「科学技術館 日立出展ブース」リニューアルオープン
~「Nature Contact~みんなで地球の未来を考えよう!」
日立製作所は東京都千代田区北の丸公園内にある科学技術館に出展していた日立ブース「Nature Contact」を、4月29日から「Nature Contact~みんなで地球の未来を考えよう!」としてリニューアルオープンする。前日28日に報道関係者向けに事前公開されたので、簡単にレポートしよう。
科学技術館日立ブースは、同館2階中央階段を上がるとすぐ、真正面にある。まず目に付くのは、3面の80インチ大型ディスプレイと天井・正面に設置された2台のカメラからなる、ボディアクション型エデュテイメントシステムである。動く物体の姿は映さず静止している物体の姿だけを映し出すプライバシー保護機能付きカメラ、リモコン不要テレビのための、ボタンではなく手を空中で上下左右に動かしてジェスチャーで電子機器を操作するシステム、リアルな音声合成ができる汎用知的音声合成システム「ボイス・ソムリエ」、近距離でも大画面に映し出すことのできる短投写距離液晶プロジェクター「CP-A100J」等、日立の先端技術をコンセプト研究も含めて複数を組み合わせて活用している。
コンテンツはクイズ形式で進められる環境問題の啓発。テーマは「低炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の3つで、子供たちがごくごく身近な話題を通して環境問題を考えられるものとなっている。クイズは○×選択方式で、3問答えると、玉入れチャレンジゲームにチャレンジする。体を大きく動かすと画面内の「二酸化炭素ボール」が浮き上がり、玉を入れていく。進行はジェスチャー認識で行なう。ジェスチャーの認識には正面と天井に設置されたカメラをそれぞれ使いわけている。システム全体を担当した日立インターメディックス株式会社アカウントプランニング本部事業企画部専任部長 清原理氏によれば、右手を前に出して指差すといった動作においては天井のカメラ、玉入れゲームのように全身を使った大きな動作の認識は正面のカメラを主に使っているという。
日立ブースは2Fへの階段を上がった真正面 | 天井カメラ | 正面のカメラ |
クイズ形式で環境問題を考える | マークの中に立った人の動きを認識する | 身近な問題から環境について考えることを目的としている |
【動画】指差しジェスチャーの様子 | 【動画】玉入れゲームの様子。このゲームのときには実際にはカメラ前全員の動きを見ている | 【動画】向かって右側は動く物体は映っていない |
超短投写距離液晶プロジェクター「CP-A100J」と汎用知的音声合成システム「ボイス・ソムリエ」は既に商品として提供されているシステムだが、プライバシー保護カメラやジェスチャー認識インターフェイスはまだ商品化されていない。それぞれ実際に研究を行なっている株式会社日立製作所 基礎研究所 人間・情報システムラボ主任研究員の堀井洋一氏と、同コンシューマエレクトロニクス研究所ブロードバンドシステム研究センタブロードバンドアプライアンス研究部研究員の松原孝志氏に話を聞くことができた。
プライバシー保護機能付きカメラは、もともと準リアルタイムにショップの様子を見たい、という発想で作られたもの。画素の色の変化の有無を見ることで、任意のフレーム数を設定して、そのフレーム数のあいだずっと見えていた映像だけを提示することができるカメラ。この技術を使えば、たとえばショップを訪れた人の姿を覗くことなく、棚の商品だけを見るといったことが可能になるという。
いっぽう、ジェスチャー認識インターフェイスのほうは、次世代テレビのインターフェイス用に研究されているコンセプト段階の技術。たとえば電源を入れたり音量を調節するといった基本的な動作をジェスチャーで行なうことで、わざわざリモコンを探すまでもないような操作をリモコンレスで行なえるようにすることを狙っている。音量調節にせよチャンネルザッピングにせよ、手先をぐるぐるとまわすような円運動を取り込むと、うまくいく傾向があるそうだ。
まだコンセプト段階の技術も含めて日立で研究されている技術が使われている。 | 日立インターメディックス株式会社アカウントプランニング本部事業企画部専任部長 清原理氏 | 株式会社日立製作所 基礎研究所 人間・情報システムラボ主任研究員の堀井洋一氏(右)と同コンシューマエレクトロニクス研究所ブロードバンドシステム研究センタブロードバンドアプライアンス研究部研究員の松原孝志氏(左) |
科学技術館4FにはNEDO技術開発機構のブースがあり、そこでは恐竜ロボットや受付ロボットなど、愛知万博(愛・地球博)で活躍したロボットもいくつか見ることができる。機会があれば足を運んでみてほしい。
2009/4/28 20:19