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アクアシティお台場内を巡回中の「Reborg-Q」
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11月27日、綜合警備保障株式会社(ALSOK)は、同社がこれまで開発してきたガードロボットと、人間の警備員を融合させた常駐警備システム「Reborg-Q(リボーグ・キュー)」を開発し、12月中旬から「アクアシティお台場」にて運用開始すると発表した。
「リボーグ」とは「リモート・サイボーグ」からの造語。「Q」はQuality(品質)、Quick(素早い対応)、Q&A(コミュニケーション)のQを意味している。綜合警備保障株式会社 ブロードマーケット事業部 課長代理 滋田浩嗣氏によれば、遠隔地にいるロボットを、あたかも自分自身の分身、あるいは拡張として連携させることで、警備員の能力を増強する人機一体を目指したシステム名称だという。
ロボット本体は、同社が2005年6月に開発・発表した「ガードロボ・D1」を改良したもの。寸法は高さ130cm、幅65cm、奥行き70cm。重量は90kg。動力はDC24V鉛蓄電池。充電はロボットが自動で行なう。4輪タイヤ(駆動は前輪)で移動する。監視装置への通信には無線LAN(IEEE 802.11b/g)が使われている。
前後左右のカメラのほか、人体、水漏れ、火災センサーを搭載。館内地図による自動巡回機能で、動哨、立哨を行なう。
予め指定しておいた重点箇所に近づくと、監視PCにそのことを知らせる機能を持っており、警備員が常時監視していなくてもよくなった。また指定した箇所で撮影・記録を行なうこともできる。監視PCからはロボット自体の遠隔操縦やカメラコントロール機能のほか、テレビ電話としてのロボットを通じて遠隔地とのコミュ二ケーションがとれる。
走行方式も地図情報による自動走行だけではなく、監視PC側からのジョイスティックによるリモートコントロール、そしてハンディリモコンを使ったコントロール方式を追加した。これにより、たとえばイベント時などにこれまでよりスムーズにロボットを使った警備活動が可能になるという。
またエレベーター制御部を改修すれば、監視PCから指令を送ってエレベーターのカゴを動かすことも可能になる。これによってロボットが決められた階を自動運行できる。
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左右の肩の部分に側面方向のカメラを持つ
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ボディ下方には火災センサ、人感センサーなど各種センサを装備
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高さは130cm。システムの一部として警備員と共同で警備業務を遂行する
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現場の警備員が使いやすいようにインターフェイスが改善された
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重点監視ポイントにロボットが到達するとアラートが出る
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画面を見ながらジョイスティック操作で動かすこともできる
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ハンディリモコンでも操作できる
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ハンディリモコン
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テレビ電話のように使って警備員が対応することも可能
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「ガードロボD1」に比べると、少し大きくなって大人でも画面を見やすくなった。また、表示パネルをタッチパネルに戻すなど、一度は削られたコミュニケーション用の機能が改めて付加されている。表示はカスタマイズできるほか、迷子案内機能などもつけられた。これは迷子情報をセンター側で入力すると、ロボットの表示画面の下にその文字情報がテロップとして流れるというもの。
合成音声による発話機能も持つので、コマーシャルやキャンペーン情報、天気予報や時報などを音声で案内することもできる。
右肩部分には非接触ICカード「Felica」のリーダーを標準搭載しており、社員証としてFeliCaカードを使っている会社の場合は、入退出チェックなどに使うことができる。
なお、腕はオプションとなる。D1のように、消化器を付けることも可能だ。
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ロボットのディスプレイは通常は店内情報などが表示される
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監視PC側の迷子情報入力画面
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入力された情報がロボットのディスプレイに字幕として表示される
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タッチすると、より詳しい迷子情報を見ることができる
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右肩の四角形のへこみはFelicaのリーダー
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「Reborg-Q(リボーグ・キュー)」システムの基本コンセプトは2点ある。まず1つ目は、人間とロボットがやることを分けて、常時監視のような機械が得意とすることはロボットが担当し、判断のような人間にしかできないことは人間が行なうことで、警備密度を向上させ、全体の警備水準を高めることだ。
もう1つは、インフォメーション機能と自動走行機能、そしてロボットならではの演出機能によって施設の付加価値を高めること。「アイデア次第でさまざまなサービスを提供できる」という。
これまでと一番変わった点は、開発機のテスト運用結果を経て、現場の警備員からの要望を受けてインターフェイスをより使いやすく改善した点だという。
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綜合警備保障株式会社 ブロードマーケット事業部 課長代理 滋田浩嗣氏
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綜合警備保障株式会社 開発技術部 機器開発室 下笹洋一氏
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これまではロボットに関する専門知識がなければ操作できない面が多く「使いづらい」と言われていたが、より直感的なものへとロボットのインターフェイスを改善し、誰にでも操作できるようにマニュアルを整備した。これにより、新人隊員への教育も可能になった。
また、主要部品もモジュール化され、メンテナンス時間と費用も短縮されたという。
「Reborg-Q」は、月々、1台あたり38万円でのリースとして運用される。「アクアシティお台場」では12月中旬からの運用となる。詳細は未定だが3Fフロアーでの運用となる予定。
アクアシティお台場ではこれまでのALSOKの警備ロボットのテスト運用を行なってきた。これまでのロボットも子どもたちにはたいへん人気があったそうで、ロボットが動き出すと子どもたちがぞろぞろとついていく様子が見られたそうだ。基本は警備ロボットだが、同所ではお客への新しいエンターテイメントとしてもロボットを活用していくという。
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会見では同社が開発してきた歴代ロボットも展示された。右から2番目がモデルとなった「D1」
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アクアシティお台場3Fの天井にはロボット用の無線LANステーションが設置されている
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巡回の模様
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■URL
ALSOK
http://www.alsok.co.jp/
アクアシティお台場
http://www.aquacity.co.jp/
【2005年6月24日】綜合警備保障、屋内警備用ロボット「ガードロボD1」(PC)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0624/alsok.htm
( 森山和道 )
2006/11/28 01:25
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