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「宇宙ことづくりフォーラム東京講演会」レポート

~宇宙飛行士・向井千秋氏らが講演

宇宙材料フォーラム代表、大同工業大学長 澤岡昭氏
 3月30日、ホテルフロラシオン青山にて「宇宙ことづくりフォーラム東京講演会」が開催された。主催は宇宙材料フォーラムと独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)。宇宙飛行士・向井千秋氏ほか3人の講演と、パネル討論が行なわれた。

 最初に宇宙材料フォーラム代表で大同工業大学長の澤岡昭氏が、開会挨拶を述べた。「宇宙ことづくり」の「ことづくり」とは、技術革新、いわゆる「イノベーション」のことだという。最近、「イノベーション」という言葉は社会改革も含めてより広い意味で使われるようになっている。それをあらわすために考えた言葉が「ことづくり」なのだという。

 なお宇宙材料フォーラムは宇宙と材料に関心をもつ人々の意見交換の場所として2000年5月に発足した組織。


JAXA宇宙環境利用センター主幹開発員・小林智之氏
 はじめの講演は「日本の実験室“きぼう”ではこんなことができる」と題してJAXA宇宙環境利用センター主幹開発員・小林智之氏が行なった。「きぼう」とは国際宇宙ステーション(ISS)にドッキング予定の日本実験棟(JEM : JapanExperimentat Module)である。日本発の有人宇宙実験施設で、「船内実験室」と、宇宙空間に曝露した「船外実験プラットフォーム」の2つの実験スペースを使ってさまざまな実験や研究、技術開発を行なう予定となっている。

 打ち上げ予定は、第1便は平成19年度に船内保管室を、同年度2便目に船内実験室とロボットアーム、翌20年度に3便目として船外実験プラットフォームと船外パレットを上げる予定となっている。

 小林氏は、蒸気機関による産業革命を例として「ことづくり」と「ものづくり」の違いについて説明した。鉄道は蒸気機関によって初めて可能になったものだ。鉄道は結果的に社会を変えた。鉄道がことづくりであり、蒸気機関がものつくりである。またコンピュータや集積回路と、インターネット、その上でのeコマースも同様の関係にある。

 JEMでは無重力、自由落下状態の実験環境が得られる。JAXAは「宇宙オープンラボ制度」を作り、さまざまな実験だけではなく自由落下の活用を行なうことをねらっている。ISSでのCM撮影、長期滞在宇宙飛行士用の衣服開発や芸術文化、教育活動などを行なう予定だ。

 サイエンスでも自由落下は活用される。宇宙酔いメカニズムの解析、自然繁殖能力への影響など無重力での生物への影響、物性への影響などを調べる予定だ。

 では「ものづくり」はどうか。技術革新につながるような製品開発にJEMはどれだけ貢献できるのか。無重量を利用して、相互作用の比較的弱い自己組織化による構造形成に関する実験を行なう予定だ。具体的には、新薬開発に貢献するタンパク質結晶生成、高輝度レーザー加工装置に使える3次元フォトニック結晶の生成、骨組みそのものが活性を持つナノスケルトン材料開発を行なっていく予定となっている。

 小林氏は、「新しい価値を生むJEMネットワークを形成したい」という。領域内で閉じた発想だけではなく、領域を超える繋がりが新たな発想や需要を生む。そのためにはJAXA内部の構造が重要だ。領域を超えてカップリングさせられる内部構造が必要となる。アイデアを生み、JEMを使ってそれを実現するためのメカニズムを現在模索中だという。


「ことづくり」と「ものづくり」の関係 宇宙オープンラボ制度の紹介 自由落下状態を利用したサイエンス、ものづくり

JEMを利用した「ものづくり」の可能性 JEM利用ネットワークの構築をねらっている ことづくりの推進が課題

イムノエイト株式会社 代表取締役社長 谷口郁子氏
 続けて「元気な団塊のためのことづくり」と題してイムノエイト株式会社代表取締役社長の谷口郁子氏が講演した。医療経営コンサルティングそのほかの事業を行なっている谷口氏は2002年にIBMなどが講演する世界優秀女性企業家賞を受賞。現在は事業のほか、JEM応用利用推進委員会委員や文部科学省科学技術学術審議会臨時委員など、さまざまな政府関連委員の職も務めている。

 グーグルアースを使って自己紹介を始めた谷口氏は、「タウンヘルスケアステーション」構想について説明した。どこの街にも「~銀座」と呼ばれる商店街がある。その地域商店街に活気を戻し、コミュニティを再生。ヘルスケアに役立てようというものだ。

 高度経済成長のなかで過ごした団塊世代は、宇宙への夢や憧れを持っている世代だ。健康や、QOL(Quality of Life)への関心も高い。「宇宙を舞台として元気な団塊の世代にエネルギーを展開してもらいたい」と谷口氏は語った。


タウンヘルスケア事業 再生コミュニティビジネスなども手がけているという

JAXA宇宙飛行士・向井千秋氏
 3番目の講演者はJAXA宇宙飛行士・向井千秋氏。演題は「私の宇宙環境利用」。慶應義塾大学医学部外科学教室助手として心臓血管外科の臨床および研究を行なっていた向井氏は、1985年にNASDAのペイロードスペシャリストに選ばれた。1994年に日本人女性と初めての宇宙飛行を行なった(STS-65)。当時、無重量状態で浮いている気分を「天女になったよう」と語ったことも話題になった。その後、1998年には最年長宇宙飛行士のグレン氏とともに再びコロンビア号に乗船し(STS-95)、宇宙実験を行なった。現在、向井氏は、国際宇宙大学の客員教授として健康管理や宇宙環境利用の教育と研究を行なっている。

 もともとは「弟の足を治したい」という思いから臨床医を志していた向井氏だが、今は「仕事場は宇宙」をモットーとしている。「仕事場は宇宙」というのはシャトルの中だけではなく、地上での研究活動も含めた考え方だという。日本は(パイロットではなく)宇宙環境を利用したいから宇宙飛行士を募集する、と要項に書かれていたことに感銘を受けて、宇宙飛行士に応募したそうだ。

 飛行士は2週間くらいの間に80~100の実験を行なう。現在シャトルは退役を間近に迎えているが、向井氏らはシャトルの黄金時代に活躍した。

 微小重力を使う研究は主に、4つの性質をうまく使っているという。1つ目は、加速度のない世界では、ものはそこにあったところに留まる、という性質だ。重力加速度がない世界では、熱の対流もないので燃焼実験などに使える。容器がいらないことも特徴だ。このことは、表面張力や過冷却現象での粘張度や核形成などの研究に活用できる。

 会場には小学生も居たため向井氏は以下のような例を出した。たとえば鍋でお湯を沸かすときのあぶくはどこから出てくるか。地球上ではあぶくは上昇する。だが宇宙ではあぶくは、できたところに留まっている。あぶくがどこからどのように大きくなっていくのか研究するには重力加速度のない宇宙は最適なのである。

 そのほか、静水圧勾配がないことも利点である。材料科学や流体の実験は、これら4つを組み合わせて行なわれているという。もしも重力の影響がなかったら自分がやっている実験はどうなるのか、と考えるだけで宇宙環境利用はすぐに考えられる、と述べた。

 材料実験は微小重力を積極的に利用する形で行なわれている。いっぽう、生物に対する影響は、また別だ。宇宙飛行士は宇宙から帰ってくると身体のバランスがうまくとれなくなる。耳石がうまく働かなくなるからだ。また血液にも重さがあり、心臓血管系や自律神経はそれを前提として働いているが、宇宙に行って戻ってくると、その働きも変わる。


 私たちは普段は全く気にも留めていないが、生きている限り、重力に逆らっている。宇宙飛行士は、宇宙から戻ってくると、いわば「病気もどき」になるという。「病気もどき」の彼らを調べることで、病気がどのように発生し、どのように直っていくかを短期間に観察できるため、生物学的には非常に面白いのだ。

 シャトルでの打ち上げのときには3Gの加速度がかかる。重たいとは感じるが普通の健康状態の人ならば宇宙には行けるそうだ。宇宙に行くと血液の重さがなくなるので血が頭にのぼって顔がぱんぱんにはれるムーンフェイスになる。また宇宙では本当の意味で3次元活用ができるようになる。向井氏は、股のぞきをした状態で鏡を使って自分の顔を見ると、顔が違って見えることを例として出し、人間にとって上下が当たり前になっているが、外側の条件で認識されている条件をうまく使っているだけであることが、上下のなくなった宇宙ではよく分かると述べた。

 本当に3次元が自由に使えるようになると、天井に立つこともできる。だがその状態で「床を見上げる」と、一瞬身がすくむ感覚があるという。しかし人間には適応力があるのでだんだん慣れてくる。ものの30秒もあれば、天井を床とみなすのも慣れてしまうそうだ。

 そうなると面白いことが起こる。同じ窓からの風景も、その前にどこに立っていたかによって、見下ろしているようであったり、見上げているようであったり、認識が変化するそうだ。それは宇宙で飼育した金魚もどうやら同じだと考えられているという。

 また、宇宙ではけっこうゴミが出るため、ゴミや製品の管理をICタグを使うなどといったことも重要になりつつあるそうだ。宇宙は進んでいるというふうに見られていることも多いが、古い技術が多く使われており、つい最近までずっとバーコードで管理されていた。そのほか、運動や食事の研究もすすめられている。医療用の分析器などは、地上のそれとあまり変わらないそうだ。なお当時はシャトルの黄金時代だったのでリソースも豊富だったが、いまはステーション組み立てが優先なので宇宙実験そのものは難しくなっているという。

 77歳のジョン・グレン氏が再度宇宙に飛行できた理由は、過去のデータがあるため、若いころの彼自身の身体との比較ができるためだ。結果は、9日くらいの飛行であれば、若者に対する影響も老人に対する影響も変わらないことが分かったという。つまり、宇宙旅行程度の滞在時間であれば、健康な人ならば誰でも宇宙に行けるということだ。


微小重力環境での物性実験 宇宙では頭に血がのぼって顔がふくらむ 77歳で宇宙に再び飛んだグレン飛行士

 重力が脊椎動物の発達においてどのような影響をもたらすかという研究も行なわれている。日本は水棲動物の飼育に関する研究が進んでいるという。耳石と脳を繋ぐ神経の活動を、神経に電極を指して調べるといった研究が行なわれているそうだ。

 植物の影響も実験されている。きゅうりを植えると「ペグ」と呼ばれる構造ができる。地上ではできるペグは1つなのに、宇宙で植えると2つできた。このきゅうりを解析することで、重力があるが故に発現する遺伝子もあれば、逆に抑制されている遺伝子もあるということが分かったという。

 生物系の実験の多くは、受動的な微小重力環境の影響を調べるものだ。しかし、なかには積極的に使う実験もあるという。人間は無意識のうちに重力加速度を取り入れて、自分の身体を運動制御している。たとえばボールを投げ上げてそれをキャッチするときにも重力加速度を考えて手を出している。だが宇宙では加速運動しない。そのときに人間がどのように反応するかという実験だ。

 これは将来のロボティクスにも応用される可能性があるという。

 教育利用も行なわれている。宇宙メダカのエピソードなどを交え、教育プログラムはあまりコストがかからないが、大きな効果がある点が良いと思う、と、向井氏は語った。

 教育プログラムだけではない。広報プログラムもある。向井氏は当時の小渕総理との通話のなかで「宙返り何度も出来る無重力」という上の句を披露、下の句を募集するというイベントを行なった。下の句の応募総数は1,447,811通、応募者は5歳から105歳にわたった。下の句を見ると、一般の人が宇宙をどのように捉えているか分かったという。宇宙飛行士からの一方的なメッセージではなく、上の句と下の句をやりとりすることで、空間を共有できるような感覚があったそうだ。


きゅうりの栽培実験 無重力での身体制御に関する実験の様子。視覚的には上から打ち出されるが等速運動するボールを取るときの筋肉の運動を探る 宇宙短歌「下の句コンテスト」

 シャトルは地上300~500km程度の低軌道を飛ぶ。通常はあまりロマンチストではない技術畑の宇宙飛行士たちも、宇宙から地球を見た美しさを語るときにはロマンチックな目になるという。向井氏は、自分たちが本当に美しい場所に住んでいることに誇らしい気分になった、という。突然、望郷の念と愛おしさが浮かんできたそうだ。また雄大な自然に対する人間の小ささと、その力がまとまったときには地球にすら印をつけることができる力の対比が非常に興味深かったという。

 いろいろな仕事をしたあとに宇宙飛行士は大気圏突入して帰ってくる。その過程ではアナウンスがあるが、アナウンスがなくても地球に帰りつつあることは体で感じることができるという。0.3Gでは少し体が重くなり、0.5Gでは被っていたヘルメットが重く感じたそうだ。

 向井氏は、宇宙に行って、もっとも面白かったのはこのときの経験だったという。宇宙から地球を見た素晴らしさや、無重量経験は期待していたが、地球に帰還してきたとき重力を再び感じることができるようになることは、期待していなかった。そのため逆に、重力がものすごく新鮮だったという。「なぜものが落ちるのか」、「のりでくっついているのか」と感じたそうだ。「地球は特殊環境で重力があるんだ、われわれはものすごい力で地球に引っ張られているんだということを実感したのは素晴らしかった」と述べた。

 フィルター越しにものを見ていると、そのフィルターと同じ色のものは見えない。たとえば青いフィルター越しには青い鳥は見えにくい。重力の影響はそれと同じだという。重力のなかで見ていると重力が良く分からない。宇宙ステーションは、重力の影響を誰が行っても外して見ざるを得ない環境だと捉えられる。そのように見れば研究そのほかいろいろなこともできるようになるのではないかという。

 国際宇宙ステーションの「きぼう」モジュールは、これまでのようないわば「借家」の研究室ではなく、日本の「持ち家」だという。これまでは宇宙開発をやることで、宇宙の技術を地上で扱う「スピンオフ」の考え方が主流だったが、そのようなアプローチは有人ロケットを持っている国でなければ難しい。それよりも、今ある地上のものを宇宙へと「スピンイン」していくことが重要だと主張した。またメンタリティを変えることも重要だという。特に宇宙開発に関わっている我々こそ、宇宙は特別だという考え方を変えなければならないと述べた。

 会場からは打ち上げ時の感覚や、微小重力環境での睡眠などに関する質問が出た。また一般的な「マテリアル・スピン・オフ」に対して「スピリチュアル・スピンオフ」という考え方を述べ、宇宙から捉えられた満地球の画像こそ、もっとも大きなスピンオフではなかったか、と語った。


人一人は小さいが人類の活動の跡は宇宙からも見える 青いフィルター越しでは青い鳥は見えにくい これからはスピンインの考え方が重要だという

パネル討論「宇宙ことづくり―somethingを求めて」

パネルディスカッションの模様
 講演のあとは、パネル討論「宇宙ことづくり―somethingを求めて」が行なわれた。司会は宇宙材料フォーラム代表で大同工業大学長の澤岡昭氏。パネリストは東京大学大学院工学系研究科教授の西郷和彦氏、茨城大学大学院理工学研究科教授の新村信雄氏、独立行政法人産業技術総合研究所関西センター総括主幹の牧原正記氏、そして、講演を行なったイムノエイト株式会社の谷口郁子社長、宇宙飛行士の向井千秋氏、JAXA主幹開発員の小林智之氏。

 「宇宙ステーションを使って何かわくわくすることをやりたいな」というのがこのパネルの趣旨だと澤岡氏は述べた。ネットワークをどのように作るかが課題だという。

 企業からすると宇宙は非常に高価で特殊な世界であると捉えられている。宇宙へのアクセス手段も限られている。ロケットがない形で日本は有人宇宙開発を始めた。向井氏はそのなかで搭乗機会を2回勝ち取った。シャトルのあとはソユーズと中国のロケットくらいしかない。アクセスがないと一回あたりのコストは非常に高くなる。ここをなんとか打開する必要がある。

 向井氏は、宇宙実験はそれほど高尚なことを行なっているわけではない、なんとか日本の技術をスピンインさせられないか、「大人の夢」のほうが制限されているぶん、ロマンに満ちている、そのようなものを社会が推進していく仕組みづくりが重要なのではないかと述べた。宇宙飛行士が特別な訓練を受けているといったイメージも誤っているという。

 「スピンイン」は、宇宙に行かなくても何かできるものがいいのではないかという。たとえば宇宙という付加価値をつけることで地上の商品を売るといったようなことだ。裾野を広げることがまずは大事だという。


 西郷氏は、安全性そのほかの制約ありきから始まっていてできないことが多い、まずやりたいことありきで考えられるグループづくり、横のネットワークが必要なのではないかと述べた。

 新村氏は、地上ではほとんどできない、儲からないけどやってみたいといったようなことに夢を託していると述べ、宇宙での細胞骨格や細胞内のたんぱく質の挙動に対して興味を持って研究を進めているという。生命の誕生や、進化の謎にも迫ろうとしているそうだ。

 牧原氏は、無重力は何かを投げるといったデモンストレーションで小学生たちに啓蒙活動を行なっているという。何か面白い実験を思いついたらISSでの提案を行なうつもりだそうだ。

 JAXAの小林氏は、宇宙実験の価格について答えた。ロシアの宇宙機を使った実験の価格は、10センチ立法メートルの箱を3カ月間置く宇宙実験が1.2億円かかった。その実験は6回行なわれたが、成果としてはそこに対して宇宙実験をビジネスとして展開しようという会社が民間で出てきたことだという。JEMでどの程度かかるかはまだ算出されていない。

 会場は平日であったものの百数十名が来場、特にいわゆる団塊世代に近い人々の姿が目立った。会場からは、個人のアイデアを吸い上げるために宇宙材料フォーラムのほうで何らかの責任体制を作るべきではないかとか、もっと芸術家を宇宙に上げるべき、子供たちが宇宙をもっと身近に感じられるメディア戦略が必要なのではないか、宇宙実験の価格はそれほど高くはないと思うといった、さまざまな意見が出た。

 向井氏は「アインシュタインもニュートンも宇宙に行ったわけではない。でもイマジネーションで素晴らしい仕事を為した。宇宙に行かなくても宇宙のことは考えられる」と述べた。

 開会前や休憩時間にはアメリカ」航空宇宙局(NASA)が作成した広報ビデオや宇宙での暮らしを撮影したビデオが流され、宇宙では意外と着替えが難しいことや、「きぼう」実験棟で予定されている宇宙実験などが紹介されていた。


URL
  宇宙ことづくりフォーラム
  http://iss.sfo.jaxa.jp/topics/2007/0330_kotozukuri/index.html

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( 森山和道 )
2007/04/02 15:33

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