記事検索
最新ニュース
【2009/12/25】
【2009/12/24】
【2009/12/22】
【2009/12/21】
【2009/12/18】
【2009/12/17】
【2009/12/16】
【2009/12/15】
【2009/12/14】
【2009/12/11】
【2009/12/10】
【2009/12/09】
【2009/12/08】
【2009/12/07】
【2009/12/04】

二足歩行ロボットバトル大会「ロボファイト10」レポート【SRC編】

〜ロボットもハロウィーン!! 仮装ロボット紹介


 2009年10月10〜11日、大阪産業創造館にてロボットフォースが主催する「ロボファイト10」が開催された。同イベントは2005年の初開催以来、年に2回実施されてきた。今では関西を中心に、関東や九州からもロボットビルダーが集う西日本最大の二足歩行ロボット大会に成長した。

 今大会は、初日に市販キットがベースのロボットが中心のSRC(スタンダードレギュレーションクラス)、2日目に自作機メインのORC(オーバーレギュレーションクラス)を実施。秋晴れの大阪に2日間で総勢75体が集まった。

 SRCは、1.8kg以下級(SRCu1.8)と1.8kg越級(SRCo1.8)の2クラスに分かれてトーナメントを実施。元々は、市販キットそのままでも出場できる初心者向けクラスという位置づけだったが、レギュレーションギリギリを狙ったハイスペック機も登場したため、体重やサーボなどの制限でサブクラス化された。

 52体が出場したメインイベントのSRCu1.8を制覇したのは、奈良育英学園情報技術部の部長akemiさん。自分の試合の合間に後輩達のサポートをしながら、見事に初優勝を決めた。

 本稿では、初日のSRCトーナメントバトルと、ユニークなロボットを紹介する。

参加者続々と受付中 SRC参加者 記念撮影 大阪産業創造館

ロボットもハロウィーン。仮装(?)ロボットの紹介

 バトルと交流を楽しむことが目的のロボファイトには、ユニークなロボットが集まる。テーマを設けたわけではないが、季節柄、ハロウィーンの仮装をしたロボットが多かった。仮装していなくても、存在そのものがハロウィンっぽいロボットも合わせて紹介する。

アフ・ロゥ(マサ吉氏) Black Rabbit(K) 【動画】ピンギキュラ(A4氏/大阪産業大学テクノフリーク部)
ねこ(ヴィー氏) スパルタンX(IT-CLUB 003氏/奈良育英学園情報技術部) midget-ghost(sakia氏)
ヘルハウンド(シェブサト氏) セイロ・A・ガントーイ(りっちん氏/大同大学ロボット研究部) ギャオラス・G(おかべヤン氏/大同工業大学ロボット研究部)

 今大会でピックアップしたいロボットは、コナーファ氏が製作した棗(なつめ)だ。独特な軸構造で人間のように自由なポーズをとることができる。

 こうしたポーズが取れるのは、股関節のピッチ軸・ロール軸・ヨー軸が特殊な配置で3軸直交になっているからだ。ピッチ軸とロール軸は、大きなギアで連結している。ギアだけではボディとの隙間でガタが生じるため、ギアに8個のボールを埋め込んでいる。これによって、ガタつき防止とスムースな回転が可能となった。
「軸構成が複雑でモーション作成は難しくなったが、表現力が増えた」とコナーファ氏はいう。

棗のポーズ集
ギャオラス・Gに騎乗 棗の洋服はコナーファ氏の手作り 棗の素体
股関節が3軸直交になっている ギアにはボールを埋め込みガタつき防止をしている フレームにはボールの跡がくっきりと残っていた

52体が出場! SRC1.8kg以下級トーナメント

 メインイベントは、一番参加者が多いSRC1.8kg以下級のトーナメントバトルだ。市販キットを組み上げたばかりの人も出場できる入門クラスになっている。最近は、学生の活躍が目立っており、今大会は52体が出場中35体が学生だった。

大阪産業大学テクノフリーク部は、オリジナルのロボットプリントTシャツで参加

 バトルは3分1ラウンド6ポイント制。パンチやキック、投げ技などで相手から早く3ダウン取った方が勝ち。スリップで倒れた時には、1ポイントを失う。トーナメントの1〜3回戦で敗退したロボットは、敗者復活戦の2×2バトルトーナメントに出場できる。

 準決勝まで勝ち上がったのは、白衛門(akemi氏/奈良育英学園情報技術部)、AQUILA(有機物氏/大同大学ロボット研究部)、Vanguard(かろと氏/大同大学ロボット研究部)、シャボザック(シャボルト氏)の4体。準々決勝4試合を動画で紹介しよう。

【動画】準々決勝第1試合。白衛門(akemi氏/奈良育英学園情報技術部) VS ガジェット・フロッグJR.(ドクター・ガジェット氏)。ガジェット・フロッグJRは、機体トラブルでスリップから起き上がり不能となってしまった 【動画】準々決勝第2試合。AQUILA(有機物氏/大同大学ロボット研究部) VS つばめ(けいすけ氏/大阪産業大学テクノフリーク部)両者ダウンを奪いあう見応えのある展開
【動画】準々決勝第3試合。Nimble(ヒュード氏) VS Vanguard(かろと氏/大同大学ロボット研究部)。背の高い方Vanguardは、自作機だ 【動画】準々決勝第4試合。シャボザック(シャボルト氏) VS ギャラピー(ペーター氏/大阪産業大学テクノフリーク部)。リーチのあるシャボザックが終始有利なバトルをした

 準決勝第1試合は、白衛門(akemi氏/奈良育英学園情報技術部) VS AQUILA(有機物氏/大同大学ロボット研究部)の対戦だ。

 横移動で素早く動く白衛門が、リーチを活かしてAQUILAから立て続けにダウンを奪った。リング際で起き上がろうとしたAQUILAは、バランスを崩してリングアウト。その時、ガキっというイヤな音が、AQUILAの右膝から聞こえた。仲間から「起き上がれ〜」と声援を受けたものの、あえなく10カウントKO。

 AQUILAは右膝ピッチ軸のプラスティックギアが割れていた。「まさか大事な試合でギアが割れるとは思わなかった」と、有機物氏は悔しさを言葉にした。

 第2試合は、シャボザック(シャボルト氏) VS Vanguard(かろと氏/大同大学ロボット研究部)。

 今大会、一番のいじられキャラだったVanguardが、仲間からの愛に溢れた声援(?)を浴びて登場した。試合開始早々、シャボザックのパンチにVanguardが倒れるとチームメンバーが一気に沸いた。Vanguardがダウンするたびに、やんややんやと拍手が起こる。審判も心得たように試合を引っ張り場を盛り上げた。最後は、シャボザックがVanguardの背後からキレイにパンチを決め勝利。

 Vanguardは、一見Robovie-Xだが、実はサーボはKONDOでフレームは自作した機体に、外装だけRobovie-Xを搭載している。ネタ満載のロボットで、人気が高かった。何より大きな特徴は、Xboxのゲーム「鉄騎」のコントローラーでロボットを操縦している点だ。かろと氏は、スティックでロボットを移動させたり、転んだら緊急脱出ボタンを強打して起き上がらせたり楽しそうだった。

【動画】準決勝第1試合。白衛門(akemi氏/奈良育英学園情報技術部) VS AQUILA(有機物氏/大同大学ロボット研究部) 【動画】準決勝第2試合。シャボザック(シャボルト氏) VS Vanguard(かろと氏/大同大学ロボット研究部) 【動画】Vanguardのコントローラー。かろと氏が楽しそうに操縦していた。対戦相手はK鐵(山片治樹氏/大阪工業大学 ロボットプロジェクト)

 3位決定戦は、大同大学ロボット研究部同士、Vanguard(かろと氏) VS AQUILA(有機物氏)の対決だ。

 Vanguardがサイドパンチでダウンを奪い2ポイント先制。続けて積極的に攻め踏み込んだところをAQUILAから返り討ちにされる。パンチの応酬であわやVanguardが倒れるかと思ったが、絶妙なバランスで耐えた。Vanguardは腕を大きく広げ、AQUILAをハンドで引き倒した。足を止めてパンチを出すAQUILAに、Vanguardが自ら一歩踏み出して、頭部にパンチを当て勝負を決めた。

 山片治樹氏は、「一昨日ロボットが完成し、徹夜でモーション作ったのに最後に仲間に負けてしまった」と、悔しそうだった。

 SRC決勝戦は、市販キットROBONOVA-Iベースの戦いとなった。ロボファイト1から出場している白衛門は、大会を重ねる毎に成長し、最近は常に上位に入賞している。一方のシャボザックは、昨年、姫路でデビューしたばかり。ロボット歴は浅いものの、関西地区の競技会に積極的に参加し急激に頭角を現している。両者ともに、初優勝を掛けた1戦となった。

 ゴングがなると同時に、シャボザックが白衛門に直進し伸縮する左腕で正面からパンチを放った。あっけなく倒れる白衛門。試合再開で、近づいてきたシャボザックに今度は白衛門が連続でパンチを浴びせて、ダウンを奪い返した。立ち上がったシャボルトに、再び白衛門がパンチを出すが、今度は返り撃ち。白衛門は反撃を試みるがスリップダウンをとられ、残り1ポイントあとがなくなった。しかし果敢に攻めた白衛門が、シャボザックを倒した。目が離せないシーソーゲーム。追い詰められても冷静に攻める白衛門。シャボザックのパンチを背中でかわして、スリップダウンを誘う。最後はシャボザックのスリップダウンで、白衛門が初のタイトルを手にした。

 勝負が決まった瞬間、akemiさんは両手を高く上げて応援してくれた部員達に喜びを表した。試合前のakemiさんは、シャボザックのバトルを見て「勝てる気がしない」と、弱気になっていた。実際、ロボットの攻撃力をみたらシャボザックの方が有利で、試合も終始押され気味だった。僅差で勝利を納めたのは、これまで培ってきたバトル経験値の差か。akemiさんは「11月のJSRCでも関西代表として頑張ります」と力強いコメントをした。

【動画】3位決定戦。Vanguard(かろと氏) VS AQUILA(有機物氏) 【動画】決勝戦、シャボザック(シャボルト氏) VS 白衛門(akemi氏/奈良育英学園情報技術部)。初優勝を掛けた好勝負
念願の初優勝。白衛門のパイロット、akemiさん SRCトーナメント結果

敗者復活戦は2×2で、交流&バトル

 トーナメント戦は、初戦敗退するとたったの3分参加でイベントが終わってしまう。それでは、せっかく集まってきた参加者の半数が楽しくない。そこで、ロボファイトでは、3回戦までに敗退したロボットは、敗者復活戦への出場権を得る。

 敗者復活戦は、2体のロボットがペアを組んで戦う2×2バトル形式だ。ペアは、主催者が決定する。これはなるべく初対面の組み合わせをつくり、バトルを通じてコミュニケーションも楽しんでもらおうという趣向だ。

 決勝戦へは、最強高校生を目指すはっし〜氏のEtherが、今大会で一番ちびっこなロボットmidget-ghostとタッグを組んで勝ち上がってきた。対するは、ここまでの試合で腰軸に不安があるブラスター(アキツカ氏/大同“工業”大学ロボット研究部)とマンボー(クリニカ氏/東京理科大学 Robot Creators)の大学生ペアだ。

 試合開始直後、Etherのパンチを浴びてブラスターが早々に戦線離脱。midget-ghostは、ここまでのバトル同様、はなから試合に加わる気がなくリング後方に控えて、Etherとマンボーの一騎打ちを観戦していた。

 midget-ghostのパイロットsakia氏は、Etherとマンボーの激しい攻防に熱心に見入ってしまいコントローラーを握る手に力が入った。その結果、midget-ghostはとことこ歩き出してリングアウト。気を取り直して、リング前方で試合を観戦するmidget-ghostだったが、Etherの攻撃をかわして接近してきたマンボーに軽く一発入れられて再びリングアウト。

 マンボーの大活躍で、大学生ペアが敗者復活戦を制した。クリニカ氏は、「大きなEtherが強いと分かっていたので、小さいmidget-ghostを狙いたかった」と、狙い通りの勝利に満足気なコメントだった。

【動画】準決勝第1試合。あかビー(赤やん氏)&Centurion(桃色兎氏) VS ブラスター(アキツカ氏/大同“工業”大学ロボット研究部)とマンボー(クリニカ氏/東京理科大学 Robot Creators) 【動画】準決勝第2試合。midget-ghost(sakia氏)&Ether(羽柴【はっし〜】氏) VS スパルタンX(IT-CLUB 003氏/奈良育英学園情報技術部)&ロボ丸(松村尚幸氏/大阪工業大学 ロボットプロジェクト) 【動画】midget-ghost(sakia氏)&Ether(羽柴【はっし〜】氏) VS ブラスター(アキツカ氏)とマンボー(クリニカ氏)

SRCoトーナメント

 SRC1.8kg超級は、エントリー台数6体のところ2体が棄権した。出場台数が少ないため、4体で第1トーナメント戦を実施。1〜4位の順位を決定後、3位〜6位が第2トーナメントを実施する。第1トーナメントの2位と、第2トーナメントの1位が再びバトルして、優勝決定戦への出場者を決める……という、少々ややこしいシステムを採用した。

 第1トーナメントの決勝戦は、ギャオラス・G(おかべヤン氏/大同工業大学ロボット研究部) VS 腹切(グータン氏/大阪産業大学歩行ロボットプロジェクト)。

 ギャオラス・Gが、スリップダウン後、起き上がったところを押し出されてリングアウト。立て続けにダウンを奪われ、あとがないギャオラス・G。尻尾攻撃は、腹切に届かない。なすすべもなく3ダウンKOで、腹切が勝利した。

 第2トーナメント 決勝戦は、棗(コナーファ氏) VS ダイガック(アキツカ氏/大同“工業”大学ロボット研究部)の対戦。棗(なつめ)がダイガックを両手で抱え込んで投げ技を決めた。腰の調子が悪いダイガックは、起き上がることができずあえなく10カウントダウンで敗退。

 3位決定戦は、棗 VS ギャオラス・G。棗がギャオラス・Gを投げ飛ばして、ダウンを先制。ギャオラス・Gが棗の頭を囓ろうとするが、ポジションの微調整が出来ずに届かない。棗は頭を差し出しているうちに、スリップを重ねて敗退してしまった。

 敗退した棗が3位で、勝ったギャオラス・Gは、次の決勝戦に進出する。優勝進出を賭けた試合でも、観客にネタを提供するのがロボファイト精神だ。

 決勝戦の対戦相手は、腹切(グータン氏)試合開始早々、ギャオラス・Gが、サイドステップで中央まで進むと、尻尾パンチで腹切をリング外へ吹き飛ばした。思わぬパワーにグータン氏も観客も驚いた。このまま勢いに乗って試合を進めたいギャオラス・Gだが、腹切のサイドパンチを後から浴びて、頭を抱え込んだ形でダウンしてしまう。サーボが燃える恐れがあるため、審判判断でダウンカウント追加と引き替えに姿勢を正した。試合再開で、腹切のパンチを正面から浴び、ギャオラス・Gが横倒しになって3ダウンKO。

 優勝したグータン氏は、優勝を喜びつつも「最初のリングアウトは何が起こったのか分からないくらい驚いた」とギャオラス・Gの健闘を称えた。

【動画】第1トーナメントの決勝戦。ギャオラス・G(おかべヤン氏/大同工業大学ロボット研究部) VS 腹切(グータン氏/大阪産業大学歩行ロボットプロジェクト) 【動画】第2トーナメント 決勝戦。棗(コナーファ氏) VS ダイガック(アキツカ氏/大同“工業”大学ロボット研究部)
【動画】3位決定戦。ギャオラス・G vs ×棗 【動画】決勝戦。腹切(グータン氏) VS ギャオラス・G(おかべヤン氏)

演技部門と表彰式

 ロボットフォースのイベントには、バトル以外にも演技部門がある。ダンスや寸劇だけではなく、技術発表を行なうこともある。ユーザーの自由な発想で自分のロボットをアピールし、ロボットのエンターテイメントの可能性を探る場だ。

 今回は、中学生のヴーさんがヴイストンの「Beauto」を使ったロボット海賊船PEKO号&ごまめを披露した。海賊船PEKO号&ごまめは、ラインをトレースしながら移動し、一定時間毎に大砲を発射する。大砲の発射は音とLEDの点滅で表現した。外装はレゴブロックで製作している。

 発表者のヴィーさんは、ロボットの特徴や製作で工夫した点の説明も交えながら分かりやすくロボットを紹介した。

演技部門に出場したヴイーさん 【動画】海賊船PEKO号&ごまめのライントレース SRC入賞者達
SRC1.8kg以下級 優勝者のakemiさん 岩気裕司氏(ロボットフォース代表)


(三月兎)

2009/10/20 16:48

Robot Watch ホームページ

Copyright (c)2009 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.