4月21日、科学技術週間のなか、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の筑波宇宙センターでも一般公開が行なわれた。今年からH-IIロケットの実機が展示され、多くの来場者が訪れた。
H-IIロケットは2トン程度の衛星を打ち上げる能力を持つ2段式ロケット。全長およそ50m、外径およそ4m。日本初の純国産ロケットとして開発され、1994年に1号機が打ち上げられた。その後、1998年に軌道投入失敗、1999年に打上げ失敗し、その後の打ち上げ予定は中止となり、ノウハウは後継機であるH-IIAロケットへと引き継がれた。
展示されたロケットは、試験機や打ち上げられなかった7号機などの部品を集めたもの。ロケットの実機が常設展示されるのは国内で初めてだという。ロケットは専用の支持台の上に取り付けられており、屋根はない。手が届かないので触ることはできないが、すぐ近くまで寄って見ることができる。
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今年から展示が始まったH-IIロケットの実物
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フェアリングと呼ばれる先端部。この中に衛星を格納する
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エンジン部分側
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実際にはこの先にLE-7エンジンが取り付けられる
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固体ロケットブースターは7号機につけられるはずだったもの
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茶色部分は断熱材。耐候性のあるコーティングを施しているとのこと
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内部構造の解説
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H-IIに使われていたLE-7エンジン。これは開発試験で使われたエンジン
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このほか会場では今年に打ち上げを予定している月周回衛星「セレーネ」そのほか、人工衛星開発や宇宙開発研究の現状がアピールされていた。宇宙ロボットに関する展示も少しあり、将来の宇宙開発を見越した作業用多脚ロボットなどの研究が紹介されていた。
これは衛星や宇宙ステーションなど、軌道上の構造物の上を、視覚を使ってロボット自身が構造物を傷つけず、適切な部分を把持しながら移動していくというもの。軌道上で何かを建設するときなどの基礎技術研究だ。
現在の実験フィールドにはランドマークが付けられているが、将来は、ロボット専用のランドマークなどは一切使わずにロボットを移動させることを目標としているそうだ。
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宇宙用4脚ロボット
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衛星や宇宙ステーションの表面構造物をイメージした模型上をクモのように歩行させる
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将来は人工衛星のメンテナンスや月探査用ロボットにも応用
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精細作業用協調ロボットシステム
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複数のロボットが協調して細かい作業を行なう
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このほか、子ども達がマニピュレーターを操作できるコーナーなどもあり、訪れた家族連れは思い思いに宇宙開発関連の技術に親しんでいた。
■URL
JAXA
http://www.jaxa.jp/
( 森山和道 )
2007/04/24 01:17
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