5月17~18日、東京ビッグサイトで、「デザイン・フェスタ Vol.28」が開催された。デザイン・フェスタは、1994年より年2回開催されているアジア最大級のアートイベントで、世界中のあらゆるジャンルのアーティストが集まり、自由な形式で作品を発表する。会場内は、絵画、イラスト、写真、グラフィック、マルチメディア、オブジェ、空間デザイン、インスタレーション、雑貨、洋服、フィギュア、陶芸など、さまざまな表現で一杯となる。アーティストの作品の即売も行われており、さながらお祭りのような雰囲気だ。
デザイン・フェスタは、特にロボット関連を対象としたイベントではないが、ロボットのデザインやモーションは、立派な表現のひとつであり、アートとしての側面も持つ。
今回のデザイン・フェスタでは、秋葉原のロボットショップ「アールティ」やロボットやメカトロニクス関連パーツを扱うオンラインショップ「メカロボショップ」などがブースを出展していたので、紹介したい。
● Gainerを利用してFlashでマノイを動かすデモを行なっていたアールティ
アールティのブースでは、フィジカルコンピューティングI/Oモジュール「Gainer」を利用して、FlashでマノイPF01を動かすデモを行なっており、注目を集めていた。フィジカルコンピューティングとは、マウスやウィンドウ、アイコンといった既存のPCのGUIを超えて、さまざまな物理的なインターフェイスを使った、身体的なコンピューティングを実現しようという試みだ。フィジカルコンピューティングを実現するために、さまざまなプラットフォームが提案されており、Gainerもその1つである。いわゆるメディアアートの制作にも、Gainerは活用できる。
Gainerを利用すれば、ソフトウェアで身の回りの家電製品やロボットなどを制御することが可能である。プログラミング言語としては、ActionScript(Flash)、Max/MSP、Processingなどが利用でき、ソフトウェアとハードウェアがオープンソースとして公開されていることが特徴だ。
今回のデモは、PCとマノイPF01をGainer経由で接続し、PCで実行されるFlashにあわせてマノイPF01を動かすというものだ。確かに、Flashの画面とマノイの動作が同期しており、ActionScriptによってマノイが制御されていることがわかる。もちろん、今回のデモは、Gainerでできることのごく一部を示したものであり、Gainerにセンサーを接続し、その情報によって、ロボットを動かすことも可能である。そのほか、「コレジャナイロボ」や「CAM-10」などのロボット玩具も販売されていた。
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アールティブースでは、Gainerを利用して、Flashでマノイをコントロールするデモを行なっていた
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【動画】Flashの画面とマノイの動作が同期していることに注目
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今回のデモでは、Gainerでマノイをコントロールするためのインターフェイスをブレッドボード上に作成していた
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Gainerの解説本「+GAINER」で紹介されている作品例を作るのに必要な部品をセットにした入門用スターターセットも発売されている
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アールティブースでは、「コレジャナイロボ」や「CAM-10」といったロボット玩具も販売されていた
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● メカロボショップでは、糸で縫うマイコン「LilyPad Arduino」などを展示即売
メカロボショップのブースでは、フィジカルコンピューティング関連製品を中心に展示が行なわれていた。アールティのデモでも使われていたGainerの他、イタリア製のフィジカルコンピューティングプラットフォーム「Arduino Diecimila」や、まるで花のような基板レイアウトの「LilyPad Arduino」、それらのオプション類(センサーやLEDなど)が展示即売されていた。今回展示されていた製品は、基本的にメカロボショップのオンラインショップでも販売されているが、デザイン・フェスタでの価格は特別価格であり、オンラインショップの価格とは多少異なる。
LilyPad Arduinoは、基板の周囲に花びらのように端子が並んでいるが、この端子には穴が開いており、導電性糸を縫い合わせることで配線が行なえる。LilyPad用の各種センサーやLED、電池ボックスなども展示されていたが、これらも全て導電性糸で配線を行なうようになっており、布地などにパーツを縫い合わせていくことで、回路を作れることが特徴だ。メカロボショップの岩崎氏のエプロンには、LilyPadやLED、電池ボックスなどが縫い合わされており、回路として動作していた。
そのほか、マイテクが開発したロボット「メカロボ」のデモや超薄型LEDパネルの展示も行なわれていた。
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メカロボショップのブースで展示即売されていたフィジカルコンピューティングI/Oモジュール「Gainer」
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Simon Gameの自作キット。2カ所わざと間違いがあり、それを見つけ出して修正するのがポイントだ
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こちらは、Simon Gameの完成品
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フィジカルコンピューティングプラットフォーム「Arduino Diecimila」
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Arduino Diecimilaの基板裏面には、イタリアの地図がシルク印刷されている
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Arduino用のZigBeeモジュール「Arduino XBEEシールド」
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Arduino DiecimilanにXBEEシールドを装着したところ
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Arduino用拡張モジュールの基板キット「Arduino Proto Shield Kit」
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フィジカルコンピューティングプラットフォーム「MAKE Controller」
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花のような美しいレイアウトの「LilyPad Arduino」。半田付けをせずに、導電性糸を使って縫うことで配線を行なう
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LilyPad用電池ボックス。電源スイッチも用意されている
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LilyPad用加速度センサー
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LilyPad用3色LED。センサーなどの基板も円形になっている
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LilyPad用USBリンク基板
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LilyPadの配線に使われる導電性糸
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LilyPad用バイブモジュール
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メカロボショップ店長の岩崎氏。エプロンにLilyPadやLED、電池ボックスが縫いつけられている
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糸で縫いつけて使うマイコン「LilyPad」の活用例。一切半田付けはしておらず、導電性糸によって配線が行なわれている
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澤電子が開発した超薄型LEDパネル。メカロボショップを運営する有限会社マイテクが、制作や販売を行なっている
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メカロボショップが展示販売していたフィジカルコンピューティング関連製品。価格はデザイン・フェスタ限定の特別価格である
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マイテクが開発した「メカロボ」。店頭での集客や、展示会・イベントなどでの商品説明などに活躍する
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【動画】「メカロボ」のデモ。動きや表情がユーモラスで、しゃべりも達者だ
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● 浅井製作所や田島製作所のブースでは、ネジを使ったアクセサリーなどを販売
そのほか、小型ネジを専門に製造する浅井製作所とステンレス溶接や板金加工を専門とする田島製作所も、ブースを設けていた。浅井製作所の低頭ネジは、多くの二足歩行ロボットビルダーが愛用しており、上野の国立科学博物館で行なわれていた「大ロボット博」でも、浅井製作所のネジが展示されていた。浅井製作所の浅井氏は、「ねじ工房」というブランドを立ち上げて、ネジを利用したアクセサリー類の製造販売を手がけている。デザイン・フェスタのブースでも、指輪やペンダントなどの展示販売が行なわれていた。
田島製作所も、高度な溶接技術を活かして、アクセサリー類の製造販売を行なっている。その代表製品が、小型ネジとナットを組み合わせて溶接した「ねじろぼちゃん」だ。ねじろぼちゃんは、愛らしいロボットの形をしたアクセサリーで、手作りで作られているため、一つ一つ表情が異なることが魅力だ。また、ねじろぼちゃん以外のアクセサリー類も展示販売されており、足を止めてじっくりと見入る人も多かった。
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二足歩行ロボットビルダー御用達の「ネジあさい」こと「浅井製作所」のブース
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都内の町工場に焦点を当てた書籍「東京町工場」にも「二足歩行ロボット競技会参加者の約8割が支持する特殊ネジを製造」する工場として、「浅井製作所」が取り上げられている
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「ねじ工房」ブランドで販売されている指輪。指輪に小ネジがねじ込まれている
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「ねじ工房」ブランドで販売されているペンダント
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田島製作所のねじとナットを使ったアクセサリー「ろぼちゃん」と「ねじろぼストラップ」
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田島製作所の田島氏。大きな恐竜は、金属を溶接して作られている
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田島氏が製作したアクセサリー類。恐竜などの造型が素晴らしい
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田島製作所の「ねじろぼちゃん」と浅井製作所の「小型ヒューマノイドロボット仕様低頭ネジ」は、草加モノづくりブランド製品として認定されている
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■URL
デザイン・フェスタ
http://www.designfesta.com/
( 石井英男 )
2008/06/13 18:23
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