かながわサイエンスパークイノベーションセンター内のKSPギャラリーにおいて、インダストリアルデザイン展「多彩なロボットたち」が2月20日まで開催されている【写真1】。主催は川崎市、共催は神奈川科学技術アカデミー。このイベントでは、ホビー用や家庭用の市販ロボットを中心に、30体以上のロボットが展示されている【写真2】。
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【写真1】かながわサイエンスパークイノベーションセンターで開催中のインダストリアルデザイン展。テーマは「多彩なロボットたち」
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【写真2】西塔3FにあるKSPギャラリー。30体以上のロボットが展示されていた
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同サイエンスパークの江澤正秀氏(情報交流企画&施設サービスディレクター)は、「かつて'80年代には産業用ロボットが盛んだったが、そのころは動く機械というイメージが強く、ロボットの外観までは配慮されていなかった。最近では、2足歩行ロボットや家庭用ロボットなどに人気があり、デザイン性に優れた製品がたくさん登場している」と、イベント開催の主旨について説明した。
デザイン的な観点から見ると、家庭用ロボットおよび癒し系ロボット分野には、洗練されたインダストリアルデザインの製品が多い。日常生活に自然に溶け込むように設計され、なおかつ親近感が抱けるように配慮されているからだろう。
今回のイベントでは、テムザックの「ロボリア」【写真3】、知能システムの「パロ」、ビジネスデザイン研究所の「ifbot」【写真4】と「ハローキティロボ」、日本電気の「PaPeRo」、セールスオンデマンドの自動掃除機「ルンバ・スケジューラー」【写真5】などが展示されていた。
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【写真3】インテリアとして日常生活に自然に溶け込む、テムザックの「ロボリア」。外出先からの監視・留守番やテレビ電話などにも利用できる
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【写真4】コミュニケーションロボット「ifbot」。言葉を認識し、豊かな感情を表現できる。家族の一員としてリビングに置いておけば、やすらぎを与えてくれるかもしれない
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【写真5】リモコン操作で掃除時間のスケジュールを設定できる。あとは「ルンバ」にすべてお任せすれば、手間要らずだ。米国では掃除ロボットがマーケットを牽引している
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2足歩行ロボット関連では、京商の「MANOI AT01」【写真6】、ゼットエムピーの「nuvo」【写真7】、近藤科学の「KHR-2HV」【写真8】、日本遠隔制御の「RB2000」【写真9】、アイ・ビーの「Prikus/R Type-01DX」【写真10】、エイチ・ピー・アイ・ジャパンの「G-ROBOTS GR-001」【写真11】、システクアカザワの「PLEN」【写真12】、ハイテックマルチプレックスジャパンの「ROBONOVA‐1」【写真13】、イクシスリサーチの「和ボット」、夢現工房の「週刊MYROBOT実機サンプル」などが展示。2足歩行ロボットはユーザー自身でカスタマイズできるものも多いので、工夫を凝らしながら、デザインについても学ぶことができる。
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【写真6】アスリートヒューマノイドロボット「MANOI AT01」。発売が待たれている「PF01」は出展されていなかった。PF01はロボットクリエイターの高橋智隆氏が外装デザインを担当
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【写真7】写真左の「nuvo」は、フェラーリのデザインなどを手がけた世界的インダストリアルデザイナー、奥山清行氏がデザインを担当。写真右は、ユニークなロボット音楽プレーヤー「miuro」
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【写真8】経済産業省の「今年のロボット大賞」中小企業特別賞を受賞した「KHR-2 HV」。2足歩行ロボットを身近なものにした貢献はとても大きい
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【写真9】大車輪のパフォーマンスで有名になった2足歩行ロボット「RB2000」や、入門用の可愛い歩行ロボット「RB300」などが展示されていた
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【写真10】auの携帯電話(Bluetoothユニット搭載機)でコントロールできるアイ・ビーの「Prikus/R Type-01DX」。アクションデータも携帯電話からダウンロードできる
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【写真11】組み立て後に、PCなしで内蔵モーションをすぐに実行できる「G-ROBOTS GR-001」。機動性は抜群だ。専用送受信機も付属している(写真手前)
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【写真12】身長約23cmの小型二足歩行ロボット「PLEN」。標準ユニットでローラースケートもできる。Bluetooth内蔵のau携帯電話で無線操作も可能だ
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【写真13】ハイテックマルチプレックスジャパンの「ROBONOVA‐1」。初心者向けと中・上級者向けの2種類のプログラミングツールが同梱されている点がうれしい
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また、教育用ロボット分野としては、レゴジャパンの「レゴマインドストームNXT」【写真14】や、JAPANROBOTECHの「RoboDesigner」のデザイン例なども紹介されていた。いずれも教育用として学校関係に広く普及しているキットだ。この種のロボットは、あらかじめ決められたロボットをつくるのではなく、一からユーザー自身が考えながら製作していくため、柔軟な発想力と創造性を養うことができる。
たとえばRoboDesignerによる作例として、ラジコン用サーボを用いた2足歩行および4足歩行のロボットが紹介されていた【写真15】【写真16】。また、2006年のRoboCUP世界大会ジュニアリーグサッカーチャレンジにおいて、優秀な成績をおさめた作品(福岡県 奥山弘祐氏)もあった【写真17】。これは、同社のコントロールボード2枚と、地磁気・超音波・赤外線・タッチセンサなどを採用したロボットで、とても参考になる優れた応用例だった。
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【写真14】教育向けとして広く普及している御馴染みの「レゴマインドストームNXT」。2足歩行ロボットもつくれるようになった
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【写真15】JAPANROBOTECHの「RoboDesigner」作例その1。ラジコン用サーボを用いた2足歩行ロボット。詳細はこちら
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【写真16】「RoboDesigner」作例その2。右が4足歩行ロボットの例、左がドリブル機構を組み込んだサッカーロボットの例だ
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【写真17】RoboCUP世界大会のジュニアリーグサッカーチャレンジで優秀な成績をおさめた作品。RoboDesignerのコントロールボード2枚が使われている。駆動部には、全方位に動けるオムニホイールを採用
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そのほかに、NPO法人国際レスキューシステム研究機構によるレスキューロボット「かながわ蒼龍」【写真18】や、第13回かわさきロボット競技大会に出場した小原歯車工業の「燐 Sentinel」【写真19】と、セントラル技研工業の「魔神皇 SABER」【写真20】も展示されていた。
市販品が中心だったため目新しいものはあまりなかったが、ロボットデザインという観点からは、多数のロボットが一度に集まっており、それぞれ用途別の開発コンセプトを比較しながら、デザインについて考えることができる。さらに今回のイベントでは、「かわさき産業デザインコンペ」で入賞した作品も数多く展示されていた【写真21】【写真22】【写真23】【写真24】。こちらはロボットではないが、人間工学に基づいた機能性の高いインダストリアルデザインが目を引いた。
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【写真18】国際レスキューシステム研究機構と、東工大の広瀬教授が共同で開発したヘビ型レシュキューロボット「蒼龍4号」がベースになっている。床下点検作業に必要なカメラなどを搭載
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【写真19】第13回かわさきロボット競技大会に出場した小原歯車工業の「燐 Sentinel」。この大会においてデザイン賞を受賞した作品
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【写真20】セントラル技研工業の「魔神皇 SABER」。かわさきロボット競技大会のバトルロボットトーナメントで準優勝に輝いた作品
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【写真21】2005年のコンペでグランプリを受賞した足ゆりかご「フット・ピロー」が特別に展示されていた。「足まくら」という斬新なアイデアが面白い。2006年のグッドデザイン賞にも認定された
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【写真22】2006年のグランプリ作品「リオーネ」。20代OLをターゲットにした頭部用超音波マッサージ機。ゆっくりと寝ながら疲れがとれる。また、内蔵スピーカから心地よい音楽も流れる
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【写真23】2006年の優秀賞「Leaf」。名前のごとく、葉のようなフォルムの寝椅子だという。2次曲面と3次曲面の2枚の成型合板で構成されている
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【写真24】2006年の優秀賞「ON」。受信機と発信機を同じ形にしたワイヤレス音声拡張器。受信者は手に持って使えるほか、卓上に置いても利用できるようにデザインされている
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■URL
かながわサイエンスパーク
http://www.ksp.or.jp/
かわさき産業デザインコンペ
http://www.kawasaki-net.ne.jp/design/
( 井上猛雄 )
2007/02/06 00:39
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