ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/100スケール マスターグレード
「地球連邦軍 試作型戦術支援メカ Gファイター」(その1)

ガンダムのパワーアップメカ、「Gファイター」を製作する

Reported by 野本憲一

 このコーナーは「ロボットのプラモデル」を組み立てて、その姿やギミックを中心に紹介していく。作り方は、塗装などをせず、あえてキットのまま組み立てていく“素組(すぐみ)”に限定。ここでは模型としての仕上がりを高めるよりも、キットを手早く楽しむことを優先させるのだ。

 最近のキットは、成型色(パーツの素材色)だけでもかなり色分けされていて、無塗装でも見栄えのする姿に仕上がるものも多い。また、塗装の剥がれを気にせずに動かして遊ぶこともできるのもメリットだ。購入した模型を貯め込まずドンドン組むためにも、レッツ素組!


 前回はバンダイホビー事業部の1/100スケール MG「RX-78-2 ガンダム Ver.2.0」を紹介したが、今回はその「ガンダム Ver.2.0」対応として1月に発売された「Gファイター」を取り上げる。というのも「ガンダム Ver.2.0」は、この「Gファイター」との組み合わせを前提に開発されており、実はガンダムのみでは使用されないギミックなども盛り込まれているのだ。つまり、この「Gファイター」と合わせることで「ガンダム Ver.2.0」の本当の内容がわかるということ。バンダイでは劇中のエピソードになぞらえてこの「Gファイター」には「ガンダム Ver.2.0用 V作戦モデル」とサブタイトルを付けている。

 「Gファイター」について改めて説明すると、TVアニメ「機動戦士ガンダム」で、「ガンダム」と組み合わせて使用される「Gメカ」の一形態。Gメカには「Aパーツ、Bパーツ」があり、これが前後に直接合体し、航空機になったものが「Gファイター」。A、Bパーツ間にガンダムを収納した状態を「Gアーマー」と呼ぶ。他にも「Gブル」「Gスカイ」といったA、Bパーツの個別形態もある。

 これら「Gメカ」はTV作品のみに登場し、後の劇場版ではその役所は「コアブースター」に変更され、ガンダムとの合体などは無くなっている。もともと玩具的要求から生まれたものであり、劇場化に際して、「よりリアルな方向へ」と、変更された部分の一つだ。

 今回のキットはその「Gメカ」の玩具的要素を、よりリアルに、整合性を持たせて再現しているところが見所といえるだろう。タイトルの「Gファイター」だけでなく「ガンダム Ver.2.0」と組み合わせることで、「Gメカ」の各形態を再現できる。

パッケージ
バンダイホビー事業部 1/100スケール マスターグレードモデル「地球連邦軍 試作型戦術支援メカ Gファイター ガンダム Ver.2.0用 V作戦モデル」。ガンダムを支援するために開発された合体メカ。価格は5,880円
パーツ
パーツランナーは15枚(ポリパーツを含む)。材質は主にポリスチレンとABS。他のMGシリーズ同様に、はめ込み式スナップフィットモデルで、色分けに合わせたパーツ分割がされている。細部マーキング用にシールとドライデカール、さらに「Ver.2.0」に含まれていなかったガンダムの武装「ハイパーハンマー」も付属する
Gファイター
支援戦闘機、Gファイターとして完成した姿。大型のビーム砲を搭載し、上空からガンダムの戦闘を支援。また、上面にガンダムを搭載し空中戦闘をする
Aパーツ Bパーツ
前側の「Aパーツ」、後ろの「Bパーツ」に分離したところ。Aパーツ後方にはキャタピラユニットが接続されている
Gアーマー
ガンダムと合体、収納した「Gアーマー」。高速で目的地に移動し、ガンダムとGファイターに分離して戦闘を行なう。これには別途「ガンダムVer.2.0」が必要

Gファイター機首/Aパーツの製作

 Aパーツは航空機の機首でありながら、砲塔やキャタピラなど戦車的要素も持っている。またキャタピラとそこにつながるアームはガンダムやBパーツとの接続に重要な役割を果たす。

アーム先端パーツ
Aパーツ下に取り付けられるキャタピラユニットのアーム先端を構成するパーツ。二重関節と機体色のカバーで構成される
アーム先端
先端部分の完成。このパーツの動作でキャタピラユニットの角度や高さを変更する。合体時には重要な役割を果たす
スライドアーム
後方のキャタピラユニットへ延びるアームパーツ。左右の挟み込みで間に展開式の四角軸が収納される
スライドアーム2
スライドアーム部を両側から挟み込むのはキャタピラユニットの基部となるパーツ。左右に3点、軸が付いている。また上にも大小2個の四角軸を挟み込む。
スライドアーム3
キャタピラユニットアーム部の完成。スライド部の四角軸を収納すると前後に縮められる
キャタピラ、転輪パーツ
キャタピラと各転輪パーツ。キャタピラの両端部分は2コマずつに分離された連結式でスケールモデルのような仕上がり。各転輪にはキャタピラの向きを間違えないようにミゾが切ってある
キャタピラ組み上げ
組み上げたキャタピラパーツ。上側のキャタピラ自重による“たるみ”も再現している
キャタピラユニット完成
アーム部の左右にキャタピラを取り付けてこの部分は完成。この写真はアーム部を縮めた状態
機首先端パーツ
Gファイターの機首先端のパーツ。内部パーツはシリンダー状パーツを挟み込み、底面を付ける。
機首先端完成
機首先端完成。ここはミサイル発射時に下に折れ曲がる。後方のシリンダーや下の軸はそのため
コクピット上面
コクピット上面の内壁に、パイロット、キャノピーを取り付けたところ。キャノピーの開閉はコアファイター同様に、後端の二重リンクでクリアー部が後方に下がる
パイロットフィギュア
Gファイターのパイロットフィギュア。左からスレッガー・ロウ、右がセイラ・マス。体型の違いが再現され、見た目にも判別できる
Aパーツ側面内部パーツ
Aパーツの内部パーツ右側パーツと、それらの内側に取り付けるパーツ。先端側にはミサイルユニット。後ろ側にはBパーツやガンダムを保持するパーツが付く
ミサイルユニット
機首内部に付くミサイルユニット。これが内部に2つ並ぶ。
機首、キャタピラの取り付け
左右の内部パーツの間に、既に作った機首と、キャタピラユニット、ミサイルの支えを挟み込む
内部パーツ取り付け
挟み込むパーツを右側面にはめた状態。このあと左側を取り付ける
Aパーツ内部パーツ
左右の側面パーツを合わせたところで、先に作ったコクピットパーツや砲塔回転基部のパーツを付ける
Aパーツ内部と外装
Aパーツ内部が完成したところ。さらにカナードや外装、コクピット後ろのドームなどを取り付ける
Aパーツ外装取り付け
外装を取り付けて航空機の機首らしい形になった
ビーム砲パーツ
上面に搭載するビーム砲塔。砲塔は中央部で左右に回転。砲身は取り付け部で上下に俯仰する。砲身はパイプ状パーツをつなぎ合わせる
Aパーツ完成
ビーム砲を取り付けて、Aパーツの完成! 先端の白い部分は機首ミサイル用に折れ曲がる部分。その様子は後の動画を参照
Aパーツ側面
キャタピラをAパーツ底面に揃えているが、目的に応じて位置は変化する
Aパーツ後面
後ろから見るとガンダムを収納するための空間がすっぽり空いている。

Gファイター推進部/Bパーツの製作

 Bパーツは航空機の推進部となる後半部分。中央にガンダム下半身を収容するスペースがあり、左右に各翼、補助エンジンが位置する。この補助エンジン部は形態によって回転する。

補助エンジン後部ノズルパーツ
Bパーツの製作は補助エンジンの後部ノズル部から。中央の四角いブロックが補助エンジン回転軸を受けるところ
補助エンジン後部ノズル
ボックス型に組まれた後部ノズル。内部の軸受けは前後にスライドするが、これも補助エンジン回転時に機能する
補助エンジン先端パーツ
こちらは補助エンジン先端のエアインテイク付近。上面にある開閉式パネルは、ガンダムを搭載したときにツマ先を固定する部分。キット独自解釈で設けられている
補助エンジン先端
組み上げた補助エンジン先端
補助エンジン側面挟み込み
先端と後部ノズルパーツを左右の側面パーツで挟み込む。この際、ガンダムのカカト固定用のパネルも取り付ける
補助エンジンと翼
補助エンジン外見ができたところで主翼、垂直尾翼をミゾに差し込む様に取り付ける
補助エンジン部完成
完成した左右の補助エンジン。奥のエンジン上面はガンダムの足首固定用のツメを起こした状態
後部底面パーツ
続いて機体の中央部の製作。これは後部下面になるパーツ。左右の四角い穴は脚やスタンドを取り付けられる。中央の丸い穴が4つ並んだパーツは後方に向いたミサイル
後部底面外装
外装と脚取り付け部の開閉パネルを取り付け。中央のグレーのグリル部は収納部のドアを固定するガイドにもなる
上面内部パーツ
Bパーツ上面の内壁パーツ。大きく3つに分割され、階段状に重ねて固定する。先端側には左右にフィン状パーツが付く
上面内部
上面内壁を組み立てたところ。先端の中央の凹み部分は合体用のジョイントが取り付けられる重要なポイント
側面内部、下面ドア
Bパーツ中央の側面内壁と、下面ドアパネルは3つのリンクで接続される。これは内側にも外側にも開く
各内壁パーツ
上面、側面、下面、ドアパネルが揃ったところ。これらをはめ合わせて、箱状にする
収納部完成
収納部の内張が完成。側面後端に出ているのは補助エンジンの取り付け軸
収容部底面
収納部底面。収納部のドアはこのようにピッタリとかみ合う
メインエンジンパーツ
後部のメインエンジンは、パネル上4つのノズルが一体成型されている。そこにノズル外周や内側のエンジン部分のパーツを取り付ける
収納部と外装パーツ
収納部を覆うようにつく外装、翼、後部エンジンパーツ
収納部完成
収納部(Bパーツ中央)の完成。横に広げているアームは「Gアーマー」の時にシールドを支える機構。これもキット独自のものだ
補助エンジン取り付け部
補助エンジンを収納部に取り付ける。補助エンジン部に内包された軸受けに、しっかりとかみ合うような作りになっている
Bパーツ完成
完成したBパーツ。箱形の機体で大きく見えるのを避けるためか、各辺の斜めの面取りを大きめにしているのが造形的な特徴
Bパーツ後面
補助エンジン部の後端が四角く分割されているのが分かる
底面ドア開
収納部のドアはこのように大きく開く。内側にも構造体を意識させるモールドが盛り込まれている

合体してGファイターへ

 A、Bパーツが完成したところで、Gファイターとして組んでみる。合体のためにはさらにジョイントパーツなどが必要になる。

ジョイントパーツ
このキットの合体で重要な役割を果たすジョイントパーツ。2カ所の折り曲げ軸があり「コ」や「L」状に曲げて、他のパーツをBパーツに接続するのを助ける
ジョイント完成
ジョイントパーツ完成。左端はBパーツ先端中央にはめ込む。上向き「凹」になったところはガンダムの腰下にはめ込む部分。後端の四角い穴は、Bパーツ下面で脚取り付け部などになる
Bパーツ底面前側パーツ
これはBパーツ底面の前側を支えるパーツ。Gファイターでのみ使用する。中央の穴は脚取り付け部
Aパーツとジョイント
それではA、Bパーツの合体手順に入る。Aパーツのキャタピラ部を後ろに伸ばし、位置を機体中央にまで上げる。上面にはジョイントパーツを取り付け
ジョイント部をBパーツへ接合
Aパーツをそのまま立てるように構え、ジョイント部先端をBパーツ先端にはめ込む。アニメのように前後からスッと合わせるようにはいかない
Aパーツの向きを変える
ジョイント先端が固定されたところで、その下の軸でジョイントを後ろに倒すように曲げ、Aパーツを水平に近づける
キャタピラ収納
そのまま倒し込むとキャタピラ部がBパーツ内に収納される
底面前側パーツ取り付け
Bパーツ底面前側のパーツを取り付ける。これでドアパネルを内側から支える
収納部ドアストッパー
ドアを閉じるときは底面後部のグリルを前に押しだす。これで、ドアパネルが中に入りすぎないためのツメが出てくる
Bパーツドア閉
Bパーツのドアを閉じたところ。前側パーツとの隙間もなく綺麗に収まっている
Aパーツをスライド
Aパーツのキャタピラ部スライドアームを縮めることで、A、Bパーツがかみ合う位置になる
Gファイター完成
A、Bパーツがしっかりとはまり、Gファイターとして完成
裏面
キャタピラがBパーツ内に収納されスムーズな底面に仕上がっている。尚、キャタピラ部は半収納や、完全に外に出た形態もあり、そちらでも組める
脚パーツ取り付け
Bパーツの底面3カ所にランディングギア(車輪)を取り付けた状態。各タイヤは接地圧で、地面側が少し平らになった状態を再現した凝ったもの
Gファイター側面
側面から見ると、前がくさび型、Aパーツ後半からほぼ直方体な機体形状なのがわかる
スタンド用ジョイント
飛行状態で飾るにはスタンド用ジョイントを脚の代わりに取り付け、別売の「アクションスタンド1」とつなぐ、ジョイントは角度変更もできる

動画で見る各ギミック

【動画】機首ミサイル
機首内蔵のミサイルは2つの発射方法がある。機首先端が折れ曲がることで水平発射、下を狙うときにはミサイル部が下がる
【動画】コクピット開
コクピットのキャノピーは後ろのドームに収納されるように開く
【動画】後部ミサイル開閉
後部ミサイルは4連のパネルが下に開く
【動画】補助エンジン回転
このギミックは主にGアーマーで使用される。アニメでは丸ごと回転するのだが、このキットでは後部ノズルブロックだけ向きが変わらない機構になっていて、スライドして回転部を固定する

ガンダムを載せる!

 Gファイター形態でのガンダムとの組み合わせは、上面へガンダムをそのまま載せること。既に触れたように、このキットではそのための足首固定ツメも盛り込まれている。

ガンダム搭載
補助エンジン部に足を載せ、Gファイター上に立つガンダム。この状態で飛行し、戦闘を行なう
脚部ロック
前後のツメで固定されたガンダムの足首。前後から挟んでいるだけだが、かなりしっかりと止められ、位置調整もできる

その他の付属パーツ

フィギュア
コクピット用以外のフィギュア。左から立ちポーズのセイラ・マスとスレッガー・ロウ。右2名は誘導員
ハイパーハンマー
ガンダムの武装パーツ「ハイパーハンマー」がGファイターに付属している。パーツ構成はガンダムハンマーとほぼ同じ。設定上はバーニアを追加するなど強化されたタイプ
ガンダムVer.2.0とGパーツ
ガンダムとGメカ、さらにそれらをつなぐパーツを並べた状態。シールドの1枚はGファイターに付属のものだ

 今回はGファイターとして組み立てたが、次回はガンダムパーツと共に、Gアーマー、Gブル、Gスカイなど各形態を再現していこう。

(C)創通・サンライズ


野本憲一(のもと けんいち)
職業:プロモデラー。1967年新潟市生まれ。プラモデルやトイ、ガレージキット等の原型製作に携わると共に、模型専門誌ライターとしても活動すること20余年。著書に模型製作テクニックをまとめた「NOMOKEN(野本憲一モデリング研究所)」(ホビージャパン)がある。




2009/5/27 18:19