早稲田大学「RTフロンティア」、オープンキャンパスにて一般公開
~若手研究者たちが高校生たちにロボット研究を紹介、理系へといざなう
早稲田大学理工学学術院は8月1日(土)~3日(月)に行なわれた早稲田大学オープンキャンパスに合わせて、今年5月に新宿区大久保にオープンした人とRT(Robot Technology)の共生教育研究拠点「RTフロンティア」にて、文部科学省グローバルCOEプログラム「グローバル ロボット アカデミア」の研究成果のロボットの一部を一般・高校生たちに公開、デモンストレーションを行なった。
公開されたのはRTフロンティアの1F。早稲田大学の西早稲田キャンパスから徒歩2分の場所にある。記者が取材に伺った2日当日は、早稲田大学理工学学術院の研究室公開ツアーそのほかに参加した高校生たちがツアーの流れでそのまま「RTフロンティア」を訪問。GCOEプログラムの掲げる「体系的ロボット学(Methodical Robotics)」の簡単な説明を受けたあと、公開されたそれぞれのロボットの説明を各自が聞いていた。
公開されたロボットは、気管挿管外科手術の訓練用ロボット「WKA-1R」、冠動脈バイパス手術訓練装置「BEAT」、歩行訓練機「PW-10」、ロボットアームを搭載した車椅子システム、そして情動表出ヒューマノイドロボット「WE-4RII」、動作解析室「VICON」など。
気管挿管外科手術の訓練用ロボット「WKA-1R」と冠動脈バイパス手術訓練装置「BEAT」は、それぞれ外科手術の訓練に用いるロボットである。「WKA-1R」の口のなかには力検知センサーと位置検知センサーが埋められている。外科手術の手技を定量化して検証するという目的もあるという。なお心拍動再現シミュレータ「BEAT」は大学発学生ものづくりベンチャーとして2006年に創業されたEBM株式会社の製品。心臓血管の吻合手技訓練用冠動脈モデル「YOUCAN(ようかん)」を組み合わせたシステムだ。早稲田大学と東京女子医大はこのような医工連携システムの開発を行なっている。
歩行訓練機「PW-10」は体重をある程度支えることで、歩行訓練時の患者の負荷を減らす歩行補助器具。片足ごとに負荷を変えることもできる。
ロボットアームを搭載した車椅子システムは、自重補償機構をアームに用いたロボットシステム。7自由度を持ち、500gのペットボトル程度の物体を把持できる。操作は手先位置を指定する逆運動学方式と、各関節ごとに回転角を支持していく順運動学方式をそれぞれ任意に選ぶことができる。またエンドエフェクタ先端に距離センサーを持ち、それを使って手先位置が把持する目標に近づくと逆運動学方式から順運動学方式に自動切り替えすることもできる。
多くの学生たちは研究室ツアーの形で訪れていた |
訪れた高校生たちは、大学のオープンキャンパスに自主参加しているだけあって、みな熱心だった。最初はやや遠慮がちであったものの、解説役をつとめた「RTフロンティア」側の博士課程そのほかの学生たちによる熱心なナビゲーションに応じて徐々に緊張も解けた後は、デモを見て質問したり、実際にロボットを操作したりしていた。
オープンキャンパスに参加した高校生たちのなかにはまだ高校一年生もいた。最初からロボットに興味を持っていた高校生もいる一方で、まだ文系・理系の選択を行っていない高校生たちも多かった。これから進路選択をする彼らに対して早稲田大学RTフロンティア側のある説明員の方は「理系は物理法則を扱う。それは世界のどこに行っても通用するもの。どちらか迷っているなら理系を是非選択するべきだ」と熱心に理系の魅力を説いていた。実際に研究開発中のロボットをさわって体験し、ロボット研究者たちから直接話を聞いた高校生達は、少なからぬ熱意を感じたに違いない。
2009/8/3 22:29