「姫路ロボ・チャレンジ第8回大会“2009年夏の陣”」レポート

~エントリークラスに33体が出場。女子が大活躍!


 8月30日(日)、兵庫県姫路市 姫路科学館において二足歩行ロボット競技会「姫路ロボ・チャレンジ第8回大会“2009年夏の陣”」が開催された。主催は姫路ロボ・チャレンジ実行委員会、姫路科学館。

 姫路ロボ・チャレンジは、小学生~社会人がレベルに応じたロボット競技に参加し、先端技術に触れ自発的に学ぶ場を提供することを目的として年2回開催している。今大会はエントリークラス限定で実施。地元の高校生を中心に過去最多の33台が出場した。参加者達の著しいレベルアップに、3月から定期的に開催している技術交流会「姫路ロボ・チャレンジ ミニ」の効果を感じた。

 競技は、2分間でロボットの性能をアピールする「デモンストレーション」、直線3,000mのタイムを競う「ロボットかけっこゲーム」、トーナメント戦の「ロボットバトルゲーム」の3種目がある。「デモンストレーション」と「ロボットかけっこゲーム」を見学した観客が、総合優勝するロボットを予想する人気投票が行なわれ、獲得投票数の多い順に得点が与えられる。この投票数もポイントとなり、全競技の合計点で総合優勝を競う。

デモンストレーションロボットかけっこゲームロボットバトルゲーム
中村素弘氏(姫路ロボ・チャレンジ実行委員長)古角孝之(姫路科学館長)姫路科学館

ロボットをアピール「デモンストレーション」

 デモンストレーションには、自由参加の「チャレンジステージ」が設けられている。これは、幅30cmの板に置かれた紙製ボールをスタート地点から1mのところまで運ぶ課題。ボールの運び方は自由だが、ロボットかボールが板から落ちたらそこで終了。成功すると3ポイントもらえるので、上位入賞を目指すならば必ずチャレンジしなくてはならない。

 キックしながら運ぶのがオーソドックスだが、方向転換も難しい狭い板の上では、どこへ転がるかわからないボールを蹴るのは意外と難しい。ボールを持って運べば、歩行のバランスが崩れる。ルール上では移動方式に制限がないため、ユニークなアイデアでチャレンジしているロボットが多かった。

 トップバッターの「Ocean Boy」(南部俊氏)は、Gogic Racerがベースの河童ロボットだ。いきなり仰向けになって車両モードに変形すると、足元のボールを押しながらゴールまで進んだ。Ocean Boyは、背中にサーフィンを背負っているのがチャームポイントだ。この夏、海に遊びに行ったそうでYouTubeに旅行記をアップしている。

 KHRがベースの「あすら」(あしゅば氏)も仰向け派だった。万歳した両手でボールを保護し、寝ころんだまますり足で移動した。よく見ると、背中に小さな車輪がついていて仰向け移動を助けている。

 「インフィニティ」(IIII:神戸市立科学技術高校)は四つん這いになって、両腕と足の間にボールを挟み込み、雑巾がけをする要領でボールを運んだ。

 「WX」(仁井氏:飾磨工業高校)はドリブルでボールをゴールまで運んだ。スタート時に若干時間がかかっていたが、狭い板の上で上手に方向を微調整しながらゴールできた。

 「テナジー81」(山本氏:大阪府立大学)はボールを蹴って移動。両手を抱え込むポーズでそっくりかえって歩いているので、なぜ、こんなポーズなのだろう? と不思議に思った。実は、ボールを持って歩く予定だったのだが、予想よりボールが小さかったため持ち上げることができいなかったそうだ。デモンストレーションではペットボトルを抱えて歩いてみせた。

【動画】Ocean Boy(南部俊氏)はレーサータイプにトランスフォーム【動画】あすら(あしゅば氏)。仰向けになってすり足移動で運んだ【動画】インフィニティ(IIII:神戸市立科学技術高校)は雑巾掛けの要領でチャレンジ
【動画】WX(仁井氏:飾磨工業高校)はキックでゴールまで運んだ【動画】テナジー81(山本氏:大阪府立大学)。ボールを抱えて歩くつもりだったが……【動画】XO3(Ryuya氏)は2リットルのペットボトルを倒して、パワーをアピール

 高校生メンバー達が、オリジナルロボットの設計を始めている。「T-ANK-α1」(3E氏:龍野北高校)は、初めて設計したオリジナルロボット。ようやく下半身が動くようになったところだ。上半身にバッテリを搭載して左右に重心移動して、歩行している。今後、上半身も作成して完成させるというので楽しみだ。

【動画】T-ANK-α1(3E氏:龍野北高校)。初めて設計したロボットで参戦【動画】ものクロ2号(実高氏:龍野北高校)。背中の羽のような構造やキックで攻撃する【動画】J(K氏:県立姫路工業高校電子機械科)は、Gogic Fiveに大きな外装をつけた
AMAGO-02(紙本氏:兵庫県立尼崎工業高等学校)は、KHRの改造機エフォートクリスタル(段氏:飾磨工業高校)。JO-ZEROが競技に登場コロスケ(北村祐太氏)。3軸ロボットのRobovie300も出場

3,000mmのタイムを競う「ロボットかけっこゲーム」

 この競技は今回、参加者のレベルアップを一番感じた競技だった。前回の優勝タイムは22秒。これを第1レースに出場した「ナイト2」(まりかさん:N3S)が、いきなり18秒に更新した。続いて第2走に、レコード保持者のあすら(あしゅば氏)が登場。快調に走ったが、ゴール直前で転倒してしまった。競技ルールで、足裏がゴールラインを超えなくてはゴールとして認められない。起き上がろうとするものの、わずかなコースの段差が邪魔をして無念のリタイアとなった。

 第9レースで、奈良県から初参加の「白衛門」(akemiさん:奈良育英学園情報技術部)が、15秒41と記録を大きく更新した。

 最終レースに登場したのが、最近ロボットの調子をぐんぐんあげている「XO3」(Ryuya氏)だった。Ryuya氏は、先月の姫路ロボ・チャレンジ ミニのバトルで優勝し、今大会では総合優勝を宣言していた。白衛門は姫路ロボ・チャレンジは初参加だが、大阪での活躍は当然Ryuya氏もよく知っている。今大会で一番のライバルになると考えていただけに、15秒台の記録はプレッシャーになったという。スタートラインにロボットを置く時から、しっかりとコース取りを考えて、横歩きで一気にゴールを目指した。結果は10秒19。「家で練習していたので、その成果を出せました」と、ガッツポーズで喜びを示した。

【動画】ナイト2(まりかさん:N3S)のチャレンジ。タイムは18秒【動画】あすら(あしゅば氏)はゴール前で転倒しリタイア【動画】初出場で19秒と大健闘のあぷるん(あみさん)
【動画】白衛門(akemiさん:奈良育英学園情報技術部)が15秒41と記録を更新【動画】XO3(Ryuya氏)が10秒19で優勝!記録が読み上げられた瞬間、ガッツポーズのRyuya氏
ロボット名オペレータ名:チーム名記録
XO3(Ryuya氏)0"10
白衛門(akemiさん:奈良育英学園情報技術部)0"15
ナイト2(まりかさん:N3S)0"18
あぷるん(あみさん)0"19
フェニックス(I:神戸市立科学技術高校)0"24
テナジー81(山本氏:大阪府立大学)0"28
ゴーレム(IV:神戸市立科学技術高校)0"31
J(K氏:県立姫路工業高校電子機械科)0"33
WX(仁井氏:飾磨工業高校)0"42
Xevo(北村祐太)0"43
秋山森乃進だお(辰田氏:飾磨工業高校)0"48
きゃろらいん(AKANE氏:県立姫路工業高校電子機械科)0"52
すーぱーぺんぺん(みれいさん:N3S)0"58
カレント(まりんさん:N3S)0"65
スケアクロウ(おぢさま氏:県立姫路工業高校電子機械科)0"75
あすら(あしゅば氏)2990mm
エフォートクリスタル(段氏:飾磨工業高校)2910mm
インフィニティ(IIII:神戸市立科学技術高校)2380mm
ただのうごき(てぶりき氏:龍野北高校)2270mm
ノヴァ郎(V:神戸市立科学技術高校)1650mm
ダオ・G(福井氏:飾磨工業高校)1600mm
カンタム(龍北氏:龍野北高校)1580mm
T-ANK-α1(3E氏:龍野北高校)1570mm
オルトロス(II:神戸市立科学技術高校)1470mm
Gogic オイゼー(おいちゃんさん)1400mm
ものクロ2号(実高氏:龍野北高校)1150mm
AMAGO-02(紙本氏:兵庫県立尼崎工業高等学校)430mm
AMAGO-03(岡田氏:兵庫県立尼崎工業高等学校)200mm
フォルニカラス(宮本氏:飾磨工業高校)170mm
コロスケ(北村祐太氏)60mm
サンタテレサ(野村氏:飾磨工業高校)1mm
Ocean Boy南部俊氏棄権
プロトプロトにしてあげる~永井氏:飾磨工業高校棄権

子ども達の声援が熱い! ロボットバトルゲーム

 最後の種目は、子ども達の声援がひときわ高くなる「ロボットバトルゲーム」だ。制限時間3分間の6ポイント制。早くダウンを3回奪った方が勝利する。スリップは2回で1ダウンとなる。

 今回のトーナメントで、準決勝に進出したのは、あぷるん(あみさん)、ナイト2(まりかさん:N3S)、白衛門(akemiさん:奈良育英学園情報技術部)、XO3(Ryuya氏)の4体。なんと、オペレータの3名が女子だ。準決勝第1試合は、あぷるん(あみさん) VS ナイト2(まりかさん:N3S)。姫路ロボ・チャレンジの常連、バトルに長けたナイト2に、ロボットイベント初出場のあぷるんが善戦。延長戦までもつれこんだものの、結果はナイト2の貫禄勝ちとなった。

 第2試合は、XO3(Ryuya氏) VS 白衛門(akemiさん:奈良育英学園情報技術部)。互いの活躍は本誌のレポートで知っているものの、イベントでは初顔合わせだ。XO3がリーチを活かしたパンチで、白衛門からダウンを続けて奪った。カウント2-0でリードされた白衛門のパンチで、XO3がダウン。X03は審判のカウントに助けられる形で、ギリギリ起き上がった。最後は、背後から近づく白衛門をX03が振り払って3つ目のダウンを奪って勝利した。

 決勝戦は、XO3(Ryuya氏) VS ナイト2(まりかさん:N3S)の戦い。ナイト2は、自分より大きなロボットとのバトル経験が少ない。間合いを取って戦おうをするが、XO3の攻撃範囲を読み切れないようで、同じパターンの攻撃で立て続けにダウンを奪われていた。X03の攻撃をかわしてカウンターパンチを放ち、ダウンを取り返す場面もあったが、最終的にはX03が優勝した。

準決勝第1試合。あぷるん(あみさん) VS ナイト2(まりかさん:N3S)準決勝第2試合。XO3(Ryuya氏) VS 白衛門(akemiさん:奈良育英学園情報技術部)【動画】決勝戦。XO3(Ryuya氏) VS ナイト2(まりかさん:N3S)
【動画】あぷるん(あみさん)は、コントローラーを振るとロボットが自動で起き上がる【動画】Gogic オイゼー(おいちゃんさん) VS コロスケ(北村祐太氏)のエントリークラスらしいバトルロボットバトルゲーム トーナメント結果

 総合優勝は、かけっこゲームとバトルゲームを制したXO3(Ryuya氏) が獲得した。Ryuya氏は、今回でエントリークラスを卒業。次回からは、エキスパートクラスにチャレンジすると意気込みを語った。

 今大会を見て、姫路市を中心として関西圏で小中高校生ロボットビルダーのレベルが一段とアップしていることを感じた。33体エントリーして棄権したのは、仕事のためデモンストレーションしかでられなかったOcean Boy(南部俊氏)と、当日の朝、マイコンにプログラムの書き込みエラーのトラブルにあった「プロトプロトにしてあげる~」(永井氏:飾磨工業高校)の2体だけだ。初心者向けの大会であるにも関わらず、出場者全員が大会当日にロボットを完動状態に仕上げているのがすばらしかった。各校の先生方の指導もあるだろうが、出場者が自主性を持って取り組んでいるのが控え室の熱気からも感じられた。

参加者の意気込みは、大会の結果に如実に表れている。3000mm走は、前回の大会記録から10秒以上短縮した。完走したロボットも15体とほぼ倍増している。また、女子が7名参加しており、各競技で上位を占めていた点も注目したい。

回を重ねる毎に、幅広い年齢層の参加者が増え、イベントが地域に浸透しているのを実感する。これからも若いロボットビルダーが次々と誕生し、活躍するのが楽しみだ。

総合優勝のXO3(Ryuya氏)女子の活躍が目立った姫路ロボ・チャレンジ第8回大会"2009年夏の陣、出場者

世界記録に挑戦! ゴムワングランプリ

 同日、輪ゴム3本を動力とした車で移動距離を競う「ゴム・ワン グランプリ」も開催された。

 「ゴム・ワン グランプリ」は、身近な材料を使い試行錯誤と創意工夫でものづくりの楽しさを体験する機会として企画された。2006年7月の第1回大会では記録が10m86cm。その後、毎回、大会記録を更新し、とうとう館内での決勝は不可能となった。今大会は、科学館の外にカーペットを敷いてコースを設営し実施した。

 優勝した田中ほづみさんの車は、青空の下に設けられた40mコースを軽々と走り抜け、42m10cmで大会記録を大きく更新した。

【動画】田中真さんのチャレンジ。28m60cmで2位1位~3位を田中さん一家で独占


(三月兎)

2009/9/11 16:38