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2足歩行ロボット格闘競技会「ロボファイト4」レポート

~市販キットロボからオリジナルロボまでが一堂に集う

 11月18日(土)、大阪産業創造館イベントホールにて、「ロボファイト4」が開催された。主催は、ロボットフォース。参加台数は過去最高の72体。


ロボファイトとは

過去最大72体のロボットが参加
 ロボファイトは、市販の二足歩行ロボットキット ノーマル機体から、オリジナル製作ロボットまでが、一堂に集まる西日本最大の二足歩行ロボットイベントだ。

 メイン競技は、二足歩行ロボットが1対1で格闘するトーナメント。ファイトは、3分1ラウンド3ダウン制。有効な攻撃により、ロボットの足裏以外がリングに接地すると審判によりダウン判定が行なわれる。ダウン後10カウント以内に立ち上がれない場合KO負けとなる。3ダウン先取で勝敗が決定する。攻撃以外の理由で転んだ場合はスリップダウン扱いとなり、ダウン数にはカウントされない。

 ロボファイト特有の攻撃に「発射体ルール」がある。パイロット(ロボット操縦者)は、試合前に発射体の技名を審判に申告し、「ハロブーメランっ!」などと叫び(宣言しないと命中判定されない)、射撃する。相手の胴体中央付近に命中すると1ダウンと扱われる。装弾数は3発まで、3ダウン目は発射体で取れないという制限がある。

 トーナメントは、市販キットをベースにレギュレーションを定めた「SRC(スタンダード レギュレーション クラス)」と、機体の重量制限やサーボの規格制限を外した「ORC(オーバー レギュレーション クラス)」の2クラスに分けて行なわれる。

 ORCには、二足歩行ロボット格闘競技会として世界一の規模の「ROBO-ONE」に出場しているユーザーも多い。ちなみに、第10回ROBO-ONE大会で優勝したキングカイザーは、2005年春にロボットを作り始めたばかりロボファイト出身者だ。

 ロボットイベントやコンテストは、「ロボットを通じた教育振興」を目的に掲げられる場合も多いが、ロボファイトは、純粋にホビーストのための娯楽イベントとして行なわれている。

 そうしたコンセプトは、イベントのいたるところに表れている。例えば、市販キットのロボットがノーマルのまま参加でき、出場すれば全員がリングでバトルを経験できる。予選を突破しないとリングで戦えないROBO-ONEとは一線を画しているといえる。

 また、SRCの1、2回戦敗退者には、2×2バトルへの参加権が与えられる。

 2×2バトルは、主催者が組分けし、ペアで戦うトーナメント戦だ。SRC参加者は比較的ロボット初心者が多いため、イベントを通じてロボット仲間とのコミュニケーションを楽しんでほしいという主催者の気持ちがある。

 ORCにも敗者復活戦があり、敗者復活戦トーナメントの優勝者は、本戦トーナメントの3位と同等に扱われる。そして、表彰式終了後には、全員参加のバトルカオスが開催される。

 というように、とにかく参加者全員が1日中ロボットで遊ぶことを目的としたイベントが「ロボファイト」だ。


コントローラーを操る姿に闘志が見える 大会テーマソングを熱唱する参加者達

 各競技から印象に残った試合を紹介する。


SRC

 SRCは、市販二足歩行キットユーザーがメインになっている。ノーマルロボット、有線コントロールでも参加できるため、この日のためにロボットを組上げて参加する人もいる。

 コマンドを覚えきれずに、メモ書きを見て操縦しているパイロットがいるのも、初心者向け大会という感があり、ほほえましい。だが、そうした初心者がトーナメントを勝ち上がるのはやはり難しい。ロボットのバトルは機体性能以上に経験がものを言うからだ。

 決勝は、NAKAYAN氏の「ASSAULT-v2」対 ひろのっち氏の「SureDigger」の対戦となった。ASSAULT-v2は発射体を有効に使い、連続攻撃で相手を果敢に攻めていた。

 互いに技を掛け合い、紙一重で避けるタイミングが見事で見ごたえのある試合であった。ダウンカウント2-2で今大会唯一の延長戦に突入。延長戦は、ダウン先取した時点で勝敗が決する。

 細かいサイドステップで有利なポジションを取りつつ、重量差を活かしてSureDiggerが勝利を手にした。


KHR-1に100均グッズで外装を作成したという「カブト」。対するは、6軸の「ハロっぽ」 ロボットの向きにパイロットが身体を合わせるのも、重要な操縦テクニック 【動画】SRC決勝戦。ASSAULT-v2 対 SureDigger。迷彩パンツを履いたロボットがASSAULT-v2

ORC

 ORCクラスには、オリジナルロボットや市販キットのサーボを強化したり機体を大きく改造したロボットが出場する。軽量級~5kgの重量ロボットまでが混在して戦う。

 ROBO-ONE常連のロボットも出場しているが、どことなくほのぼのした雰囲気のバトルは、ロボファイト特有のものだ。

 だが、今大会は第11回ROBO-ONE決勝出場認定大会となっている。優勝が射程圏内にはいった準決勝から、ファイトの雰囲気がそれまでとは一変し緊張した。

 正直言って、準決勝で、KZR-4(KAZZ氏)と振武改(中川電機氏)が敗退したのは意外であった。過去の戦歴や、今回トーナメントを勝ち上がってきた様子から、筆者は、両者が決勝で戦うことになるだろう……と予想していた。

 ロボットバトルは経験がものを言うが、パイロットの精神状態はそれ以上に影響が大きい。準決勝で優勝(と、第11回ROBO-ONE決勝出場権)を意識したとたん、ロボットの動きはそれまでの精彩さを欠いたように見えた。

 決勝戦は、dauto氏の「YOGOROZA」対小南 秀昭氏の「あいぼーX」。試合はあいぼーXがダウンを先制したが、YOGOROZAは長い手を振り回して、追いつく。その後も落ち着いた試合運びを展開し、勝利を決めた。


KZR-4(KAZZ氏)対 振武改(中川電機氏)の3位決定戦。手前がKZR-4 【動画】「YOGOROZA」対「あいぼーX」。青く大きな手をもつのがYOGOROZA 優勝したYOGOROZA。製作者のdauto氏に第11回ROBO-ONE決勝出場権が与えられた

九州 vs 関西対抗戦

 今回は地域対抗戦として、「九州ロボスクエアーズ」対「関西ロボファイターズ」の団体戦が行なわれた。

 最近は全国で多くのロボット競技会が開催されるようになり、ユーザーの層が厚くなってきた。地域対抗戦は、同じ地域のロボットユーザーがチームを組んで、遠征バトルをしたら面白いだろう、という発想から生まれた。

 各チーム5体のロボットが、先鋒から主将まで1対1でバトルを展開した。

 ロボット歴はロボファイターズの方がややセンパイ格。バトル経験が豊富なロボファイターズに対し、ロボスクエアーズはスピードを活かした戦法で挑んだが、一歩及ばなかった。試合結果は4-1で、ロボファイターズの貫禄勝ちといった様子だった。

 バトルする仲間の後ろで、チームメンバーからアドバイスや応援が送られていた。ダウンを取られると全員で悔しがり、奪うと拍手とガッツポーズで喜ぶ。団体戦には、トーナメントにはない盛り上がりがあって、観客も楽しい。

 今後も地域対抗戦を行なっていくので、仲間を集めて試合の申込をしてほしいと主催者のコメントがあった。


九州から遠征した「九州ロボスクエアーズ」 迎え撃つ「関西ロボファイターズ」

2×2バトルトーナメント戦

 2×2バトルも3分間1ラウンド3ダウン制。ペアを組んでいるロボットのどちらかが、3ダウンをとられると勝負がつく。

 決勝戦は、ワイルダー01(かつのひろふみ氏)&ディザスターチーム(近畿ポリテクロボット部) 対 Tiroloppo(まさゆき氏)&たぬたぬさん(ほり氏)チーム。

 実は、Tiroloppo&たぬたぬさんチームは、ここまで一度もダウンを取られていない。が、相手からダウンを奪ってもいない。全試合を判定勝ちで勝ち上がってきた。

 バトルのムービーを見ていただくとわかるが、たぬたぬさんは観客を味方にしている。

 ロボットに心はないが、パイロットの多くは男性のため、「可愛い」を武器にしている相手は戦いづらいらしい。

 とはいうものの、「優勝」のタイトルがかかると、シビアになる。実力で勝ちあがってきたワイルダー01&ディザスターチームが難なく優勝を決めた。


初対面同士でペア戦。ロボットビルダーの交流を深める 【動画】ワイルダー01&ディザスターチーム 対 チロルロッポTiroloppo&たぬたぬさん

バトルカオス

 バトルカオスは、赤青チームに分かれて陣取り合戦を行なう団体戦。試合終了時にポイントが記されているプレートの上に立っているロボットの合計点数で勝敗が決まる。

 約40体ものロボットが一斉に動くさまは他では見ることができない。

 いたるところでバトルが行なわれ、ロボット達が蠢いている。正直、観客視点からは何がなにやらわからなくい、といった点は主催者も理解していて、このバトルカオスは表彰式終了後に行なわれる参加者のための特別イベントなのだ。

 参加者は、最後に全員でロボットを動かして、「1日中ロボットで楽しんだ!」という充実感を感じているようだ。


ロボットが一斉に動く様子は壮観の一言 【動画】バトルカオスの様子

 というように、ロボファイトの楽しさは、参加するところにある。「キットを購入してロボットを作ったけれど、遊ぶ場がない」というユーザーは多いのではないだろうか?

 同好の士が集って、自分のロボットを披露し、互いに競う楽しさは一度経験すると止められない。

 次回は、2007年1月14日に練習会の「ロボゴング5」、5月12日に「ロボファイト5」が予定されている。ロボットをもっているユーザーに、ぜひ参加して欲しい。


URL
  ロボットフォース
  http://www.robot-force.jp/


( 三月兎 )
2006/11/22 18:44

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