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メガウェブで「科学のびっくり箱! なぜなにレクチャー」開催
~ロボット&クルマ工作教室・i-unitキッズ試乗体験レポート


どの子も真剣にロボットやクルマ作りに集中していた
 お台場にある、トヨタ自動車の無料アミューズメント施設「メガウェブ」で8月23日、小学生のための夏休み無料イベント「科学のびっくり箱! なぜなにレクチャー」が開催された。モノ作りの大切さ、科学の楽しさを体験する理科実験工作教室だ。「二足歩行型ロボットを作ろう!」と「電力回生自動車ピカッとブレーキ号(ハイブリッドカー)を作ろう!」の2コースが用意され、それぞれ約30名ずつが参加して行なわれた。

 会場はメガウェブの中核施設「トヨタ シティショウケース」1Fのオーロラビジョンが設置されたイベントスペースのメガステージだ。今回は、二足歩行型ロボットコースに実際に記者の娘(科学・工作好き)に参加してもらって、その模様を取材してみた。また、同日にメガウェブの別施設トヨタ ユニバーサルデザイン ショウケースで行なわれていた、「i-unitキッズ運転体験」イベントも取材。こちらも実際に娘に乗ってもらって(体育は超のつく苦手)、小学生でも簡単に運転できるというところを見させてもらった。

 ちなみにi-unitとは、2005年の愛・地球博でデビューした、トヨタのパーソナルモビリティの1台である。なお、翌日には池袋にあるトヨタ自動車のクルマの無料アミューズメント施設「アムラックス東京」でも同じ内容で「科学のびっくり箱! なぜなにレクチャー」が実施された。


ロボットとクルマの完成品。みんなうまく作れるかな? クルマのパーツ

クルマは、坂を滑らせてその重力エネルギーが電気に変換される様子を体験 会場はトヨタシティショウケース1Fのメガステージ

科学のびっくり箱! なぜなにレクチャー「二足歩行型ロボットを作ろう!」

 同イベントは、トヨタ技術会が全国各地で実施している社会貢献(ボランティア)活動の1つで、メガウェブでは年に1回程度行なわれている。トヨタ技術会とは、会員の技術向上および親睦を図り、本業である自動車製造販売業を始め、さまざまな事業の技術分野の発展に寄与することを目的として、同社内に1947年に結成された会だ。現在は同社副社長の瀧本正民氏が会長を務め、3万人強の会員が所属している。主な活動として「科学のびっくり箱! なぜなにレクチャー」の活動のほか、毎年恒例のTESフェスティバル(ロボット競技やECOバトルなどが行なわれる)の開催、ドライビング講習会の実施などとなっている。

 「科学のびっくり箱! なぜなにレクチャー」の主旨は、子供たちにロボットやクルマなどの原理を説明した上で工作を実施することで、「仕組みを理解した後にモノづくりに取り組む」という姿勢を養ってもらうというもの。理科離れが叫ばれるようになり、それに対して少しでも何かをしようという思いから、「科学のびっくり箱! なぜなにレクチャー」は誕生したそうである。内容は独自開発したオリジナルプログラムで構成されており、必要な備品・材料もあらかじめ用意してある。

 また、所要時間は2時間程度となっており、気楽に参加できる点もポイントだ。なお、ロボットの仕組みの解説や工作の手伝いなどは、すべて同会所属のトヨタ自動車の社員がボランティアで行なっており、テーブルごと(子供3~4人で1テーブル)に1人の先生がついている。娘のテーブルの先生も、トヨタ自動車のデザイナーという方だった。

 今回の「二足歩行型ロボットを作ろう!」コースの教材は、タミヤの「楽しい工作」シリーズの各種パーツに加え、技術会で用意した自作パーツが数点。詳細は以下の通りだ。※がついたものがタミヤの「楽しい工作」シリーズのパーツとなっている。

【本体】
・自作本体プレート(厚さ2mmのアルミ板):1点
・ギヤボックスユニット:1点 ※
・単4電池ボックスおよび単4電池

【脚・腕】
・ロングユニバーサルアーム:4点 ※
・ユニバーサルアーム:2点 ※
・アングル:2点 ※
・ユニバーサルプレート:2点 ※
・プラスチックナット:4点 ※
・ゴムマット:2点

【接続品】
・ボルト・ナットセット:1点 ※
・3mmプッシュピンセット:3点 ※
・6mmプッシュピンセット:1点 ※
・両面テープ:3点 ※

【顔】
・自作の厚紙のロボットの顔:1点

【装飾】
・TOYOTAシール

 工具としては、ユニバーサルアームの切断などに使用するプラスチックニッパー、ねじの固定に用いるプラスドライバー、ロボットの顔を切り出すのに使うはさみの3点を使用。はさみはさすがに使ったことがないなんて小学生はいないだろうが、ニッパーやドライバーは初めてという子も多かったはず。ちなみに、うちの娘も初めてだったが、ドライバーは親が使っていたりするのを見ていたからか、初めてにしてはそこそこの手つきで回していた。さすがにニッパーは先生に手伝ってもらいながらだったが、なんとかアームの切り出しなどを行なっていた。


今回のパーツ。多くはタミヤの「楽しい工作」シリーズ 道具はニッパー、ドライバー、はさみ、マーカー

 工作に入る前に、まずはロボットの仕組みの勉強。最初に茶運び人形が紹介され、日本人は江戸時代からものづくりが得意(なおかつロボット好き)というところからスタート。その後、現代の最新ホビーロボットの紹介では、株式会社ハイテックマルチプレックスジャパンのROBONOVA-Iを題材に説明が行なわれた。お茶くみ人形はまだしも、ROBONOVA-Iはあまり間近で動いているのを目にしたことがある子が少なかったようで、食い入るようにその動きを見つめていた。


まずは集合してロボットの仕組みの勉強から 茶運び人形も紹介。日本人は数百年前からロボット好きという歴史を理解できた?

【動画】茶運び人形の動き 現代のロボット代表はROBONOVA-I

 その後、各テーブルに戻って作業の開始。工作では、メインの講師となる先生がマイクを使って1つずつ手順を追って説明してくれるほか、モニターが複数あり、そこに手順を表示して、子供たちはもちろん、保護者にもどの程度進んでいるのか、またどの程度の難度の作業なのかがわかるようにしてあった。子供用にはそのほかにも、技術会のお手製の説明書も用意されており、プラモデル作りや工作などに慣れている子は、自分で進めているようだった。

 作業行程としては、まず本体プレートに電池ボックスとギヤボックスユニットを取り付ける作業からスタート。電池からのリード線は赤と黒の2種類があり、モーターに間違えないように接続するという、ちょっと細かい作業も。これで本体は完成。


手に持っているのが本体プレート。下はテキスト(設計図) まずはプレートに電池ボックスとギヤボックスを接続するところからスタート 本体の完成。左がギヤボックスで右が電池ボックス

 続いての作業は脚と腕の製作。まずは平たい足パーツを右と左で間違えないよう、マーカーで印を付ける。次にロングユニバーサルアーム2本を、それぞれ印に沿って(技術会の方であらかじめ書いてくれている)太もも2個、ヒザ、スネの4パーツにニッパーでカット。残り2本のロングユニバーサルアームは、リンクパーツとしてそのまま使用する。そしてユニバーサルアーム2本は、上腕と前腕にカット(あまりが出る)。これらを切り出したら、まずは太ももをストッパーとプッシュピンで本体に取り付けていく。この辺もピン類が小さいので指先の器用さが求められる作業だ。続けて、スネやリンクを取り付けていく。脚の先端には足パーツも取り付け、これで脚部はほぼ完成。


足パーツの左右を間違えないようマーカーでチェック ロングユニバーサルアームの切断。脚部パーツの作成だ ストッパーとプッシュピンもランナーからニッパーで切り離す

本体パーツに太ももパーツを取り付けるところ 太ももパーツ左右2本ずつ計4本をすべて取り付け終了 続いてヒザ、スネ、リンクパーツなどを取り付けていく

足パーツをつなげば脚部が完成 両足パーツがついた状態。次の作業は腕パーツの接続

 次は腕の組み立てで、ヒジを曲げた状態で上腕と前腕をピンで留め、本体に貼り付けるための付け根の部分に両面テープを貼るという具合。これで本体に取り付け、リンクと前腕もピンで留めれば、ほぼ完成だ。今回製作しているロボットは、関節ごとにサーボを装備して脚部だけで動く競技会などに出てくる高級なホビーロボットではなく、モーター1つで動く仕組みなので、テコの原理などを応用した、少し複雑な動力伝達の仕組みを備えている。一見すると、スキーのストックを持っているように見え、両腕と脚部がつながっているのが特徴だ。

 そして最後は、顔の取り付け。厚紙にプリントされたものなので、デザインは7種類ぐらいある。娘は、逆三角形の輪郭をした顔を選んだ。カラーマーカーのセットも用意されていたので、各自好きな色で塗ったり、必要とあればパーツを描き足してから、厚紙から切り出して貼り付けた。うちの娘は女の子らしく顔の上側をピンクで塗っていた(下側はなぜか渋く黒)。黒いのでヒゲのように見えるが、本人によると別にそういうわけではないらしい。

 それと、TOYOTAシールも「できたら貼ってね(笑)」というメインの講師の先生のお願い(同イベントは、トヨタの究極の技術者・青田買い戦略でもある!?)。娘は、ちょっと左右がはみ出てしまうのだが、胸にバーンと貼ることに。トヨタ・パートナーロボットの仲間(かなり廉価版だけど)という感じがしていいのではないだろうか。


腕も取り付けが終わり、ほぼ完成 次は顔。厚紙から切り抜く 顔は複数用意されており、娘のものはこんなデザイン

 早速動かしてみると、やや左右のバランスがズレているようだが、ちゃんと前進した。パーツがノーマル状態のままだと足裏が滑りやすいので、両面テープを貼ったり、ボルトを上から通してグリップを高めたりと、調整が必要だった。また、今回のテーブルの上のように滑りやすい場所だけでなく、畳やカーペットなど、接地面の素材が変わると、また動作が大きく変わってくるので、いろいろと調整してみてほしい、ということだった。


完成。顔のカラーリングは上側がピンクで、下が黒。TOYOTAロゴははみ出すけど胸に貼ることにした 【動画】実際に歩かせてみた様子

 そんなわけで、今回のイベントの感想をうちの娘に聞いてみたところ、「もうおしまい!?」ということで、もっと作りたいといった感じだった。かなり集中していた様子だったのだが、まさにアッという間の2時間だったようだ。「科学のびっくり箱! なぜなにレクチャー」は、先生が丁寧に教えてくれたり、作業を手伝ってくれたりするので、手先の器用さに自信がなくても一切気にする必要はなし。「作ってみたい」という気持ちさえあれば十分なので、来年はぜひお子さんに教えてあげてはいかがだろうか。メガウェブやアムラックス東京は入場料も無料なら、イベントそのものの参加費用も無料なので、かなりお得な工作教室である。


i-unit小学生用スペシャル仕様によるキッズ試乗体験

 続いては、トヨタ ユニバーサルデザイン ショウケースに移動し、i-unitのキッズ運転体験。i-unitは愛・地球博で登場した、トヨタのPMに続くパーソナルモビリティの第2弾だ。人とクルマが融合することで、人の可能性を限りなく広げていくという「人間の拡張」をコンセプトとしている。デザインは「葉」をイメージしており、3次元曲面で構成された有機的なフォルムが特徴だ。そのボディの一部には、ケナフ材やサトウキビなどがベースのバイオプラスチックなどを使用している。

 また、各所に使われているLEDのイルミネーションは複数の色に変更でき、銀色のボディカラーと相まって、「未来のクルマ」感にあふれたイメージを持つ。さらに歩行者と並んで移動できる低速姿勢モードと、スクーター程度の速度で車道を移動できる高速姿勢モードの可変スタイルシステムを採用。そのほか、周辺監視カメラなども備えられ、歩行者のいる中での移動も行なえるようになっている。


葉をイメージした曲線で構成されたデザイン 後方はかなりメカニカル。中央やや上部の線対称の位置に並んだ黒い穴は周辺監視カメラ 【動画】ボタン操作でイルミネーションの発色を選べる仕組み

 今回のキッズ運転体験で使用したi-unitは、常時行なわれる大人向けの運転体験用のものとは異なり、小学生の安全を考慮した追加装備がある。まず、転げ落ちないようにするための太めのシートベルト。これで腰を固定する形だ。それから、ステップの高さを調節するための台も用意。着座時に足がステップに届かないと危険なので、ステップを置いて足を着けるようにしてある。台は3種類用意されており、子供の身長に合わせて付け替える仕組みだ。


シートベルト この台は通常はなく、今回特別に子供の背丈に合わせて載せられている

 記者もかつて運転させてもらったことがあるが、基本的に片手で動かすことが可能。ドライブコントローラーを傾けることで、前進したり左右に旋回する。ただし、親としてこんなことを書くのもなんだが、うちの娘は運動が本当に不得意(体育が嫌いというわけではないのだが)なので、まっすぐ運転できるのか少々ハラハラしてしまった。

 しかし、インストラクターのお姉さんが常に横にいて指示したり助けてくれたこともあり、なんとか走れた。運転体験エリアをグルっと1周するのだが、スタート地点側のストレートで加減速の練習、右に曲がっていって、再びストレート。そのストレートエンドで一度止まって記念撮影タイムとなり、さらに変形機構の体験。走行時は低速姿勢モードなのだが、ここで搭乗者が寝そべるような状態になる高速姿勢モードに変形するというわけだ。そのあとは再び低速姿勢モードに戻って、スタート位置まで帰って終了である。娘の感想は、電動カートなどの体験はあるものの、乗り方はかなり違うし、なおかつ変形するような乗り物だったので、楽しかったそうである。


【動画】移動を開始する際は「ひさし」が降りてくる 【動画】少々怖がっているが子供でも簡単に運転可能

【動画】変形シーン。低速姿勢モードから高速姿勢モードへ 【動画】高速モードから低速モードへの変形シーンを後方から

 お台場で未来的・科学的な体験を子供にというと、日本科学未来館を浮かべる人も多いだろうが、意外とメガウェブでもこうして色々と体験できる。事前の予約や、早めに並んでの受付などは必要だが、基本的に無料で楽しめる点は大きい。メガウェブの施設をぐるっと回る、電気自動車による「E-comライド」や、ペダルをこぐところをモーターがアシストするハイブリッドカートの「キッズ・ハイブリッド・ライドワン」(組み立て体験も可能)といったアトラクションなどもあるし、お父さん・お母さんら保護者の方にはトヨタの最新車種を有料試乗(1回1時間300円、当日予約が必要)も用意されているので、首都圏の方は休日のお出かけ先の候補の1つに入れてみてはいかがだろうか。


URL
  メガウェブ
  http://www.megaweb.gr.jp/
  科学のびっくり箱! なぜなにレクチャー
  http://www.toyota.co.jp/jp/social_contribution/education/lecture/
  i-unit
  http://www.toyota.co.jp/jp/tech/p_mobility/i-unit/


( デイビー日高 )
2008/09/12 01:58

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