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神戸・国際フロンティア産業メッセ2006レポート
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神戸国際展示場にて、10月4日、5日の2日間、「国際フロンティア産業メッセ2006」が開催された。
主催は、兵庫県、神戸市のほか経済団体など12団体、参加団体数は198。ナノテクノロジー(超微細加工技術)やロボット技術、環境・エネルギー分野を中心に新製品やノウハウを紹介した。2日間で約17,000人の来場者があった。
「国際フロンティア産業メッセ2006」は、地域産業の回復と新たな活力創造を支援するとともに、神戸を中心とする地域の国際的な技術・ビジネス交流の基盤形成をより一層加速するために、国内外の企業・研究機関が一堂に会する次世代戦略技術の見本市である。
今年は特に、兵庫県が全国有数の産業・知的ポテンシャルを有し、また成長性も高いロボットテクノロジーのデモンストレーションに注目が集まっていた。
ここでは、連日開催された「ロボット・ウェアラブルコンピュータステージ」で紹介されたロボット及びテクノロジーに焦点を当ててレポートをする。
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神戸をイメージした水兵さんロボット
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ビー・エル・オートテックは、神戸の観光案内に貢献する二足歩行ロボット「Robotch II」の紹介をした。
Robotch IIは、神戸をイメージした水兵さんのデザイン。発話機能を持ち、首をかしげる動作と身振り手振りで会社案内と自分の開発エピソードを話した。センサーにより人が近づいたことを見知できる。
また、学習用ロボットキット「VariBo(ヴァリボ)」のデモンストレーションもあった。
VariBoは、サーボモータコントロール用のマイコンボードを構成するAパーツ、「上半身フレーム」用のBパーツ、「下半身フレーム(片脚分)」または「左右膝と腕部追加フレーム」のCパーツからなっている。
ユーザーが、各パーツをセレクトして組み合わせることで、オリジナルロボットを作製できるのが特徴。
VariBoは、パソコンからの音声再生機能を標準で持っている。オプションで赤外線センサーを搭載可能。足先につけたセンサーで、サイコロを自動認識しキックするモーションも披露した。
神戸大学工学部電気電子工学科の塚本昌彦教授を中心としたNPO法人ウェアラブルコンピュータ研究開発機構(チームつかもと)は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使ったウェアラブル・コンピュータのデモンストレーションを行なった。
「ウェアラブル・コンピュータ」とは、服や眼鏡のように身につけて(wear)利用するコンピュータのことを言う。
チームつかもとでは、HMDの産業用用途を模索しているが、現時点では、一般ユーザーが使いやすい広く実用的な製品はまだまだ生まれておらず、実際のアプリケーション開発、提案も十分なものとは言えない状況が続いているという。
だが、この10年間で携帯電話をはじめモバイル端末が急速に浸透した背景があり、ウェアラブルコンピュータに対する潜在的需要があることは確実だという。今年に入り、携帯電話、家電メーカーからの問い合わせが多く、エンターテイメント分野を重点的ターゲットとして、ビジネス展開を目的とした活動を実施している。
携帯電話は10年で1億台普及し、最近は特に3G携帯の需要が伸びている。モバイルの通信速度が早く、パケット代も安くなってきており、今まで難しかったものが技術的に可能になっている。そうしたことを前提に、塚本氏は、次のように今後のウェアラブル・コンピュータの動向を予測した。
「これから2年間で、モバイルコンテンツ産業が急激に立ち上がる。携帯電話のコンテンツ利用が増えると、端末を手で持って見るのが面倒になるだろう。HMDを使えば、携帯電話をポケットにいれたまま、ハンズフリーで画面を見ることができる」
HMDは、携帯電話だけではなくデジカメやビデオプレーヤーにも対応できる。例えばデジカメがHMD対応になると、スポーツしながら写真撮影も可能になると予想する。
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インカムのマイク部分に画面が見える。「見るインカム」
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デジカメも装着型になる。ゴーグルタイプのデジカメ
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ステージでは、HMDを装着したオペレータがUSBカメラで自分が見ている風景を、PCに転送。PCオペレータが、送られてきた映像にアイコンとコメントをつけて、HMD装着者に作業指示を出すデモンストレーションを行なった。
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HMDを装着したオペレータが見ている風景が、スクリーンに映し出されている
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PCオペレータが映像にアイコンとコメントなどを書き込み、HMDオペレータに指示を出すことができる
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株式会社システムワットは、組合せ型ロボットユニット「ROBOCUBE/neurocube」を紹介した。「ROBOCUBE」は、ひとつひとつは5cm立方のブロックの形状をしている。
種々の音を出すブロック。音楽入力もできるサウンドブロック、RGB3色の組合せで自由に色を出すライトブロック、速度制御や角度制御を搭載したモータブロック他、各機能ブロックに通信機能を持つICが搭載されている。
ブロック同士を自由に組み合わせて簡単に高度なシステム構築、ロボットの製作ができる。タイル言語でプログラム可能であり、既に、教育・研究用途として多く使われている。
携帯電話FOMAを使い、双方向でロボットの周囲の監視を行なえる「パノラマFOMA」も発表した。180度の視野を持った留守番機能を持つコミュニティロボットで、携帯電話を通じて動画をリアルタイムで見ることができる。
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近日発売予定のFOMAによるリアルタイムモニタリング装置
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車輪型に組んだロボキューブを携帯電話で遠隔操作するデモンストレーション
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有限会社ピノキオは、動物のキャラクタをしたボールすくいロボット、たこ焼きロボットなど、アミューズメントロボットのレンタルをしている会社である。
同社の井辺智吉社長は、三菱重工業の高砂研究所で特殊用途ロボットの研究開発に携わっていた。阪神・淡路大震災を機に独立し、子どもたちや高齢者に夢を与えられるような、人との触れあいを目的としたユニークなロボットを開発してきたという。
ビジネス分野に応用できる技術開発も行なっており、今回のステージでは、関西電力と共同開発中の壁面吸着ロボットを紹介した。
壁面吸着移動ロボットは、コンプレッサーで建物の外壁に吸着し上下左右に移動する。
重量も約3kgと軽量のため、1人で取り扱うことが可能。
5~6階建て足場を組んで点検・補修を行なうことがコスト的に難しい建物や、小さな補修、雨漏りなど緊急を要する補修などにニーズがあると考えているという。来年2月完成を目指し、実用化に向けた研究が重ねられている。
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イベント会場で子ども達の人気を集めるボールすくいロボット
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たこ焼きロボット。生地を丸めながら焼くことができる。客寄せのデモンストレーションを想定している
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関西電力と共同開発中の壁面吸着ロボット
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フレキシブルセンサーチューブ(FST)をマスター装置とした例
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旭光電機株式会社のブースでは、未来をイメージした衣装を身につけFST(フレキシブルセンサーチューブ)マスタースレーブを出展した。
FSTは、瓦礫内を探索するロボット“MOIRA”の位置検索用として、神戸大学工学部と共同開発した。FSTを1m程度のユニットにし、他用途への展開も可能となった。可能性の一つであるマスタースレーブアームロボのマスター装置としての利用法を提案した。
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「りりあ」とトランスフォーマー「WR-07」のバトル
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姫路ソフトワークスは、二足歩行ロボット大会「ROBO-ONE」で活躍した、女の子ロボット「りりあ」と二足歩行から車に変形するトランスフォーマーロボットを披露。2m走やバトルのデモンストレーションで、会場の注目を集めた。
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右上の四角い装置がコントローラー。ハンドルを回すと発電しロボットが動く
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大阪府立高専は、レスキューロボットの実用化をテーマに人力で発電して駆動する探索装置を展示した。
ホイール直径約15cm、幅は約20cm。重量が10kgとコンパクトなサイズで、全てがケースに収容され、災害現場にすぐに出動できる。電源の途絶した現場でも、瓦礫内を探索し、救助活動が可能。低コスト化し、製品化に向けた開発を進めている。
また、会場では関西次世代ロボット推進会議プロジェクトオフィサーの石黒周氏が「次世代ロボットビジネスにどのように取り組むべきか~次世代ロボット ビジネスの事例と成功の鍵~」をテーマに講演を行なった。
石黒氏は、「技術者の方が次世代ロボットを志向してビジネスを立ち上げようとする場合に、まずモノを作ってみて、それがどうやったら売れるのだろう? と考えるパターンが多い。そうではなくて、まず先にカスタマーバリューがあって、それにテクノロジーやモノを付加するという方向でなければ、ビジネスとしての芽がでない。」という。
また、「次世代ロボットビジネスは、製造業だけではビジネスに結びつかない。製品とサービスの一体化を考えることがビジネスを産む。
次世代ロボットあるいはロボットテクノロジーによるデバイスを、ユビキタスネットワークと融合することは特に重要である。
もちろん、ロボットビジネスというからには、ロボットの特性を活かさなくてはいけない。ロボットは巨大な産業になるが、全てをロボットに代替させる必要はなく、また、プロセスの一部分だけを機械化することに意味はない。
既存のサービスプロセス全体を、人とロボットが協調することを前提として、リエンジニアリングすることが重要になる」とロボットビジネス産業参入のポイントを語った。
■URL
国際フロンティア産業メッセ2006
http://nikkan-event.jp/kobe/index.html
( 三月兎 )
2006/10/11 14:49
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