ロボットビジネス推進協議会、安全・規格検討部会の初会合をプレスに公開
ロボットビジネス推進協議会は11月9日、サービスロボットの安全性について検討している「安全・規格検討部会」の第1回会合を開催、討論の様子を報道向けに公開した。今回は6つのワーキンググループ(WG)から中間報告が行なわれ、来年1~2月に開催する第2回会合において活動報告を取りまとめる予定。
ロボットビジネス推進協議会の安全・規格検討部会 | 部会長の池田博康氏(労働安全衛生総合研究所・産業安全研究所上席研究員) |
ロボットビジネス推進協議会は、実社会で活躍するロボットの開発、およびこれを活用したビジネスの促進を目的として、2007年に発足した。2009年10月時点での会員数は213。ロボットメーカー、研究機関、自治体などが参加している。現在、傘下に「安全・規格検討部会」「ビジネスマッチング部会」「広報・企画検討部会」という3つの部会がある。
サービスロボットの安全基準、および安全性検証手法の策定を進めているのが安全・規格検討部会だ。同部会ではこのほか、普及への障害となる法令等の課題についても検討を行ない、関係省庁等と連携して解決に当たっていく。
会議の冒頭、部会長の池田博康氏(労働安全衛生総合研究所・産業安全研究所上席研究員)が挨拶。「安全というのは広い話で、ロボットの設計から始まり、運用、捨てるところまで、全てに関わる。新しいロボットについては、産業がこれから育つところだが、事故が起きてから慌てて対処することがないように、予め意見を出し合い、コンセンサスを得たい。新しい産業に向かって準備するため、ご協力をお願いしたい」と述べた。
活動の中間報告が行なわれたのは、「プロジェクト対応・企画WG」「安全普及WG」「エレベータWG」「医療福祉WG」「通信WG」「移動型ロボットWG」の各ワーキンググループ。
プロジェクト対応・企画WG | 安全普及WG | エレベータWG |
医療福祉WG | 通信WG | 移動型ロボットWG |
「プロジェクト対応・企画WG」では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「生活支援ロボット実用化プロジェクト」と連携し、プロジェクトへの情報提供やプロジェクトからの情報発信などを行なっていく。またISOにおいて、現在、サービスロボットの国際規格の策定が進められているところだが、すでに「7割近くが決まった」(高木主査)とのことで、同WGの活動も速やかにフィードバックしていく方針だ。
「安全普及WG」では、まずは愛知万博で出展されたサービスロボットのリスクアセスメントシートの妥当性から検討を始める。産業ロボットとは違い、サービスロボットは家庭や公共の場に入っていく。アセスメントについては、「メーカーがいくら頑張っても限界はある。そこで残った残留リスクについて、ユーザーがどう消化するか。運用、保険、制度、インフラなど総合的に判断して議論したい」(池田部会長)。
「エレベータWG」では、人とロボットが同乗できるエレベータの検査指針について検討する。“暴走”を検知してロボットを止める機能が求められており、電源を切っても安全を確保する必要性から、二足歩行ロボットは対象としない方向だ。
「医療福祉WG」では、当面は分野を福祉に絞って活動する。メーカー、研究機関、ユーザーなどからヒアリングを行ない、課題を整理した。
「通信WG」では、サービスロボットで利用できる周波数帯域の検討を行なう。防災救助ロボット、衛星ロボット、遠隔手術支援ロボット、パーソナルモビリティ、屋外警備システム、掃除ロボット、ガイドロボットなど26分野のアンケート調査から入っているが、アプリケーションが非常に多く、用途も異なるために、個々の分野ごとに検討を進める考え。産業用ラジコン帯域の双方向通信を活用することも検討されているという。
「移動型ロボットWG」では、公道におけるRTモビリティや警備ロボット等の走行に向けた検討を行う。まずは現状把握として、国・自治体・メーカーなどからヒアリングを行なった。自律走行は現時点ではまだ難しいため、当面は搭乗型を対象として、用途ごとのサブWGにおいて検討を進める。
これらの活動については、「2009国際ロボット展」の中で開催される「ロボットビジネス推進協議会報告会」において、最新状況が報告される。場所は東京ビッグサイトの会議棟7F「703」で、日時は11月28日(土)の15:00~17:00の予定だ。
2009/11/12 20:23