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組込みシステム開発技術展(ESEC2008)レポート
~Part2・JAXA理事長特別講演編


「ペンシルロケット」から「かぐや」まで、国内宇宙開発の歴史

今回講演を行なった宇宙航空研究開発機構(JAXA)の理事長、立川敬二氏
 5月14日から16日までの3日間、東京ビッグサイトにおいて組込みシステム開発技術展(ESEC2008)が開催された。前編は展示会会場で目を引いたロボット関連製品について紹介した。本稿では同時開催された専門セミナーの中から、16日に行なわれた講演の模様をお伝えする。

 特別講演に登壇したのは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の理事長、立川敬二氏。立川氏は、かつてNTTドコモの代表取締役社長を務めていた経緯もあり、名前をご存知の方も多いだろう。JAXAトップとして日本の宇宙開発を牽引する立川氏は、「日本の電子技術が実現させた宇宙への夢」をテーマに、月周回衛星「かぐや」や超高速インターネット衛星「きずな」などの事例を交えながら、これまでの宇宙開発の流れと今後の展望、さらに国内のハイレベルな電子技術が与えてきた影響などについて説明した。


 まず立川氏は日本の宇宙開発の歴史として、東大の糸川英夫博士が最初に打ち上げたペンシルロケット(1955年)、世界で4番目に成功した人工衛星「おおすみ」(1970年)、通信・放送、気象などに利用した静止衛星「きく2号」(1977年)、ソ連・米国に次いで月に向かった探査衛星「ひてん」(1990年)、さらに国産の基幹ロケット「H-IIA」を紹介。次に最近のホットな話題を、地球観測・通信、宇宙科学、探査という3つの分野に絞って解説した。

 地球観測・通信関係は、通信・放送、気象衛星、カーナビ用GPSなどに利用されてきたが、最近では新しい活用例も見出している。たとえば、地球上空を周回して地球全体を観測する陸域観測技術衛星として「だいち」(2006年)が打ち上げられた。だいちは、2万5,000分の1の最新マップをつくることが主目的だが、観測データを防災・危機管理などに役立てようという動きもある。実際に、先ごろ甚大な被害をもたらした中国四川省での大地震の観測結果も報告されている 。

 通信分野の新動向は光衛星間通信だ。これは宇宙空間の高速通信ネットワークを構築する次世代技術として期待されている。静止衛星と地上の間での光通信は、雲が発生すると見通しが悪くなるが、何もない宇宙空間では大変有効な手段になるという。2005年に「きらり」が打ち上げられ、欧州宇宙機構の衛星「アルテミス」との間で、レーザー光による双方向衛星間通信が初めて実証された。現在、継続的な実験を行なっているが、今後は本技術の実用化を考えていきたいという。


日本の宇宙開発の契機となったペンシルロケット。東京大学の糸川英夫博士は、終戦後に航空機ではなく、ロケット開発に目を向けた 日本初の人工衛星「おおすみ」。1970年に打ち上げられ、世界で4番目に成功。実は中国も同時期に人工衛星を打ち上げていた 国産の基幹ロケット「H-IIA」。直径4×全長53m、重量285トン。静止軌道高度は3万6,000km

2006年に打ち上げられた陸域観測技術衛星「だいち」の取り組み。最新マップづくりから防災・危機管理まで、観測データを社会的貢献のために役立てている 光衛星間通信実験衛星「きらり」は、世界初となるレーザー光による双方向通信を実現。電波を使った通信よりも、小規模な通信装置で高速通信が可能

 一方、2006年に打ち上げられた「きく8号」は、世界最大級のアンテナを展開している技術試験静止衛星だ。19×17mという大きなアンテナを広げているのは、携帯電話の衛星利用を視野に、地上での端末を小さくすることが狙い。また超高速インターネット衛星として「きずな(WINDS)」も、この2月にH-IIAロケットで打ち上げられた。1.2Gbpsの通信に成功しているという。地上系の通信速度と比べると若干見劣りするという向きもあるが、アジア地域では注目を浴びている。


技術試験静止衛星「きく8号」。2006年に打ち上げられた。世界最大級のアンテナを展開し、小型端末での衛星通信の有効性を確認する実験を行なう予定 2008年2月に打ち上げられたばかりの超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)。超小型地球局との双方向通信や、アジア・太平洋域の広域通信に期待が集まる

 宇宙科学の分野では、衛星を利用して天文学を進展させ、社会的な貢献を果たす目的がある。特に日本が強いのはX線天文学と電波天文学だ。X線天文衛星は、すでに5回ほど打ち上げられている。最新衛星「すざく」(2005年)はブラックホールの大爆発の瞬間を捉えたり、さまざまな成果をあげている。さらに赤外線天文衛星にも力を入れている。「あかり」(2006年)は全天サーベイにより、宇宙全体の星のマップをつくろうとしている。


X線天文衛星「すざく」は2005年に打ち上げられた。ブラックホールの大爆発キャッチ、M82での重水素の大量発見、銀河系中心のプラズマ検出など、大きな成果をあげている 宇宙全体の星のマップをつくる目的で、2005年に打ち上げられた赤外線天文衛星「あかり」。すでに全天9割のデータを取得しているという

 また、最近脚光を浴びているのは探査分野だ。2005年に小惑星探査機「はやぶさ(MUSES-C)」が地球から約3億2,000万km離れた小惑星イトカワに着陸し、サンプル採取をした。これはイオンエンジン、高度な自律航法、遠隔制御など、最新技術があって実現できたものだ。はやぶさは2010年6月の地球帰還に向け、現在も運行中だ。

 もうひとつ惑星探査のトピックスといえば、諸外国に先駆けて打ち上げられた月周回衛星「かぐや(SELENE)」だろう。かぐやは、14種類の観測装置を搭載しており、月の起源・進化の解明、元素・鉱物、地形・表層構造などのデータ取得を実施中。先ごろ、かぐやから送られてきた月面や満地球(月から見た地球)の鮮明なハイビジョン映像は記憶に新しいところだろう。


小惑星探査機「はやぶさ」は、2年をかけて2億9,000万Km離れた小惑星「イトカワ」に到着。惑星への着陸とサンプル採取を実施し、日本の深宇宙探査技術を世界に知らしめた かつてのアポロ月面着陸の場所や、満地球の高精細画像を送信するなど、最近の話題をさらう月周回衛星「かぐや(SELENE)」。かぐやは、リレー衛星「おきな」とVRAD衛星「おうな」の2機の子衛星を搭載

宇宙環境の特殊性から要求される高度な衛星のテクノロジー

 次に立川氏は、さまざまな衛星の中から陸域観測技術衛星「だいち」を例にして、衛星技術について具体的な説明を行なった。だいちは地球の地図をつくるために、可視光、近赤外線、電波による観測システム(センサ)を搭載している。衛星システムの構成は、大きくミッション系とバス系に分かれている。前者はセンサ類、後者は衛星のハコモノに当たる部分がメインだ。だいちのミッション系には3つのセンサがあるが、特に3D立体像をつくれる「PRISM」を採用している点は大きな特徴だ。一方、バス系は太陽電池、周回軌道を保つための姿勢制御、熱構造設計などが重要になる。

 観測衛星では膨大な情報を地上に送ってくるため、データ受信も大切だ。観測衛星は地上システムへ直接データを送るのではなく、中継衛星(静止衛星)を経由する。というのも、観測衛星が地球を周回する時間は約90分ほど。10分ぐらいしか日本の上空にいないため、いったん中継衛星と情報をやりとりしてから地上システムに送られるかたちだ。受信した観測データは地上システムで処理され、ユーザーに情報を提供する。ここでは1日平均652GBの映像データを処理しなければならないという。処理された画像データとして、立川氏はメラピ山(インドネシア)や富士山の画像を示した。さらに観測データは、ミャンマーのサイクロン被害や中国・四川地震など災害に関わる情報として、大いに役に立っているという。


陸域観測技術衛星「だいち」のシステム構成。ミッション系には可視光、近赤外線、電波のセンサや、データ通信・処理部などを搭載。一方、バス系は機構部、制御・計装部、推進部、電源部などから成る 観測データを送る際には、地上システムへ直接データを送る方式ではなく、中継衛星(静止衛星)を経由する

1日平均652GBもの映像データを地上で処理。1枚の画像サイズは数百MBほど。必要な観測データは、RAIDやテープライブラリに保存される だいちは、3D立体像をつくれるパンクロマチック立体視センサ「PRISM」を搭載している。写真はPRISMで観測した富士山だ

 では、このような衛星を支える組込み系の技術はどのように進展しているのであろうか。立川氏は、大前提として宇宙環境の特殊性を説き、核論となるアンテナ、光通信、自動制御、センサ、電子部品、太陽電池などのテクノロジーについて解説した。

 宇宙環境の特殊性という面で最も問題となるのが放射線の強さだ。太陽電池の劣化、記憶データの反転、部品の損傷が起こるからだ。さらに熱環境の問題もある。衛星表面では、太陽の当たる部分と当たらない部分ではマイナス100℃から100℃までと、その差は200℃にもなる。衛星は一度打ち上げたら修理はできない。そのため長時間にわたり連続動作できる冗長設計をあらかじめ考えて設計しなければならない。とはいえ、極少量生産であり、民生用のように同一設計のものを長く使うことはできない。部品も新しいものではなく、実績のある耐久性・安定性に富んだ部品が必要だ。このように特殊環境での技術的なハードルは大変高いのが実情だ。

 具体的なテクノロジーとして、アンテナ技術では、きく8号のように反射板を大きくする方向に向かっている。将来的に50mぐらいまで拡張すれば、携帯電話での通信も十分に可能になるという。一方、大型化だけでなく「マルチビームアンテナ」(MBA)のように焦点を決めて固定ビームをマルチ照射する技術や、最近流行の「アクティブフェイズドアレーアンテナ」(APAA)によって電子走査で広範囲にビーム照射する技術もある。これらは超高速インターネット衛星・きずなで搭載されているものだ。MBAは国内のみならず、東南アジア地域にも電波を照射し、国際通信として利用できる。また、きずなに搭載されているAPAAは感度特性もよく、世界最高レベルに達しているという。


宇宙環境での問題は、耐放射線、熱環、長期連続性の確保、同一設計の踏襲などが挙げられる。これらをクリアするために価格も高くなってしまう きずなで採用されたアンテナ技術は2種類。国内と東南アジアに向けて固定ビームを照射するMBA、アジア・太平洋の広い地域を電子走査でビーム照射するAPAAがある

 宇宙での光通信技術については、アンテナ系を小さくできるメリットがある。これにより、衛星の重さも小さくなり、消費電力も少なくて済む。たとえば、だいちに搭載された電波(Kaバンド)アンテナ径は1.3mもあるが、光通信間実験衛星・きらりのアンテナ径は26cmほど。今後は2.5Gbpsまで高速化を図りながら、10cm程度まで小型化を図り、軽量・低消費電力化も進めていく方向だ。

 人工衛星の技術になくてはならないものが自動制御技術だ。高精度な姿勢制御を実現するためにはさまざまなセンサが必要になる。たとえば、だいちでは恒星や太陽・地球などを利用したセンサ類を組み合わせて自己位置を確認し、ジャイロなどで姿勢を決定する。さらに宇宙用64bit MPUで姿勢軌道制御の計算をし、ホイールやガスジェットといったアクチュエータを動作させることで姿勢制御を行なう。


きらりで実証された光通信間実験。従来の電波通信(Ka帯)よりもアンテナ径を小さくできる。今後も高速化を図りながら、小型・軽量・低消費電力化を進めていく方向 人工衛星の自動制御は技術の要となるもの。だいちでは、数種のセンサで位置計測を行ない、高精度で姿勢を決定。64bit MPUで演算して各種アクチュエータを動作させる。はやぶさなどの探査衛星では、さらに高度な自律制御技術が必要

 はやぶさなどの探査衛星では、さらに高度な制御技術が求められる。イトカワの大きさは500×200mという小さな惑星だ。宇宙ではチリのような存在であり、しかも地球から3億kmも離れている。この小惑星に着陸するために電波によって制御すると、往復34分ものタイムラグが起きてしまう。そこで衛星自体に自律的な制御機構を備える必要があったという。

 センサ関係では、光学式センサの分解能が重要だ。たとえば、だいちに搭載されている可視近赤外線放射計は10m、またパンクロマチック立体視センサは2.5mの分解能がある。さらに分解能を高める要請もあるが、そのためには光学系でミラーレンズ断面積を大きくしなければならない。一方、電波式センサの分解能も10mほど。周波数帯や使用帯域を拡張して、より高精度化させる動きもある。

 電子部品で特に懸念される点は、ほとんどが輸入品で国産製が少ないことだ。地上で利用される民生品は多いものの、宇宙という特殊環境をクリアする認定部品の数はあまりにも少ない。抵抗・コンデンサ類のみ175個ほど認定されているが、トランジスタ、フィルタ、スイッチ類はゼロだ。集積回路も11個しか認定されていない。宇宙用に耐放射線特性を備えたMPUは、地上用の製品と比べて性能面で10年ぐらい遅れているそうだ。


人工衛星に求められるセンサ技術。だいちに搭載されているマルチバンド分解能は10m、パンクロマチック分解能は2.5m。高分解能、ミラー大型化など、光学設計の見直しにより、さらなる高分解能化を狙う 国産の宇宙用電子部品は、コンデンサや抵抗類が多い。そのほか集積部品などの部品は認定品が少ないのが実情だ

 この部品調達に大きな問題がある原因は、高信頼性が要求され、部品ごとに100%のスクリーニング試験が必要だったり、ロットごとにも品質保証が求められるからだという。必然的に少量生産となり、負のサイクルに陥り、いきおい価格も高額になってしまう。たとえば日本国内でFPGA(ユーザー書込み型ゲートアレイ)の参考価格は、1個で約200万円もするものまであるというから驚きだ。

 その一方で、駆動源となる太陽電池については効率も良くなってきている。軽量化も進んでおり、薄膜の太陽電池も開発されてきた。今後の課題は、単位重量当たりの出力電圧を向上し、さらなるコンパクト化を図ることだ。とはいえ、太陽電池だけに依存するのではなく、将来的には燃料電池や原子力発電なども視野に入れなければならないという。

 このように、衛星に利用される部品はまだ発展途上にあるといわざるをえない。いまJAXAでは、これまで宇宙に関わりのなかった企業や大学、研究機関に対して「宇宙オープンラボ」という仕組みをつくり、産学連携による共同開発の試みを呼びかけている。研究テーマが採択されると研究資金として年間3,000万円が提供されるという。


民生品なら数十円で購入できるような部品も、宇宙用となると俄然高くなる。FPGAは約200万円もするものもあるという 太陽電池の技術はかなり進んできたそうだ。今後は、さらなる電池の高性能・軽量化、パドル構造体の軽量化などが求められる AXAによる産学連携の取り組み「宇宙オープンラボ」。新たな宇宙利用の拡大に向けスタートした。研究テーマが採択されると研究費も出る

21世紀は宇宙の時代に! 広がる宇宙利用に期待

 最後に立川氏はまとめとして、宇宙開発の今後の展望について述べた。いま着々と組み立てが進んでいるのは、国際宇宙ステーションISSの日本実験棟「きぼう」だ。きぼうはスペースシャトルによって3回に分けて搬送される予定だが、先ごろ第一便が打ち上げられ、2012年までに船内外でさまざまな実験が行なわれる予定だ。

 過去28年間でロケットの打ち上げ成功率も90%以上に達しているが、今後は「衛星利用の拡大」が重要になるという。いま地球規模の環境問題がクローズアップされている。これらの問題を解明する手段として、衛星による環境監視の取り組みがなされているところだ。たとえば温室効果ガス、水循環など地球環境の変動把握や、災害発生時の情報収集、災害発生メカニズムの解明などがある。このほかにも測位システムの開発も期待されている。たとえば国内では、山間部やビルの谷間などでGPSでは測位できない場所もある。そこでGPSを補完・補強することを目的として、2009年度に準天頂衛星システムを打ち上げる準備を進めている。

 さらに衛星利用を拡大するために、JAXAでは小型実証衛星も推進している。部品の信頼性の問題も、実際に宇宙で実証していかなければ分からない。そこで小型衛星を定期的に打ち上げていき、その技術を本衛星にフィードバックさせていくという狙いだ。東大阪衛星など民間企業や大学機関が、小型の相乗り衛星として、すでに実験を始めているところだ。

 また、宇宙科学の推進も今後大いに期待される。基本的には電波天文、X線、赤外線にターゲットを絞って展開する予定だという。2012年には電波天文衛星「ASTRO-G」が世界で最も高解像度の宇宙電波望遠鏡を搭載し、ブラックホールのさまざまな究明にあたる予定だ。これ以外にも金星探査機「PLANET-C」、日欧共同による水星探査ミッション「Bepi Colombo」の推進、ポストかぐやとなる「SELENE-2」、惑星探査「はやぶさ-2」の計画も進めていく予定だ。

 立川氏は「宇宙開発は、天文学・観測や災害対策のみならず、鉱物質の探査、森林保護、漁業などの農林・水産関係といった実用的な分野での可能性もある。今後も宇宙利用はまだ広がっていくだろう。21世紀は宇宙の時代になるが、たぶん今世紀中には一般人が宇宙に向け旅行できる時代になる」とし、講演を終えた。


現在建設中の国際宇宙ステーション・日本実験棟「きぼう」では、100以上のさまざまな実験が行なわれる予定 今後は衛星利用の拡大が重要。衛星による環境監視のほか、測位システムの開発も期待されている。GPSを補完・補強する準天頂衛星システムの打ち上げ準備も進んでいる コストのかからない小型実証衛星を相乗りさせて、制御系などの実験を定期的に行なっていく。大学や民間企業が積極的に参加している

今後の展開その1。電波天文衛星「ASTRO-G」を打ち上げ、ブラックホールのシルエットの撮像、エネルギー源の解明などにあたる予定 今後の展開その2。金星探査機「PLANET-C」を打ち上げ、近赤外線・紫外線など、多波長カメラによって3次元気象観測を行なう

最終的に月面へ日本人を送り込むために、「SELENE-2」では、着陸や滞在技術の実証実験を行なう。科学探査も継続して実施する予定 2010年の打ち上げを目指し、はやぶさ2の計画も着々と進んでいる。C型小惑星の探査、サンプルリターンが主なミッションとなる

URL
  宇宙航空研究開発機構(JAXA)
  http://www.jaxa.jp/

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( 井上猛雄 )
2008/05/29 16:12

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