「第4回 姫路ロボ・チャレンジ ミニ」レポート
~市内の小学校5校から、18体のロボ虫も出場。年齢を超えた異種格闘技戦
第4回 姫路ロボ・チャレンジ ミニ |
11月3日(月・祝)に、兵庫県姫路市の姫路科学館において、「第4回姫路ロボ・チャレンジ ミニ」が開催された。主催は、姫路ロボ・チャレンジ実行委員会。
姫路科学館では、2005年から「姫路ロボ・チャレンジ」を年2回のペースで実施してきた。小学生や市販キットを組み立てたばかりの初心者も参加できるスタンダードクラスと、レベルの高い自律競技があるエキスパートクラスがある。「子ども達が、間近でロボットを応援してくれるのが嬉しい」と参加者の多くがリピーターになる人気大会だ。全国各地からの出場者も多く、回を重ねるごとに姫路市を中心に近隣の小中高や社会人にも、ロボット製作者が増えつつある。
市内の参加者から、「年2回の競技会だけではなく、技術交流する機会がほしい」という声があがり、今年の春から、「姫路ロボ・チャレンジ ミニ」が定期開催されるようになった。競技参加者のレベルアップを主目的とし、交流会と競技を行なっている。年間を通じたポイントランキング制を取り入れ、12月の「姫路ロボ・チャレンジ2009 冬の陣」で年間チャンピオンを選出する。
今回の競技は、5mコースの走行タイムを競う「ロボカーナ」と、トーナメント形式の「ロボットバトルゲーム」の2種目を実施。姫路市内の小学校から18体の虫型ロボットが参加し、賑やかにイベントが行なわれた。
5mのタイムを競うロボカーナ | ロボットバトルゲームは、二足歩行ロボットとロボちゅうの異種格闘技戦 | 午前中は、ロボットの整備をしながら技術交流 |
姫路市内の小学校でロボット学習をしている子ども達 | 中村素弘氏(姫路ロボ・チャレンジ実行委員長/有限会社姫路ソフトワークス社長) | 会場となった姫路科学館 |
●姫路市内の小学校におけるロボット教育
3軸で構成された「ロボちゅう」 |
昨年、飾磨小学校にロボットクラブができて、生徒達が姫路ロボ・チャレンジに出場し活躍してきた。今年度は飾磨小学校、峰相小学校、的形小学校、手柄小学校、旭陽小学校の5校が姫路科学館、有限会社姫路ソフトワークスと連携し、独立行政法人 科学技術振興機構(JST)から支援を受けてサイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)事業としてロボット教育を実践している。
教材の「ロボちゅう」は、小学生に人気があるクワガタやカブトムシをモチーフに中村氏と姫路科学館が共同開発した。3つのサーボが搭載されており、前足と腰、頭を動かして虫のように動き回る足式移動ロボットだ。操縦には、テレビのリモコンを使用する。子ども達はモーション作成だけではなく、思い思いの装飾をつけてオリジナルロボットに仕上げていた。
9月には5校が集まって、第1回目のイベントを開催したそうだ。今回も、学校対決でロボちゅうキング杯を競った。各競技で1位5ポイント、2位4ポイント、3位3ポイント、4位2ポイント、5位1ポイントが与えられ、合計ポイントが多かった学校にロボちゅうキング杯が授与される。第1回で優勝した旭陽小学校の選手達は、残念ながらインフルエンザのため欠席。今回は、4校の選手達が競技を楽しんだ。
自作のロボちゅうでロボカーナの練習 | 友達のと比べながら、最終調整に余念がない | 学校対決で「ロボちゅうキング杯」を競った |
●5mのコースを走る「ロボカーナ」
ロボカーナは、カーペットの上に描かれた直線や曲線の5mコースを走る競技。姫路ロボ・チャレンジでは、上級者が出場するスタンダードクラスのロボット用競技だ。初心者向けのスタンダードクラスでは、歩行競技は3mの直線で競う。ロボ・チャレンジ ミニは、参加者同士の交流とレベルアップを目的にしているため、全員がロボカーナにチャレンジする。
ロボちゅうも、このロボカーナのコースを走った。とはいうものの、足が長く小回りがきかないロボちゅうにとって、ロボカーナのコースは狭すぎる。特例として、全身がコースアウトした時は、審判の判断で手でコースへ戻すことが認められた。
二足歩行ロボットは6体、ロボちゅうは4体がゴールした。
【動画】XO3(Ryuya氏)の走行 | 【動画】シャイニングスタッグビートル(峰相小学校5)速く歩けるように、足をたくさん前に出すように工夫したそうだ。 | 思うように歩かないロボちゅうに、悪戦苦闘 |
ロボット名 | リング名 | 記録 |
---|---|---|
シャボザック | シャボルト | 0:27:88 |
ぶらっくII | ブラックI | 0:38:00 |
XO3 | Ryuya | 0:39:57 |
エーテル | はっし~ | 0:45:05 |
JO-ZERO type-S | いいんちょ | 0:52:02 |
Nico | クロイチ | 1:06:00 |
ロボット名 | リング名 | 記録 |
---|---|---|
シャイニングスタッグビートル | 峰相小学校5 | 1:03:00 |
ゴリマッチョ | チーム的形4 | 1:37:00 |
モンキーDドラゴン | ロボコン | 1:49:00 |
プッチ良夫 | チーム的形3 | 1:51:00 |
●異種格闘戦「ロボットバトルゲーム」
ロボットバトルゲームは、二足歩行ロボットとロボちゅうが混在するトーナメントで実施した。ロボちゅうはひっくり返るか、リングから落ちたら負けというルール。運動性能に差があるため、二足歩行ロボットは橫移動禁止された。
事前に、ロボちゅうが出場することが知らされていなかったため、二足歩行ロボットユーザーは対策を立てることができなかったそうだ。足元をウロウロするロボちゅうを攻撃する手段がなく、スリップダウンを重ねて敗退する二足歩行ロボットもいた。まともに攻撃を仕掛けると「大人げないなぁ~」と言われてしまい、バトルしづらいという面もあったようだ。
ロボちゅう対決は、子ども達だけではなく引率の先生も応援に力が入っていた。子ども達は勝っても負けても、嬉しそうに先生に報告していた。先生方は、次の試合の作戦を生徒と一緒に考えたり、壊れたロボットの修理したりと大忙しだった。
【動画】リボン(峰相小学校1) VS キング(ドラゴンキング)のロボちゅう対決。 | ロボットが断線したら、先生の出番です! |
トーナメントで大健闘したのは、ブラックIくんの多足歩行ロボット「ぶらっくII」だった。ブラックIくんは、飾磨小学校の卒業生でロボットクラブの1期生だ。中学生になってからは、自分でロボットを作り、イベントに参加している。トーナメントでは、ロボちゅう2体に勝ち、3回戦で白衛門(akemiさん)と対戦。白衛門のパンチをかいくぐり、足元をぐいぐい押すなど積極的に闘った。両者ダウンをとれないまま、試合終了。プラスティックケースの蓋をリングにして、延長戦となった。狭い上に剛性がないリングが災いして、白衛門がうっかりとリングアウト。強敵相手に勝利を拾い、ブラックIくんは大喜びだった。
笑いと苦戦が入り交じったトーナメントを勝ち上がってきたのは、シャボルト氏のシャボザックと、はっし~氏のエーテルだった。エーテルは、前日に片腕を壊したということで攻撃力が半減。細かいステップで動き回りながらパンチをはなったが、決めてに欠けた。3-0でシャボザックが優勝した。
●次回は12月19~20日に「2009年冬の陣」を開催
第4回 姫路ロボ・チャレンジ ミニの総合優勝は、シャボルト氏のシャボザックが獲得した。シャボルト氏は、「姫路ロボ・チャレンジ 2008年 冬の陣」のエントリークラスでデビュー。初参加で総合優勝した。この1年間は、関西を中心に、姫路ロボ・チャレンジやロボファイト、JSRCなどに積極的に参加し、活躍してきた。
どの大会でも上位に入賞しているので、「初めて、バトルで優勝できて嬉しい」というコメントが意外に感じられた。大会ごとに、少しずつロボットを改造し、モーションを調整して成果を上げているロボットビルダーだ。
シャボルト氏は、ロボットを始める前はラジコンカーに夢中だったそうで、ラジコンの知識を活かしたカスタマイズが得意。今回は、膝のサーボモーターのパワーアシストするために、RC用のサーボセイバーを利用したそうだ。ロボカーナはもちろん、バトルでも安定した動きを見せていた。
総合優勝のシャボザック。ROBONOVA-Iをベースにかなりカスタマイズされている | 【動画】RC用のサーボセイバーで、サーボモーターのパワーをアシストしている | バトル初優勝に喜ぶシャボルト氏 |
ロボちゅうキング杯は、総合ポイント18を獲得した峰相小学校に授与された |
ロボちゅうキング杯は峰相小学校が、総合ポイント18で獲得した。同校は、4体のロボットが出場し、3体のロボちゅうがバトルで1回戦を突破、ロボカーナも優勝している。
12月19日~20日には、「2009年冬の陣」がエントリークラスとスタンダードクラスに分かれて開催される。スタンダードクラスは、第17回ROBO-ONE決勝出場権 認定大会となっている。エントリー受付は、11月10日(火)から、公式サイトで行なわれる予定。
2009/11/13 19:47