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西日本総合展示場新館
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5月16日、北九州市小倉北区の西日本総合展示場314・315会議室において、第66回ひびきのサロン「ひびきの発ロボットベンチャー~ひびきのから生まれ、育つ次世代ロボットたち~」が開催された。これは北九州市若松区にある北九州市学術研究都市「ひびきの」が、産学交流を目指して開催している講演会。
今回は北九州産業学術推進機構と北九州ロボットフォーラムが主催で、ロボットに関係するひびきの学研都市発ベンチャー3社の講演が行なわれた。なお、3社とも九州工業大学関連のベンチャー企業だ。
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講演の行なわれた会議室スペース
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講演の行なわれた会議室内部。投影されているのは、新北九州空港で実験が行なわれているロボポーターについてのニュース映像
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● 音声対話のKITHIT
株式会社KITHITは九州工業大学発のベンチャーで、福岡ロボット振興会議のサービスロボット「RIDC」(普段はロボスクエアにいる)や新北九州空港の案内ロボット「メーテルロボ」の音声対話システムを担当したことで知られている。
なお、KITHITのネーミングは「Kyushu Information Technology & Human Interface Technology」の略だそうだが、「キットカットとよく間違えられる」そうだ。今回はその技術を生かして発売されたおしゃべりロボット「たねちゃん」について、代表取締役の下妻憲氏が講演した。「たねちゃん」は、音声対話システムを搭載したロボット玩具で、話し相手になってくれるロボットだ。そういう意味では、キティロボやイフボットなどと同種類のロボットだといっていいだろう。
このたねちゃんの一番のセールスポイントは、しりとりができること。ビデオではかなり的確に人の言葉を聞き取り、しりとりを行なっていた。しかし、講演会の時間帯は「昼寝の時間帯」に設定されていたらしく、とにかく「眠い」とか「もうやめよう」とか、しりとりを拒否し続けていた。このように音声対話ロボットに独自の性格を持たせるのも、飽きられないためには必要なのかもしれない。
この「たねちゃん」は不特定話者に対応して音声登録が必要なく、また好きな声に変えることが可能であるなど、音声対話システムに関してレベルが高いので、コンテンツ次第でヒットにつながるかもしれない。
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(株)KITHITの下妻憲氏。左下に置いてあるのが「たねちゃん」
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KITHITの活動紹介
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KITHITが考える音声対話システムのビジネス例。右下の「装置ナビ」とは、使用する機械の操作方法を音声でガイドするもの
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音声対話ロボットたねちゃんの紹介
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女性としりとりをするたねちゃんのビデオ。音声の認識力は高いようだ。なぜかビデオの最後では「きつつき」などお互い「き」の連発になっていた
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しりとりを拒否して、下妻氏を焦らせるたねちゃん。こういうプログラミングは逆に面白いと思う
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● 研究室がベンチャー化したRoboPlusひびきの
「RoboPlusひびきの」は九州工業大学大学院生命体工学研究科石井研究室がベンチャー化したものだといってよい。この研究室は、愛知万博「愛・地球博」でジャンプして1回転する「Jumping Joe」を出展したことで知られている。「RoboPlusひびきの」は、石井研究室のメカトロニクス研究の成果を商品化しようと設立されたもので、何か特定の事業を展開するために設立されたわけではないらしい。
そのため、「RoboPlusひびきの」の事業は「メカトロニクス製品の設計・製造及び販売」という広いものになっている。これまでには民間企業から依頼されて「自動タップ加工機の設計」などの事業を手がけている。
今回の講演会では、教育研究支援設備「RoboCity」と群体知ロボの成果を利用したロボット「WITH」についての説明が行なわれた。「RoboCity」はいわば小型ロボットの実験用スペースだ。1辺5mの四角いゾーンが2つつながったもので、都市模型や迷路の中で小型ロボットの実験を行なうものだ。石井氏によると、この「RoboCity」を小型ロボット実験の共通プラットホームにしていきたいと語っていた。
「WITH」は六角形の外観をした小型ロボットで、オムニホイールで移動する。工業系の学生の教育用としての用途を考えているとのことだ。そのほかにも水中ロボットや、配管検査用ロボットの商品化も考えているそうである。
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(株)RoboPlusひびきの取締役の石井和男氏。九州工業大学の准教授でもある
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ひびきの学研都市関連のロボットの紹介。左がROBO-CUP沼津大会でも優勝したHibikino-Musashiのロボットで、右がJumping Joe
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RoboCityの全体図
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実際のRoboCity。上の構造物は自由に変えられる
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WITHの使用例
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製品版WITHの構造。できるだけコードを使用しない構造にしたとのこと
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WITHをRoboCity内で使用しているところ
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左が当日持ち込まれていたWITH。RoboCityを持ち込むことはできないので、家のモデルが一軒だけ置いてあった
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● 「笑っていいとも!」でも紹介された(有)しくみデザイン
有限会社しくみデザインの取締役中村俊介氏は、九州芸術工科大学の出身で(現在は九州大学に統合され、九州大学芸術工学部となっている)、工学系の人間というよりむしろアート系の人物だ。
このしくみデザインの名前を高めたのは、新北九州空港にも設置された「KAGURA」だ。「KAGURA」はカメラとCGを組み合わせたもので、カメラで撮影した実際の映像に対して、CGをリアルタイムに被せることのできるシステムだ。
このKAGURAは過去にバラエティ番組の「笑っていいとも!」でも紹介されており、話題を呼んだ。その影響もあって、広告媒体として「KAGURA」に問い合わせが来ているそうだ。
また、講演ではKAGURAの他に、KAGURA以前に製作したカメラを使った電子音楽の演奏装置などの紹介もあった。
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(有)しくみデザインの中村俊介氏。九州工業大学で講師も務めている
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パソコンのカメラでとらえた映像を、リアルタイムでエフェクト処理して投影している
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画面上のピアノの帯に触ることで、ピアノの音を出すことができるシステム。擬似テルミンとでもいうべきものか
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こちらは和風の音を出せる
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顔検知システムを利用して、顔にCGを載せたもの
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帽子をかぶせてみたところ。衣料店におけるバーチャル試着が実現できるのではないかとのことだった
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画面上の建物を壊しているところ。建物は自動的に元に戻るので、何度でも建物を破壊できてゴジラの気分が味わえる!?
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フジテレビ「笑っていいとも!」に出演した中村氏。この2人にはさまれても違和感がない
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今、一番KAGURAシステムに期待されている広告への使用例。画面の前を人が通りかかると音と文字が出て、人の目を引き付ける
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人類タモリ化計画? これも顔検知システムで顔を判別してCGを載せたもの
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和風の音楽を演奏するタモリ
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懇親会でKAGURAシステムのセッティングを行なう中村氏。パソコンとカメラと映像を投影できるシステムさえあればOKらしい
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■URL
KITHIT
http://www.kithit.com/
RoboPlusひびきの
http://www.roboplus.jp/
九州工業大学大学院生命体工学研究科
http://www.lsse.kyutech.ac.jp/lsse_j/home/index.html
しくみデザイン
http://www.shikumi.co.jp/
北九州産業学術推進機構
http://www.ksrp.or.jp/fais/
北九州ロボットフォーラム
http://robotics.ksrp.or.jp/robotforum/
北九州学術研究都市
http://www.ksrp.or.jp/
( 大林憲司 )
2008/05/28 00:09
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