ロボスクエアで第10回国際宇宙ロボット(火星ローバー)コンテスト開催


 8月30日(日)、福岡市早良区百道浜にあるロボスクエアで、第10回国際宇宙ロボット(火星ロボット)コンテストが開催され、自作のロボットカーが火星を模したコースの走破にチャレンジした。

大会当日のロボスクエアロボスクエア内部に作られたローバー用コース開会式の前にJAXAの小口氏から火星探査の現状についての説明があった

第10回を数える国際宇宙ロボット(火星ローバー)コンテスト

 国際宇宙ロボット(大会会場などでは「火星ローバー」と呼ばれているので、以後その呼称を使用)コンテストは、2005年10月15日、16日の両日、福岡マリンメッセで第1回が開催され、今回で第10回を迎えた。

 第1回の火星ローバーコンテストは、福岡市で開催された国際宇宙会議(IAC)に合わせて行なわれ、表彰式では九州大学卒業の若田光一宇宙飛行士がプレゼンターを務めた。そんな縁もあって火星ローバーコンテスト会場では、若田光一宇宙飛行士がサインしたボックス椅子が飾られることが多く、またJAXAがコンテストに協力している。

参考写真。国際宇宙会議会場の一角に作られたローバーコース。今とあまり変化はない参考写真。第1回国際宇宙ロボット(火星ローバー)コンテストの様子参考写真。第1回国際宇宙ロボットコンテストの表彰式でプレゼンターを務めた若田光一氏

 当初は「国際」の名前の通り、国際宇宙会議と共に世界各地で開催するアイディアもあったようだが、結局は福岡市を中心としたローカルなロボットコンテストに落ち着き、ロボスクエアの人気ロボコンとなっている。

 基本的には半年に一度のペースでロボスクエアで実施されているが、機会があれば他の地方で開催されることもある(現在までに金沢と浜松で開催されている)。

 今回は第10回ということもあり、開会式の前には、JAXAの小口氏から宇宙開発の現状についての報告があった。

 これはこのコンテストが宇宙開発につながっているという意識の現われだろう。

簡単な迷路走破の自律部門

 火星ローバーコンテストは、火星を模した巨大なコースを使う操縦部門の前に、簡単な迷路走破の自律部門がある。

 基本的にはタッチセンサーなどを使ってゴールを目指すが、コースは変化しないので、どのタイミングで曲がっていくかをプログラミングしてゴールを目指してもよい。ただし、この場合は少しでも条件が狂うとゴールにたどりつけなくなるので難しい。

 今回の自律部門は12台が参加し、そのうち最初にチャレンジしたロボ之助Xが13秒3でゴールし優勝した。

自律部門のコース。右側手前からスタートし、左側奥がゴールとなる優勝したロボ之助Xロボ之助Xのゴールシーン
ゴールへと向かうFIGHTぶつかった衝撃で、電池が落ちてしまうアクシデントも……

登頂できるようになったオリンポス火山

 火星を模した巨大コースは毎年少しずつ変化する。今回はゴールの横にあったオリンポス火山(火星にある太陽系最大の火山・オリンポス火山をイメージしたもの)の山頂部が坂の下に移動し、ゴールからオリンポス火山の中に入ること(「オリンポス火山登頂」と呼称していた)ができるようになっていた。ただし、今回は「登頂」しても特別なことはなかった。次回からは登頂するとボーナスポイントが加算される予定。

 コースは多少の変化はあっても、ルールは第1回からあまり変化はない。

火星ローバーコース今回最大の変更点。ただし、回り込めばよいので、それほど問題にはなっていなかったようだ
オリンポス火山は中に入れるようになっていた。中にある箱のようなものは、煙を噴出すためのギミック若田光一宇宙飛行士のサイン入りボックス椅子。サインはロボスクエア開館直後に書かれたもの

 宇宙船をイメージしたボックスから自作のロボットカー(ローバー)をスタートさせ、コースから外れないように操縦し、途中で火星の岩石に見立てたボールを採集してオリンポス火山の横にあるゴールを目指す。そしてゴール地点でアンテナパフォーマンス(アンテナに見立てたものを可動させる)を行なうとゴールになる。

 制限時間は5分(300秒)となっており、当然早くゴールした方が得点が高い。それとは別にボールがボーナスポイントとなっており、数多くのボールを獲得したままゴールすると有利になる(途中で落としてもゴールは認められるがポイントにはならない)。そのため、ボールを火星ローバー取り込むための機構をそれぞれが工夫している。

参加者の多くなった無線操縦部門

 巨大な火星コースにチャレンジする操縦部門は、有線操縦部門と無線操縦部門に分かれる。

 このうち無線操縦部門は、有線操縦部門に比べて無線操縦ユニットに費用と技術が必要なためか、毎回参加者が少なかった。しかし、前回あたりから無線操縦部門の参加者も増えてきて、今回は9台が参加し、そのうち7台が完走する好成績を見せていた。

 その中で優勝したのは、ボールを取り込むための巨大なボックスを装備したGRATANだった。

初チャレンジながら、2分35秒でゴールしたチームアソロボAアンテナの綺麗なSASAKITA-RSASAKITA-Rはゴールの後、オリンポス火山の登頂にも成功し、オリンポス火山初登頂機となった
JAXA賞を受賞したオリンポス2009無線操縦部門で優勝したGRATAN【動画】GRATANの競技での様子
大量のボールを取り込むGRATANバギータイプのアレス1。この後、オリンポス火山の登頂にも成功アレス1とは兄弟チームのアレス2
巨大なタイヤで難路に挑むマーズペンギン

メインの有線操縦部門

 火星ローバーコンテストで一番参加台数が多い部門が、有線操縦部門だ。今回、有線操縦部門には23台が参加した。

 その中で優勝したのはクローラータイプのマーズトレイン2。有線操縦部門で最も速い3分でゴールし優勝した。

競技の合間に行われた、インターネットを使ってのローバー遠隔操縦実験。視野の狭いカメラで周囲の状況を把握するのに苦労していたようだった有線部門2位のHERO-X。車輪が特徴的だターンテーブルを突破するHERO-X
【動画】有線部門で2位に入ったHERO-Xのゴールシーン森のリスC。カメラを搭載し、5秒に1枚のペースで静止画像を送信する森のリスCから送られてきた画像
3位となった田舎のカカシtボールを取り込む田舎のカカシtアンテナパフォーマンスで旗振り(?)をするミニッツIV
【動画】豪快なアンテナパフォーマンスを見せるミニッツIV8個のボールをゴールに運んだマーキュリーアームを使って強行突破を図る「強行突破」
有線部門で優勝したマーズ・トレイン1マーズ・トレイン1はオリンポス火山の登頂にも成功兄弟機のマーズ・トレイン2も完走し、こちらもオリンポス火山登頂に成功
【動画】マーズ・トレイン2によるオリンポス火山登頂完走はならなかったが、JAXA賞を受賞したROBOT EVOLUTION参加機体中、最も変わったタイヤ構造のちょこみんと
閉会式

 各部門の入賞者は次の通り。

【自律部門】
・優勝 ロボ之助X
・2位 FIGHT
・3位 ワイルドナイツ2

【無線部門】
・優勝 GRATAN
・2位 アレス1
・3位 チームアソロボA

【有線部門】
・優勝 マーズ・トレイン2
・2位 HERO-X
・3位 田舎のかかしt

 なお、今回は第10回の記念大会だということで、各部門から1台ずつ、JAXA賞が授与された。JAXA賞は次の3台。

・自律部門 チームアソロボ
・無線部門 オリンポス2009
・有線部門 ROBOT EVOLUTION

 このうち自律部門のチームアソロボは新人賞、無線部門のオリンポス2009は功労賞(このチームは第1回から参加していた)の意味合いでの受賞となった。

 最後に、これまで半年の1回のペースで開催されていたロボスクエアでの火星ローバー大会だが、今後は年に1回のペースでの開催になることが発表された(機会があれば、他の地域でも開催していきたいとのこと)。



(大林憲司)

2009/10/13 16:40