セールス・オンデマンド、掃除ロボット「ルンバ」のユーザーセミナー

日本未発売製品も展示


 セールス・オンデマンドは9月16日、掃除ロボット「ルンバ」のユーザーを対象とした無料セミナーを開催した。「使い方をもっとよく知りたい」というユーザーの声に応えたもので、開催は今回が初めて。今後も継続していくという。

会場では日本未発売の製品も展示された。これはフロア洗浄ロボット「Scooba(スクーバ)」こちらは雨どい清掃ロボット「Looj(ルージ)」。日本の雨どいには少し大きいらしいプール清掃ロボット「Verro(ヴェロ)」も。個人的にはプール掃除よりもフロ掃除をお願いしたい

日本からのフィードバックも

iRobotのJon Elordiシニアバイスプレジデント

 「ルンバ(Roomba)」シリーズは、米iRobotが開発した家庭向けの掃除ロボット。日本国内ではセールス・オンデマンドが総代理店となっており、これまでに約10万台が出荷されたという。これは、米国以外では最も大きな売り上げになっているとのことだ。

 iRobotからは、シニアバイスプレジデントのJon Elordi氏が来日、会場のユーザーに対して、同社の戦略や同日発売された新製品について説明があった。

 新製品というのは、「ルンバ577」「同537」「同527」の3モデル。前述のように、日本は米国以外で最もルンバが売れている国であるが、ユーザーからの意見は全てiRobotに送られており、これらのモデルはそういった声を反映させたものだという。リモコンは全機種に付属するようになり、ホームベース(充電ステーション)などのアクセサリ類も日本家屋向けに小型化されている。

同日発売の新製品3モデル。外見はほぼ同じ各モデルにより、こういった機能の違いがあるアクセサリ類も小型化されているとか
新モデルでは日本のユーザーの声を反映させたそれでいて価格は最大19%下げたとアピール

 将来のビジョンに関してだが、同氏はパーソナルロボット市場を「作業」「セキュリティ」「エンターテイメント」「教育」の4つに分類。2015年には市場規模が180億ドル程度に急成長するという予測を紹介しながら、同社は引き続きルンバのような作業ロボットに注力するという意向を示した。

パーソナルロボット市場の予測(ABI Researchによる調査)。成長が加速する作業ロボットの中では、掃除用が最も大きいが、その他も無視できない規模

ルンバを上手に使うコツ

セールス・オンデマンドの曽根泰マネージャ

 続いて、日本で最もルンバに詳しい人物と言える、セールス・オンデマンドのアイロボットサービスセンター・テクニカルサポートの曽根泰マネージャが登場、「なるほど! 目からウロコのルンバ実用法」と題したセミナーを行なった。

 ルンバはAI「AWARE」によって動いているため、外部から見ていると、なんでこういった動きになるのかが分かりにくい。そういったナゾを紐解き、より上手にルンバを使いこなしてもらうのがこのセミナーの目的である。

 曽根氏がポイントとしてあげたのは、赤外線の特性を知ること。ルンバには、前面センサー、壁センサー、段差センサーなど、赤外線を使ったセンサーが多く搭載されており、うまく動いてくれない理由はここにあることが多い。また、バーチャルウォールによる移動制限や、ホームベースへの誘導などにも、赤外線が使われている。「赤外線を知ることがルンバを知ることになる」と曽根氏。

色の付いたセンサーでは赤外線が使われているこういった事例も赤外線を理解すれば納得できるルンバで使用している赤外線の特徴

 実際に起こり得ることとして紹介されたのが、「なぜか窓際を掃除しない」「減速せずに椅子に当たる」という事例。

 ルンバは、赤外線を床に反射させることで、段差を検出している。反射を検出できなかったときは、近くに床がない、つまり大きな段差があると判断して、その場所を回避する。最初の事例は、強い太陽光により、ルンバが発した赤外線が見えなくなってしまう(太陽光にも赤外線が含まれている)ために発生しており、レースのカーテンを閉めるなどの対処で回避できるそうだ。

 また前面センサーは、ルンバの前方に5セット配備されている。それぞれ、赤外線の発光部と受光部がセットになっているが、障害物を検出できる範囲はノコギリ型になっており、その谷間の部分に椅子の脚のような細いものが入った場合には、検出できないことがあるという。これは仕様上回避しようがないので、よくぶつかってしまうものには傷が付かないよう布を巻くなど対処するしかない。

ルンバは赤外線を反射させて床を認識している大きな段差があると、赤外線は検出しなくなる前面センサーは前方の全てを検出できるわけではない

 バーチャルウォール、お部屋ナビ、ホームベースといったアクセサリにも、赤外線が使われている。赤外線のエリアを意識しながら設置することで、もっと効率よくルンバを使うことができるとして、曽根氏からはさまざまな事例が紹介された。

アクセサリからは赤外線が出ている。衝突回避用の"フォースフィールド"は全方向に、誘導や制限用のビームは数本出ている赤外線ビームは30度の角度で広がる。そのため、Bのように壁沿いに置いた方がバーチャルウォールの無駄がない。Aだと掃除しない範囲が大きくなるお部屋ナビの置き方にもコツが。誘導ビームがより広い範囲に届くように置くのが望ましいという


(大塚 実)

2009/9/18 18:52