【iREX2009】竹馬型モビリティや上体型ヒューマノイドなどを展示した茨城県ブース


 「茨城県圏央道沿線地域産業・交流活性化協議会」ブースでは、茨城県つくば市、ゼネラルロボティックス株式会社、アプライド・ビジョン・システムズ、サイバーダイン株式会社、産総研などがロボットを出展している。「茨城県圏央道沿線地域産業・交流活性化協議会」とは、2007年8月30日に発足した協議会で「圏央道の開通を契機に、沿線地域の活性化を図るため、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成、ならびに交流促進方策の推進により、地域経済の自立・活性化を目指すため設置されたもの」(ホームページより)。

 IT・ロボット、バイオメディカル関連産業の拠点として飛躍することを目指している。

研究用上体ヒューマノイドロボット「HIRO」

 ゼネラルロボティックス株式会社は体操ロボット「たいぞう」、チョロメテの後継機種「codename:HRP-2m Next」、そして川田工業と共同開発した研究用上体ヒューマノイドロボット「HIRO」のデモを行なった。「HIRO」は片腕あたり最大2kgの物体を持つことが可能な上半身型ロボットで、ソフトウェアには「OpenHRP3」を採用、C++/Javaなどの画像認識や音声合成/認識ライブラリおよびサンプルが用意されている。ブースではサイコロを視覚で認識して把持、並べるデモを行なっていた。なおHIROは産業用ロボットゾーンの川田工業ブースでもデモンストレーションを行なっており、そちらでは服ではなくハード外装がついていた。

「たいぞう」【動画】サイコロを認識して並べる「HIRO」のデモ。【動画】HIRO。川田工業ブースでのデモの様子

産総研の竹馬型パーソナルモビリティ

 独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)は知能システム研究部門フィールドロボティクス研究グループが開発した竹馬型のパーソナルモビリティ技術(倒立振子型乗用移動体)を一部デモを行いながら出展した。係員がいて、なおかつあまり混雑していない状況であれば体験もできた。実際に試してみたところ、体重の移動に対してかなりシビアに設定されているようで、もともと身体のバランスが前重心あるいは後重心になっていると、乗りこなすにはやや時間がかかるようだと感じた。

 いっぽうセグウェイのように両足一体型のパーソナルモビリティも開発しているが、竹馬型であれば「不整地の段差なども片足をひょいと上げることで簡単に乗り越えることができる」と同研究グループ長の松本治氏は語る。今後はさらに小型化して靴の裏に簡単に装着できるようなものも考えているという。

産総研知能システム研究部門のパーソナルモビリティ。竹馬のような片足ごとに別々のタイプ(左)と一体型(右)がある竹馬型のパーソナルモビリティ運が良ければ体験も可能だった
野外での乗車実験も行なっている【動画】竹馬型パーソナルモビリティロボットのデモの様子

ロボットの安全を保障するための「D3プラットフォーム」

 なお産総研は別の場所にも独自のブースを構えていた。そちらでは自動車用に開発された通信技術「Time Triggered Protocol(TTP)」を使ったロボットの安全を保障するための「D3プラットフォーム」という安全技術の研究を、研究用ロボットアームを使って出展。「D3」とは「Distributed」「Dependable」「Deterministic」の意味。「D3プラットフォーム」はセンサー、モーターからなる分散制御系のプラットフォームで、TTPを通信プロトコルとして採用したもので、ロボット分散制御のモジュール化に貢献するという。またD3プラットフォームは国際安全規格認証READYによって標準化・安全規格認証確認済で、そのぶんロボットメーカの負担を軽減できるとしている。

産総研ブースD3プラットフォームをアピールする検証用ロボットアーム

そのほか

 産総研の3次元視覚技術「VVV」の事業化を行なっている株式会社アプライド・ビジョン・システムズは、魚眼レンズの画像を補正するシステムや、ステレオビジョンを使った3次元視覚技術で空き缶を認識してロボットハンドで掴ませるデモを行なった。このほか、サイバーダイン株式会社がマルチタッチ対応ディスプレイや「HAL」を静展示したほか、紙でプログラミングができる株式会社ジェイエスロボティックスの教材用ロボット「てんとう虫ロボット」なども出展された。

アプライドビジョンシステムズのブース魚眼レンズの画像を補正するシステムステレオビジョンのデモ
サイバーダイン「HAL」マルチタッチ対応ディスプレイてんとう虫ロボット


(森山和道)

2009/11/30 16:00