福岡県のショッピングセンターで、ロボット実証実験
~画像処理による「ロボットの目」実験
7月22日、福岡県糟屋郡粕屋町にある大型ショッピングセンター「イオンモール福岡ルクル」で、九州工業大学と株式会社テムザックによる共同実験が行なわれた。
実験の行われたイオンモール福岡ルクル | イオンモール福岡ルクルのサービスロボット「ルクルン」 | 普段はインフォメーションセンターの横にいる |
●サービスロボットが常駐するイオンモール福岡ルクル
イオンモール福岡ルクルは、福岡市の東側にあり、福岡市からも買い物客を集める大型ショッピングセンターだ。
以前、このショッピングセンター(その当時の名称は福岡ダイヤモンドシティルクル)で、ロボットの実証実験を行なったことがあり、そのことがきっかけとなりルクルではテムザックのサービスロボット(名前はルクルン)を購入するなど、ロボットとは縁の深いショッピングセンターだ。
実験当日、テムザックのPRロボがイオンモール福岡ルクルに登場。実験の合間を縫って、イオンモール福岡ルクルのサービスロボット「ルクルン」と共に、買い物客向けのクイズイベントに参加していた。
【動画】話しかけてくるルクルン | 【動画】クイズ大会で「正解」と言うルクルン | テムザックのPRロボットとルクルンによるクイズ大会 |
内容は三択の「なぞなぞ」だった | 正解と思われる番号のカードを選んで、ルクルンの読み取り装置にかざすと、正解か不正解か合成音で教えてくれる |
●「ロボットの目」応用実験
今回行なわれた実験は、文部科学省の知的クラスター創成事業の一つとして、九州工業大学が進めているもので、カメラの画像を処理して「そこに何が存在するのか(主に人間の存在の把握)」をロボットに判断させようというものである(テムザックは実験用ロボットの提供という形で実験に参加)。
この実験には、九州工業大学から石川聖二教授、森江隆教授、神酒勤准教授、宮本弘之准教授の4名が参加していた。
今回の実験ではあくまでもカメラから得た画像を処理することで、外界の情報を得ようとするものだ(レーザーレンジセンサーなどの使用はあくまでも補助的)。
具体的には、ショッピングセンターに来ている買い物客を、「人間」として認識させ、その人間の動きに反応させることを目的としている。
まずロボットと人間が近い場合は、デジカメなどにも搭載されている顔認識センサーで人間の顔を探し出し、その周囲にある頭や肩、肩からつながっている腕を探し出して、その集合体を人間と判断する。
ただし、顔が見えない角度で人がカメラに映ったり、遠くて顔が判断できないこともある。その場合は人間の全身のエッジを抽出して、それを人間だとして判断するという。
今回の実験では、テムザックのPRロボットの頭の上にカメラを取り付け、その画像データを処理して人間を見つけ、ショッピングセンター内を歩いている人にぶつからないように停止回避しながら移動する実験が行なわれた(ただし、危険防止のため、コントローラーによる操縦も一部併用された)。
また短時間ではあったが、カメラに映った人間の身振りを解析して、それにロボットに反応させる実験も行なわれた。
産業用ロボットと違い、サービスロボットは人間の間で使われないと意味がない。そのような意味でも、人の多く集まるショッピングセンターでの実験はデータ蓄積の点でも意義深いものがあっただろう。
またそのような実験をOKしてくれるイオンモール福岡ルクルのようなショッピングセンターの存在は、ロボット開発に熱心な福岡県ならではと言えるかもしれない。
2009/9/29 16:15