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産総研、ロボット産業活性化を狙うオープンアーキテクチャの開発を開始


 6月27日、独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)は、産学官連携プロジェクト「ユーザー指向ロボットオープンアーキテクチャ」(User Centered Robot Open Architecture:UCROA)の開発を開始したと発表した。

 ロボットの要素機能モジュール群の仕様を公開し、ロボットのアーキテクチャのフレームワークを確立することにより、多様なユーザーのニーズに対して要素機能を組み合わせて、ローコストでロボットを開発できるようになるという。

 全体のコストを下げ、複数企業で技術発展シナリオを共有することで、技術シーズを商品化するまでにかかる20~30年間の通称「死の谷」を乗り切ることを目指す。

 プロジェクト期間は今年4月から3年間で、開発予算は5~6億円。実際に3種類のプロトタイプロボットを製作して、要素機能の組み合わせで多様な機能を持ったロボットが製作できることを実証する。

 3種類のプロトタイプロボットは以下のとおり。アクティブRF-IDと屋内GPSを使い、トラックとパレットの荷下ろしなどを行なう「物流支援ロボット」、筋ジストロフィーや頚椎損傷の障害者が自分で操作できる作業代行システムとして機能する「対人サービスロボット」、人間に近い外観・形態を持って自立移動でき、人間とインタラクションができる新しいヒューマノイドロボット「サイバネティックヒューマン」。


新技術開発直後は注目され研究資金も投入されるが、時間がたつにつれて注目が薄れていき、研究資金も少なくなり、商品化までの障害となる。この状況が“死の谷”と呼ばれる すぐに投入可能な要素技術の組み合わせによって少ない投資で早期に商品化を果たし、死の谷を克服するのが狙い UCROAのプロジェクト期間は3年

 産総研は、分散オブジェクト技術を利用した、ロボットシステム構築のためのソフトウェア基盤技術「RTミドルウェア」を開発して仕様の標準化を行なっている。プロトタイプロボットの開発を通じて、音声認識や視覚認識技術などの各種技術を「RTミドルウェア」で共通利用可能な要素技術モジュールとして開発する。技術1つ1つをコモディティ化し、複数の産総研技術移転ベンチャー企業の立ち上げや他社の参入を促して、次世代ロボットの産業化を狙う。

 プロトタイプロボットは、現在検討中の物流支援サービス企業のほか、株式会社ナムコ、株式会社ココロとの共同研究で開発することが決まっている。

 そのほか、産総研技術移転ベンチャー企業等のほか、2006年夏に民間主導で立ち上げが進められているロボットビジネス推進協議会やその他の取り組みとも連携し、ロボットベンチャーによる新規市場開拓を推進すると同時に、ロボット開発参入への技術的なハードルを下げることを試みるという。


UCROAの概要。ユーザーのニーズを様々なロボット技術シーズで実現する 外部組織との関係

 「要素技術を実用的なところまで持っていくために、産業界のニーズをどう捉え、どうチューニングして、作っていくかが現在のロボットの課題」と語る産総研・知能システム研究部門・研究部門長の平井成興氏は、「今回のプロジェクトの特徴は、シナリオを持つことと、プロトタイプを作ること」だという。

 「ロボットの要素技術は一見バラバラに見える。でも、ミドルウェアを使えば、フレキシブルに入れ替えたり、要素技術を組み合わせることができるようになる。今回のプロジェクトで実際にプロトタイプロボットを作ることで『こうやればいいんだ』と分かってもらうつもりだ。そうするとチャレンジングなベンチャー企業も登場してくる。うまくいった暁には、技術の要素群ができる。技術ベンチャーを育て、新しいロボット産業を生み出せたら、と考えている」とロボット技術連携の夢を語った。


産総研内にある展示スペース「サイエンス・スクエア つくば」で展示されている高機能3次元視覚システム「VVV]。UCROAで利用されるロボット要素技術の一つ 展示では3次元視覚センサーとして3眼カメラを搭載したHRP-2の頭部が利用されている ICタグを使った知識分散型ロボット制御システム。さまざまなオブジェクトにRF-IDを組み込んでロボットに認識させ、制御する

サイエンス・スクエア つくばには、これまで産総研が発表してきた成果物が展示され、自由に見学することができる。展示写真は昨年の愛・地球博で展示された恐竜ロボット 体の一部がカットされ、中の構造を見ることができる ドキュメンタリー映画化が予定されている「パロ」も展示。残念ながら昼寝中

URL
  産業技術総合研究所
  http://www.aist.go.jp/
  ニュースリリース
  http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2006/pr20060627/pr20060627.html
  サイエンス・スクエア つくば
  http://www.aist.go.jp/aist_j/museum/science/
  【2004年6月16日】産総研、Ethernet上での実時間通信をART-Linuxで実現(PC)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0616/rlinux.htm


( 森山和道 )
2006/06/28 00:44

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