第41回東京モーターショー2009開催中

~ロボット関連展示は少なめ


 「第41回東京モーターショー2009」が10月21日、千葉県の幕張メッセで開幕した。21日、22日はプレスデー、23日は特別招待日。一般公開は24日から11月4日までの予定だ。

 中心となるクルマ関連のレポートは僚誌「Car Watch」にお任せして、本誌「Robot Watch」ではロボット関連あるいはロボットに繋がりそうな技術を探ってみたい、と思って足を運んだのだが、各種報道で御存知のとおり、今回のモーターショーは世界的な不況の影響をもろに受けて大幅に規模が縮小している。技術にしても、燃料電池やハイブリッドなど、いわゆる「エコ」関連の技術ばかりが目立った。これがクルマを取り巻く時代の潮流なのだろう。

「ロボットを乗り物にできないか」:ホンダブース

「ないものをつくれ。」と掲げられたホンダブース

 本田技研工業株式会社(ホンダ)はハイブリッドカーのスタディモデル「SKYDECK(スカイデッキ)」「CR-Z CONCEPT 2009」、燃料電池電気自動車「FCXクラリティ」などのほか、来春発売予定のカセットガスを燃料とする発電機「エネポ」などを出展。9月末に発表された二足歩行ロボット技術を応用した一輪車型コンセプトモデルの「U3-X」もデモを行なっていた。また「体重歩行アシスト」と「リズム歩行アシスト」も出展されていたが、静展示のみだった。こちらは本誌読者ならばお馴染みだろうし、「リズム歩行アシスト」に関しては主に福祉関連の展示会に出展されており来場すれば体験できるので体験済みの読者もいるだろうが、モーターショーでは取材記者たちであっても初見の人が少なくなかったようだ。またホンダブースでは印象的なテキストを多用してブースが構成されており、それぞれのコピーも人目を引いていた。

ホンダブースU3-Xコンセプトは「一輪車に乗れない人が乗れる一輪車」
【動画】U3-Xのデモの様子カラーバリエーション例も示されたASIMO開発で培ったバランス制御技術を応用
体重歩行アシスト(左)とリズム歩行アシスト(右)いずれもASIMOの研究開発を通じて得た成果が応用されているカセットガスで発電できる「エネポ」(左)。カセットガスで動く耕運機「ピアンタ」に続くガスパワーシリーズ第2弾
「ロボットを乗り物にできないか」、「クルマは家電になるのだろうか」、「常識さえも、革新させる技術か」など印象的な言葉でブースを飾っていた
「ふつうを極められないだろうか。」などもホンダらしいと感じるのは筆者だけではないと思うFCXクラリティEV-Cub(イーブイ・カブ)

トヨタ、日産、ヤマハ

 トヨタ・レクサスのブースではハイブリッド専用車セダン「SAI」や、ハイブリッドのコンセプトカー「FT-EVII(Future Toyota Electric Vehicle II)」などのほか、パーソナルモビリティ「i-REAL」、立ち乗り型パーソナルモビリティロボット「Winglet」なども出展、デモが行なわれていた。なおトヨタでは「Winglet」を「パーソナルモビリティロボット」と位置づけている。

トヨタブースi-REAL、Wingletなどもデモを行なった。【動画】i-REALのデモ
【動画】「i-REAL」と「Winglet」によるデモ
トヨタ ハイブリッド コンセプトカー「FT-EV II」
i-REALなどの操縦系を4輪に応用
後ろのポールが充電ステーションのイメージ

 日産自動車株式会社はカーブするときに車体を傾け、リーン走行する電気自動車のコンセプトカー「ランドグライダー」を出展。4輪がそれぞれ独立に動き、車体を積極的に動かすという。ヤマハは電動パーソナルモビリティのコンセプトモデルとして「EC-f/EC-fs」を出展した。マフラーなどのない電動ならではのシンプルなデザインが特徴だ。

ランドグライダー正面ヤマハのパーソナルモビリティのコンセプトモデル「EC-f」と「EC-fs」
正面デザインテーマは「モダンエコスタイル」参考出品のハイブリッド自転車「PAS er」

部品など

 日立オートモティブシステムズ株式会社のブースでは、クルマを安全にするためには外界とクルマの状態を計測することが必要というコンセプトで、クルマを知能化するための基礎部品技術が展示されていた。また住友電気工業株式会社のブースではクルマのハーネス(配線)の状態が良く分かる状態で出展されていた。自動車用の各種スイッチのメーカーとして知られる株式会社東海理化電機製作所のブースでは、トヨタ「i-Unit」「i-REAL」などのバーチャルな操縦体験ができる。前回のモーターショーで体験した人もいるだろう。

日立ブース車両制御用複合センサー。2軸加速度と1軸角速度を同時計測可能。他のセンサーと組み合わせて横滑り防止システムなどに適用できるという歩行者検出などを行なうためのステレオカメラと単眼カメラ
住友電工ブースクルマのハーネスカメラ、赤外線レンズ、ミリ波レーダーなどのあるフロント方向から。
東海理化ブースi-Unit、i-REALのバーチャル操縦体験などができる

そのほか、コンセプトカーなどいろいろ

 独立系デザイン開発会社のフィアログループは、東京コミュニケーションアート専門学校、静岡文化芸術大学、国立大学法人名古屋工業大学などと「PHIARO Design Challenge 2009」と題して、都市型Public Vehicle のコンセプトカー「P70T CONCH」、そして車体が変形する近未来コミューター「X Frame FOLDING VEHICLE」のモデルなどを出展していた。「X FRAME FOLDING VEHICLE(XFV)」は、トヨタ「i-UNIT」のように高速走行モードと低速モードで車体の姿勢が変わるだけでなく、一人乗りにも二人乗りにもなれるというコンセプトの車。二人乗りモードではセグウェイ社が今年4月に発表したコンセプトモデル「P.U.M.A.」のように横に並んで座ることができる。バッテリやモーターは後輪内に内蔵する想定だ。

 財団法人日本自動車研究所(JARI)は電気自動車のコンセプトカー「C-ta」を出展。コンセプトは製品のライフサイクル全体で環境負荷を下げることだという。

「PHIARO Design Challenge 2009」のコンセプトカー「X FRAME FOLDING VEHICLE」。車体が縦方向にも変形して一人乗りになったり二人乗りになったりする側面同じく「PHYARO Design Challenge 2009」のコンセプトカー「P70T CONCH」
側面JARIのコンセプトカー「C-ta」正面
コンセプトはライフサイクル全体を通して環境負荷を下げること

 そのほか、会場内では「日本カーオブザイヤー30周年記念展」が開かれているほか、株式会社タカラトミーが来年40周年を迎えるミニカーの「トミカ」ブース、そして今年30周年「チョロQ」のブースを設置。10月に発売予定の「チョロQハイブリッド!」の実演コーナーのほか、タレントである所ジョージさんとコラボした「人が乗れる巨大チョロQ」の実用化を目指したモデルも展示されている。

 チロルチョコ株式会社はチョコバー「マッハGoGoGoBar」のミニカー・プレゼントキャンペーンの一環として主役のレースカー「マッハ号」の実物大モデルを展示。「那須クラシックカー博物館」に所蔵・展示されていたデモカーだという。

日本カーオブザイヤー30周年記念展トミカのブースPS3のゲーム「グランツーリスモ」ブース
チョロQブース所ジョージ氏がデザイン・プロデュースしたチョロQ30周年記念モデル「チョロQハイブリッド!」
チロルチョコ「マッハGoGoGo」マッハ号。「那須クラシックカー博物館」所蔵のデモカー正面


(森山和道)

2009/10/21 22:38