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国際ロボコン「World Robot Olympiad2008横浜大会」は11月1日・2日に開催
~教育者向け国内・国際シンポジウムやエキシビション福井大会も


昨年の台湾大会の会場の様子(WRO Japan実行委員会提供)
 国立シンガポールサイエンスセンターの発案により2004年からスタートした、小学生から高校生までが参加できる国際的な自律型ロボットコンテスト「World Robot Olympiad(WRO)」。今年は日本がホスト国で、WRO2008横浜大会ならびにエキシビション福井大会が開催される。WRO2008横浜大会組織委員会は22日、同大会の会場となるパシフィコ横浜にて記者発表会を開催した。

 WRO2008横浜大会の開催スケジュールは11月1日(土)と2日(日)。1日に開会式と競技会が行なわれ、翌2日に国際交流特別協議と表彰式・閉会式が行なわれる。また開催時期は調整中だが、同大会に合わせて11月に福井県立恐竜博物館にてエキシビション福井大会も開催される運びだ。

 参加予定国および地域は、25カ国。200チーム700名が参加(選手500名、コーチ(大人)200名)。見学者の見込みは、国内が3,000人、海外が400人としている。同時開催で、10社・団体、5大学または研究機関が参加し、先進的ロボット、組み込みシステムのブースの展示も行なう。日本の先進ロボット技術、組み込みシステムを世界の子供たち、教育関係者に見学してもらい、国際的な科学技術への感心意欲の向上が目的だ。


昨年の日本チーム(WRO Japan実行委員会提供) 競技中の様子(WRO Japan実行委員会提供)

日本の小学生チームも入賞(WRO Japan実行委員会提供) 開会式の様子(WRO Japan実行委員会提供)

 また国際大会に先立ち、8月31日(日)には国内大会のWRO Japanの決勝大会が同じくパシフィコ横浜で開催される。公認予選会は6月から8月の実施が予定されており、全国各地で実施される予選会の会場は、昨年より5カ所ほど増えて20カ所になる見込みだ。参加チームも200ほど増え、約600チーム、参加選手数は1,300人(コーチ600人)に達するとの予想も発表された。


【動画】WRO2007台湾大会のダイジェストムービー(WRO Japan実行委員会提供) 【動画】WRO2007Japanのダイジェストムービー(WRO Japan実行委員会提供)

 WROの活動目的は、「教育的なロボット競技への挑戦を通じて、青少年の創造性と問題解決力を育成」だ。WRO Japanでは、それらに加えて、ものづくり立国の日本であることから、「将来のエンジニアを育てる」ことも目的としている。その手段のためには、現在の指導者の情報交換や交流の場も重要だと考えており、小学校から高校までの教員向けのシンポジウムを今年は企画。

 まず7月31日(木)に、横浜市開港記念会館で国内の小中高校の教員および協力機関によるロボット活用科学技術の実践事例発表と交流会を兼ねた「WRO 国内ロボティクス教育シンポジウム」を実施。予選会が行われる地区から、15~20名前後の教育関係者の参加を予定している。

 最先端の開発研究を提案するのではなく、ロボットに関する指導体制や指導カリキュラムなどの情報交換の場を提供することを目的としている点が特徴だ。教育実践者などの発表を主とし、自律型ロボットのプログラミングによる計測・制御の指導方法やサポートのありかたなどの情報交換が行なわれる。小学校から高校までの縦の教員が集まるという場は世界的に見ても例があまりないそうだ。

 そして、横浜大会の前日の10月31日(金)には、国際版の「WRO国際内ロボティクス教育シンポジウム」が、神奈川労働プラザで開催される。同教育シンポジウムはWRO Japanの発案でスタートし、2007年台湾大会ではパイロット的にワークショップとして開催。今大会より正式に開始となる。WROの参加国中の12カ国程度の国から、12~15件の発表が予定されている。それに加え、7月31日に実施される日本版の中から選抜した5件ほども発表。合計20件ほどの提案を行なう予定だ。なお、国内、国際ともにのちほど書籍やCD-ROM形式で論文集を発行するとしている。

 そのほかのイベントとしては、横浜大会の前々日の10月30日(木)に国際委員会がインターコンチネンタルホテル横浜で開催され、2010年国際大会開催国が決定する見通し。翌31日には参加選手が到着となり、横浜市内の数カ所のホテルに宿泊。練習会場は、新横浜プリンスホテルとなる。また同日は、審判ミーティング並びにコーチミーティングも行なわれる予定だ。まさに10月末から11月頭の週は、WROウィークといえよう。

 横浜大会開催までのスケジュールだが、国内は3月に公認予選会が決定し、6月から8月にかけて公認予選会が開催、前述の通り8月31日に決勝となる。国際大会の方は、3月に参加国受け津をスタートし、9月に出場者登録、11月1日・2日に大会となる。


WROは国際的な少年少女向けの自律型ロボットコンテスト

 改めてWROを説明すると、自律型ロボットによる小学生から高校生までが参加できる、国際大会も実施される大型コンテストのひとつ。自らの手で製作したロボットに、同じく自らの手で開発したプログラムを搭載し、自動制御する技術を競う内容となっている。市販ロボットキットを利用することで参加しやすくしており、世界各地で共通して入手可能なことから、世界標準ともいえる「レゴ・マインドストーム」シリーズを利用している。工業的な専門知識がなくても参加しやすいコンテストとなっているのが特徴。また今年から、大学生、ただし20歳以下のアンダー20もエキシビションを卒業して、正式に開催される方向だ。


WROのロゴ WRO Japanのイメージキャラクター 世界大会はレゴ・マインドストームNXTかRCXを使用

 冒頭でも述べたが、WROは国立シンガポールサイエンスセンターの発案により2004年からスタート。日本も産学の有志により実行委員会を組織し、科学技術館を運営する財団法人科学技術振興財団の協力を得て、同年より参加。「教育的なロボット競技への挑戦を通じて、青少年の創造性と問題解決力を育成」というスローガンが掲げられており、子供たちの科学技術への興味意欲の向上、ものづくり人材育成を目的に、ロボットと組み込みシステムをテーマとして活動が行なわれている。

 各国国内での予選会があり、年に1回国際大会を開催。2004年は、日本大会は全国9カ所で予選会が行なわれ(参加総数は資料が失われた模様で不明だが、2005年が増加して311チーム)、世界大会のシンガポールには4チームが出場。また、参加13カ国の総数では、4,468チームが参加した。それが2007年になると、日本国内は予選会が15カ所、参加チーム数は400に。世界レベルでも、23の国や地域から参加があり、チーム数の合計は9,640。1チームふたりから3人なので、およそ2万4,000~5,000人の子供たちが参加している計算である。

 東~東南アジアからスタートしたコンテストだが、昨年は中東やヨーロッパなどからも参加があり、年々増えている状況だ。2008年は、日本国内に関しては20カ所で予選会が実施され、約600チームが参加すると目されている。

 ルールは1チーム2~3人で編成し、コーチがひとり。大別してレギュラーカテゴリーとオープンカテゴリーの2種類がある。どちらも小学生から高校生までのすべてのチームが参加可能だ。

 ロボットにはレゴ・マインドストームNXTもしくはRCXを使用し、サイズは縦250mm×横250mm×高さ250mm以内。制御プログラムには「ROBOLAB」または「教育用NXT」を用いる。レギュラーカテゴリーは、事前に発表されたルールに則り、課題をクリアしたポイントと、完了までの時間により順位を決定する。小学生、中学生、高校生、大学生では当然ながら難易度が異なり、発表会では小学校から高校までの競技コートが発表された。

 レギュラーカテゴリーの小学生部門の「ベース・ランナー」は、ライントレースとコートのコーナーの缶を倒す野球をイメージしたミッション。競技コートは2,340×1,140mmだ。競技は120秒間で行なわれる。スタートエリアからスタートし、ゲートを通過して時計回りに回ってターゲット(缶)を落とし、再びゲートを通過してゴールエリア(=スタートエリア)に戻るという内容だ。ミッションポイントとして、ゲート通過時(最初のみ)に10点、コーナー3カ所のターゲットを倒すと、各10点。また、スタートからゴールまでに要した時間をミッションタイムとし、競技時間の120秒からそれを引いたものが時間ポイントとなる。途中でリタイアや時間オーバー時は、完了しているミッションポイントが特典として与えられる形だ。


小学生部門のベース・ランナーの競技コート ベース・ランナーの競技コートの詳細

 中学生部門の「スマッシュ・トライアスロン」は、ライントレースにより、障害物の設置された競技コートを攻略移動するミッション。コートは2,340×1,140mm。今回展示されたコートや図にはまだ具体的に表示されていないが、ゾーンA~Fまでの6カ所(6つの黒丸)には坂道やトンネルといった課題(障害物)が設置されることになる。こちらも競技時間は120秒で、時計回りでターゲットにチャレンジ(缶を倒す)する。途中6つのゾーンを追加した後、ゴールエリア(=スタートエリア)に向かうというルールだ。

 ミッションポイントは、ゲート通過ポイント(最初のみ)10点、3カ所のターゲットを倒したポイント各10点、6カ所のゾーンを追加したポイント各10点となっている。ベース・ランナーと同じく、時間ポイントも設定されており、リタイア時の特典も同様だ。


中学生部門のスマッシュ・トライアスロンの競技コート スマッシュ・トライアスロンの競技コートの詳細

高校生部門のリサイクル・キーパーの競技コート リサイクル・キーパーの競技コートの詳細 ピンポン球は16個あり、レゴブロックで固定されている

 最後の大学生部門(U-20)は「バランスビーム」と呼ばれ、平均台競技をイメージしたロボットのバランスが要求されるミッションとなっている。サイズは、2,340×1,140mm(実際には逆L字)とそのほかと同じだが、壁がないところに持ってきて高さが38mmもあり、平均台らしく落ちたらアウト、というルールがわかりやすいコートとなっている。左側のやや大きめのエリアがスタート=ゴールエリアで、右下の黒丸のあるエリアがパフォーマンスエリア。

 ルールは、平均台ミッション時間120秒と、パフォーマンスミッション時間60秒の合計180秒で行なわれる。2分以内にパフォーマンスエリアに到着できなかった場合は、パフォーマンスミッションも含めて最大300秒(5分間)延長される仕組みだ。ロボットは平均台の上面以外の面に触れてはならず、平均台を外れて床に触れてしまった場合なども終了となる。

 パフォーマンスエリアでは、規定演技を1分間実施する形だ。規定演技には回転する動作(10点)、振る動作(20点)、起きあがる動作(30点)の3つがあり、組み合わせ方に制限はない。また、ひとつの規定演技には5秒以上の演技状態と5秒以上の静止状態を含めないとならなかったり、規定演技を開始する前には音を出して審判に知らせる必要があったりするなど、注意事項も多い。

 ミッションポイントは平均台のそれぞれの部品を通過すると各10点、ターンエリアを通過すると20点。時間ポイントは、スタートしてパフォーマンスエリアに到着するまでに要した時間がミッション時間となり、120秒からそれを引いた値となる。


大学生(U-20)用競技コート詳細(実物の展示はなし) 各平均台の部品。描かれているラインの位置や、種類が異なる

 発表会では、WRO2008横浜大会組織委員会副委員長兼WRO国際委員の金井徳兼教授(神奈川工科大学創造工学部)の紹介のもと、ベース・ランナーとスマッシュ・トライアスロン、リサイクル・キーパーの競技コート上で実際にデモが行なわれた。

 デモを担当したのは、横浜市立奈良中学校と、昨年の台湾大会で金メダルに輝いた神奈川県立磯子工業高等学校の生徒4名。なんと、早くも実戦に備えての経験を積ませることを目的としたのか、会場に着いてからプログラミングなどの準備を行なった模様。全部の缶を落とせなかったのだが、それでも競技コート内の指定されたルートを間違いなく走らせ、またコートギリギリを場外に落ちずに移動するなど、事前の準備がなかったことが信じられないデモが披露された。


金井教授に紹介される生徒4名。ちょっと緊張気味? ロボットは全員レゴ・マインドストームNXT。こちらはキャタピラ仕様 こちらは車輪仕様。ターゲットの缶を突いて倒したところ

【動画】スマッシュ・トライアスロンのデモの様子その1 【動画】スマッシュ・トライアスロンのデモの様子その2

神奈川県立磯子工業高等学校の生徒もNXT 【動画】リサイクル・キーパーのデモの様子

 一方のオープンカテゴリーは、事前に与えられたテーマに沿って設計・デザインしたロボットをチームでプレゼンテーション。その内容を審査し、優秀チームを表彰するというものだ。今年のテーマは、これからの子供たちに考えてもらいたい非常に重要なものということで、「(地球)環境」。プールが舞台となり、「レゴ・マインドストーム」の「NXT」または「RCX」を最低1台使用することもルールとなっている。オープンカテゴリーに関しては、一般の人もそのプレゼンをWeb上で見られて、評価できるシステムを構築中だそうだ。

 その2種目に加えて、今年は国際交流マッチの「ジャイアントスラローム」競技も開催する予定。これはその場で国や地域を問わず多国籍の混成チームを結成し、3時間以内に会場でロボットの組み立てとプログラミングをゼロから行なうというルールの競技だ。詳細はまだだが、競技コートは2,340×1,140mmの大きさ。ポールが競技エリアに3つ、ゴールにひとつ立っており、競技エリアでは床の色に従ってポールを右が左に回る必要がある。これも競技時間は120秒。120秒から、スタートしてゴールまでにかかったミッションタイムを引いたものが、タイムポイントだ。


昨年のオープンカテゴリーの様子(WRO Japan実行委員会提供) 同じく昨年のオープンカテゴリーの様子(WRO Japan実行委員会提供) 横浜大会で行なわれるジャイアントスラロームの競技用コート(WRO Japan実行委員会提供)

 ちなみに、日本の子供たちはひとつの課題に集中して取り組むのは非常に得意だが、オープンカテゴリーのようなアピールを必要とするもの、クリエイティブで拡散的なもの(自分たちで考え、複数の要素をマネジメントするようなタイプ)の課題は苦手だそうである。また、競技中の公用語は英語と決められており、オープンカテゴリーのプレゼンテーションも含めて、すべて英語で行なう。日本人は弱点のひとつと思われるが、子供たちは意外と言葉が通じなくても、意思疎通をしてしまうそうで、すぐに仲良くなってメールアドレスの交換などをしているそうである。

 なお、昨年の成績だが、高校生チーム(神奈川県立磯子工業高等学校X磯高チーム)が日本チーム初の金メダルを獲得。そのほかにはメダル獲得はならなかったのだが、4~8位までの入賞したチームも増え、小学生1チーム、中学生3チーム、高校生1チーム、特別賞に大学生1チームと成績を上げてきている。


会見ではNPO法人WRO Japanの3月設立も発表

 記者会見で最初に挨拶を述べたのが、WRO20008横浜大会組織委員会顧問の広瀬勇二氏(PFU常任顧問)。広瀬氏は、WROはものづくりの未来を担う科学者、技術者を育てられる場であることを強調。未来に向けた経験の場を少年少女たちに提供できるとしている。そして、3月にはNPO法人としてWRO Japanが設立される予定であることも発表された。広瀬氏は、WRO Japanの理事長に就任予定だ。広瀬氏は、「オリンピックイヤーに5回目となる節目の大会が日本で開催されることは重要なこと。成功させるべく、努力していきます」と結んだ。

 続いて、WRO2008横浜大会組織委員会委員長兼WRO国際委員の小林靖英氏(アフレル代表取締役社長)がマイクを握った。WROは結果だけでなく、プロセスも重要と考えていることや、スペシャリストの育成が目的ではなく、科学技術の振興と底辺の拡大が目的であることを強調。また、WRO Japanはものづくりに対する熱意からボランティアベースで運営されていることもアピールしていた。

 その後を受け、WRO国際委員会2008年チェアマンのMarcelo Ang教授(シンガポール大学)が挨拶をした。Ang氏は、今後はロボットがますます社会に進出し、今のコンピュータのように、50年後には生活になくてはならない存在になっている可能性も大いにあるとし、ロボットに関する教育も増えていくとも。それらを踏まえて、WROの存在がこれからを担う子供たちの教育に関わってくるだろうとした。

 また、競技形式であることに対しては非常にいいものだと思っており、育成という面ではさまざまなプラスがあると考えているそうだ。子供たちが自分の手で作っていくこと、考えることがとても大事で、そのための競技は重要だという。そして、さまざまな国の子供たちが参加してお互いの文化を理解したり、さまざまな体験ができたりすることは、素晴らしいこととも述べている。

 最後は、横浜と福井、そのほか日本のWRO関係者に謝意を述べるとともに、10月末から始まるWRO2008横浜大会ウィークに再度来日できることを非常に楽しみにしているとして結んだ。


WRO20008横浜大会組織委員会顧問の広瀬勇二氏 WRO2008横浜大会組織委員会委員長兼WRO国際委員の小林靖英氏 WRO国際委員会2008年チェアマンのMarcelo Ang教授

WRO2008福井エキシビション大会概要

 WRO2008福井エキシビション大会については、福井県総合政策部企画幹の森阪輝次氏が挨拶を行なった。森阪氏は、福井の子供たちがロボットや組み込み型プログラミングに興味を持ってもらえることに期待すると同時に、環境問題を重視。恐竜の絶滅は環境の変化と密接であり、現在の環境問題を考える上で非常に重要という。「世界の子供たちが、環境問題を考えるきっかけになってくれるものと思います」と締めくくった。

 会場となる恐竜博物館は、中国とカナダの博物館と合わせて、世界三大恐竜博物館といわれる恐竜を題材にした大型展示施設。全身骨格標本だけでも30体以上が展示されている。

 日本の恐竜化石の80%以上が福井県で産出しており、なおかつ日本でしか発見されていない恐竜3種類の内のふたつまでが福井県産ということから、恐竜博物館は福井県のキャラクターのひとつとなっている。今回、なぜロボットが恐竜博物館なのかというと、それは環境がテーマだからだ。恐竜が絶滅したことは、地球規模の環境の変化が要因。変化が起きた原因自体は、隕石衝突説を初めとする複数の説があり、現在はこれと明確なものはないようだが、変化したことが絶滅につながっていったことは間違いなく、現在の環境問題ととても被ってくるものがある。その環境問題を世界の子供たちに考えてもらおうということで、福井県立恐竜博物館が選ばれたというわけだ。

 開催時期は冒頭で横浜大会の開催時期と合わせて調整中と書いたが、当初は11月3日(月・祝日)を予定していた模様。またエキシビション大会には、横浜大会参加チーム(10チーム程度を検討しているようだが、こちらも調整中)に加え、地元の子供たちも参加する予定だ。ルールは、ベースは横浜大会レギュラーカテゴリーのものだが、追加ルールを設ける予定をしている。


福井県総合政策部企画幹の森阪輝次氏 エキシビション会場は、福井県立恐竜博物館

恐竜博物館のキャラクター恐竜博士 展示されている恐竜たち

30年後の日本のエンジニア不足を防ぐために

 記者発表会の最後に、WRO2008横浜大会組織委員会委員長の小林氏から、お願いということで、いくつか発表があった。小林氏は、理数離れの日本の現状に対し、ものづくりが生命線である日本の将来に大きな危惧感を持っており、「このまま行くと30年後には日本にはエンジニアはいなくなります」と訴えている。そのためにも、科学技術の底辺拡大、将来のものづくり人材育成を目的として、WRO Japanの活動を行なっているという。

 小林氏は、全国の小中高校生および小中高校の教育関係者へ、WRO Japan大会への参加をお願いしている。一見すると、右肩上がりで公認予選会場や参加チームおよび参加生徒たちが増えているのだが、まだまだと考えている様子だ。

 公認予選会は、すべてがWRO Japan決勝大会の予選大会というわけではなく、初めて参加する子供たちやコーチなどに向けた講習会を実施するところもあるそうで、小林氏は「遠慮せずに参加してください。時間やマンパワー、予算の問題など課題はいろいろとあるかとは思いますが、NPOなどもありますので、まずは声をかけて下さい」という。

 予選は6~8月を予定しているので、まだ準備期間はあるが、日本はこのあと卒業と進級・入学シーズンを挟むため、慌ただしいのも事実。それに、各学校の最高学年の生徒は卒業してしまうのでもう参加できないといった点もある。それでも、まだ時間がまったくないというわけではないので、この記事を読んだ教育関係者の方は、ぜひ検討してみていただきたい。

 また、開催地の神奈川県と福井県の方々へは、WROの運営ボランティアの募集も行なっている。大会は公用語として競技中は英語のみなので、英語の通訳は比較的人を揃えられるのだが、それ以外の時も各国からの参加者に対して通訳が必要。

 昨年は、インドネシア、韓国、シンガポール、タイ、中国、フィリピン、ブルネイ、香港、マレーシア、東~東南アジア圏、アラブ首長国連邦、イラン、エジプト、オマーン、カタールヨルダン、といった中近東圏、スウェーデン、デンマーク、ノルウェーといった北欧圏、そのほか、ロシアやインド、スリランカなどの国からも参加しており、国際色が年々豊かになっている。そうした国々で使われている言語の通訳ができる人は、ぜひボランティアを検討してみてはいかがだろうか。小林氏は、「ぜひ日本らしく、おもてなしの心で海外から参加する子供たちを迎えるのを手伝って下さい」としている。

 そのほか、スポンサー企業および個人サポーターも募集中だ。未来の科学者・技術者育成の協力に賛同したり、興味を持ったりした企業および個人の方は、ぜひ打診していただきたい。

 国内予選の参加、ボランティア、スポンサーおよびサポーターなどに関しての問い合わせは、WRO2008横浜組織委員会事務局(株式会社アフレル内)まで。


URL
  WRO2008
  http://www.wroj.org/2008/

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( デイビー日高 )
2008/01/29 18:23

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