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ROBO-ONE「お手伝いロボットプロジェクト」予選開催
~搭載カメラでロボットを遠隔操縦


卵つかみに挑戦するロボットフォース製作「ファイブ」
 8月17日、川崎市産業振興会館にてROBO-ONE委員会が主催の「お手伝いロボットプロジェクト」の予選が行なわれた。「ROBO-ONE」は趣味でアマチュアたちが製作した二足歩行ロボットによる格闘バトルがメインのロボコンだが、「お手伝いロボットプロジェクト」は新しく今回始まった競技で、ロボットの実用化を目指したもの。ロボットの普及を目指し事業化を推進する「かわさき・神奈川ロボットビジネス協議会」が共催、川崎アゼリア株式会社が協力している。

 「お手伝いロボットプロジェクト」では、取りあえずロボットの実環境での行動と、遠隔操縦技術の向上を意識した競技が設定されている。今回の競技の最終目標は「地下街で買い物をする」こと。決勝は9月6日(土)、川崎アゼリア地下街にて開催予定だ。


ロボットフォースによる挑戦の様子。操縦者はロボットに搭載されたカメラからの画像のみを頼りにロボットを操縦する
 17日に行なわれた予選競技は「卵つかみ競争」「Tシャツたたみ競争」、そして「30分耐久レース」の3つだ。「卵つかみ」と「Tシャツたたみ」では、操縦者は、ロボットに搭載されたカメラからの映像だけを頼りに、ロボットを遠隔操縦することが求められる。ロボットの操縦ならびにカメラ画像の転送には無線LANが使われる。会場ではロボットに背を向けた状態で、PC上のカメラ画像とにらめっこする参加者たちが悪戦苦闘した。

 実際の競技内容はこうだ。ロボットはテーブルから2m離れた位置からスタートし、テーブルに近づく。そのあと、「卵つかみ」ではテーブル上のカゴに入れられた卵をつかんで卵スタンドに並べる。「Tシャツたたみ」では、床上のカゴのなかにランダムに入れられた3歳児向けの小さなTシャツを取り出し、畳んで、別の箱に入れなければならない。競技時間は各5分。5分間の間に卵を入れられた個数ならびに入れ方、ひびが入っているかどうか、そしてTシャツの枚数などで順位が決められる。卵あるいはTシャツは落としても拾えば大丈夫だが、拾えなかったら0点になる。

 「30分耐久レース」はロボットをひたすら30分間歩かせ続け、その累計距離を競う。バッテリがなくなってきたらピットに入れればそこでバッテリ交換ができる。ロボットの耐久性と安定性、信頼性、メンテナンス性などが問われる競技だ。ロボットは4台いっせいにスタートして、トラックの上を歩き続けた。こちらの競技は会場の別室を使って遠隔操作競技と同時並行で行なわれ、観客には中継の形で模様が伝えられた。

 エントリーしたロボットは全部で15台。そのうち12台が競技にチャレンジした。結果は、うち「卵つかみ競争」と「Tシャツたたみ競争」に挑戦しなかった1台(えまのんさん製作の「フライディ」)のみを除き、3つの競技全部にチャレンジした全てのロボット11台が将来性を見込んで予選通過という結果になった。なかには西村輝一・大会実行委員長が製作したロボットも含まれている(予選通過順位8位)。

 通過した各ロボットの順位と得点は下記のとおり。なお得点は300点満点である。

1位 スミイファミリー製作「アリモプレナ」 78点
2位 kupakuma製作「クロムキッド」 71点
3位 MARU Family製作「Musashi」 56点
4位 スギウラファミリー製作「Dynamizer」 54点
5位 ロボットフォース製作「ファイブ」 47点
6位 ドカプロジェクト製作「DOKA ONE」 46点
7位 チーム九州製作「作業用オートモ」 45点
8位 BB製作「ARRC-X」 32点
9位 CAPプロジェクト製作「Aero-Blue」 24点
10位 Team MSS製作「くまたろう」 22点
11位 ちーむトコトコ製作「トコトコ丸」 20点


 西村実行委員長は「大会を通して面白いロボットが出てきたら実用化に持っていきたい」という。優秀なロボット技術に関しては、二足歩行にとらわれず、車輪型なども含めて商品化の検討を行なうそうだ。それには競技に協力してくれるショップの店長の意見等も交えるそうだ。


Tシャツと卵 Tシャツは3歳児向けくらいの小さなもの 【動画】4F会場で行なわれた「30分耐久レース」の様子

予選 ~ネットワーク接続と床に苦しむ重量級ロボットたち

 今回、参加者たちを共通して苦しめていた点が3つある。

 まず第一は通信だ。今回の競技は、前述のように無線LANを使う。多くの参加者はまずネットワーク接続とその安定に苦しんでいた。ネットワーク関連機器は機器同士の「相性」の問題もある。そのため、自前のルータを持参していたかどうかにも左右されていたようだ。大会運営側の不慣れもあった。9月に地下街で行なわれる本戦ではさらに苦労することになるのではないかと思われる。参加者の努力ではいかんともしがたい面もあるので、そんなに簡単には解決しそうにない。

 第二は床面である。今回の競技はステージ上に特別なプレートなどを敷くことなく、直接、ステージの床上で行なわれた。そのためステージの凹凸や、床上に露出した床下アクセス用のパネルの金属縁など、滑り状況がまったく違う場所をロボットは歩かなくてはならなかった。たった2mだが、テーブルにアプローチするためには直進ではなく90度ターンする必要もある。このため、まずテーブルにたどりつくのに多くのロボットが苦戦した。

 第三はロボット本体だ。今回参加したロボットたちは軒並み60cmクラス。作業をするために大型化した。以前ソニーが開発していた「QRIO」と同じくらいの大きさである。これはホビー用のサーボモーターと金属フレームで組み立てられる「ROBO-ONE」では「大型」の部類に属する。さらに今回はカメラを搭載する必要があり、通信機器も必須。カメラ画像を使いながら操作するとなると、できれば腰や手先にも付けたい。もし1つしか使えないのであればカメラ位置は高いほうがいい。

 さらにTシャツや卵を扱うとなると、それなりの自由度を持ったマニピュレータもいる。Tシャツはけっこう重たいのでパワーも制御も必要だ。こうなると上半身が確実に重くなる。そうなると下半身も膝と腰を中心に、かなりしっかりしたものにしなければならない。大型になるとモーターのパワーがいる。そうなると電力も食う。さらにこの上、「30分耐久レース」も同時に行なわれる。つまり重たい体で30分歩かせなければならない。これはかなりの負担である。

 それと念のため付け加えておくと、「ROBO-ONE」競技参加者たちはあくまで「趣味」としてこれに参加している。大型機ではコストも、小型機以上に問題になってくる。たとえばトルクを稼ぐためにサーボを2倍使えばモーター代は2倍以上になるし、制御と通信用に小型パソコンや組込用のボードを使ったらそのままコスト増だ。

 こういった状況のなか、参加者達はどのように挑戦したのか。予選に通過した11台のロボットのトライをご紹介する。


CAPプロジェクト製作「Aero-Blue」

CAPプロジェクト製作「Aero-Blue」
 はじめに挑戦したのはCAPプロジェクト製作「Aero-Blue」。胸にバイオをつけ、ソケット通信で画像を飛ばすロボットだ。開発費用は所属する会社の社長に出してもらったという。卵を2つケースに入れることに成功したものの、「やめ」の声がかかったあとに3個目を置こうとして置いた卵まで床に落としてしまった。おまけに委員会が用意した固ゆでだったはずの卵が半熟で割れて中身が出るというハプニングまで起き、最初の挑戦者から、この競技の難しさとユニークさを観客に印象付けるものとなった。

 Tシャツは、アプローチまでに時間がかかり、かごに1枚入れることはできたものの、その後たたむまでいかなかった。なおこのあとのいずれのチームも、Tシャツ畳みにはトライすることすらなく、Tシャツをカゴからカゴへ移すに留まった。

 またこのチームではロボットの介助者が指先のサインなどで操縦者に合図を送ったり、チームのメンバーの1人がステージ方向を向くなどしていたが、それらは全て減点対象となった。


スタート位置につく。ここからテーブルまでの距離に多くのロボットが苦戦 【動画】テーブルに近づく。介助者がジェスチャーをして減点。さらに転倒してしまう 【動画】操作者はロボットのカメラを動かして状況を確認しようとしている

【動画】カメラ方向を手先に合わせて操作、卵をつかんで置くことに成功 【動画】3個目は惜しくも時間切れ 卵ケースを引っかけて落としてしまう

しかも卵はほとんど生の半熟。これは委員会の不手際 【動画】Tシャツは1枚をなんとかカゴに投入することに成功

【動画】Aero-Blueの卵つかみ競技全体の様子 【動画】Aero-BlueのTシャツたたみ競技全体の様子

Team MSS製作「くまたろう」

Team MSS製作「くまたろう」
 Team MSS製作「くまたろう」は、クマのぬいぐるみの二人羽織のような格好のロボットだが、製作者はクマがロボットを肩車しているようなイメージで製作したそうだ。確かに動き始めるとそんな風にも見えた。ロボット頭部についているのはバンダイのネットワークロボット・ネットタンサーである。今回の競技ではバンダイが協力しており、ネットワークカメラのついているネットタンサーを使ってトライした参加者たちが多かった。

 挑戦では歩行の安定性や操作性に難があり、なんとかカゴに手を伸ばすことはできたものの、このロボットもやはり卵を割ってしまう。悪戦苦闘したものの、Tシャツ入れにも失敗した。審査員をつとめていた川崎市事業推進課主任で会場となった産業振興会館に務めている酒井賢二氏はコメントを求められて「(生に近い)卵を落とされた床が心配です」と答える有様で、午前中の競技は終了となった。


画角の狭いネットタンサーからの画像を見ながら賢明に操作する製作者の引間さん 【動画】後ろに転倒してしまう 【動画】審判に助けられてなんとかテーブルに辿り着く

【動画】なんとか卵のカゴに手を伸ばすもののカゴごと転倒。そして再び割れる卵 【動画】Tシャツを見るロボット。止まっているようだが人間のほうが画像内容から次の動作を思考・判断中

【動画】くまたろうの卵つかみ競技全体の様子 【動画】くまたろうのTシャツたたみ競技全体の様子

スミイファミリー製作「アリモプレナ」

スミイファミリー製作「アリモプレナ」
 スミイファミリー製作の「アリモプレナ」はかなり安定した歩行とマスタースレーブ方式を使った操縦法、そして真上から卵にアプローチして3本指で把持する手法の採用で、卵を3個入れることに成功した。いっぽうTシャツ取りは両腕を広げてしゃがみ込むことで、やはり真上からアプローチするものの、Tシャツの入ったカゴのふちが腕先にひっかかってしまい、カゴごと持ち上げてしまって失敗。競技終了後、マスタースレーブシステムのデモを行なった。予選1位通過。


【動画】アリモプレナの歩行は安定していた 【動画】マスタースレーブでの操縦と3本指での卵掴み 【動画】3個まで置くことに成功

【動画】操作画面の様子 【動画】Tシャツのカゴには苦戦 【動画】競技後、マスタースレーブの解説

【動画】アリモプレナの卵つかみ競技全体の様子 【動画】アリモプレナのTシャツたたみ競技全体の様子

BBこと西村大会実行委員長製作「ARRC-X」

 続けて登場したのは「BB」こと西村大会実行委員長製作「ARRC-X」。これまでも「宇宙大会」のデモに使われていたロボットだ。さらに頭部に超音波センサーをつけ、カメラも4つ搭載して登場した。しかしロボットの操縦に馴れていないのか、機能をあまり発揮しないまま、卵もTシャツも掴むまでしかできなかった。またTシャツつかみではテーブルをひっくり返してしまった。


【動画】小刻みな歩行でテーブルにアプローチ 【動画】テーブル上の卵を見て考え中 【動画】卵に手を伸ばす

【動画】卵を落としてしまう 【動画】転倒して勢いあまってテーブルを倒してしまう

【動画】ARRC-Xの卵つかみ競技全体の様子 【動画】ARRC-XのTシャツたたみ競技全体の様子

kupakuma製作「クロムキッド」

クロムキッド
 kupakuma製作「クロムキッド」は、高足の下駄を履いた子供のような風体のロボット。膝下を伸ばすのにも限界があったので下駄を履かせたとのことだ。勢いのある独特の歩き方でテーブルにアプローチし、手先をぎゅっぎゅっと回転させながら卵を手の中に握りこませていく独特の掴み方で、卵を移すことに成功した。

 いずれも思い切りがよく、素早い、「ROBO-ONE」ロボットっぽい動作で、Tシャツ入れにも成功したものの、最後は転倒してカメラのついた頭部をカゴのなかに突っ込んでしまってそこでタイムアウトとなった。予選2位通過。


【動画】クロムキッドの歩行 【動画】おもむろに手を伸ばし卵を掴みこませる 【動画】これは失敗。でもすぐにやり直しにかかる

【動画】Tシャツ掴みの様子 【動画】続けて掴みにいくが失敗 最後はこの状態に。こうなると操作者には何も見えない

【動画】クロムキッドの卵つかみ競技全体の様子 【動画】クロムキッドのTシャツたたみ競技全体の様子

ドカプロジェクト製作「DOKA ONE」

ドカプロジェクト製作「DOKA ONE」
 ドカプロジェクト製作「DOKA ONE」は頭部にネットタンサーを載せ、フレーム・配線むき出しの、デコレーションされたロボットとは別の意味でROBO-ONEロボットらしいロボットだ。赤いビニールの4本の指先もロボットっぽい外見に色を添えている。動き方もメカメカしく、モーションの様子も会場にも受けていた。だが残念ながら卵を掴むことに失敗。最後はカゴを引っかけてしまい、落としてしまう。こうなるとモーション再生で卵を拾って入れることはできず、そのままタイムアップとなった。Tシャツ取りはカゴまでしゃがみこむもののその後に進めず失敗した。


【動画】両指先を上げ、カメラで確認しながらゆっくりと歩いていく 【動画】カメラを振って状況確認中 【動画】空振りしてしまったがこのような動作で卵を移す予定だった模様

【動画】カゴを引っかけて落としてしまう 【動画】Tシャツ取りには失敗

【動画】DOKA ONEの卵つかみ競技全体の様子 【動画】DOKA ONEのTシャツたたみ競技全体の様子

チーム九州製作「作業用オートモ」

 チーム九州製作「作業用オートモ」は大型ロボットばかりのなか、小ぶりのロボット。二足歩行ロボットと双腕マニピュレータをくっつけたイメージで製作したという。なお名前は「機動戦士ガンダム」のプラモ・MSVの「作業用ザク」から取ったものだそうだ。腰の部分に治具とスイッチが付けられており、机にその治具でロボットのボディを固定したあとは、双腕マニピュレータとして動作するというイメージだったが、失敗。


【動画】腕先で卵を取りに行く。カメラは胸部にある 【動画】Tシャツ掴みの様子 足の付け根にスイッチがあり治具を固定、上半身を伸ばして作業するというコンセプト

【動画】作業用オートモの卵つかみ競技全体の様子 【動画】作業用オートモのTシャツたたみ競技全体の様子

ロボットフォース製作「ファイブ」

「ファイブ」
 ロボットフォース製作「ファイブ」は、ROBO-ONEにもほぼこのまま出場しているロボットだ。そこそこの速度でテーブルにアプローチするまでは良かったものの、その後動きが止まってしまった。コマンドは送信しているものの、ロボットがなぜか動かない状態になってしまったのだそうだ。Tシャツ取りでも同様で、通信に課題を残す結果となった。


【動画】のこのこと歩いていく「ファイブ」 【動画】わずかに手先を動かすが、ほとんど止まってしまった 【動画】3分の時間を残して卵を掴んだものの、あまり動かない

【動画】Tシャツ取りの様子 丸い頭部内にすっぽりネットタンサーがおさまっている

【動画】ファイブの卵つかみ競技全体の様子 【動画】ファイブのTシャツたたみ競技全体の様子

ちーむトコトコ製作「トコトコ丸」

トコトコ丸の挑戦。逆向きになってしまうことも
 ちーむトコトコ製作「トコトコ丸」はROBO-ONE本戦でもお馴染みのロボットだが、今回は不調。ステージ床上でのアプローチに手間取り、機構の故障・修理も行なったのだが、最終的に競技には失敗した。競技終了のあと、マーカーを使った位置の認識と動きのデモを行なった。

 「トコトコ丸」は卵を握ったかどうかを一度確認し、失敗していたらすぐに取り直しにかかることができる。タイムトライアルでは重要な動作だ。握ることに成功していたら、一度、指先を開くことで卵を手のひらの部分に移し、しっかり握り直して卵ケース上に移動させ、ケースの穴にエントリーさせるという手法をとっていた。実際に競技時間内に成功していれば高得点が期待できたのだが、決勝戦での活躍を期待しよう。


【動画】Tシャツ取り。工夫された指先が効いているようだ 【動画】競技終了後行なわれた卵移しのデモ。握ったかどうかを確認し、握っていたら一度握り直し移動している

【動画】掴むのに失敗したらすぐに再アプローチ。カメラは頭部の上のひまわりの中 ツメや指の腹があるトコトコ丸の指先

【動画】トコトコ丸の卵つかみ競技全体の様子 【動画】トコトコ丸のTシャツたたみ競技全体の様子

スギウラファミリー製作「Dynamizer」

 スギウラファミリー製作「Dynamizer」は、今回は水中眼鏡をつけた土偶のような格好で登場。腕を大きく振り上げて上から卵を掴もうとする動き、体を大きく折り曲げてカメラを対象物に寄せる動きなどユニークな動作が多く、会場は何度も爆笑に包まれた。けっきょく、卵はカゴごと丸ごと落としてしまい掴むことはできず、Tシャツのほうも自ら落としてしまったり重さにひきずられて転倒したりするなど、会場の笑いは拾ったものの得点を稼ぐことはできなかった。

 だがこのあと「Dynamizer」は30分耐久レースでは13周周回と優秀な成績をおさめた。熱をあまり発しない効率の良い歩容を研究したそうだ。


【動画】「Dynamizer」の歩行の様子 【動画】卵取りの様子。失敗 【動画】カゴごと掴んでしまい後ろに転倒

【動画】何度も体を折り曲げて卵を観察 【動画】見事な動作でTシャツを取るが自分から離してしまう。落差に会場はバカウケ

【動画】落としたTシャツを掴むがシャツの重さにロボットがバランスを崩す 「30分耐久レース」での「Dynamizer」(手前)と「Musashi」(後ろ)

【動画】Dynamizerの卵つかみ競技全体の様子 【動画】DynamizerのTシャツたたみ競技全体の様子

MARU Familiy製作「Musashi」

MARU Familiy製作「Musashi」
 そして最後に挑戦したのがMARU Familiy製作の「Musashi」。特徴は、操作にマスタースレーブを使っていること。片腕だけマスタースレーブを入れたり切ったりすることができるだけでなく、ロボット本体とまったく同サイズのマスターを使って操縦する。これにより、マスター本体ができないことはスレーブを使ってもできないため、ロボットの手が届く範囲が把握しやすくなる。また指サックをつけた3本の指先は、卵取りにもTシャツ取りにも有効なように、ぴったり閉じるように作られている。

 最近の「ROBO-ONE」本戦でも優秀な成績を収めている「MARU Familiy」だけに会場全体が期待したが、今回はまずテーブルへのアプローチと作業前の位置調整に手間取って時間的余裕がなくなってしまった。またTシャツ取りではカゴの取っ手に引っかかってしまい、1枚も入れることができず、予選通過成績は3位に終わった。


カメラは市販のネットワークカメラ。本番でも仮面を外して挑戦 【動画】歩行。床面の凹凸と滑りの異なる面に苦しむ 【動画】何度も首を動かして確認しながら自己位置を調整

【動画】いったん遠近感を掴んだあとはスムーズに卵を移動。最後は審判が卵を補充に来る 【動画】マスタースレーブを使って操作している様子 【動画】Tシャツ取り。減点だがカゴをテーブル上に入れて開始

【動画】カゴの取っ手に引っかかってしまってタイムアウト 【動画】競技終了後、マスタースレーブの工夫を解説する「MARU Familiy」の丸さん

【動画】Musashiの卵つかみ競技全体の様子 【動画】MusashiのTシャツたたみ競技全体の様子

成績発表の様子
 4F会場で行なわれた「30分周回レース」は、ロボットへの負担はもちろんだが、30分間操縦してはバッテリ交換やモーターの冷却作業を行なわなければならない人間のほうも大変な様子で、想像以上にタフな競技となっていた。参加者の多くは1周回ったらバッテリを交換あるいは機体の冷却を行なっていた。

 ロボットにお手伝いしてほしいことについて、一般観客へのアンケートも行なわれ、結果集計時に発表された。アンケート結果には、家事全般、料理の下ごしらえ、テレプレゼンス的な代理出張、足裏マッサージ、環境計測などがあったという。

 今回は初めての挑戦だっただけに、多くの参加者が苦戦していた。なかでもネットワーク系のトラブルに苦しんでいた人が多く、控え室では、今回はロボットの競技ではなくネットワークや通信の競技だという声もあった。それもまたロボットの重要な要素なので致し方ないだろう。実際、ネットワーク経由でのロボット操作を楽しんでいた参加者もいた。

 カメラにしても今回は画像通信も無線LANの使用が義務づけられ、最大640×480ドット以下、15fps以下と規定されていたが、今後は事情が変わるかもしれない。ロボットは統合技術である。ROBO-ONEではそのなかで今後、どのような面を強化していくことを目指すのか。取りあえず9月6日に川崎駅地下街アゼリアで行なわれる決勝の様子を見まもることにしよう。ロボットファッションショーと「お買い物」が行なわれる予定だ。優勝ロボットには賞金100万円が贈られる。


URL
  ROBO-ONEお手伝いロボットプロジェクト
  http://www.robo-one.com/robo_help/robo_help.html

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( 森山和道 )
2008/08/20 19:48

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