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異種格闘技戦の登竜門、多彩なロボットが登場する「かわロボ」開催!


多彩なロボットによる異種格闘技戦!

 8月26日、川崎市産業振興会館において、「かわさきロボット競技大会」(以下かわロボ)のバトルロボット決勝トーナメントが催された。主催は財団法人 川崎市産業振興財団、共催は川崎市。

 かわロボは、ラジコン型ロボットを利用した異種格闘技戦で、今年で14回目の開催となる。キャプテン、ドライバ、エレキ、メカニック担当の4名でチームを組み、ロボット同士で熱いバトルを繰り広げながら優勝を目指す競技会だ【写真1】【写真2】。同様のロボット対戦としては、ロボット相撲のような大会もあるが、本大会は機構部にさまざまなアイデアを凝らしたロボットが登場することで知られている。すでに前日には、1本勝負の予選トーナメントが行なわれ、過去最高となる267チームから勝ち抜いた精鋭32チームが決勝トーナメントに挑んだ。


【写真1】川崎市産業振興会館において開催された「第14回かわさきロボット競技大会」、バトルロボット決勝トーナメント 【写真2】267チームの頂点を目指し、個性的なロボットが熾烈なバトルを展開。写真は第1回戦のハルカ(東京都立産業技術高等専門学校品川キャンパス電気工学科) vs.窮奇(芝浦工業大学SRDC)の試合

 決勝トーナメントは、予選のように1本勝負ではなく、どちらか2本を先取したチームが勝ちとなる3本試合で、相手のロボットを倒すか、リングの場外に相手機体を押し出すと1本勝ちになるルールだ。制限時間内(3分×3試合)に勝敗が決まらない場合には、さらに3分の延長戦に突入する。ただし実際の試合では、衝突によって場外にはじいたり、豪快に機体をすくい上げて1本を取る場面が多くあり、延長戦はあまりなかったようだ【動画1】【動画2】。


【動画1】3回戦試合の模様。ヒノカグツチ(芝浦工業大学SRDC)と雷電(神奈川工科大学ロボット工学研究部)。豪快な技で強豪のヒノカグツチをひっくり返す雷電 【動画2】たんぽぽ(東京エレクトロニックスシステムズ) vs. トラフ3(カンの職人団 近大ロボ研OB)の1回戦の試合。トラフが強豪のたんぽぽを投げ飛ばす

 競技大会に参加するロボットは、基本的に脚とアーム構造を持つように設計されている。アームの作動面は、リング面より20cmの高さを任意に通過できるデザインとし、脚で使用するモータ数に制限はない。そのため自由な発想で機体を作れる。ただし、脚まわりのモータ(マブチモーター製のRS380PHモータ、ジョンソン社製の380モータ、タミヤ製ギヤードモータの380K)と、プロポ(双葉電子工業製のATTACK-4 4WD、ATTACK 4WD、ATTACK T4GWD)は、実行委員会の指定製品を使用する義務がある。これがベストというようなロボットの定型デザインはなく、毎年ユニークなアイデアを凝らしたロボットがたくさん登場している。

 ロボットを攻撃面から大きく分類すると、回転式アームで相手を勢い良く弾き飛ばすタイプ、機体をアームですばやくリフティングしてすくい投げるタイプ、あるいは長いスティック状のアームで突き出すタイプ、これらのメリットを生かした併用タイプが主流のようだ。実試合では、攻撃手法の異なる個性的なロボットのバトルが数多く見られ、会場を大いに沸かせた【動画3】【動画4】【動画5】。


【動画3】さまざまな攻撃を繰り出すロボットたち(その1)。リンギル(芝浦工業大学SRDC) vs. Antique-AVENGER(鮫洲レーシング)。回転タイプ同士の戦いだ 【動画4】さまざまな攻撃を繰り出すロボットたち(その2)。双竜(豊橋技術科学大学ロボコン同好会) vs.RUSS(芝浦工業大学SRDC)。棒アームタイプと回転タイプの戦い 【動画5】さまざまな攻撃を繰り出すロボットたち(その3)。NEMESISnxt(東京都立産業技術高等専門学校)とカトレア(東京エレクトロニックスシステムズ)の戦い。回転すくい上げでカトレアの勝ち

【写真3】競技用のリング。周囲には場外部が設けられている。リング内には丘陵がある点が特徴。ロボットには機動性と安定性が求められる
 ロボットの大きさと重さについては、W250×D350mm以内(高さはフリー)、重量は3.5kg以下に収めるという規定がある。次の大会からは、高さに関する制限も設けられるという。激しいバトルを支える競技リングは、190×190cm四方の硬質ゴムを張ったスクエアなフィールドだ【写真3】。周囲には場外部が設けられている。リング内には丘陵が5個以上用意されており、ロボットは段差を乗り越えられるパワーと、安定した走行性能が求められる。なお、今回の大会では競技リングの仕様が新たに変更されていた。正方形状の丘陵が2つほど設けられ、さらに難易度が高くなったようだ。


267チームの頂点に立つロボットは? 死闘を繰り広げたトーナメント

 さて、ここからは本試合の準決勝の模様からレポートしよう。準決勝に勝ち進んだのは、「燐 Masquerade」(KHK歯車工房 三宅巧馬氏)、「NEMESISnxt」(東京都立産業技術高等専門学校 小清水大介氏)、「やまだーん無双剣」(魁!やまだーん塾 山田大介氏)、「ヒノカグツチ」(芝浦工業大学SRDC 芹ヶ野貴裕氏)の4機体【写真4】【写真5】【写真6】【写真7】。


【写真4】準決勝に進んだロボットその1。「燐 Masquerade」(KHK歯車工房 三宅巧馬氏)。パワーとスピードを兼ね備えた機体が特徴 【写真5】準決勝に進んだロボットその2。「NEMESISnxt」(東京都立産業技術高等専門学校 小清水大介氏)。昨年優勝を果たした強豪ロボット

【写真6】準決勝に進んだロボットその3。「やまだーん無双剣」(魁!やまだーん塾 山田大介氏)。強力なアームが大会で話題になった 【写真7】準決勝に進んだロボットその4。「ヒノカグツチ」(芝浦工業大学SRDC 芹ヶ野貴裕氏)。同チームは数多くの優秀なロボットを送り込んできた。ヒノカグツチもその1つだ

 いずれも頑強な作りのロボットばかりだったが、さすがにここまで勝ち抜いてくると、どのマシンも満身創痍の状態だった。予選から数えて準決勝まで進むまでには、約8回の戦いを勝ち抜かなければならない。実際に試合の途中で機体が故障し、5分間の修理時間で応急処置を施す場面も多く見られた。

 ロボットの性能はもちろんのこと、この競技はラジコンによる遠隔操作であるため、操縦者の技能も勝敗にかなり影響するようだ。ここまで進んできた強豪チームは、やはり操縦者のレベルも相当に高かった。一瞬のタイミングを見計らって猪突猛進、突進攻撃を仕掛けたり、機体にもぐりこんで投げ飛ばしたりと、手に汗を握る白熱した好試合が続いた。会場に詰め掛けた約500人の観客から、試合のたびに思わず驚きや賞賛の声がもれ、バトルの迫力と熱気が間近に伝わってきた。

 準決勝Aリング戦では、燐 Masquerade vs. NEMESISnxtの戦いが繰り広げらた。この対戦は大会のロボットを象徴するような試合であった。ロボットのデザインには自由度があり、攻撃手法も多様なタイプがある。燐 Masqueradeはパワーとスピードを兼ね備えたロボットで、アーム先端が高速に回転するタイプに属する。最近は、このような機構を持つロボットが多くなったという。

 一方のNEMESISnxtは、アームで機体をすくい投げるタイプの代表挌といえる。機体も大型傾向のある機体の中で小さな部類に入る。すくい投げ攻撃は、相手ロボットの間隙にアーム先端を入れて攻撃するため、高度な操作テクニックが必要になるようだ【写真8】【動画6】。善戦の末、NEMESISnxtが決勝に勝ち進んだ。


【写真8】準決勝の模様その1(Aリング)。燐 Masquerade vs. NEMESISnxtの戦い。いずれも機敏な動きで、ロボットの操作技術もハイレベルだった 【動画6】NEMESISnxtに装備された2本のアームで、燐 Masqueradeをすくい上げるところ。アームの形状を改良し、機体をうまく持ち上げられるという

 一方、Bリングの準決戦では、やまだーん無双剣 vs. ヒノカグツチによるバトルが繰り広げられた。やまだーん無双剣の攻撃力は前評判が高かった。4連装の巨大なクランクアームを装備しており、これを高速回転させて相手をすくい上げながら、リング場外まで弾き飛ばせる強力な戦闘能力を備えている。

 対するヒノカグツチも機動力は抜群。アームに取り付けられた回転板の面積が広く、制圧力がある粘り越しが持ち味だ。強敵のやまだーん無双剣を力で押し出し、一勝を先取した。しかし、ヒノカグツチは、やまだーん無双剣のクランクアームが繰り出すパワーの前に、惜しくも準決勝で敗れ去った【写真9】【動画7】。


【写真9】準決勝の模様その2(Bリング)。やまだーん無双剣 vs. ヒノカグツチ。アームのパワーが勝るか、突進力が勝るかが勝負の分かれ目に 【動画7】ヒノカグツチが強力な回転アームで襲いかかるも、やまだーん無双剣の鋭い剣先によって、惜しくも反転させられてしまった

 3位決定戦では、前述の燐 Masqueradeとヒノカグツチの両者が入賞を競い、熾烈な戦いぶりを見せた。いずれのロボットもアームは回転式。そのため攻撃手法も似ており、優劣がつけがたい好試合となった。両者1勝ずつ奪取したあと、燐 Masqueradeが勝利し、3位の座を手にした【写真10】【動画8】。燐 Masqueradeは、途中で脚部の機構が壊れ、前進することもままならないボロボロの状態だった。5分の修理時間を生かし、アームの回転板の先端をクランプで結束することで高さを調整。回転板を地面にこすりつけながら摩擦力で進むという応急処置を施し、危機を乗り切った【写真11】【写真12】。両者の戦いはまさに死闘と呼ぶにふさわしいかった。


【写真10】3位決定戦の模様。燐 Masquerade vs. ヒノカグツチ。両者とも強力な回転アームを装備している 【動画8】力と力のぶつかり合いによる善戦。両者とも機体がボロボロの状態だったが、最終的に燐 Masqueradeが3位の座を手にした

【写真11】燐 Masqueradeの回転アーム。試合中に脚が動かなくなってしまったため、応急処置として回転アームを改良し、摩擦力で前進させたという 【写真12】死力を尽くして、見事に3位入賞を果たした燐 Masqueradeの三宅巧馬氏。アクシデントに対しての的確な判断が功を奏した

 そして、いよいよ頂点を極める決勝戦が始まった。NEMESISnxt vs. やまだーん無双剣の試合は、テクニックとパワーのせめぎ合いの連続だった。どちらが勝つか本当に予想が付かない試合だ。前述のNEMESISnxtは、昨年も優勝したロボット。低重心で高機動性というメリットをもつ機体に、さらに磨きがかけられていた。脚を6つに改造し、前後の脚を4つのモータで動かすことで、機動性を高めたそうだ。アーム部の駆動に強力モータを利用して、パワーも向上させた。

 一方、やまだーん無双剣も、ここまで次々に相手ロボットを投げ飛ばしてきた強豪ロボットで、今回で3回目の決勝戦。しかし、決勝試合の途中で、ギアが割れてしまうというトラブルに見舞われた。途中で機構部を修理して、なんとか機体を持ち直そうと試みたが、重量を規定の3.5kgピッタリになるように製作していたこともあり、補強がままならなかったそうだ。

 最終的に、2勝1敗で優勝の栄誉に輝いたのは「NEMESISnxt」であった【動画9】。この優勝は、学生として初の2連覇になるものだ。チームキャプテンの小清水大介氏は「今年で5回目の大会参加。NEMESISnxtは、学生として最後の集大成となるロボットだった。優勝することができて、大変うれしい」と喜びをかみしめた【写真13】。一方、準優勝となったやまだーん無双剣の山田大介氏は「アーム部に集中して強度を持たせていたが、そのぶん足回りが弱くなり、最後になって壊れてしまった」と残念そうだった【写真14】。

 本大会の優勝者には賞金50万円、準優勝者には20万円、第3位には10万円のほか副賞が贈られた。また、トーナメントに参加したチームには、実行委員長賞、ファイティング賞、協賛の企業賞など、数多くの賞も用意されていた【写真15】。このほかにも、大会の勝敗とは別枠で「技術賞」の発表もあった。この賞は、今後のかわさきロボットの発展を考慮し、新技術に挑戦したロボットに対して贈られた。昨年の大会から設けられた賞だが、前回は該当なし。今回は全部で4台のロボットが選ばれた。

 技術賞に選ばれたロボットは、3位入賞した燐 Masqueradeのほか、「しろやぎ07」(東京大学大学院医学系研究科・医学部 磯山隆氏)、「HEARTS」(東京農工大学大学院 橋本真幸氏)、「鰄AirRaid」(立命館大学ロボット技術研究会 上本宏明氏)の4機体。審査員は「昨年と比べて明らかにレベルが向上してきたが、さらなる技術的な努力に期待したい」と講評を述べた。


【動画9】いよいよ頂上決戦。あの強力なやまだーん無双剣が、機体の小さなNEMESISnxtに押し出されてしまった 【写真13】頂点を極めたNEMESISnxtの小清水大介氏。昨年に続き2連覇を果たし、喜びもひとしおだ

【写真14】準優勝のやまだーん無双剣、山田大介氏。脚のギア部の損傷が惜しまれるが、とても素晴らしい試合だった 【写真15】決勝トーナメントの結果。ここまで勝ち上がってきたロボット32体は、どれも個性的でパフォーマンスも優れていた

途中敗退ながら実力派ぞろいのユニークなロボットたち

 惜しくも決勝トーナメントで途中敗退したものの、267体のうちの32体に選ばれたロボットは実力派ぞろいだった。どれもユニークで優劣をつけがたい個性あふれる機体が多かった。以下、惜敗したものの、特に印象的だったロボットについて紹介する【写真 16】【写真17】【写真18】【写真19】【写真20】【写真21】【写真22】。


【写真16】低重心、高出力、高機動、3拍子揃ったAntique-AVENGER(鮫洲レーシング)。スタート時は垂直に立ち、機体を振り下ろす形で戦闘体制に入る。本大会ではデザイン賞を受賞 【写真17】ハイパワーのアームと回転プロペラを装備するトラフ3(カンの職人団 近大ロボ研OB)。機動力も高く、3回戦まで駒を進めた。本大会では、協賛のさいか屋賞を受賞 【写真18】4つの脚と独立した動力源を持つフェムトマイスター(井谷剛士氏)。車高が少し高くなっている点が特徴。本大会では協賛のTMCシステム賞を受賞

【写真19】ほぼ完成しているはずだが、名前はなぜか!?「MADADEKITENAINO」(まだできてないの)。強力なアームと高速な脚部を装備。本大会では川崎南法人会賞をゲット。賞品はなんと特上のお米40kg! 【写真20】4つの剣のようなアーム部が印象的な騎備(KHK歯車工房)。大学時代の機体を改良し、さらに性能を向上させた。三菱ふそうトラック・バス賞を受賞

【写真21】神奈川工科大学ロボット工学研究部の「雷電」。天下無双の名力士と言われた江戸時代中期の名大関からネーミングしたという。川崎マリーンロータリー賞を受賞 【写真22】フィールドの凹凸をラクラクと駆け上がる脚機構と、敵を倒す強力なアームを備えた「武神皇 V-spec」(神皇部隊)。ウィングの動きで相手を撹乱させることも可能。敢闘賞を受賞

 激しいバトルのため、ロボットの機体が複雑に絡み合って取れなくなってしまうこともよくあった。たとえば1回戦目のカトレア(栗田嘉紀氏) vs.飛燕(横溝信介氏)の試合【写真23】や、魔神皇SABER(東浩昭氏) vs. 孫六(三島諒氏)の試合【写真24】など、いずれも力と力のぶつかり合いは大迫力だった。

 2回戦目で、やまだーん無双剣に敗れた「愛神皇」(貫井勇一氏)【写真25】【動画10】はフィアンセとともに参加。なんと、優勝に自らの人生を懸けて!? の出場だ。もし優勝できたら、本会場で結婚式とウェディングトーナメントを開催すると宣言したが、残念ながらお楽しみは来年に伸びてしまった。しかし、攻撃性の高い技術力には目を見張るものがあった。愛神皇は、ホテルスカイコート川崎賞を受賞し、ホテル宿泊券をゲットした。


【写真23】機体の絡み合い(その1)。カトレア(東京エレクトロニックスシステムズ)vs. 飛燕(滝澤鉄工所)の戦い。飛燕の長い剣先がカトレアに突貫している 【写真24】機体の絡み合い(その2)。魔神皇SABER(セントラル技研工業) vs. 孫六 (芝浦工業大学SRDC)。魔神皇SABER(写真手前)は防御用シールドを持っていたが、激しい攻防で機体が絡みつく

【写真25】強力なアームで機体を投げ飛ばす愛神帝。かなりの線まで行けそうな予感だったが、やまだーん無双剣と対戦して惜敗 【動画10】愛神皇(あぁ真夜中の機動技術研究部) vs.やまだーん無双剣(魁!やまだーん塾)。なんとロボットの優勝に自らの人生を懸けて出場したが、来年に期待!

 一方、予選で敗退したものの、個性的でユニークな技術がキラリと光ったロボットたちが集結し、特別戦も催された。この戦いはロボット4機によるバトルロイヤルで、計2試合が行なわれた。3つ巴ならぬ4つ巴による混戦模様はとても面白く、見ものだった【動画11】【動画12】。特別戦のロボットで特に印象的だったのは、巨大サイズ(高さ)に圧倒された「覆甲蘿特瓦拉」【写真26】と、ペットボトルによるエアシリンダをアームに搭載した「弩裂斗」(電気通信大学)【写真27】だ。また、見た目はどうみても「てんとう虫」なのだが、なぜか名前が「クワガタ?」と名づけられた可愛いロボットもあった。

 さらに、毎年ユニークな機体を考案している小倉環樹氏(ラグオ電工)が製作した「らぴすらずりXIVr」の特別解説も行なわれた【写真28】。今回のロボットは、スタート地点から瞬時に相手ロボットを押し出してしまう機構を採用。吸着盤を備えたアームが倒れてフィールドに固定され、長いカーボンロッドのアームで玉突きのように相手の機体を押し出せる秒殺アイデアを開陳。もし、このロボットが完成して、機体がうまく動いていたら、優勝をさらっていたかもしれない。


 表彰式・閉会式では、川崎市産業振興財団代表が「ロボットは総合的な技術が凝縮されており、競技会の交流がロボット技術の進歩につながると思う。今後も川崎市から、モノづくりの楽しさを全国へ発信していきたい」と述べ、3日間にわたる熱いロボットバトル大会の幕を下ろした【写真29】。


【動画11】ユニークな技術がキラリと光ったロボットによる特別戦その1。「覆甲蘿特瓦拉」(岡山理科大学科学愛好会OB)、「そよ風」(アルプス電気)、「ROCKY9 expample」(トキ・コーポレーション)、「鰄AirRaid」(立命館大学ロボット技術研究会)によるバトル 【動画12】特別戦その2。「弩裂斗」(電気通信大学大学院)、「一角獣」(東京電機大学理工学部ロボット研究会)、「ふ~た」(東京農工大学工学部機械システム工学科)、「クワガタ?」(軒下工房)によるバトル 【写真26】スタート地点で聳え立つ覆甲蘿特瓦拉。その高さに威圧されてしまうほどだ。ドタバタと回転するアームも面白い構造だ

【写真27】弩裂斗は、ペットボトルを利用したエアシリンダをアーム前方に搭載している点が特徴。自転車用の空気入れでエアを送り込む 【写真28】「らぴすらずりXIVr」。こちらも大変ユニークな発想のロボット。高さフリーという規定を最大限に生かし、長いロッドで相手をスタート位置から瞬時に押し出す仕組み 【写真29】表彰式・閉会式の模様

URL
  第14回かわさきロボット競技大会
  http://www.kawasaki-net.ne.jp/robo/robo07/info.htm


( 井上猛雄 )
2007/09/04 20:28

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