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高橋智隆氏、走ってジャンプする「ロピッド」を開発

〜2年半ぶりの新作ロボ、タイミングベルトで脚部関節を連動


 京都大学のロボットベンチャー、株式会社ロボ・ガレージの代表取締役高橋智隆氏は、走ったりジャンプしたりできる小型ヒューマノイドロボット「ロピッド(ROPID)」を開発したと発表し、記者会見を行なった。2007年に京都大学を通じて出願していた特許技術を基に実現した。登録した言葉を音声認識することでインタラクションもできる。

 「ロピッド(ROPID)」は身長38cm、体重1,600g。脚長16cmで約8cmジャンプできる。これは脚長に対する跳躍高比で見ると、25自由度以上のヒューマノイド型ロボットとして世界一の跳躍力だという。自由度は29(脚部7×2、腕5×2、胴1、頭部4)。脚部に2軸加速度センサーと2軸ジャイロセンサーを片足2つずつ搭載し、バッテリはリチウムポリマー(7.4V 1,320mAh)で、通常動作であれば一時間程度駆動する。

 CPUボードにはヴイストン株式会社のロボット用コントロールボード「VS-RC003」を採用。音声認識ボードには株式会社レイトロンの「BSRM01-01E」を使用している。外装はカーボンファイバーとプラスチック。サーボモーターはフタバやJRなど各社のモーターをベースに、ケースやギヤなどを改造したものを使用している。発売予定はない。名前は「Rapid」と「Robot」を組み合わせた造語だ。

「ロピッド(ROPID)」。身長38cm 正面 側面
頭頂部にマイクの穴 不特定話者の言葉を認識する 足裏はカーボンファイバー製
背面部にバッテリ 足の内側にタイミングベルトを使用 ベアリングは高橋氏の自作。
16cmの足で8cmジャンプする 最初は座った状態で登場 概要
レントゲン写真 脚部 バストショット。指差している部分がコントロールボード
株式会社ロボガレージ代表取締役 高橋智隆氏

 高橋智隆氏は「CHROINO」(2004)、そしてパナソニック乾電池のキャラクター「エボルタ」ほかを作成している著名な「ロボットクリエイター」だ。今回の「ロピッド」はオリジナルのロボットとしては2006年4月発表の「FT」以来、2年半ぶりの新作となる。高橋氏オリジナルのロボットとしては6作目。高橋氏が代表取締役を務めるロボ・ガレージは京都大学内入居ベンチャー第一号として2003年に創業。2009年に法人化した。コンセプトロボットの研究開発や製品化、開発の受託などを行なっている。

 「ロピッド(ROPID)」はタイミングベルトを使用して安定した二足歩行・走行を実現した。二足歩行ロボットでは姿勢によって各脚部の関節に必要とされる力や速度が異なる。例えば素早く屈伸させると膝関節は動作角が二倍になる。そのため膝関節が遅れてしまって負荷が集中し、バランスを崩して転倒しがちになる。そのため高橋氏がメンバーの一人をつとめるロボカップに出場した「Team OSAKA」の「VisiON 4G」などでは、それを解決するためにパンタグラフのような平行リンク機構を脚部に採用していた。

 今回の「ロピッド(ROPID)」では腿、膝、足首の関節をタイミングベルトを使って連動させる「ベルトリンク機構」を採用。機械的に各関節を拘束することで、安定した姿勢で跳躍や走行動作が行なえるようになった。「屈伸のための動きと、足を前後に動かす動きを分離してある」点がこの機構の特徴だという。今回のROPIDでは膝が二重関節になっているが、一重にすることもできる。リンク機構は着地の安定化にも効果があるという。

膝関節が遅れることで転倒 VisiON 4Gでは平行リンクを採用 ベルトリンク機構

 また、胴体内部ではなく左右の脚の付け根部分にそれぞれ独立にジャイロセンサー・加速度センサーを搭載し、独立に制御している。これによって旋回時の足の向きとセンサーの向きのずれがなくなり、回転歩行時など、脚の向きが左右で異なる場合に、ジャイロの変位を計算しなくても常に一定の姿勢制御を行なえるようになった。これらによって脚部の安定性を確保したため、全体の重量が重くなる多自由度化も可能となった。多彩な動作デザインが表現出来るようになったという。この点についてはヴイストンの大和氏が「簡易な方法として優れている」とコメントした。今後のロボットビルダーにも参考になる方法かもしれない。

 音声認識ボードは頭部に搭載。レイトロンが開発した雑音ロバスト処理技術によって、個人の揺れや雑音、誤動作を実用域まで高めたという。今回のロボットのデモでは8フレーズくらいの単語を3mくらいの距離から認識できるとしている。なおボードは有償でサンプル出荷を行なっている段階。現在、家電のコントロールなどに試用されているという。ヴイストンの大和信夫氏は「VS-RC003」を片手に、拡張性や使いやすさ、汎用性の高さを強調した。

左右の足にジャイロを搭載。変位を計算しなてくいい ヴイストン株式会社 大和信夫氏 「VS-RC003」の拡張性や使い勝手をアピール
音声認識ボード「BSRM01-01E」 組込み機器やロボットに最適という 株式会社レイトロン長田隆宏氏

 デモンストレーションでは、高橋氏の呼びかけに応じて目の外輪を光らせて立ち上がり、ジャンプ動作や、駆け足動作を見せた。「おっと」といって止まるところや、手を広げた自然な印象を与える旋回動作の作り込みはさすがだ。「ロピッド」はカメラマンたちの要求に従って20回以上ジャンプや駆け足動作を何度も繰り返した。発話の声は敢えて明瞭な発声にしないようにしているという。

【動画】呼びかけに応じて立ち上がり、挨拶。歩行する。音声認識がやや不調なのはサーボ音の影響。最後にジャンプ 【動画】駆け足、次に両手を広げて旋回し、最後に手を振って挨拶 【動画】ジャンプ動作を別の角度から
【動画】ジャンプ時の足のアップ 【動画】ジャンプの様子をスローモーションで 【動画】駆け足の様子を横からスローモーションで
【動画】駆け足をスローモーションで
【動画】一連のデモをアップで
「ロピッド」が主役のショートフィルムを製作する予定だという

 高橋氏は「コミュニケーションもデザインの一種だと考えている」と述べ、音を聞いたときのリアクション、発話するときの動きなどにも注力したと語った。平行リンク機構に対するベルトリンク機構の利点は、足の骨が2本入っていることによる怪我の危険性が少ないことや、コンパクトにできるため外装を使う場合、デザインを損なわない点が大きいと述べた。また、走ったりジャンプしたりすることについては、「表現力が上がる」ことが一番大きいと語った。速い動きをすると「躍動感」が増し、人間はまるで生きているものであるかのようにロボットを見るという。ジャンプや走行能力も「コミュニケーションのための表現の一つ」として捉えていると語った。

 今後、「ロピッド」を使ってモーションのデザイン、コミュニケーションデザインの研究を行なう。またキャラクターとして展開していくことも視野に入れつつ、ショートフィルムなどを撮影し、映画祭などに出品する計画だという。



(森山和道)

2009/10/28 00:00

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