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ホンダ、「インターナビ・ルート」を発表
~高性能サーバによるルート探索・配信を主体としたサービスへ


新型レジェンドに搭載予定
 8月28日、本田技研工業株式会社(ホンダ)は「インターナビ・プレミアクラブ」会員向けルート配信サービス「インターナビ・ルート」を開始すると発表し、記者会見を行なった。9月5日に発売予定の新型レジェンドに搭載する新型HDDインターナビシステムから順次開始する予定。

 「インターナビ・ルート」は従来の交通情報だけではなく、燃料消費量、加減速データ、ETC割引料金そのほかさまざまな情報を加味した多種多様なルートをセンターサーバ側で計算、通信でカーナビに配信するサービス。各種ETC割引制度などを反映したもっとも経済的なルートのほか、最速ルート、一般道を優先した最速一般道優先ルート、所要時間とコストのバランスのとれたスマートルートなどを提供する。さらに燃費が良くCO2排出量がもっとも少なくなるルートや、季節や時間帯、天候を考慮した景色のよいおすすめドライブコース(シーニックルート)など新しいドライブルートを提案する。

 また「インターナビ・ルート」はドライブ当日時刻とルートを予測する会員向けホームページサービス「出発時刻アドバイザー」の条件としても設定することが可能(来月開始予定)。これによってたとえば事前に渋滞情報などを予測して出発時刻を早めたり遅くすることができる。


本田技研工業株式会社インターナビ推進室室長 今井武氏
 「インターナビ・プレミアクラブ」の会員数は72万人。記者会見でホンダのインターナビ推進室室長の今井武氏は、同社のカーナビ開発の歴史から振り返って、インターナビのコンセプトや新機能を解説した。新機能解説では実走行データを使って、実際にどの程度、所用時間や料金、燃費などが改善したか示された。

 ホンダは1981年に世界初のカーナビゲーションシステムを作って世に出した。交通情報、気象情報、駐車場満空情報などを提供する会員制サービス「インターナビ・プレミアクラブ」は2002年から始まった。渋滞予測や、登録ユーザーの車両からリアルタイム情報を取得することでVICSを補完するフローティングカー(プローブカー)システムを世界で初めてサービス開始したのもホンダである。2007年10月からは新規主要道路が開通したらインターナビサーバから地図差分データを配信することで、開通後数分後にはルート誘導可能な「主要道路リアルタイム地図更新」をサービスインした。

 特徴であるフローティングカー情報は平日で約40万km、土日で約80万kmとサービス開始から5年の累計で4億kmを達成した。またこのシステムを使った新たな取り組みとして、大規模な地震が発生したときに、フローティングカーによる実走行データから走行可能な道路をPDFファイルとして会員外も含めた広い一般ユーザーへ提供するという試みも行なっている。


ホンダによるナビゲーションシステムの歴史 インターナビ・プレミアムクラブ インターナビの進化の歴史

VICS情報未提供道路の渋滞情報を得られるフローティングカー・システム フローティングカーによるアップデート実績は累計4億kmを達成 フローティングカー情報を使い、災害時に実際に走行可能な道路情報の一般提供も

高性能サーバを使ったルート探索・配信を主体としたサービスへ

 現状のカーナビは目的地までの渋滞を考慮したルートを提供できる。だが、そうは言っても「ナビでは本当に良いルートが出ない」というユーザーの声も多い。なぜならば、これまでのナビではハードウェアの限界があり、現在地から目的地までの全リンクの経路探索を行っていなかったからである。これまでのナビは、主要道路を優先しており、ルート探索範囲も狭い範囲に限られていた。CPUとメモリの制限があったからだ。

 そこで今回ホンダでは、カーナビ本体の計算能力だけを使うのではなく、より計算性能の高い高性能サーバを使ったルート生成・配信を実現した。どんなに距離が離れていても、瞬時に全域探索を行なってルートを検索、おおよそ一分程度で車へと配信できるという。また、前述のように燃費そのほかさまざまな面を考慮したナビが可能になった。

 背景にはガソリン代の高騰や環境問題がある。だがそうはいってもドライブの楽しみは捨てがたい。そのような顧客ニーズに答えるためのものとして、単に速く目的地に到着することだけではなく、ドライブの楽しさや快適さ、環境や経済性も配慮したルート提供を「インターナビ・ルート」では目指したという。

 またこれまでのナビでは例えば交差点での右折渋滞や、踏切渋滞の情報がなかった。「インターナビ・ルート」ではこれらの情報も収集し、分析。より適切なルート情報を提供することが可能になったという。


高性能サーバを使ったルート探索・配信を主体としたサービスへ サーバを使って全リンクで探索を行なうことでより質の高いナビを

従来ナビでは交差点でのレーン渋滞情報や踏切渋滞情報がない サーバ中心にすることで、これまでより適切かつ多様なルート情報が提供可能に

 インターナビルートは5つのメニューからなる。最速/最速一般道優先、省燃費、ETC割引、スマートルート、シーニックルートである。まず、「最速ルート」は必要料金を問わず、とにかく速いルートをナビする。「最速一般道優先ルート」は主に一般道を優先して、より速いルートをナビするものだ。

 「省燃費ルート」は距離や時間を問わず、燃料消費量のもっとも少ないルートを案内する。これもフローティングカーデータが使われている。ナビは目的地を設定されると、最初は自分でルートを引き、そのルートをサーバに送る。そしてサーバの中で比較するのである。いっぽうサーバは、フローティングカーのデータを元にした道路ごとの燃費データを事前に計算して持っている。フローティングカーからは単位時間ごとに車速を取得しているので、そこからルートに応じた加減速が分かる。そこから短い単位で区切られた道路単位ごとの燃費データが計算できるのだ。それをもとに燃費のよいルートを探索するのである。さらに、新型レジェンドからは実燃費データも取得し、より精度を高めていく予定だ。

 「ETC割引ルート」は、ちょっとしたことで変化するETC割引を最大限活用できるルートをナビする。道路の距離情報だけではなくインターチェンジ通過時刻も予測する。よって距離割引だけではなく、深夜割引、早朝割引、通勤割引などを最大限利用できるルートをナビしてくれる。


「インターナビ・ルート」の5つの配信メニュー 最速/最速一般道優先ルート

省燃費ルート 【動画】省燃費ルートのナビの様子(音声) 省燃費ルートナビの原理

ETC割引ルート ETC割引ルートの原理

割引を最大限利用できるルートをナビしてくれる 【動画】ETC割引ルートのナビの様子(音声)

 今井氏が「開発者としては一番のおすすめ」と語るのが「スマートルート」だ。スマートルートでは、所要時間、料金、割引など全てを考慮した賢いルートをナビしてくれる。「シーニックルート」は、天気・時間帯・季節などを考慮して、景色がよくておすすめのドライビングルートをナビしてくれる機能である。たとえばこの気象条件なら四角い太陽が見えるとか、蜃気楼が見えるとか、海がめの孵化が見られるといった、シーンでおすすめすることもできるという。

 このほか、「出発時刻de省燃費」という渋滞を回避することで燃費のいい運転ができるようにナビする機能もある。どこそこに着くためには何時に出発すれば適切かということをユーザーにアドバイスする機能だ。これは来月から提供される。また、防災関連情報も強化された。パイオニアIPCの協力を得て棄権情報をデータベース化。落石注意のほか、冠水注意地点も表示される。


全てを考慮したナビをする「スマートルート」 景観のよいドライブルートをナビする「シーニックルート」 おすすめ条件にあわせてルートをナビ

出発時刻アドバイザー機能 落石注意・冠水注意地点も表示

パイオニア、ヤフーとも提携

 また「インターナビ・ルート」ではパイオニア、Yahoo!ジャパンとも提携する。例えばイベントや工事、事故など突発的事態に対応するためには、もっとリアルタイムの実データが必要となる。そこで「スマートループ」システムを持つパイオニアとも提携。より多くのリアルタイム情報を集める。

 インターネットで検索したドライブスポット情報をナビに反映させたいというニーズもある。そこでYahoo!ジャパンとも提携。10月中旬以降、Yahoo!ドライブのスポットデータをインターナビで使えるようにし、将来的にはインターナビのスポットデータをYahoo!ドライブで使えるようにするという。なおデータのやりとりを行なう上での具体的形式などについては現在協議中とのことだった。


パイオニアと提携 Yahoo!ジャパンとも提携 フローティングカー情報を核に多様なサービスを提供

URL
  ホンダ
  http://www.honda.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.honda.co.jp/news/2008/4080828a.html
  インターナビ・プレミアムクラブ
  http://www.premium-club.jp/index.html


( 森山和道 )
2008/08/29 00:51

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