雑な動きもスムーズにこなせる 【写真3】本体にRFIDリーダーを取り付け、自動で棚卸作業を行なうLapiの応用例

【動画2】棚にある物品をRFIDリーダーでスキャンしてRFID情報を読み取っているところ 【写真4】画面のような商品アイテムを選択し、棚卸作業を開始する

 似たような作業をするものとしては、富士物流が、ロボットの位置認識技術とRFIDによる個別認識技術を応用した無人自動棚卸作業ロボットのデモを実施していた【写真5】【動画3】。本体は磁気テープによる誘導で走行し、上下昇降するアームにRFリーダーを搭載している。棚に収納されている商品のRFIDを読み取り、どれだけ在庫があるのか、商品の移動状況などを集中管理できる【写真6】。過酷な環境での作業を前提としており、奥行き1mぐらいであれば影に隠れている荷物も読み取り可能だ。


【写真5】富士物流のプロトタイプの無人自動棚卸作業ロボット。磁気テープ誘導方式で走行し、RFIDリーダーで商品をスキャンして集中管理 【動画3】棚卸作業の自動化にはRFIDの技術は欠かせない。棚をスキャンして商品情報を収集中のロボット 【写真6】デモでの画面例。どの棚に商品がどれだけあるのか在庫数を表示し、移動した個数も分かる

 日本SGIは、RFIDタグ地図自動作成ロボット「TAG-MAP ROBOT」を展示していた【写真7】。これは、ロボットが未知環境において自己位置推定とマップ作成を同時に行なうSLAM(Simultaneous Localization and Mapping) の技術を応用したもの。RFIDと環境地図の情報をマッピングしながら、ロボットが自動巡回することでRFIDタグ地図を生成する。現場にあるRFIDタグの情報と、おおよその存在位置をユーザーに提供することが可能だ。ロボットの駆動系は汎用移動プラットフォームのBlackShipを2輪に改造したもので、これにキャスターを付けた3輪タイプだ。

 また、BlackShipの廉価版となる新製品「Mini-Mo MMP-C1」も出展していた【写真8】。デモではiPod touchを操作インターフェイスとして利用し、車輪を動かしたり、本体に搭載されているカメラから映像を見られるように工夫していた【動画4】。


【写真7】日本SGIのRFIDタグ地図自動作成ロボット。ロボットが自動巡回することでRFIDタグ地図を生成。環境が変わっていく物流の現場に対応 【写真8】新製品のMini-Mo MMP-C1も出展。デモでは操作インターフェイスとしてiPod touchを利用 【動画4】BlackShipの廉価版としての位置づけ。ソフトウェアの開発など、ちょっとした試作機として便利だ

 見た目にとても面白かったのはホクショーのブースだった。安川電機の双腕ロボット・MOTOMANを利用し、パレットから部品を取り出してコンベアに荷物を流す作業をシステム化して見せていた。最新のMOTOMANはスリム形状になっており、作業時に発生しがちな腕同士の干渉も低減。作業環境への順応性が向上し、さながら人と同じように作業できる【動画5】【動画6】。ロボットも人型のため、親しみを持ちやすい感じがする。


【動画5】安川電機の双腕ロボット・MOTOMANによるライン作業。パレットから部品を取り出すところ 【動画6】MOTOMANが部品を吸着して、ライン上に製品を流す。両腕を使って、本当の人間のように働いている

磁気テープ誘導による主流のAGVも多数出展

 現在主流となっているのは磁気テープなどのガイドラインを利用したAGVだ。たとえば、ケンコントロールズは、AGVとしてコンパクトで低床タイプの「shifty」のデモを行なっていた【写真9】。前後進、乗移り横行・斜行、スピンターンなど全方向移動に対応する駆動系を備え、高速でフレキシブルに自動搬送が可能だ【動画7】。安全面では、前方に障害物検出センサーや接触バンパーを装備しており、検出エリアの設定や選択が可能。また動作が変化するポイントを定義し、走行レイアウト全体を1つの地図としてとらえることで、目的地までの最短ルートを検索できる。長時間の運用を可能にする自動充電装置もある。


【写真9】ケンコントロールズの低床型AGV、shifty。写真左にあるのは自動のバッテリチャージャーだ 【動画7】shiftyのスムーズな動き。前後進、乗移り横行・斜行、スピンターンなど全方向に移動

 花岡車輌は、各ユーザーのさまざまな利用シーンに対応できるユニバーサルデザイン思想のAGVや簡易牽引車を展示していた【写真10】。同社のAGV「プレミアムダンディ」は牽引型と積載型があり、駆動系にDCブラシレスサーボモータかDCモータ(PWM制御)のいずれかを選択できる。停車方式には各ステーションあるいは多点指定(8点)タイプを選べる。このほかにも、台車の形状を選ばない後付けタイプのユニットも用意。フレームにユニットを取り付けるだけで、台車をAGVに変身させることが可能だ。

 レーザーレンジファインダーなど、ロボット用センサーで有名なSICKのブースでも、同社の製品を使用したAGVの例を紹介していた【写真11】。270度の視野を持つセーフティレーザースキャナー「S300」をバンパー部に搭載した簡易AGVで前方の障害物を検出し、アラームを出して停止するというデモを実演していた【動画8】。


【写真10】ユニバーサルデザイン思想のAGV、プレミアムダンディ。ここではプレミアムダンディで台車を牽引していた 【写真11】SICKのブース。同社のセンサーを利用した、さまざまな物流システムの応用例を展示 【動画8】セーフティレーザースキャナーのS300をバンパー部に搭載した簡易AGVによるデモ。手前の障害物を検出し、AGVが停止する

 このほか同社では、より精度を高めたレーザー測定システム「LD-MRS」や「LMS111」も展示。LD-MRSは4層のレーザースキャン面を50mの長距離で測定できる最新レーザースキャナで、全天候アウトドアで信頼性の高い点が特徴だ【写真12】。降雪、降雨、粉塵、暗闇の中でも確実に動作する。4枚の平行なレイヤを同時にスキャンして測定するため、車輌前後の傾き補正や坂道検出などに利用できる。一方、LMS111は小型でローコストながら、ダブル・パルス・テクノロジーを採用している【写真13】。レーザー距離測定ではパルス伝播時間(Time Of Flight)から物体との距離を算出するが、LMS100シリーズは1回の測定ビームの発射に対して2回の受光信号で評価できるため、ガラス越しやアウトドアでも利用できる。

 また、ベルトコンベアで搬送される物体の体積や採寸を測定するLMS400システムや、3Dスマートカメラ「IVC-3D」を利用し、タイヤの文字やバーコードを認識するシステムもあった。IVC-3Dは、カメラ・照明・解析部を1つの筐体にまとめたオールインワンタイプの3Dカメラ。通常では認識が難しい黒いタイヤのような物体に書かれた浮き彫り/刻印文字なども、はっきりと認識していた【写真14】。


【写真12】50mの長距離で測定できるレーザー測定システムLD-MRS。4層のマルチレイヤーによるレーザースキャンがポイント 【写真13】より精度を高めたレーザー測定システムLMS111。低コストながらダブル・パルス・テクノロジーを採用。ガラス越しで使用できる 【写真14】3DスマートカメラIVC-3Dを利用した文字認識システム。左側のディスプレイでは、タイヤの浮き彫り/刻印文字を認識していることが分かる

 そのほかのセンサーメーカーでは、北陽電機の測域センサーも目を引いた。同社は近日発売予定の新製品として、長距離エリア設定タイプの「UTM-30LN」を展示【写真15】。検出距離0.1〜30m、検出角度270度で、サイズも60×60×87mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトだ。このほかにも、同社のセンサーを利用したエリア検知型携帯警報システムや、入退室人数カウントシステム、カメラ画像と測域センサーを組み合わせた3次元認識システムなども参考出展していた【写真16】。


【写真15】北陽電機の測域センサーUTM-30LN(写真右下:長距離エリア設定タイプ)。検出距離は0.1〜30m 【写真16】カメラ画像と測域センサーを組み合わせた3次元認識システム。物体の識別、侵入者検知、人流の追跡、位置特定、混雑度の計測などの応用に期待できる

華やかなデモが印象的だったトヨタL&Fと日産ブース

 トヨタL&Fのブースでは、度肝を抜くような大きさのAGVが展示されていた【写真17】。参考展示であったが、普通あまりお目にかかれないものだけに特に印象的だった。これは同社の技術を集結して開発した海上コンテナ輸送用AGVだ。船から積み下ろされた20〜45フィートのコンテナを搬送するもので、その大きさはなんと2,800×14,300×1,700mm(幅×奥行き×荷台高さ)、積載重量30.8トンと国内最大級【写真18】。駆動方式はディーゼルエンジンとバッテリを利用したハイブリッドタイプで、省エネも実現している。十数メートルもある機体だが、時速25km(空車時)で動き、停止精度も±20mmと高精度だ。4輪操舵で旋回性能もよく、斜めにも走行できる。

 このほかにもトヨタL&Fのブースでは、手軽に導入できる低コストなAGV「Tugcart」のデモ【写真19】【動画9】や、各種フォークリフト、ラックスタッカーによる入出庫・搬入出などのデモも行なわれた。Tugcartの標準ボディは、360×1,496×190mm(幅×奥行き×高さ)の低床型AGVで、磁気テープを床に貼って走行経路を設置。カゴ台車や組み立て台車の下に潜り込み、AGVの電動昇降ピンがアップして、台車ごと搬送する。125WのDCモータを採用し、最大1トンの重量物を牽引できる。安全バンパーや障害物センサーなどを装備し、外部信号入力による発進・待機指示も可能だ。

 ロボットとは直接関係ないが、参考展示として環境に配慮したハイブリッドタイプのバッテリ式フォークリフトも紹介していた。「Hybrid」【写真20】は、ガソリンエンジンとニッケル水素バッテリを組み合わせたタイプで、従来のエンジン式と同等性能を確保しつつ燃費を抑え、CO2の排出量を大幅に低減している。一方、「FCHV-F」【写真21】は、水素燃料電池と電気2重層キャパシタを組み合わせたタイプで、短時間で燃料を充填できるため連続作業が可能だ。こちらは使用時のCO2もゼロで、環境に優しいクリーンなエコフォークリフトだ。


【写真17】トヨタL&Fのブースの受付背後にあった海上コンテナ輸送用AGV。あまりに大きいので最初は看板かと勘違いしていたがAGVだった 【写真18】遠くから見ると大きさがよく分かる。このサイズで時速25km(空車時)で動き、停止精度も±20mmと高精度だ 【写真19】低コストなAGV、Tugcart。中央に見えるピンが電動昇降ピン。カゴ台車の下に潜り込み、このピンがアップして台車ごと搬送する仕組み

【動画9】Tugcartのデモ。カゴ台車の下に潜り込み、A台車ごと牽引。最大1トンの重量物に対応するという 【写真20】ガソリンエンジンとニッケル水素バッテリを組み合わて駆動するハイブリッドタイプのバッテリ式フォークリフトHybrid 【写真21】水素燃料電池と電気2重層キャパシタを組み合わせたハイブリッドタイプのバッテリ式フォークリフトFCHV-F。環境にとても優しいマシンだ

 日産自動車のブースも華やかだった【写真22】。ローコストで現場に合わせた導入が可能な簡易AGV「SAVシリーズ」や各種フォークリフト、トラック、未来のコンセプトカーなどを出展していた。

 簡易AGV「SAVシリーズ」【写真23】は、モノの流れを整流化し、安価に自動化するための改善ツールとして開発したもの。実際に同社の工場で、プレス・車体・塗装・組み立てなどの工程に積極的に導入しているという。SAVシリーズには牽引型、積載型のほか、低床型がある。アルミテープの反射を検出する光学式と、磁気テープの磁気を検出する磁気式の誘導方法を選択でき、軌道への敷設や経路変更も容易に行なえる。安全面も配慮され、衝突防止機能、非常停止、過負荷検出、異常警告などの機能を装備。オプションでメロディーチャイムやバンパーセンサーなども装着できる。デモでは低床型のSAVを紹介していた【動画10】。このタイプでは前進移動のみの2WDタイプと、前後動が可能な4WDタイプがある。AGVの電動昇降ピンがアップし、台車ごと搬送する点はTugcartと同様だ。

 フォークリフトについては、環境に優しく、高出力・大容量でコンパクトなリチウムイオンバッテリを搭載したコンセプトモデル「AGRES Li CONCEPT」を紹介していた【写真24】。このバッテリは、共同出資会社のオートモーティブエナジーサプライによって開発製造され、2009年度に日産のフォークリフトに、2010年度には日米発売の電気自動車やハイブリッド車に採用される予定だ。

 また、昨年の東京モーターショーで話題をさらったユニークな電動シティコミューター「ピポ2」も登場した【写真25】。こちらもリチウムイオンバッテリによって駆動し、CO2排出削減に貢献するクリーン車だ。運転室が360度回転するため、バック走行時にも前を向いて運転できる。また各車輪も90度回転するため、ドライバーは前を向いたまま縦列駐車ができる。車輪にかかる荷重が均等になるようにタイヤ位置を自動制御し、加減速時やカーブでも車体が傾かない安定走行を実現。ダッシュボードには、ドライバーの表情や会話から状態を推定して話しかけるロボティック・エージェントも採用している。


【写真22】華やかな日産自動車のブース。簡易AGV、各種フォークリフト、トラック、未来のコンセプトカーなど、話題の製品が並ぶ 【写真23】ローコストで現場に合わせた導入が可能な簡易AGV、SAVシリーズ。牽引型、積載型、低床型がある 【動画10】低床型でAGVのデモ。電動昇降ピンがアップして台車を牽引するタイプ。実際に同社の工場でプレス・車体・塗装・組み立てなどの工程に積極的に導入

【写真24】リチウムイオンバッテリを搭載したフォークリフトのコンセプトモデルAGRES Li CONCEPT。リチウムイオンバッテリ搭載タイプは2009年度に登場する予定 【写真25】未来の電動シティコミューター、ピポ2。外観のデザインがロボットのようだ。自動車もロボット化してきているのだろう

 TMCはバッテリ/エンジン式のフォークリフトやトランスファークレーンなどを展示していた。大型搬送機器が多かったが、中でも新発売のリーチスタッカー「MR450」は見上げるほどの高さ【写真26】。カメラに収まりきらないほど大きくて圧倒された。その全長は11.45mで、最大荷重45トンのコンテナ類をハンドリングできる。伸縮するブームを備えているため、2列、3列目のコンテナの荷役がスピーディに行なえるという。

 このほか新製品としては、バッテリ駆動のフォークリフト「FRB-VIII」なども紹介していた【写真27】。こちらはモータの小型化と回生制動機構によって、フル充電時間を5時間に短縮しながらも駆動時間を9時間へと向上したという。


【写真26】TMCのリーチスタッカーMR450。全長は11.45m、最大荷重は45トン。巨大すぎてカメラに収まらない。展示場に搬送するのも大変だったかもしれない 【写真27】バッテリ駆動のフォークリフトFRB-VIII。1回の充電で9時間の駆動が可能だ。最大積載重量は3トン

あまりお目にかかれない大規模な物流システムのデモも

 ここからは、もう少し大きな物流システムについて見ていこう。チェーンや変減速機などの伝動部品で有名な椿本チエインは、長年の技術とノウハウを生かし、仕分け・搬送・保管などに利用される物流機器を展示していた。同社のブースでは静粛なリニアモータを採用したチルトトレイ式の自動仕分け装置「リニソート」【写真28】や、ボール状のローラの回転で荷物を仕分ける「クイックソート」【動画11】のデモを実施。

 特にユニークだったのは、同社が開発した「ジップチェーン」を利用したリフターだ【写真29】。ジップチェーンは、2本のチェーンが噛み合うことで1本の棒状になる構造。ジッパーのようなイメージから名付けられたという【写真30】。このチェーンを利用すると、天板をダイレクトに押せるため、電動・油圧式リフターと比較して、モータトルクが推力として無駄なく伝達できるというメリットがある。最大積載荷重750kg、1,000kg、2,000kgの3機種が用意されている。


【写真28】椿本チエインのチルトトレイ式の自動仕分け装置リニソート。名前のとおりリニアモータで駆動する 【動画11】物流ライン込み込まれたクイックソート。分岐部にあるボール状のローラの回転で荷物を仕分ける仕組み。センサーで荷物を検出し、外部信号の入力によってシーケンシャルな動作をする

【写真29】同社が開発したジップチェーンを利用したリフター。天板をダイレクトに押せるため、電動・油圧式リフターと比較して推力を無駄なく伝達できる 【写真30】ユニークなジップチェーンの構造。本のチェーンをかみ合わせることで1本の棒状になる

 岡村製作所は「しなやかに、こまやかに、すみやかに」をテーマに、回転ラック・自動倉庫、搬送・仕分け機器や、参考出品の次世代バゲットスタッカーなどのデモを行なっていた。同社の「ロータリーラックH」は、仕分け・保管・検索機能を備えた多段式の独立水平回転ラック【動画12】。トレイの水平回転を止めずに、連続的に高速な出庫が可能だ。冷凍庫(-30℃)などの過酷な環境で多品種・高頻度な作業を自動化する。本体がパネル構造の集合体で、耐震性に優れるほか、高層化できるため保管効率もよい。

 高速スタッカークレーンを使用した次世代バゲットスタッカーも目を引いた。この装置は、ワイヤーで牽引するメカニズムによって、高速・加速性能を飛躍的に向上している点が大きな特徴。走行加速度は1G、走行速度は毎分480m、昇降速度は毎分120mと高速だ。実際の動作を見ると本当に機敏に動いていることが分かる【動画13】。


【動画12】岡村製作所の多段式の独立水平回転ラック、ロータリーラックH。仕分け・保管・検索の3つの機能を備える。段ごとに回転ラックのスピードが異なっていることが分かる 【動画13】とにかく高速化を目指して開発したというスタッカークレーン。走行加速度は1G、走行速度は毎分480m、昇降速度は毎分120mだ

 このほかにも、搬送系コンベアを複数ぶん組み合わせたシステムの実演も行なわれていた。たとえば、ローラーの進行方向に対して垂直に配置したドライブシャフトの回転を、プーリーとゼノベルトを介して1本ずつ独立して伝える「ゼノロールコンベア」【写真31】や、平ベルトのフリクションよって駆動する「ラピロールコンベヤ」を展示。ゼノロールコンベアのユニークな駆動方式は、低騒音でスムーズな搬送と安全性を生みだす。

 一方、ラピロールコンベヤは、平ベルトが接触しているときのみ駆動し、ベルトがローラーから離れるとフリーになる。ゾーン単位でフリー部分ができ、その場所がアキュームレーション(コンベア上に搬送物を溜めておく)ゾーンとなる。その際に、搬送物は惰性で前詰めされるので、隙間のない高密度なアキュームレーションが可能だ。このほかにもコンテナやケースなどを1時間で1万個まで仕分けられる「ラインベルトソーター」もあった。こちらは角度の付いたローラがポップアップすることで、仕分けの方向に対象物を移動させる仕組みだ【写真32】。

 また、岡村ブースの一角には関連会社のシーダーによるデモコーナーもあった。こちらでは、クリーンコンベアの「Excel3C」と、独自の天井搬送システム「OCS」(オーバーヘッド・コンベア・システム)を組み合わせ、半導体製造ラインに利用できる搬送システムを参考で展示【写真33】。Excel3Cは清浄度クラス10以下、静電圧5V以下の環境に対応。一方のOCSはフレキシブルなラインレイアウトを構成でき、最大搬送重量は400kg。クリーンで安全な搬送が可能だ。


【写真31】ユニークな駆動方式のゼノロールコンベア。低騒音でスムーズな搬送が可能だ 【写真32】コンテナやケースなどを1時間で1万個まで仕分けられるラインベルトソーター。角度の付いたローラがポップアップし、対象物を移動させる 【写真33】シーダーのブース。半導体製造ラインに利用できる搬送システム。クリーンコンベアと天井搬送システムを組み合わせ、ウェハーキャリアーを運ぶ

 ダイフクのブースでもエレクトロニクス関連のクリーンルーム内モノレールシステムとして「クリーンウェイ」のデモを行なっていた。半導体・液晶・プラズマテレビなどの製造プロセスに用いられる搬送・保管システムで、工場全体の運用効率をアップするトータルシステムを構築できるという【動画14】。

 このほか、同社のスタッカークレーン・ラックマスターの軽量化と同調制御の技術によって、1時間あたり最大2,200ケースの入手庫能力を持つ自動倉庫「DUOSYS」【写真34】や、ロールボックスパレット・カーゴテーナを活用したRFIDシステムも展示していた。


【動画14】ダイフクのクリーンルーム内モノレールシステム、クリーンウェイ。本当のモノレールのような動きで、空中搬送を行なう 【写真34】最大2,200ケースの入手庫能力を持つという自動倉庫DUOSYS。同調制御の技術がポイントだ

 村田機械のブースでは、バケット自動倉庫とパラレルメカニズムを利用したピッキングマシンを組み合わせ、入庫検品からピッキング、リアルタイム検品、出荷検品までを完全自動化するシステムや、RFIDを活用した次世代ロジスティクス・ソリューション「ゆびキタスピッキング」などを出展。

 特に後者のゆびキタスピッキングは、熟練が不要な物流現場を想定して開発されたもので、とても興味深いシステムだった【写真35】。これは、物流センターの管理システム「WMS」(Warehouse Management System)と連携した「ゆびキタスサーバ」が、作業者のITツール(マイクアレイ、ヘッドマウントディスプレイ)を通じて、ピッキングやアソートの指示を行なったり、作業実績の収集をするもの。作業者がマイクアレイで作業開始を宣言すると、作業指示(ピッキング対象品の画像・品名・品番、個数、位置、注意事項など)がヘッドマウントディスプレイの視覚情報として表示される。

 そこで、作業者が指示商品をピッキングすると、RFID/バーコードリーダによって自動検品が行なわれ、それが正しいか合否判定を表示した後に、音声で完了報告をするという流れだ。作業者のハンズフリーを徹底すれば、倉庫・配送センター内のピッキング/アソート業務を従来より20〜30%ほど向上できるという。

 マキシンコーは、高速自動収納庫「シャトルXP」を出展していた【写真36】。ロータリー式ではなく、昇降方式の垂直搬送によって、異なる商品を高密度に収納することができる。商品の高さはセンサーで計測されており、適したサイズの棚に自動的に入れられる仕組みだ。また取り出し時に、フロントローダーによって商品が手前に引き出される機構も備えている【動画15】。自動車部品や金型などの管理に用いられているという。

 日本郵船グループのNYKロジスティックスジャパンは、総合物流モデル装置「ロジスイッチ」によって、物流プロセスを分かりやすく説明していた【動画16】。ピタゴラスイッチのように見た目が楽しい装置で、見学者も多かった。どうしても物流というと地味な感じで、システムも広範にわたるため全体イメージをつかみにくい。しかしシステム全体を俯瞰すると、それは巨大なロボットと同じような仕組みだ。こういった分かりやすい物流モデルで説明されると合点がいく。


【写真35】次世代ロジスティクス・ソリューションのゆびキタスピッキング。作業者はマイクアレイとヘッドマウントディスプレイを装着。作業指示がヘッドマウントディスプレイの視覚情報として表示される 【写真36】マキシンコーの高速自動収納庫シャトルXP。昇降方式の垂直搬送方式を採用している

【動画15】タイミングベルトの使用によって駆動も静寂だ。フロントローダーによって商品が手前に引き出される 【動画16】日本郵船グループ・NYKロジスティックスジャパンの総合物流モデル装置ロジスイッチ。ピタゴラスイッチのようで楽しい

 電気2重層キャパシタを利用したユニークなシステムも見受けられた。パワーシステムは、家庭用AC電源で1トンの重量物を持ち上げる昇降システムのデモを行なっていた【写真37】【動画17】。ポイントはAC100Vのテーブルタップから電気2重層キャパシタに電力を蓄えておくことだ。昇降自体は3相200Vの油圧ポンプモータを利用するが、電気2重層キャパシタの蓄電力と単相100Vをインバータ側に入力して合成し、3相200Vの昇降用モータを駆動する仕組み。電気2重層キャパシタは、大電力を短時間で充電でき、充放電を繰り返しても劣化が少ないため、頻繁なバッテリ交換も不要だ。そこで同社では、電気2重層キャパシタをAGVへ適用することも提案している。設置したAGVスポットに立ち寄り、充電を繰り返すことで24時間の連続稼動も可能になる。

 また、このような電気2重層キャパシタは、自動収納庫にも応用されている。たとえば明電舎の「M-CAP」を利用したシステムが展示されていた。垂直に落ちる際の回生エネルギーを蓄え、力行時にこれを放電して、エネルギーを有効利用しようという考えだ。省エネやクリーン化の観点から、電気2重層キャパシタは今後さまざまな分野で応用できそうだ。


【写真37】パワーシステムの昇降システム。家庭用AC電源で1トンの重量物を持ち上げられる点が大きな特徴だ 【動画17】昇降システムのデモ。昇降自体は3相200Vの油圧ポンプモータを利用する。電気2重層キャパシタの蓄電力と単相100Vをインバータ側に入力して、3相200Vを作り出す

URL
  国際物流総合展2008
  http://www.logis-tech-tokyo.gr.jp/JP/


( 井上猛雄 )
2008/09/24 18:38

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