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産総研、全方向ステレオカメラを搭載したインテリジェント電動車いすを開発


 9月20日、独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研)は、全方向の3次元情報をリアルタイムに取得して衝突防止や段差確認を同時に行なえる「インテリジェント電動車いす」を開発したと発表した。搭乗者のジェスチャーや乗車姿勢異常を検出して緊急停止したり、無線LANあるいは携帯電話網を使って外部に通知することもできる。

 開発したのは情報技術研究部門の坂上勝彦部門長と、同部門ユビキタスビジョン研究班の佐藤雄隆研究員。科学技術振興調整費「障害者の安全で快適な生活の支援技術の開発」の一環として、厚生労働省国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所と共同で開発した。

 同プロジェクトでは車椅子のインターフェイス技術や電動車椅子の知能化に関する研究を行なっているが、今回の発表はそのなかの一環で、全方向ステレオカメラを使って車椅子のまわりの危険を検出して停止する技術を実現したもの。

 現在のモデルは車用の鉛蓄電池を使用しており、3時間程度の駆動が可能。走行速度は時速3〜4km程度を想定している。また法定速度は時速6kmだがファームウェアを書き換えれば時速40km程度出すことも可能だという。


インテリジェント車いす 右肘のジョイスティック 左肘にはVAIO type Uが端末として付けられており、カメラからの画像を見ることができる

開発した産業技術研究所 情報技術研究部門ユビキタスビジョン研究班研究員の佐藤雄隆氏
 画像処理技術を使って障害物を検出する技術は自動車などで開発され実用化されているが、電動車いすが必要とする、実際に歩行する人が多数いる歩道で使える技術は少ない。そこで産総研では、今回開発にあたった佐藤氏の前職であったJSTの岐阜県地域結集型共同研究事業(HOIP)で開発された、真上も真下も含めた全方向の距離情報を画像情報から取得できる「全方向ステレオシステム(SOS)」を使うことで、周囲から危険を検出すると同時に、搭乗者を見守る技術を開発した。

 全方向ステレオシステムは、3個一組、合計36個のカメラを12面体に組み合わせたもの。全方向で12個の画像を取得して解析することで画像情報だけではなく距離の情報もリアルタイムで取得できる。カメラを中心に半径3mの範囲にある障害物を、最大で毎秒7.5回検出することができる。

 また取得した画像は全方位のディスプレイに投影することもできるし、魚眼レンズによる画像の様な形で円形に表現したり、メルカトル図法を使って平面に表現することもできる。


全方向カメラシステム(SOS)。今回車椅子に搭載されたものは直径11.6cm、重さ600g 基本形状は3個一組、12面体 完全に同期した12個の画像を撮れる

全方位画像を世界地図のようにメルカトル図法で表現したもの 【動画】球面画像表示。水晶玉のようにさまざまな方向から眺めることが可能

搭乗者自身の姿もよく見える 取得画像は無線LANで外部のPCに飛ばすことが可能

 電動車いすではこのカメラをユーザーの頭上に設置し、周囲が見渡せるようにした。ほぼ目線の高さにカメラが設置されるので、生活空間のなかでぶつかりにくいことが利点だ。

 またユーザー自身の姿もまるごと見ることができ、ユーザーのジェスチャーに反応することもできる。手足を突っ張る動作を検知して自動停止したり、エレベーター内のボタンを押す場合など、手を伸ばしても少し距離が足らないときに自動的に前進するなど、ユーザーの生活のアシストも可能だ。さらに将来的には携帯電話経由でのリモートアシストにも使えるという。

 このカメラを使うことで、超音波センサーや赤外線センサーでは難しかった水平面より低いところにある、たとえば下り階段の検出も可能になった。今後はレーザーレンジセンサーなど他のセンサーとも組み合わせて、より周囲の事物を見分ける技術の確立を目指す。


【動画】動作デモの様子。障害物を検出して停止する 【動画】搭乗者が気づかない背後の障害物も検出して停止 【動画】人間のジェスチャ認識ができる。少し手が届かないときに自動前進してアシストする

たとえばエレベーター内のボタンに手が届かないときのアシストなどが可能 【動画】パッと手を前に出すと自動停止する

【動画】気分が悪くなって前屈みになるなど異常姿勢を検出して自動停止・通報する機能を持つ 【動画】人間を見つけて距離1mを空けて正対するデモ。障害物検出技術の応用アプリのひとつ

 今後、バッテリをリチウムポリマーなどに置き換えて電源の改良を行ない軽量化することで駆動時間を5時間程度に伸ばすと同時に、臨床現場でのテストや屋内環境から屋外での移動の実験等を行なっていく。

 安全性だけを重視するのであれば、とにかく止まってしまえばいい。しかしそうすると思うように動けなくなる。佐藤氏は「『安全に動く』ことと、『思うように動ける』という相反する点に対するバランスが重要。今後調節していきたい」と語った。

 マーケット面での課題はあるが、技術を部分的に切り出したり、自動車など他の市場へと展開することでコストを下げていき、10年後には普及させたいという。

 なおこのインテリジェント電動車いすは、9月27日〜29日に東京ビッグサイトで開催される第33回国際福祉機器展にて、国立共同リハビリテーションセンター研究所のブースで展示される。1日1回、デモも行なわれる予定。


URL
  産総研
  http://www.aist.go.jp/
  ニュースリリース
  http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2006/pr20060920/pr20060920.html


( 森山和道 )
2006/09/21 00:05

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