「ROBO-ONE GATE&ROBO-ONE GP in 郡山」開催

~第17回ROBO-ONE決勝出場権は「rsv3」と地元の「Purple Star」に


 2009年8月15日~16日、二足歩行ロボット格闘競技大会『ROBO-ONE GATE』の第3回・第4回大会、そしてROBO-ONEトップクラスのロボットたちが参加する選抜大会『ROBO-ONE GP』が開催された。

 「ROBO-ONE GATE」は、近年競技レベルが高くなっているROBO-ONE本大会に比べて、気軽に参加できる大会として位置づけられた、二足歩行ロボット競技会である。同時に、第1回大会の上位入賞者が、2009年5月に開催された第15回ROBO-ONEに出場したように、好成績を収めた参加者にはROBO-ONE本大会への道が開ける、登竜門イベントでもある。今回開催された第3回・第4回大会にも、2010年3月に開催される、第17回ROBO-ONE選抜大会への出場権がかけられていた。それぞれの大会ごとにレポートする。

郡山駅からメインストリートをまっすぐ来るとあらわれる、会場の「ホテルハマツ」音響設備、映像設備ともにこれまでROBO-ONE関連のイベントが行なわれた中でも指折りの充実度だったホテルハマツ「平安の間」
ホテル正面にもROBO-ONE GP・GT(GATEの略)の告知が掲示されていたホテルの入り口を入ってすぐのロビーにはMANOI企画によるロボット体験コーナーが設けられていた。無料体験にはのべ2日で100名を超える参加があったという

巨大ロボットの猛威がリングを席巻した第3回

 第3回にエントリーしたのは7機。ROBO-ONE軽量級の優勝経験者「ガルー」(くまま)と「Cavalier」(えまのん)を筆頭に、「rsv3」(吉田ファミリア)、「で・か~る」(道楽、)といった二足歩行ロボット競技会の常連が揃う一方、残りの「RR&DD」(Project SKII)、「PIG-62-7号」(Project SK)、「Purple Star」(Team SSK)という3機はROBO-ONE GATE初参戦という顔ぶれとなった。

 「ガルー」がシードされ、1回戦は3試合。オープニングゲームとなった「rsv3」対「RR&DD」の戦いは、ほぼ標準状態のRobovie-Xである「RR&DD」に対し、3kg以下の軽量級とはいえ、巨大な体躯の自作機「rsv3」(見た目が“GM”なのは、同日行なわれていた「サンライズヒーローロボットバトル」にWエントリーしていたため)という、ウエイトでもリーチでも差がある試合になった。試合開始からしばらく、rsv3のほうはあまりの体格差で間合いが取れなかったか、「有効な攻撃」と見なしてもらえない場面が続いたが、間合いをつかんでからはリングの対角から届くような長い突きで2ダウンを連取。最終的にリングアウトで3ノックダウン(と判定されたが、ダウン中のものだったので本来はノーカウント?)を奪い、準決勝に進んだ。

 体格差もあったうえ、「RR&DD」は格闘競技そのものが初めてだというのに、いきなりROBO-ONE本大会上位入賞者の洗礼を受けてしまったのは、気の毒だった。

 1回戦第2試合、「Purple Star」対「PIG-62-7号」は、KHR-2HVをベースにした機体同士の対戦。ただ、操縦者の年齢は「Purple Star」が弱冠6才、「PIG-62-7号」が高校生と、差がついている。

 開始直後、年かさの「PIG-62-7号」のほうが先制してスタートした試合は、その後「Purple Star」が反撃に転じ、一方的に攻める展開に。実は「Purple Star」を操縦する少年は、2年前(当時4才!)に第2回ナガレンジャーファイティングフェスタにおいてすでにバトル競技で勝利を収めたことがある、経験者だったのだ。一方の「PIG-62-7号」は競技会参加が初めてということで、受け身に回っているうちに2ダウンを奪われ、リングアウトと合わせて3ノックダウン(これもダウン数が合わないような)。年下の先輩である「Purple Star」が勝ち上がった。

 1回戦最後の試合は、「Cavalier」対「で・か~る」。開始直後、のけぞるようにして体を倒した「で・か~る」が、そのままの姿勢で突進!(ぜひ動画を見て欲しい)しかし「Cavalier」は、慌てることなくちゃぶ台返しのような動きで対抗する。しかも、この低い移動姿勢はスレスレで「Cavalier」のパンチが当たらないのだ。

 「おのれ面妖な」という台詞が思い浮かぶ動きを続ける「で・か~る」に対し、そこは百戦錬磨の「Cavalier」。低い姿勢から立ち上がるところに向けて突きを一閃。1ダウンを先取すると、そのままリング際まで追い詰めてスリップダウンからのリングアウトを誘い、2-0とリードする。一矢を報いたい「で・か~る」は低い姿勢のまま懐に飛び込むが、「Cavalier」はそこをガッチリつかんで投げに持ち込もうとする。「で・か~る」が暴れて逃げようとするところで、「Cavalier」が手を離すと、「で・か~る」はそのままリング外に突進。3-0で「Cavalier」が勝利した。

 「で・か~る」の移動モーションは、強烈な横突きを武器とする「Cavalier」対策かと思いきや、歩行の際の重心を低くするためのアイデアだったという。だが、胴体を倒すことで取り付けられたアンテナの向きが床と平行になり、受信感度が悪くなって暴走したのは誤算だったようだ。

「rsv3」対「RR&DD」「Purple Star」対「PIG-62-7号」「Cavalier」対「で・か~る」

 準決勝は「rsv3」対「Purple Star」と、「Cavalier」対「ガルー」の組み合わせ。

 第一試合では巨大な「rsv3」に対して「Purple Star」が何とか回り込もうとするが、近づこうとしたところで肘打ちを喰らい、1ダウン。レッドゾーンぎりぎりを使ってアプローチしようするものの転倒してしまい、リングアウトで2ダウンと、立て続けにポイントを失ってしまう。何となく、「rsv3」のほうも相手の機体を壊さないよう気を遣いながら技を出しているような雰囲気が感じられたが、最後も丁寧なパンチで決勝のダウンを奪取した。

 「Cavalier」対「ガルー」は開始直後に「Cavalier」の電源が落ちてしまい、タイムを申請。「ガルー」は労せず先制する。だが、「Cavalier」は再起動すると「ガルー」を引き倒し、イーブンに持ち込む。両者ROBO-ONE本大会での優勝経験があるだけに、隙のない攻防が続くが、「ガルー」のパンチがヒットしてダウンした「Cavalier」の電源が再び落ち、そのまま「ガルー」の勝利となった。「Cavalier」はケーブルが引っ張られると電源が落ちてしまう状態だったようで、痛いTKO負けとなった。

 3位決定戦は「Purple Star」対「Cavalier」。格闘競技で勝つために作り上げられた巨大な自作機に、サーボモーターが強化されているとはいえ、市販機サイズがどれだけ対抗できるのかという一戦となった。

 ケーブルを直して挑んだ「Cavalier」は開始直後から容赦のない突きを「Purple Star」に浴びせ、30秒そこそこで2ダウンを奪う。最後は正面に入った「Purple Star」を抱え込み、逃げようとするのもかまわず、そのままバックドロップ。あっという間に3ダウンとなり、「Cavalier」が3位となった。

準決勝「rsv3」対「Purple Star」準決勝「Cavalier」対「ガルー」3位決定戦「Purple Star」対「Cavalier」

 決勝戦は「rsv3」対「ガルー」。KONDO CUPではチームメイトとして肩を並べて戦っている相手だけに、手の内は知り尽くしている同士の対戦だ。“なぎ払う”rsv3の広い間合いに、ガルーがどう潜り込んで“打ち抜く”かが注目の対戦だ。

 しかし、開始直後、立ち上がろうとした「rsv3」から煙が上がり、中断。そのままレフェリーストップとなり、「ガルー」が第2回に続いて二大会連続で制した。優勝賞品には向山製作所の「生キャラメル」がかかっており、「食べ物がかかるとくままさんは強い」というジンクスが生きていたことも付け加えておこう。

 「rsv3」はケーブルがショートし、ケーブルの被覆が焦げたということで、機体に致命的なダメージはなかったようだ。煙こそ出なかったが「Cavalier」もケーブルのトラブルで試合を落としており、近年のサーボモーター&バッテリのハイパワー化とあわせて、ロボットのケーブル保護も重要な課題になりつつあることが印象に残った。

 上位入賞者に与えられる第17回ROBO-ONE出場権は、優勝した「ガルー」がすでに第2回で権利を得ていたため、事務局との協議の結果、4位の「Purple Star」に与えられた。「できれば優勝して、賞金で強化してROBO-ONEに出ようと思っていた」という制作者のTeamSSKだが、「せっかくいただいた権利なので、これからできるだけ強化してみます」と、本戦へ向けてレベルアップする意気込みを聞かせてくれた。また、TeamSSKの地元は郡山ということで、地元のチームが出場権を得るという、すばらしい結果になった。

優勝した「ガルー」。操縦者のくまま氏は、勝利の喜びもそこそこに、「rsv3」の心配をしていた第17回ROBO-ONE出場権を得た「Purple Star」。KHR-2HVをベースに、ストライカーコンバージョンキットなど、各部にKRS-2350HVを組み込んでいる圧倒的なパワーに為す術がなかった3位決定戦で悔しそうな表情を見せるTeamSSKの操縦者

観客が参加し、盛り上がりを見せた第4回ROBO-ONE GATE

 翌16日に行なわれた第4回ROBO-ONE GATEは、なんと会場に集まった子供達の中から希望者を募り、当日のトーナメントに参加してもらおうという、従来にはない試みが行なわれた。

 会場の反応の方は、ものすごい勢いで「やりたい!」と上がってくる子もいれば、おずおずと出てくる子もいたりとさまざま。2枠に5名が手を挙げたため、じゃんけんで決定された。

当日参加枠に応募した5人はステージでじゃんけんその場で操縦を習う、2名の当日参加者。使用する機体は、ダイナマイザーでおなじみの杉浦冨夫氏が設計したTYNYWAVE

 最初の対戦は、前日に引き続いて参加している「Purple Star」と「TYNYWAVE“GOLD”」(さとうきょうじくん)。いきなり側転で間合いを取るなど、大胆な動きを見せていたが、攻撃を左右で間違えるなど、やはりいきなりでは難しかった様子。「Purple Star」のほうはグイグイと間合いを詰めてリングの端に追い込み、まずはリングアウトで1ダウン。残りわずかになって追いつこうと前転で攻め込んだ「TYNYWAVE“GOLD”」を迎え撃ち、押し倒して決定的な2ダウン目を奪って、優勢勝ちを収めた。

 次の対戦は、こちらも2日連続参加の「RR&DD」と「TYNYWAVE“RED”」(みうらいとかちゃん)。開始直後から動かない「RR&DD」に対し、積極的に攻め込む「TYNYWAVE“RED”」。「RR&DD」は「TYNYWAVE“RED”」が真正面に来たところで、待ち受けていたようにしゃがみパンチをヒットさせ、先制する。しかし、両者転倒から「TYNYWAVE“RED”」は立ち上がったものの、「RR&DD」は立ち上がれず、TKOで「TYNYWAVE“RED”」が勝ち上がった。じつは「RR&DD」はこの日の朝に両膝のサーボのギヤが壊れてしまっていたということで、一撃必殺の覚悟でリングに立っていたようだ。

 1回戦第3試合は「Cavalier」対「rsv3」。この日はスタートからキットサイズのロボットしか見ていなかった観客から、開始直後の大型機の動きに驚きの声が上がる。体格的にはほぼ同じであり、技も似ている両機は「Cavalier」が「rsv3」をリング外に突き出してまず先制。その後「rsv3」がタイにすれば「Cavalier」が突き放し、また「rsv3」が追いつく、という流れで両者2ダウンとなる。一度は「rsv3」の足が半分リング外に落ちるような場面もあったのだが、最後は「rsv3」が「Cavalier」のひざを引っかけて3ダウン目を奪い、辛勝した。

 1回戦最後の試合は、「ガルー」対「で・か~る」。レフェリーの「はじめ!」のかけ声とともにに姿勢を低くして突っ込んだ「で・か~る」だったが、前日のリプレイを見るように、そのままリングの反対側へ突進→落下。仕切り直して試合再開するも、再度暴走。今度は操縦者の道楽、氏が移動してアンテナを近づけたが暴走は止まらず、落下。開始30秒で2ダウンを献上してしまう。「これはコミックショーですか?」と解説のサンライズ井上氏から突っ込まれた後の試合再開後は、さすがに通常の前進は使えないと見たか、横歩きで「ガルー」に近づく戦法に切り替える。しかし、「ガルー」がそんな苦しい移動の隙を見逃してくれるわけもなく、きれいに突きが入って3ダウン。偶然とはいえ、投げに入ろうとした姿勢でダウンした「で・か~る」の腕が「×」にしか見えなかったのはできすぎ。

「Purple Star」対「TYNYWAVE“GOLD”」「RR&DD」対「TYNYWAVE“RED”」
「Cavalier」対「rsv3」「ガルー」対「で・か~る」

 準決勝1試合は、「Purple Star」対「TYNYWAVE“RED”」。「TYNYWAVE“RED”」は当日参加であるものの、試合前に控え室で練習したということで、1回戦よりもいい動きを見せる。ただ、同じキットベースとはいえ、経験者の「Purple Star」の動きはそれを上回っており、様子をうかがえば近づいて両手突き、逆転を期して近づいてくる相手にはカウンター気味にパンチを出し、3ダウンを連取して勝利した。

 もう1試合は「rsv3」対「ガルー」。スピードでは「ガルー」が優位だが、リーチの長さと攻撃範囲の広さは「rsv3」に分があり、それぞれが自分の長所と相手の長所を理解した上で展開する試合は、一瞬たりとも目を離せない、緊張感が漂うものになった。観客にもそれは伝わるようで、会場のあちこちから「すごい」という言葉が漏れ聞こえる。試合は最後に近距離での打ち合いから「rsv3」のなぎ払いが決まって、「ガルー」を沈め、決勝に進んだ。

 この日3試合目となる「TYNYWAVE“RED”」が「ガルー」に挑戦した3位決定戦では、体格差からガルーの技が決まりにくい中で「TYNYWAVE“RED”」ががんばった。1回戦では機体制作者の杉浦氏が時々手を出していたが、ここに至ると当日参加とは思えないコントローラーさばきを見せ、走り込んでパンチを打つ場面もあった。試合途中で投げを諦めた「ガルー」に突きで1ダウンを奪われ、結局0-1で敗戦したものの、大健闘だったと言えるだろう。最終的には3位決定戦まで3試合を経験したみうらいとかちゃんは、お父さんが開催とを知って、この日は一家でROBO-ONEを見に来たという。笑顔で「楽しかった」と答えてくれたが、メキメキと操作が上手くなっていくのが見ている側にもわかったくらいなので、ぜひ自分の機体を持ってリベンジしてもらいたいところだ。

「Purple Star」対「TYNYWAVE“RED”」「rsv3」対「ガルー」3位決定戦「TYNYWAVE“RED”」対「ガルー」
優勝の「rsv3」(右側)。前日は“GM”の頭がついていたが、この日は本来の「rsv3」の頭

 決勝は、前日に準決勝で対戦した「Purple Star」対「rsv3」という顔合わせになった。前日は「rsv3」の攻撃をまともに喰らってしまっていた「Purple Star」だが、この日はギリギリのところで避けるなど、成長を見せる。近づいてパンチを打つ場面もあったが、、さすがに重量差を覆すまでには至らず、0-3で敗戦。前日も決勝に進みながら機体トラブルでレフェリーストップだった「rsv3」が、再挑戦で優勝した。吉田ファミリアの吉田氏は「負けて(第17回ROBO-ONE)出場権を得るのが嫌だったんです。今日は勝ったので、堂々ともらえます」とコメントしてくれたが、前日の決勝で負けた「ガルー」も直接対決で下しての勝利だけに、価値は高いはずだ。

ROBO-ONE GP 2ndステージ

 郡山で初開催となったROBO-ONE GP。15日は、今年の11月25日~28日に行われる「2009国際ロボット展」での開催が予定されている「ROBO-ONE GP 2009 FINAL」への出場権をかけたROBO-ONE GP 2ndステージ、16日は同じメンバーによるエキシビションマッチとして行なわれた。

 ポスターにも登場していたGP2007チャンピオン「キングカイザー」だが、パイロットの体調不良により急遽参戦が取りやめられたとのアナウンスがあり、代替選手として「もん☆」を擁する“Team BOSO”から「ブラックぺんと」が登場することになった。そのほかには「ダイナマイザー」(スギウラファミリー)、「クロムキッド」(くぱぱ)の2機が参戦し、合計4機でのバトルが行なわれた。

 ROBO-ONE GP 2ndステージ1回戦は、「クロムキッド」対「ブラックぺんと」、「ダイナマイザー」対「もん☆」という組み合わせ。第1試合では投げを狙ってくる「ブラックぺんと」に対し、突きで対抗したクロムキッドが、3ダウンを2ダウンを先取。。最後は投げにいった手が突きのように決まり、決勝切符をつかんだ。第2試合は「もん☆」が「ダイナマイザー」を寄せ付けず、一方的に試合を進めて3ノックダウンを奪い、決勝に進んだ。

 この「もん☆」戦が「あまりに情けない」と自嘲していたスギウラファミリーの杉浦氏は、名誉挽回を期して3位決定戦に臨み、2ダウンを先取し、試合を有利に進める。「ブラックぺんと」も最後に一矢報いるものの、何度となくパンチを受けながらその1ダウンのみにとどめた「ダイナマイザー」の安定感が印象に残る試合となった。

「クロムキッド」対「ブラックぺんと」「ダイナマイザー」対「もん☆」3位決定戦「ブラックぺんと」対「ダイナマイザー」
決勝戦「クロムキッド」対「もん☆」

 決勝戦は「クロムキッド」対「もん☆」。サッカー競技もこなすスピードに優れた「クロムキッド」が、重量級の「もん☆」の広い間合いをかいくぐって攻撃を決められるかが勝負の分かれ目といえる試合だ。この決勝のみ、3分3ノックダウン制なのは通常と変わらないが、1ラウンドで決着がつかない場合、最大3ラウンドまで行なわれる。

 まず、試合開始の声がかかるかかからないかのうちに、「もん☆」が「クロムキッド」の手先を引っかけ、引き倒して1ダウン。「クロムキッド」の尖った手先が、「もん☆」の手に空いた穴にちょうど引っかかったのだ。偶然かと思いきや、2ダウン目も同じ形でクロムキッドの手先を引っかけて奪取。「クロムキッド」も間合いに飛び込んで突きを放つのだが、ダウンさせられるほどきれいに決めることができない。そうこうしているうちに、三たび「クロムキッド」の手先を引っかけた「もん☆」が3ダウン目を奪う。あまりに早い決着は「もん☆」の名に恥じない圧勝だろう。これで、「ROBO-ONE GP 2009 FINAL」への出場権を手にした「もん☆」だが、「クロムキッド」を子供扱いしたような決勝の内容は、あらためて他の出場ロボットに脅威を与えたのではないだろうか。

 16日に開催されたエキシビションマッチは、全く同じトーナメント構成で、1回戦の試合結果も同じ、決勝戦の顔合わせも同じとなった。

 だが、試合内容の方は同じとはいかず、前日に圧勝していた「もん☆」が第1ラウンドこそリードするものの、押し切るまでには至らず、第2ラウンドに突入。その第2ラウンドでは試合中盤まで0-0のまま進み、「クロムキッド」の方が先制。「もん☆」も取り返し、前日も有効だった引き倒しを狙うが、「クロムキッド」はそのたびに姿勢を低くして避けて1-1のドローに持ち込み、試合は第3ラウンドまでもつれ込んだ。最後の第3ラウンドでは、またも反則スレスレの先制攻撃を見せた「もん☆」が2ダウンを連取。「クロムキッド」はあと1ダウンすれば試合終了という状況下でありながら攻め続け、重いモンスターをリング際に追い詰めてリングアウトさせ、さらに攻勢をかける。しかし、そこで「もん☆」の放った引き倒しの罠にはまってしまい、ダウン。郡山のGP2戦は、「もん☆」に席巻された大会となった。

エキシビションマッチ決勝戦第2ラウンドエキシビションマッチ決勝戦第3ラウンド郡山のGP2日間を牛耳った「もん☆」

次回のROBO-ONE GATEは“ダンス対決”

 本大会に比べて参加しやすいイベントとして設定されたROBO-ONE GATEだが、今回の郡山大会には、参加者7チームのうちROBO-ONEのクラス優勝者が3チームもいるという、超豪華メンバーとなった。本大会で優勝を目指すロボットであれば、格好の前哨戦として位置づけられたのだろうが、逆に初心者にとっては「もしかしたら勝てるかも」とは思いにくい、厳しい面子だったろう。だが、格闘競技で決勝出場権を得られるROBO-ONE GATEは今回まで。次回のROBO-ONE GATEは9月26日に千葉県・千葉市科学館で行なわれる「ダンス対決」なのだ。

 勝敗も観客の拍手と出演者/スタッフの投票で決まるという審査方式になっているので、多少ロボットの力やスピードに差があっても、工夫次第で勝負になるかもしれない。ダンスの曲もエントリーフィーに楽曲使用申請費用を含んでいるということなので、著作権のある楽曲でも堂々と踊ることができるようだ。ROBO-ONE本大会と日程がかぶってしまっているが、富山に行かない方は、こちらへ挑戦してみても面白いのではないだろうか。



(梓みきお)

2009/9/2 18:28