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社団法人 日本ロボット工業会会長 井村健輔氏
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社団法人 日本ロボット工業会は、内需および輸出から見た'06年ならびに'07年のロボット市場に関する記者会見を開き、2006年の生産額は対前年比8.1%増の7,100億円、2007年が3%増の7,300億円になるとの見通しを示した。
2006年見込みの生産額内訳は、国内が3,100億円、輸出が4,000億円。うち国内は、自動車が900億円、電気・電子は1,500億円、そのほか700億円となっている。
会長の井村健輔氏(株式会社不二越・代表取締役社長)は「今年5月の総会時点では6,800億円にのせるのは難しいのではという見通しだったが、今年は中国市場が予想以上に広がったことで電気電子分野用の実装機械の需要が伸び、予想を300億円以上上回る7,100億円に達した」と述べた。
特に携帯電話、コンピュータ、ゲーム機の組み立てに用いられる実装マウンターの需要が伸びたという。いっぽう、自動車用途は当初の見通しを若干下回った。
2007年については、各社の聞き取り結果から現時点では「3%増、7,300億円に達するだろう。それはまず間違いない」との見通しを示した。米国を中心とした自動車向けの溶接・組立などの設備投資の伸びと、電気・電子部品の実装用が東欧やインドを中心にさらに伸びることが期待されると同時に、フラットパネルディスプレイ業界が東欧での工場進出を発表していることから、実装用や液晶基盤搬送用途のロボットへの投資が期待されるという。
国内市場は、そう大きくは伸びないだろうと考えられるが、投資回復期待もあるという。また今後の中国市場については、今年大きく伸びたため、来年再び大きく伸びることはそれほど期待されないが、まだまだ国内市場そのものが伸びると考えられる。今後も、急激に伸びることはなく一般的な伸びにとどまるだろうが、しばらくは高原状態が続くとの見方を示した。
'08年以降の中期見通しについては、井村会長は「懸念材料はある。だがマイナスファクターではない」と答えた。米国自動車メーカーの組織改変やリストラが進んでいることなどから「懸念材料を織り込んでも、必ずしもマイナスにカウントしなくてもいいのではないか。ただ、今年自動車向けが見通しより減ったことはよく見ておかなければならない」と述べた。
ではこの「高原状態」はどのくらい続くのか。井村会長はサービスロボットについても触れ、「サービスロボットもペット型から介護用途までいろいろある。そういうエリアをどうカウントするかで既に1兆円はあるんだという人もいる。また今後は自動装置的なものもロボットに入ってくるだろう」と述べた。
産業用ロボットがマウンター型、アーム型にくわえてクリーンロボットや搬送ロボットが出てきたことや、今後は自動車だけではなく幅広い産業用途、3K市場などに入っていくだろうことと、人口減少や少子化を考えると市場に関しては「プラス要因しかないように思う。マイナス要因はない」と述べた。ロボットがまだ入っていない分野が多いことから、今後、ロボットの範疇そのものも広がっていくという。
また、日本ロボット工業会が事務を務める「ロボットビジネス推進協議会」設立などや経済産業省による「今年のロボット大賞」等の動向についても「さまざまな良いインパクトが出てくるだろう」と触れ、加えて「地道な意味での3K、人手代替という意味でのロボット市場をアピールしていきたい」と述べた。
なお2007年11月28日~12月1日の日程で、日本ロボット工業会と日刊工業新聞社の共催にて「2007国際ロボット展(iREX2007)」が開催される予定。産業用ロボット、サービスロボットなどが出展される。会場は東京ビッグサイト。出展申し込み期限は2007年7月27日。
■URL
社団法人日本ロボット工業会
http://www.jara.jp/
( 森山和道 )
2006/12/14 00:02
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