【iREX2009】富士重工業、「薬剤注入ロボット」「走行プログラム自動生成システム」を出展


富士重工業ブース

 サービスロボットゾーンの中で最大の面積のブースを構える富士重工業株式会社は、これまでに開発してきた屋外、屋内の掃除ロボット、地雷探知ロボットのほか、今回新規に住友商事株式会社と共同開発した「オフィスエリア清掃ロボットシステム」、農業用ロボットの「薬剤注入ロボット」、そしてCADと連携して移動ロボットの走行プログラムを自動生成する「走行プログラム自動生成システム」を出展している。

地雷探知ロボット地雷探知ロボット後方支援車
屋内清掃ロボット富士重工業ブース講演スケジュール

 「オフィスエリア清掃ロボットシステム」はオフィス内の共用部と呼ばれる廊下部以外の場所、オフィスエリアを清掃することができるロボットシステム。従来の共用部清掃ロボットよりも6割小型化し、机と机の間も通過できるようになった。外寸は500mm×450mm×800mm。重量は95kg。連続駆動時間は2時間半。ジャイロとレーザー測距による反射を使い、自己位置を推定する。後述の走行プログラム自動生成システムを適用することができる。

オフィスエリア清掃ロボットシステム。左が新型。反射板とレーザーを使って走行する
【動画】走行の様子共用エリアの倍以上の面積がある専用エリアも清掃できるようになった

 「薬剤注入ロボット」は農林水産省の「次世代園芸ロボット技術導入検証事業」で開発されたロボットで、ビニールハウス内で自律走行しながら、土壌を消毒する薬剤を自動注入できる。ハウス内での薬剤散布は危険を伴う。だがこのロボットを使うことで、農作業者の安全性確保や作業の省力化が期待できるという。ブースでは、柔らかな土壌の上でも自律走行が行なえる様子をデモされていた。自己位置推定は清掃ロボットと同じく、レーザー測距と反射板を用いる。

薬剤注入ロボット【動画】走行の様子。これは遠隔操作で動いているが、自律走行も可能

 「走行プログラム自動生成システム」はNEDO技術開発機構の「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト(移動知能)」で取り組んでいる「オフィスビル清掃ロボット用RTC化(RTミドルウエアによるコンポーネント化)」の成果。簡易なインターフェイスで走行プログラムを生成できる。

 これまで同社では経路地図にもとづいてRTCを選択するとプログラムが生成される「対話方式」を開発していたが、今回は、新たにCADとの連携機能をインターフェイスとして実装した。CAD図面に清掃エリアと開始地点、終了地点を入力するだけで、経路が自動的に20~30分程度で自動生成されるようになった。これにより、走行プログラムの作成にかかる作業工数が90%削減されたという。また、入力作業がなくなるため人的ミスがなくなり、走行プログラムの品質および信頼性の向上にも繋がったとしている。

 2012年以降には清掃ロボットに基本的なRTCを実装し、走行プログラム自動生成システムおよびプログラム管理機能をユーザー(清掃事業者)にライセンス販売することで、清掃事業者が任意に経路変更を行なえるようにすることを予定している。国際ロボット展には、対話式およびCAD図面連携機能の両方が出展されている。



(森山和道)

2009/11/25 15:46