「第2回姫路ロボ・チャレンジ ミニ」レポート

~小学生から大学生まで、新メンバー参加も増えて盛り上がる


第2回姫路ロボ・チャレンジ ミニ

 6月20日(土)、姫路市市民会館において「第2回姫路ロボ・チャレンジ ミニ」が開催された。今回は、小学生から大学生・社会人まで19体のロボットが参加。引率の先生や、チームメンバーも含めると会場は50名近い参加者が集い、会場は1日中熱気と笑いに溢れた。主催は、姫路ロボ・チャレンジ実行委員会。

 同委員会は、2005年以来、毎年夏と冬に姫路科学館で「姫路ロボ・チャレンジ」を実施してきた。初心者が参加しやすいエントリークラスと、難易度の高い自律競技があるエキスパートクラスがあり、幅広いレベルの参加者が集う競技会として人気がある。

 エキスパートクラスは、ROBO-ONE本戦出場権認定大会になっていることもあり、毎回全国から多くのロボットが出場する。姫路ロボ・チャレンジ ミニは、ユーザーのレベルアップを目指し勝敗よりもユーザーの交流を主目的として企画されたイベントだ。年間を通じたポイントランキング制で、12月に年間チャンピオンを選出する。

中学・高校生を含め50人ほどの参加者が集まった姫路ロボ・チャレンジ実行委員長 中村素弘氏(姫路ソフトワークス)姫路市市民会館

技術交流を楽しみながら、各自がレベルアップを目指す

 姫路ロボ・チャレンジ ミニで実施する種目は、決められたコースを走る「ロボカーナ」、自律でリング上のボールを落とす「さがしてポン」、3分1ラウンドのバトルトーナメント「ロボットバトルゲーム」の3種目。「ロボカーナ」と「さがしてポン」は、本来、エキスパートクラスの競技になる。参加者は、自分のチャレンジしたい競技を選んで出場できる。練習と交流のイベントのため、ロボットのレギュレーションも緩く、今回は多足歩行ロボットも出場していた。ちなみに「さがしてポン」は、車輪型ロボットでも出場可能だ。

カーペット上の5mコースを走る「ロボカーナ」自律競技の「さがしてポン」3分1ラウンドの「ロボットバトルゲーム」

 「ロボカーナ」には、エントリーしたロボットが全員チャレンジした。ロボカーナはクランクやカーブ、直線で構成された5mのコースをロボットが走り、タイムを競う。側転や前転での移動は禁止。今回は、コースから足が多少はみ出てもOKという柔らかいルールが適用された。それでも制限時間3分間以内にゴールできたのは、18体中6体だった。狭いコース内での方向転換や、転倒時の起き上がりスピードがネックになっているようだ。

有線の多足歩行ロボットで出場した「ぶらっく」(飾磨小学校ロボットクラブOB)【動画】「シャボザック」(シャボルト氏)が32秒で1位になった

【ロボカーナリザルト】
・エキスパートクラス

ロボット名チーム名記録ポイント
シャボザックシャボルト32秒3pt
エクセリオンはっし~55秒2pt
XO3Ryuya1分09秒1pt
テナジー81大阪府立大学ロボコンサークル1分02秒
Xevo(ジーボ)北村祐太4m
フェニックス神戸市立科学技術高等学校I3.5m
オルトロス神戸市立科学技術高等学校II3.5m
ゴーレム神戸市立科学技術高等学校Ⅳ4.0m
インフィニティ神戸市立科学技術高等学校III1.5m
エスティアゆっき~1m
・エントリークラス
ロボット名チーム名記録ポイント
カレントまりん1分20秒
Mr.Xいいんちょ1分50秒
いつみ姫路獨協大学 臨床工学科A3.0m
ぶらっく飾磨小学校ロボットクラブOB2.5m
ものくろ龍野実業高等学校2.0m
ロボライン姫路獨協大学 臨床工学科B1.5m
シカタン飾磨小学校ロボットクラブOB1.5m
JK 兵庫県立姫路工業高校 電子機械科0m

 自律競技の「さがしてポン」には、シャボルト氏の「シャボザック」と、はっし~氏の「エクセリオン」が出場した。「エクセリオン」は、スタート直後にセンサーが誤動作したのかループに入ってしまい、その場をくるくる回り続けリングアウトしてしまった。

 「シャボザック」は、前回リングの中央にある段差に躓いて横移動ができなかったトラブルを足裏の加工で解消してきた。右足首に設置した超音波センサーで、ボールを見つけて次々と落としていった。前回の動画と比べると移動速度がアップしているが、最初に近づいたSサイズボールを発見できずにウロウロしたタイムロスが響き自己記録更新はならなかった。毎回成長しているロボットなので、次回のチャレンジが楽しみだ。

【動画】「シャボザック」(シャボルト氏)のチャレンジ。最初のボールを見つけられずに冷や冷やさせられたが……【動画】2分で全て落としてクリア。前回よりも歩行が安定している【動画】「エクセリオン」(はっし~氏)は、無限ループに入ってしまいリングアウトでリタイヤ

 「ロボットバトルゲーム」は、飛び入りの「ゴチックオイゼー」(おいちゃん氏)も含めて19体が参加。まず、Gogic Fiveベースのロボットと多足歩行ロボットでG級トーナメントを実施して、G級チャンピオンを選出した。

 G級トーナメントに出場した「いつみ」(It's me と呼ばれていた)と「ロボライン」は、姫路獨協大学 臨床工学科の学生チームだ。姫路ロボ・チャレンジ実行委員の増本氏が、獨協大学で講師を務めており教材としてGogic Fiveを活用している。今回は、授業で作成したプログラムの成果を競技会で披露した。

 「ロボライン」のオペレータに実際にリングに立った感想を伺うと、「プログラム製作中と床面の条件が違うため、モーション再生が思うようにできなかった」と、残念そうだった。ロボットが動き回ると、コントローラーの左右ボタンを混乱してしまう操縦ミスもあったようだ。バトルでは、リング際で旋回方向をミスしてしまい右足が半分リングから外れて身動きができずに立ち往生し、「ゴジックオイゼー」(おいちゃん)に突き落とされて試合終了。観戦している参加者と一緒になって、オペレーターも笑い転げていた。

初出場の姫路獨協大学 臨床工学科チームメンバー【動画】「ロボライン」(姫路獨協大学 臨床工学科B) VS 「ゴジックオイゼー」(おいちゃん)のバトル「いつみ」(姫路獨協大学 臨床工学科A) VS 「シカタン」(飾磨小学校ロボットクラブOB)
【動画】「ゴジックオイゼー」(おいちゃん) VS 「シカタン」(飾磨小学校ロボットクラブOB)は延長戦にもつれ込んだ【動画】多足歩行ロボット「ぶらっく」(飾磨小学校ロボットクラブOB) VS 「ゴジックオイゼー」(おいちゃん)が互角のバトルロボットバトルゲーム Gogic Fiveクラストーナメント結果

 本戦トーナメントは、2試合連続の延長戦を制してG級チャンピオンになった「ゴジックオイゼー」(おいちゃん)を加えて15体で実施。交流目的のイベントなので、倒れて起き上がれないロボットには“神の手”が救いに入り、まったりと楽しいバトル風景だった。

 「J」(K 兵庫県立姫路工業高校 電子機械科)は、下半身がROBONOVA-Iで上半身は自作のロボット。バトルの攻撃ポーズはカッコいいが、残念ながらまだ歩行が安定していない。次回、どのくらい成長してくるか楽しみな機体だ。

 ヒーローカラーに塗装された「ゴーレム」(神戸市立科学技術高等学校Ⅳ)は、KHR-2HVがベース。Gogic Fiveに両腕2軸、腰に1軸追加して機動力をアップした「エスティア」(ゆっき~氏)と対戦した。「ゴーレム」は、自分の腰くらいまでしかない「エスティア」に思わぬ苦戦を強いられ、スリップダウンを重ねてKO負けしてしまった。

 決勝戦は、「XO3」(Ryuya氏) VS 「エクセリオン」(はっし~氏)の高校生対決。「XO3」は試合開始そうそうにサーボからガリガリというイヤな音をさせていた。序盤でスリップダウンをした時には、そのままノックアウトではつまらないので、神の手に助けられた。機体不良を押して「エクセリオン」からダウンを奪った時には、ガッツポーズで喜び会場も沸いた。しかし、喜びもつかの間で「エクセリオン」の正拳突きに敢えなくダウン。起き上がり不能でノックアウトとなった。試合終了後にサーボケースを開けてみると、ギアがかけてボロボロになっていた。

【動画】「シャボザック」(シャボルト氏) VS 「J」(K 兵庫県立姫路工業高校 電子機械科)。決めポーズはカッコイイが、歩行できずに敗退した「J」。次は歩行がみたい【動画】「XO3」(Ryuya氏) VS 「インフィニティ」(神戸市立科学技術高等学校III)。軽量の「インフィニティ」が大型機に苦戦。捨て身の全身攻撃のつもりでリングアウトする一幕も【動画】「ゴーレム」(神戸市立科学技術高等学校Ⅳ) VS 「エスティア」(ゆっき~氏)。「ゴーレム」は、カラーリングがかっこよかった
【動画】「XO3」(Ryuya氏) VS 「エクセリオン」(はっし~氏)。決勝戦らしく盛り上がったロボットバトルゲームで優勝した「エクセリオン」(はっし~氏)ロボットバトルゲームトーナメント結果
ロボットバトルの主審は筒井康夫氏(姫路科学館指導主事)が務めた総合優勝のシャボルト氏と、バトル1位のはっし~氏【動画】競技終了後に会場でチーム分けをして、クラス混合のチーム対戦を行なった

次回は7月に開催。第17回ROBO-ONEの本戦出場権をとるチャンス!

 姫路ロボ・チャレンジには、学校単位で参加しているチームが非常に多い。これからロボットを始めたいという龍野北高等学校の生徒も大勢見学に来ていた。また、昨年まで飾磨小学校ロボットクラブで活躍していたメンバーが、中学に進学しても自分でロボットを作り続けてイベントに参加しているのを見て、大会委員長の中村氏も喜んでいた。

 第3回姫路ロボ・チャレンジ ミニは、7月19日(日)に同会場で実施される。次回大会は、第17回ROBO-ONEの認定大会に決定している。ROBO-ONE本戦トーナメント出場権を獲得するチャンスなので、優勝を目指して張り切る参加者も多いだろう。レポートのとおり初心者も気軽に参加できる楽しいイベントなので、ロボットを購入したばかりの人もこれから始めてみたい人もぜひ会場に足を運んで欲しい。



(三月兎)

2009/6/23 13:53