「第15回ROBO-ONE」開催、優勝は韓国「Bi-Ma」、強豪はいずれも敗退

~軽量級選抜大会、「ROBO-ONE」初の投げ技縛りルールも適用


 5月4日(月・祝)、川崎市産業振興会館にて小型二足歩行ホビーロボットによる格闘大会、「第15回ROBO-ONE」が行なわれた。「ROBO-ONE」は、これまでは2日間にわたって予選競技・本戦トーナメントを行なってきたが、今回はスポンサー関連の事情を含む諸般の都合からちょっとイレギュラー。「軽量級(3kg以下)選抜大会」と位置づけられて実施された。主にこれまでの「ROBO-ONE」にて優秀な成績をおさめてきた参加者から構成される「ROBO-ONE GP」選手枠、地方でそれぞれ行なわれている格闘大会に対してROBO-ONE委員会が出場権を認めた10大会の「認定大会枠」、そして「海外選手枠」から軽量級(3kg以下)合計37台を選出し、トーナメント戦を行なった。

 激戦の結果、優勝し賞金100万円を獲得したのは韓国から挑戦したチーム「ROBIT」の「Bi-Ma」。準優勝は「第28回ヒューマノイドカップ」で認定されて出場したholypongさんの「automo05」、3位は「第5回 ナガレンジャー・ファイティングフェスタ in雪灯り回廊」で認定されて出場したチームさくさくの「rsv3」。これまで優勝経験のある強豪ロボット「キングカイザー」や「クロムキッド」、「ヨコヅナグレート不知火」などは、いずれも表彰台に上がれない結果となった。

 毎回、ルールやレギュレーションを練り直している「ROBO-ONE」だが、今回もまたルールが少し変わり、1回戦はパンチとキックの打撃系のみ(ロボットの自重をかける頭突きは禁止)、2回戦は相手をつかんで投げる組み技系のみ、そして3回戦以降はいずれもオッケーの「総合格闘技」ルールで行なわれた。またこれまで「ROBO-ONE」では歩行による転倒を「スリップダウン」と呼び、2回の「スリップダウン」で1ダウンがとられていたが、多くのロボットが安定して動けるようになってきたことから「スリップダウン」は廃止された。ただし、あまりに転倒するロボットが出てきた場合はレフェリーから「歩行チェック」が行なわれる。

 また足が90度以上曲がった、いわゆる「しゃがみ姿勢」からの攻撃は一回のみとし、連続攻撃は禁止となった。連続パンチしたければ2歩以上歩かなければならなくなった。これまでにも同様のルールはあったのだが、厳密に適用されるようになったわけだ。

 以下、順にレポートするが、まず決勝戦から見たい人は下まで一気にスクロールしてご覧になることをおすすめする。なおロボットを放り投げて着地させる通称「投げロボ」こと「宇宙大会選抜競技」も行なわれた。

優勝ロボット「Bi-Ma」優勝した韓国「ROBIT」チーム試合開始前の調整練習風景

トーナメント第1回戦 ~まずは蹴りとパンチ

いずれも3kg以下級ながら身長さが大きいロボット同士の対戦も少なくなかった

 第1回戦第1試合はベテラン「ガルー」が、「ROBO-ONE」初出場で緊張していた「ドルカス」をあっさり粉砕して勝利した。第2試合、わんだほ~ロボットカーニバル代表「サアガ」vs「ドカレッド1」は、体格差のあるロボット対戦となった。延長戦にまでもつれこんだが、最後は「ドカレッド1」がリングアウトし、「サアガ」が勝利した。第3試合は韓国からの挑戦「Stormwaves Light」vs「Cavalier」。これまた続けて体格差があるロボット同士のバトルとなったが、「Stormwaves Light」がパワーでまさり、勝利した。

【動画】「ガルー」(左)vs「ドルカス」。「ドルカス」は緊張のため操作を誤り自分からリングアウトしてしまう【動画】「サアガ」(奥)vs「ドカレッド1」。大きなほうが「ドカレッド1」
【動画】最後は「ドカレッド1」がリングアウト【動画】「Stormwaves Light」(左)vs「Cavalier」。「Cavalier」のパンチで「Stormwaves Light」がリングアウト

  第4試合、NHK大河ドラマでお馴染み・直江兼次の「愛」の前立てをつけた「ナガレブラック」vs「で・か~る」は、どちらもいま一つかっちりせず、フラフラとした動き。結局、試合途中でレフェリーから「待て」がかかり、双方のロボットに前後左右に5歩ずつ歩く「歩行チェック」がかけられた。これで「ナガレブラック」が歩行がちゃんとできてないと判断され、テクニカルノックアウトになった。第5試合、日本と韓国の大学生同士の戦いとなった「ダイガック」(大同大学ロボット研究部)vs「iris Blue」(Korea Polytechnic University)は、「iris Blue」は緊張していたのか、良いところをほとんど見せられず「ダイガック」のストレート勝ち。

【動画】「ナガレブラック」(左)vs「で・か~る」。この転倒で「ナガレブラック」の「愛」が取れた【動画】「ダイガック」(左)vs「iris Blue」。「ダイガック」の攻撃で「iris Blue」がリングアウト

 第6試合は「レグホーン」vs「キングカイザー」。果敢に攻める「レグホーン」は善戦し、王者「キングカイザー」からダウンを奪い、リング際まで追いつめるシーンもあった。だが「キングカイザー」は慌てずにそれをさばき、逆にダウンを奪うなど、まさに横綱相撲。貫禄を見せてなんなく勝利した。なお「レグホーン」のなかやん氏は新型機を開発中で、「これが完成したらロボット界に革命が起こるんじゃないか」と敗戦者インタビューで述べていたので大いに期待しよう。

【動画】「レグホーン」(左)vs「キングカイザー」。一瞬リング際まで「キングカイザー」を追いつめるが逆に攻撃を食らってダウンする「レグホーン」【動画】「レグホーン」(奥)vs「キングカイザー」見応えのある試合ではあったが……【動画】振り返ってみると「レグホーン」は同じパターンで攻撃を食らっていることが分かる

 第7試合、「イージス」vs「ivre」。いつも攻めの姿勢の「ivre」は今回は左右の腕に別々の装備を施してチャレンジ。ところが右ひざ部位が故障し、申告によりテクニカルノックアウト、「イージス」の勝利となった。第8試合「アリモプレナ」vs「エクセリオン」は、両者機敏に動き、大接戦。最後は攻め込まれても勝負に粘り強い「アリモプレナ」が勝利をおさめた。第9試合「rsv3」vs「デュミナス」は、どちらも攻撃を出すものの練習不足のためか自機の間合いを把握しきれておらず、なかなか攻撃が決まらず、試合が展開しない。最終的には2ダウンをとられた「デュミナス」が敗北、オペレータを今回初めて娘さんに変えた「rsv3」が勝利をおさめた。

【動画】「イージス」(左)vs「ivre」【動画】「アリモプレナ」(奥)vs「エクセリオン」【動画】「rsv3」(左)vs「デュミナス」
「レトロ」。450gで今大会では最軽量

 続いて登場したのは体重450g、今回最軽量の「レトロ」と今回は万全という「メタリックファイター」のバトルは、勝負は試合時間3分ぴったりかけて「メタリックファイター」が勝利し、レーザーカットされた木で作られた「レトロ」は最後は腕が取れてしまった。だが「新しいことをやりたい」というスギウラブラザーズ・チームには会場から拍手が送られた。

 11試合目は韓国チーム「Bi-Ma」vs「コセキト」。「コセキト」は宇宙大会のなかで行なわれた「1kg以下級」大会で認定されて出場したロボットだったが、1分ほどで3ダウンをとられて敗れた。12試合目、大型ロボットの「ガーゴイル」vs「トコトコ丸」は、トコトコ丸が自分から2回もリングアウトし、あっさり3ダウン負け。一秒あたり90cm動けるという運動能力が仇になった。

【動画】審判による「神の手」も登場した「レトロ」vs「メタリックファイター」【動画】「Bi-Ma」(左)vs「コセキト」【動画】「ガーゴイル」(奥)vs「トコトコ丸」。攻撃でダウンした後さらに自分からリングアウトする「トコトコ丸」

 13試合目は前回大型ロボットで優勝し、ベルト保持者だった前田氏の「オムニゼロ」とやはり優勝経験のある「ガルー」の対戦。「オムニゼロ」は3kg以下の制限のなかでできるだけ大きく作ったそうだが、圧倒的に操縦技術に長け、ロボット自体も熟成している「ガルー」に敗退した。第14試合、飛騨神岡高校「Neutrino」vs「HAUSER」は勝負慣れしている「HAUSER」が、相手がパンチを出してくるタイミングに合わせてカウンター攻撃を繰り出し、見事に勝利をおさめた。第15試合「ダイナマイザー」vs「サアガ」は、ベテランながら調整不足の「ダイナマイザー」に対し、高速性と安定性、操縦に優る「サアガ」が勝利した。

 なお余談だが中日新聞によれば飛騨神岡高校ロボット部部長、中林元気君は東北大学文学部などが主催する高校生向け随筆コンクール「第2回青春のエッセー阿部次郎記念賞」で「ロボット」をテーマにした随筆を書き、優秀賞を獲得したという。受賞作品は同賞公式Webサイトから申し込めば読むことができる。

【動画】「オムニゼロ」(右)vs「ガルー」【動画】「Neutrino」(左)vs「HAUSER」。見事なカウンター狙いで高校生チームを粉砕する「HAUSER」【動画】「ダイナマイザー」(左)vs「サアガ」

 第16試合は「サイコログレート」vs「ヨコヅナグレート不知火」。「サイコログレート」は「ROBO-ONE宇宙大会」規定サイズに収まるサイコロから変形してバトルに挑んだが、マシントラブルに苦しみ、「ヨコヅナグレート不知火」が勝利した。第17試合は、「デシュミット」vs「Stormwaves Light」戦。「Stormwaves Light」が、ROBO-ONE初出場の「デシュミット」を3ノックアウトでストレート勝ちで沈めた。第18試合は「YOGOROZA」vs「automo05」。どちらもカウンター狙いで攻撃を繰り出し、「YOGOROZA」は大きな腕で相手から2ダウンをポンポンと取ったが、一回リングアウトしてしまい、その後調子を崩したか、敗北。「automo05」が2回戦へコマを進めた。

【動画】「サイコログレート」(左)vs「ヨコヅナグレート不知火」【動画】「デシュミット」(左)vs「Stormwaves Light」
【動画】「YOGOROZA」(左)vs「automo05」。強烈なパンチで「automo05」が側転する【動画】「automo05」がきれいに「YOGOROZA」からダウンを2つ続けて奪って勝利

 第19試合は「Icarus」vs「で・か~る」。片足に7個のモータを使い、休憩中の調整で逆に調子を崩してしまったという「で・か~る」が最後はリングアウトし、安定した動きの韓国チーム「Icarus」が勝利した。第20試合は「クロムキッド」vs「ペント」。両者軽快な動きで善戦。だが最後は「ペント」が攻撃された拍子に調子を崩し動かなくなってしまい、「クロムキッド」が勝利した。

 1回戦最後となった21試合目は「ALDIA」(電気通信大学ロボメカ工房REP-ALDIA)vs「ダイガック」(大同大学ロボット研究部)。「ダイガック」は再び大学生対決となった。どちらも同サイズの同じようなタイプのロボットで、近い距離からのサイドパンチの打ち合いとなったが、より安定していた「ダイガック」が危なげなく勝利した。

【動画】「Icarus」vs「で・か~る」。しゃもじのついたロボットが「で・か~る」【動画】「クロムキッド」(奥)vs「ペント」。攻撃されたペントがリングアウト【動画】互いに打ち合う「クロムキッド」vs「ペント」
【動画】「ALDIA」(左)vs「ダイガック」。軽快に攻撃を決める「ダイガック」【動画】最後も「ダイガック」が見事に決めて勝利

第2回戦 ~ROBO-ONEでは初めての「投げ技」縛りバトル

 第2回戦は、ルールが1回戦とは変わり、柔道や相撲のような投げ技のみとなった。ROBO-ONEで初めての「投げ技」縛りルールだ。投げるためには相手をつかむ必要があるので、必然的にロボット同士の距離は縮まることになる。

 2回戦・第1試合「キングカイザー」vs「イージス」は、まるで「キングカイザー」による投げ技の試技のような一方的な展開となり、「キングカイザー」があっさり勝利をおさめた。第2試合は「アリモプレナ」vs「rsv3」。投げ技というよりは引き倒しを狙った両者が、ガチガチと音を立ててフレームとサーボモーターをぶつけあい、最終的に「rsv3」が足下をすくって勝利した。第3試合「メタリックファイター」vs「Bi-Ma」は、相手のボディを両腕で挟み込んで投げを打つ「Bi-Ma」に対して、8つの投げ技を準備していたという「メタリックファイター」は結局何もできず、あっさりストレート負け。

【動画】「キングカイザー」(左)vs「イージス」。一方的な展開に【動画】投げられる「イージス」【動画】「アリモプレナ」(左)vs「rsv3」
【動画】ブレイクダンス状態になってリングアウトしてしまう「rsv3」【動画】「rsv3」に腕をとられる「アリモプレナ」【動画】足をすくわれて転倒する「アリモプレナ」
【動画】「メタリックファイター」(左)vs「Bi-Ma」【動画】吸い込まれるように相手の間合いに入っていって投げられる「メタリックファイター」

 第4試合、「ガーゴイル」vs「ガルー」は体格差のある戦いとなったが両者腕を出し合う。なかなか攻撃が決まらず、延長戦となった。一瞬、「ガーゴイル」が操作をミスし、棒立ちになってしまった瞬間をすかさずねらった「ガルー」が勝利した。

【動画】ひょこひょこと移動する「ガーゴイル」と「ガルー」【動画】リングアウトする「ガーゴイル」【動画】両者懐になかなか入れず膠着状態
【動画】「ガーゴイル」の腕と足に引っかかって転倒する「ガルー」。ダウンとなる【動画】投げを打つが不発に終わる「ガルー」【動画】操作ミスで棒立ちポーズとなった「ガーゴイル」をすかさず引き倒す「ガルー」

 第5試合は「HAUSER」vs「サアガ」。両者ともに似たスタイルでつかみから投げにかかっていき接戦となった。最終的に「HAUSER」から2ダウンを奪った「サアガ」が勝利した。「サアガ」は持ち上げられて放り投げられてワンダウン取られることもあったが、最終的には体格が小さいことが逆に有利に働いたようだ。第6試合「ヨコヅナグレート不知火」vs「Stormwaves Light」。下半身は横歩き、上半身だけ正面を向ける変則的な構えで、長い腕で挟み込んだ投げを狙う「Stormwaves Light」に対して、これまでもっぱら打撃系を得意としてきた「不知火」は苦戦し敗北してしまった。

【動画】「HAUSER」(左)vs「サアガ」。持ち上げられて投げられる「サアガ」【動画】「サアガ」はスピードを生かして相手に有利な体勢を取らせない【動画】拮抗する両者。「HAUSER」の腕を取った「サアガ」がそのまま持ち上げられてしまうがダウンを奪ったと判定された
【動画】「Stormwaves Light」の腕に挟み込まれて投げられる「ヨコヅナグレート不知火」【動画】両者ワンダウンずつ奪い合う【動画】最後は「Stormwaves Light」が「不知火」を放り投げて完勝

 第7試合は「automo05」vs「Ikarus」。似た体格と投げ方を持つロボットのバトルとなった。「Ikarus」は後ろ向きにも腕をまわして投げを打てるロボットで、この技を試合中にも使ってダウンを奪ったが、最後は「automo05」が相手の腕を取って投げて勝利をおさめた。2回戦最後の第8試合は「クロムキッド」vs「ダイガック」。「ダイガック」は試合を重ねることでだんだん調子が悪くなってきたようで動きが悪い。最後はリングアウトして敗退した。トーナメントでは機体の耐久力も重要になる。

 見たところ、相撲や柔道と同じで、まず先に組みにいって自分が得意な体に持ち込んだほうが勝つ、言ってしまえばあたりまえの展開になった。また、いくつもの投げ技を持つよりも、「これ!」という決めの投げ技を選び、それを決めるためのロボットさばきに磨きをかけていたチームのほうが勝利を収める傾向にあった。

【動画】「automo05」(左)vs「Ikarus」【動画】しゃがみこみをうまく使って相手の攻撃を避けて機体を安定させる「automo05」【動画】「クロムキッド」vs「ダイガック」。両者組み合うがクロムキッドが力勝ち
【動画】「クロムキッド」(右)vs「ダイガック」【動画】「クロムキッド」に投げられる「ダイガック」【動画】「クロムキッド」vs「ダイガック」。リングアウトしてしまう「ダイガック」

第3回戦以降は「総合格闘技」ルール ~王者「キングカイザー」敗れる

 3回戦、準々決勝以降は、蹴りやパンチの打撃系、投げ系いずれも使える「総合格闘技」ルール。第1試合は「キングカイザー」vs「rsv3」。捨て身技も含めて両者が激しく攻撃を繰り出しあった(ロボット全身の重量とモーメントを使うことで相手を倒せるが自分も倒れてしまう技はROBO-ONEでは「捨て身技」と呼ばれ、一試合で一度しか使えない)。長い間合いにどちらも攻めあぐねるが、「rsv3」が腕の先の爪で「キングカイザー」の足首を引っ掛けて放り投げる大技も見せ、最後に「rsv3」が「キングカイザー」のパンチに対してカウンター気味に腕先を引っ掛けてダウンを奪い、見事に勝利する大番狂わせとなった。「キングカイザー」は表彰台にも上がれない結果となったのは今回が初めてだという。

キングカイザー(左)とrsv3【動画】「キングカイザー」vs「rsv3」。捨て身技の引き倒しで「キングカイザー」からダウンを奪う「rsv3」【動画】「rsv3」を投げる「キングカイザー」。捨て身技と判定される
【動画】長い間合いにどちらも攻めあぐねるが、「rsv3」が「キングカイザー」を引っ掛けて放り投げる。しゃがみこみでも逃げられなかった【動画】危うくリングアウトまで追い込まれる「キングカイザー」だが、すかさず脱出、相手にパンチを決める【動画】腕先を取られてダウンする「キングカイザー」。「rsv3」の勝利

 第2試合「Bi-Ma」vs「ガルー」は、また似たタイプのロボット同士のバトル。互いにサイドパンチと投げ技を出し合った。最後は「Bi-Ma」が一歩上を行き、勝利した。第3試合は「サアガ」vs「Stormwaves Light」。「サアガ」は機動性を生かしてリング上を動き回った。得意の、しかしながら自分も一緒に倒れてしまう投げ技を最初に使ってしまい、あとは動き回るもののあまり手が出せず。結局、「Stormwaves Light」の腕を振り回して相手を突くパンチに倒れた。第4試合「automo05」vs「クロムキッド」は、互いに決定打を欠く展開。だが「クロムキッド」が最初に1ダウン、そしてリングアウトと2ダウンとられて敗退し、「automo05」が勝ち上がった。

【動画】「Bi-Ma」(奥)vs「ガルー」【動画】互いにダウンを奪い合う。勝者はBi-Ma。抱き合って喜ぶチーム「サアガ」(左)vs「Stormwaves Light」
【動画】「サアガ」が投げを決める【動画】「Stormwaves Light」の攻撃はなかなか「サアガ」に決まらないが最後はダウンを取ることに成功「automo05」(左)vs「クロムキッド」
【動画】試合巧者の両者。互いに攻撃を出し合うが決まらない【動画】最後は「automo05」が「クロムキッド」をリングアウトさせる

準決勝、3位決定戦

「rsv3」のチームさくさく。優勝した「Bi-Ma」に敗れたものの娘さんが操縦者になりいかんなく性能を発揮して3位

 こうして準決勝に4台が勝ち進んだ。準決勝第1試合は「rsv3」vs「Bi-Ma」。両者ともカマキリのように腕を曲げたポーズから攻撃を繰り出しあうが、やや焦りの見えた「rsv3」に対して、攻撃一つ一つを確実に決めていった「Bi-Ma」が勝利した。第2試合は「Stormwaves Light」vs「automo05」。両者はともにこれまでの試合のせいか、だいぶ機体がへたれてきた様子で試合は進んだ。「automo05」が2ダウンを取られた状態でもはやこれまでかと思われたが、試合残り6秒でなんと「Stormwaves Light」がマシントラブルでタイムをとり、両者が2ダウンの状態に。そして試合再開直後に「automo05」がパンチを決めて勝利となった。

【動画】「rsv3」(左)vs「Bi-Ma」。操作ミスなど焦りの見える「rsv3」に対してすかさず攻める「Bi-Ma」【動画】攻撃しあう2機【動画】間合いを詰め切れない「rsv3」に対して一発を的確に狙う「Bi-Ma」
【動画】「Stormwaves Light」(左)vs「automo05」【動画】2台ともダメージが蓄積している様子【動画】試合終了直前に「Stormwaves Light」がマシントラブルでタイム
【動画】再開直後、「automo05」のパンチが「Stormwaves Light」を倒す

 こうして3位決定戦は、「rsv3」vs「Stormwaves Light」で行なわれた。「Stormwaves Light」は右足に不調をきたし、試合開始早々タイム。その後、復活したが、「rsv3」の得意のひっかけからの投げに敗れ、「rsv3」が3位に輝いた。

【動画】3位決定戦。「rsv3」(左)vs「Stormwaves Light」。「Stormwaves Light」はダメージ蓄積で不調【動画】両者互いに得意な攻撃を決め合う【動画】「Stormwaves Light」の攻撃を交わし、引っ掛け倒しを決める「rsv3」
3位になった「rsv3」のチームさくさく4位「Stormwaves Light」。気合いの入った操縦スタイルで会場を沸かせた

決勝戦「Bi-Ma」vs「automo05」

 決勝戦は両者共に操縦に長けた「Bi-Ma」vs「automo05」。質実剛健の「Bi-Ma」に対して、「automo05」は得意の投げやウェイトをかけたパンチで善戦するも、攻撃を避けきれず惜敗。勝利の栄冠は、「大学の試験よりもROBO-ONEを重視した」という「Bi-Ma」の上に輝いた。彼らはKwangwoon Universityで電子制御などを専攻する学生たちで、研究費をもらって活動しているという。

【動画】決勝戦。「Bi-Ma」(左)の攻撃で「automo05」が追いつめられリングアウト【動画】「Bi-Ma」を攻め続ける「automo05」【動画】互いに、強力な飛び込みサイドパンチを打ち出しあう
【動画】栄冠は「Bi-Ma」に輝いた優勝した「Bi-Ma」(左)と準優勝「automo05」優勝チーム「ROBIT」。韓国Kwangwoon Universityの学生たち
Bi-Ma。サーボはダイナミクセルを使用バッテリは頭部に搭載惜しくも準優勝の「automo05」とholypongさん

宇宙大会選抜競技では「OmniBall」が着地成功

 ロボットを放り投げて、空中で姿勢制御を行なって立たせ、歩行を行なう「宇宙大会選抜競技」、通称「投げロボ」も競技の合間に行なわれた。フラワー戦隊ナガレンジャーによる「ナガレブルー・コスモ」、龍準氏による「田舎者U号」、おっくん。氏による「たまG。」、そして前田武志氏による「OmniBall」の4チームが挑戦し、「OmniBall」は3回目のトライアルで着地に成功したと判定された。技術的な詳細はまた「ROBO-ONEテクニカルカンファレンス」で公開されるだろう。

着地成功した前田武志氏「OmniBall」【動画】「OmniBall」3投目
【動画】フラワー戦隊ナガレンジャーによる「ナガレブルー・コスモ」投擲【動画】龍準氏による「田舎者U号」【動画】「おっくん。」氏による「たまG。」投擲。加速度を検知してガス噴出で姿勢をコントロールする予定だった

 次の「ROBO-ONE」は9月に富山県で行なわれる「ジャパンロボットフェスティバル2009 in TOYAMA」のなかで開催される予定だ。日程は9月26日(土)~27日(日)、会場は富山県富山市内にある富山産業展示館テクノホール。階級は無差別級となり、リングは大型化される予定だという。

出場ロボットたち会場の外ではスポンサー企業による展示や体験コーナーもある今後もROBO-ONE委員会ではロボットビルダーたちをサポートしていくという


(森山和道)

2009/5/8 19:37