4月14日15日の両日、姪浜電気ビル(福岡市西区姪浜)において、「WAKUWAKU ENJOYロボットイベント」が開催された。これは二足歩行ロボットを持っている初心者向けに、九州ロボット練習会と九州共立大学メカエレ工房が企画したものだ。
● 「ロボットを押入れから引っ張り出そう」
九州ロボット練習会はロボスクエア(福岡市博多区)を中心として活動している、二足歩行ロボットの愛好会だ。ROBO-ONEの決勝トーナメントに出場するメンバーも出ているが、その一方で去年の12月にロボスクエアで初心者向けのイベントを開催するなど、九州地区全体のレベルアップも図っている。
今回のイベントは、「二足歩行ロボットを購入して組み立てたものの、うまく動かせずにロボットを押入れにしまいこんでいる人たち」を対象として企画。キューデンインフォコムから会場を提供してもらい、14日はレベルアップ講座、15日にはバトル大会が開催された。
14日は九州練習会のリーダーで、九州共立大学の教官でもある水井氏が中心となって、レベルアップ講座を行なった。参加者は5名ほどで、市販の二足歩行ロボットキットであればなんでもよかったのだが、全員がKHR-2HVを持参していた(ロボスクエアでKHR-2HVの工作教室が開催されていることの影響もあったらしい)。
まず「ロボットのホームポジションの重要性とその調整」から始まり、これにかなりの時間を割いていた。ロボットキットを組み立てた後、軽視されがちなホームポジションの調整だが、これがうまく行っていないためにモーションがうまく動作しないことが多く、まずその重要性を認識してもらいたいとの考えからだった。
ホームポジションの調整が終わった後は、安定した歩行動作作成の指導。水井氏だけの指導だけでなく、他の九州練習会のメンバーも加わって、マンツーマンの指導が行なわれた。その中で「RCB-3をうまく使うためのポイント」や「ジャイロの効果的な使い方」など、マニュアルにはないことも含めての丁寧な指導が行なわれ、全員が安定して歩行できるまでになった。
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会場の姪浜電気ビル
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初日の講習会
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九共大メカエレ工房の水井氏による指導
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マンツーマンでの指導も行なわれた
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ホームポジションを調整しての整列。左端はヒューマノイドカップ・サッカーでも活躍した小成龍(こしぇんろん)
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リング上での実際の歩行
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● 15日は盛りだくさんのロボットイベント
翌日の15日は午前中に攻撃モーション作成の指導が行なわれ、午後からは参加者総当りのバトル大会、第11回ROBO-ONEの予選に出場した九州練習会ロボットの予選デモンストレーションなどが行なわれた。
15日のバトル大会には6台のKHR-2HVが参加し、総当りリーグで優勝を競った。参加者の中には、一晩で「バンブー横歩きモーション」(ROBO-SPOTのサイトで公開されているバンブーブリッジチームのサッカー用モーションの中の1つ)を入れてきた機体もいて、初めてのバトル体験に対する意気込みがうかがえた。
バトル大会は、モーションのコマンドを間違えたりして、笑いを誘う場面もあったが、スリップ多発で試合にならないということもなく、全15試合が無事に行なわれた。優勝ロボットは4勝を上げた「Q」だった。
優勝したQは、九州練習会に何度も参加してレベルを上げ、3月4日に開催された第18回ヒューマノイドカップ・バトル大会では予選を突破してARIUSと対戦した機体である(さすがにARIUSには敗北したが……)。その意味では順当な結果と言えるが、歩行にも苦労していたKHR-2HVが1日の講習でバトルができるまでなったのだから、その他の機体の成長も大いに誉められるべきだろう。
試合の合間には、第11回ROBO-ONEの予選に参加した九州練習会のロボットが、それぞれデモを披露。参加者たちを感心させていた。
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2日目に参加したロボットたち
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2位に入ったイーグル1(右)と3位のダイナスター2
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Q(左)が優勝を決めた最後の試合
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スーパーディガーの自律スイカ割り
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AutomoNicoのデモ。カードのICチップ情報を読み取って、その通りに動く
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九共大ーZEROの窓拭きデモ
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● 新型? ランブル
今回のイベントでは、変わったランブルも行なわれた。リングから落ちれば負けなのは変わらないが、真ん中に自律攻撃モードのスーパーディガーを置いているところが違う。
スーパーディガーは第11回ROBO-ONEの予選で「自律スイカ割り」のデモを披露したが、これは距離センサーを使って目標を探し出し、近づいてヘッドバットの攻撃をしかけるものだ。リングから落ちないように真ん中に行こうとすると、そこにはディガーが「鬼」として攻撃目標を探して待っている、「鬼ランブル」だ。
参加者のロボットのみの回と九州練習会のロボットも加わった回の、2回の鬼ランブルが行なわれたが、ディガーが目標を検知して動き出すと、会場は大いに盛り上がった。自律機能を使った結構ぜいたくなゲームかもしれない。
イベントには日本遠隔制御株式会社も特別参加。1日目は参考としてRB2000のモーションエディタの使い方を説明し、2日目は19軸のRB2000のデモを披露していた。
今回のイベントは、参加者こそ6名で多くはなかったが、なかなか内容の濃いイベントだった。WAKUWAKU ENJOYロボットイベントは、これからも開催していくそうなので、九州における二足歩行ロボットの初心者を育てる大会になることを期待したい。
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初日に行なわれたRB2000のモーションエディタの説明
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RB2000のデモ。エアギターも披露していた
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後ろ回転をする19軸のRB2000
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スーパーディガーが鬼となった「鬼ランブル」
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ディガーに追われてのリングアウト
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九州練習会のロボットも参加した鬼ランブル。それぞれディガーの前にはできるだけ立たないようにしている
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バトル大会に参加したみなさん
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優勝したQのオーナー・林くん。優勝商品はHotproceedのコントローラーユニットTEC-1だった
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■URL
九州共立大学メカエレ工房
http://www3.kyukyo-u.ac.jp/FE001/robo.html
( 大林憲司 )
2007/04/19 02:21
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