ヴイストン、3,000円を切る安価な教材ロボット「Beauto Racer」


 ヴイストン株式会社は7月13日、同社の教材ロボット「Beauto」シリーズの新製品として、「Beauto Racer(ビュートレーサー)」を発表した。赤外線センサーとDCモーターを搭載し、ライントレースができるマイコンカー。3,000円を切る低価格モデルながら、プログラミングにも対応している。

「Beauto Racer」のパッケージ。ほとんどCDと変わらないサイズだ部品点数はかなり抑えられている。わずか10分程度で組み立てられるという完成した本体。手のひらサイズだが、プログラミングにも対応

 Beautoシリーズは2007年の発売以来、累計で1万台以上を出荷したというヒット商品。初代の「Beauto」は、簡易掃除機能も付いた高機能モデルになっており、価格は17,850円だった。翌年に登場した「Beauto Chaser」では、CPUボードを新設計するなど、機能を抑えることで、価格を5,985円にまで下げた。

 しかしそれでも教育の現場からは「価格を下げて欲しい」という要望が大きく、3,000円以下を目指して開発が始まったのが新製品の「Beauto Racer」である。機能はライントレースに絞り、部品点数を最小にすることで、2,940円という低価格を実現した。この価格であれば、「グループに1台」ではなく、「1人1台」の購入も可能だろう。一般ユーザーも手を出しやすい。

 しかも、こういった低価格を実現しながら、センサーによる入力、プログラムによる制御、モーターによる出力という、ロボットを構成する基本的な要素はしっかり押さえている。フローチャートを書くようにアルゴリズムをプログラミングできる「Beauto Builder R」も付属しており、同社の大和信夫代表取締役は「ロボット教材として歴史的な製品になった」と胸を張る。

これまでのBeautoシリーズ。Beauto Racerは最も安価なモデルとなる基板を直接PCのUSBポートに挿入できる。デバイスドライバは不要だダイレクトにホイールを動かすことで、ギアボックスを不要とした
リア側の左右にはLEDも搭載。プログラムで点灯させることができるフロントの左右には赤外線センサー。これでラインを検知する制御にはPICマイコンを搭載した。プログラムはここに書き込まれる
取り扱い説明書の裏面がライントレースのコースになっている白地の部分と黒いライン上ではセンサーの値が大きく変化する付属の「Beauto Builder R」でGUIプログラミングが可能だ

 製品は、USB延長ケーブルとCD-ROMが付属するフルキット版が3,570円で、付属しない簡素版が2,940円。ただし、Beauto RacerはPCのUSBポートに直接接続することが可能なので、基本的にケーブルは不要。またCD-ROMに納められているアプリケーションソフトウェアも、同社WEBサイトから無償でダウンロードすることができる。

 販売は、同社WEBショップおよび直営ショップ・ロボットセンター、そして秋月電子通商において、同日より開始されている。ちょうど夏休み期間になるということで、同社では工作教室の開催も計画している。

 前述の通り、Beauto Racerはライントレースに特化した製品であるが、拡張性も考慮されている。まずセンサーの追加。標準では赤外線センサーが2つ搭載されているが、その内側に2つ追加することで、より高度なライントレースを実現できる。またそれ以外に2系統のアナログ入力があり、例えばPSDセンサーなどを搭載することも可能だ。

 そしてプログラミングについては、付属のBeauto Builder Rが利用できるが、基板上にはPICライター用の端子も用意されており、将来的にはC言語での開発にも対応させたいという。初心者だけでなく、上級者でも楽しめる手軽なロボット製品と言えるだろう。

記者発表会では、パズルのようなコースも展示されていた。学校向けに、こういったものを提供するアイデアもあるとかデモ用の大きなコースを走行しているところ。スピードなども自由に調整できるので、タイムトライアルも面白い記者発表会で新製品のBeauto Racerについて説明するヴイストンの大和信夫代表取締役


(大塚 実)

2009/7/13 18:41