2月10日と11日の2日間、福岡県福岡市のロボスクエアで「ロボットを体験しよう!!~ロボット・実験学習メニュー開発における成果報告会」が開催された。これは独立行政法人「科学技術振興機構」(略称JST)が開催した教育イベントだ。
科学技術振興機構は、子供たちに科学に興味をもってもらうために、さまざまな活動をしている。その一環として、指定した学校や団体(実際は応募してきた学校や団体の中から審査で選出)にロボットを使った授業を行なってもらい、その学習成果の発表会を実施している。今回の「ロボットを体験しよう!!」は、科学技術振興機構から指定された福岡県内の学校・団体がロボスクエアで行なった発表会だ。
発表会を行なったのは筑前地区中学校家庭科技術家庭科研究会、北九州ロボカップ会、北九州市立二島学校、博多高等学校の5団体。それぞれがロボットを使った授業活動を行ない、その成果を今回の発表会で披露した。
筑前地区中学校家庭科技術家庭科研究会は、名前の通り福岡県筑前地区(福岡市を中心とした地域)の中学校の技術家庭科の技能レベルを上げることを目指した研究会で、中学生ロボコンにも積極的に取り込んでいる。
今回はその中心になっている新宮中学の技術情報部が製作したロボットを披露した。中には、中学生が開発を進めた二足歩行ロボット「U-2+新宮」の姿もあった(ただし、まだ歩行には成功していないそうだ)。
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新宮中学校の中村講介先生と技術研究部員。中村先生は火星ローバー大会の中心人物でもある
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ライントレースで動くYS-11型ロボット。将来は実際に空に飛ばせるようにしたいとのことだった
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中学生ロボコン「ドキドキタワー2006」のデモ。この競技は人間に見立てたピンポン球を安全なところまで運ぶ競技
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新宮中学校技術研究部で製作した二足歩行ロボット「U-2+新宮」。ただ、まだ歩けないそうだ
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ロボットの内部。胴体の素材は発泡スチロール
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脚部の関節部のアップ。サーボモーターを使わず、教育用ロボットキットで何とか動かそうとする志は見事
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その他には、火星ローバーコンテスト用ロボットカーのデモも行なっていた。
ここで「火星ローバーコンテスト」について説明しておこう。2005年10月に福岡市で国際宇宙会議(IAC)が開催され、それに合わせて第一回が実施されたロボットコンテストだ。20mほどの火星表面をイメージした不整地コースを車輪走行タイプのロボットで走破する。当初は「国際」とネーミングされていて、実際に国際化の動きもあったようだが、現在は主に福岡県の小中学生が参加するローカルなロボコンとなっている(ただし、福岡県以外でも石川県金沢市で開催されたことがある)。
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火星ローバー車のデモ。火星ローバーコンテストでは、途中でスポンジボールを取り込むミッションがあるので、ボールを取り込む機構がついている
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ラジコンで操縦しているが、全体で見ると火星ローバーはリモコン操縦の機体が多い。なお、簡単な迷路走破の自律部門もある
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参考写真。火星ローバーコンテストの実際のコース。去年11月に開催された時のもの
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北九州ロボカップ会は、北九州市立児童文化科学館を拠点として、ロボカップジュニアサッカーの支援をしている団体だ。北九州ロボカップ会所属のチームは、ロボカップ日本大会および世界大会で優勝を経験しており、国内でもロボカップジュニアサッカーの強い所として知られている。
今回の発表会では、初心者が作ったサッカーロボットと、世界大会でも活躍したサッカーロボットをさらに改良した機体で、自律制御によるロボットサッカーを見せていた。
二島中学はロボコンに熱心な学校として知られ、ロボカップジュニアダンスで活躍したロボットもいる(手前に置かれた竜型のロボット)。
博多高等学校は福岡市の商業高校で、夏休みに実施した中学生向けのロボット特別授業についての成果を発表。なお、博多高等学校は今年の4月からロボットコースを作るそうで、それに向けての意味合いもあったそうだ。
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北九州ロボカップ会のデモンストレーション。北九州ロボカップ会は、北九州市立児童文化科学館で月に一度の練習会を行っている
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デモ試合の様子。ロボカップジュニアサッカーは、キーパーとFWの2台で1チームを結成する
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ロボカップジュニアサッカーの世界大会で優勝経験もあるデザイナーズ・チームの機体を、さらにセンサーを増やしてパワーアップした機体
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授業で製作した段ボールリモコンカー。コントローラーがタッパーだ
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ロボカップジュニアダンス部門で活躍したドラゴン。一部欠けているのは、パーツ取りに使われてしまったため
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二島中学校の「ドキドキタワー2006」デモ
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博多高等学校の発表会。夏休みに実施したロボット授業の参加者が、中学三年生だったため今回は受験で参加できなかったらしい
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パソコンの大型モニターを利用しての成果発表
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ライントレースロボを熱心に見つめる子供たち
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● ロボット工作教室も開催
両日は「火星ローバー」の工作教室も行なわれた。JAPAN ROBOTIC製作のロボットキットを組み立てるもので、両日とも満員の盛況だった。組み立ての終わった子供たちは、さっそくコースの上でローバー車を走らせていた。
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火星ローバーの製作に熱心に取り組む工作教室の参加者
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できあがった火星ローバーで、さっそくローバーコースにチャレンジ
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不整地を走行する火星ローバー
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● 二足歩行ロボットも登場
会場には九州共立大学工学部メカエレ工房のブースもあり、ROBO-ONEにも参加した二足歩行ロボット「疾風」を実際に動かして、子供たち相手に二足歩行ロボットの構造を説明していた。
両日ともロボスクエアは家族連れで賑わっていた。これらのロボットを体験したり見たりした子供たちの中から、未来の福岡のロボット技術を担う人間が出てくるのかもしれない。
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二足歩行ロボットの構造について、来訪者に説明する九州共立大学工学部の水井氏
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九州共立大学工学部メカエレ工房が製作した疾風(左)とワンダム(右)
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■URL
ロボスクエア
http://www.robosquare.org/
( 大林憲司 )
2007/02/13 16:43
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