「鉄人28号18mモニュメント」、現地で建設開始
~神戸・長田区の震災復興・地域活性化のシンボルとして10月4日竣工予定
7月27日、兵庫県神戸市・長田区の若松公園にて故・横山光輝氏原作の漫画に登場する「鉄人28号」の1/1スケールモニュメントの起工式が行なわれた。サイズは設定に合わせた18m。完成すると鉄人像は力強くこぶしを突き出したポーズとなる予定で、その状態では頭部までで15.6mとなる。外装は耐候性鋼板製。内部は鉄骨構造で、重量は50t。深さ6mに埋め込まれた基礎で支えられている。片足を支える基礎だけで75t、両足あわせて150tの基礎が、50tの鉄人を支える。
「鉄人28号」の1/1スケールモニュメントが建てられるのはJR、あるいは市営地下鉄「新長田駅」の南、徒歩3分程度に位置する若松公園内(神戸市長田区若松町)。「鉄人28号」は1956年から雑誌「少年」に連載された漫画作品。これまでに何度もラジオ、実写、アニメ化などもされて人気を博してきた。作者である故・横山光輝氏は、神戸市須磨区出身の漫画家だ。
NPO法人「KOBE鉄人PROJECT」理事長・正岡健二氏。長田活性化研究会代表 |
いっぽう、神戸市長田地区は、阪神大震災で被害を受けた地区だが、その商店主たちが集まったときに、当時たまたま執筆50周年を迎えていた「鉄人28号」にちなんで、震災復興・地域活性化のシンボルとしてモニュメント像建設を企画した。プロジェクトが記者発表されたのは2006年5月。紆余曲折いろいろあったそうだが、2007年にはNPO法人「KOBE鉄人PROJECT」を発足させた。その後、さまざまな地域活性化活動を行なって、今日までこぎつけた。この鉄人像は、同NPO法人の成果の中心と位置付けられるものだという。費用は1億3,500万円。うち、4,500万円を兵庫県神戸市が補助。残りは個人や企業から協賛金を募って工面したという。
理事長の正岡健二氏は、起工式での除幕前に「長田はものづくりの町でもある。その象徴、ランドマーク、シンボルとなってほしい」と挨拶。特に、これから2カ月間の建設途中の様子を子供たちに見せたい、そして「ものづくりとはこういうものかと感じてほしい」と語った。除幕では、鉄人の頭部が披露された。
除幕の様子 | 【動画】除幕の様子 | トラックの荷台に載せられた頭部が姿を現した |
頭部正面。右を向いた状態で肩に直付けされるため左右非対称 | 頭部左側面 | 頭部右側面 |
後頭部 | 無表情だが少し角度を変えて見ると印象が変わるのが鉄人のデザインの面白いところ | 鉄人の頭部の内部 |
今回の「鉄人」の原型を製作したのはアニメのロボットや怪獣などのフィギュア作品で著名な速水仁司氏。速水氏のデザインを可能な限り生かす形で各パーツは製造されたという。鉄板を可能な限り薄くして軽量化し、かつ、十分安全性を保つ強度となっているそうだ。製作したのは今回のプロジェクトに協賛した大阪府岸和田市の金属加工会社・北海製作所。できるだけ安価にすむようにしたという。
鉄人28号モニュメント像の原型 | 原型は速水仁司氏作成 | 鉄人の原型と頭部 |
【動画】鉄人の頭部のまわりを回ってみた | 作中で「鉄人」を製作する敷島重工のTシャツを着たスタッフたち | このTシャツは販売されている。サイズは140、S、M、L、XL |
「鉄人」は、これから8月下旬までに組み立て作業、その後、溶接を経て、9月中旬から色付け、9月下旬に完成、10月4日に竣工予定だ。現場で作業していた方によれば、完成した暁には、「鉄人」はJR神戸線の列車内からも見えるはずだそうだ。このほか、鉄人やそのほかの横山光輝作品を用いたスタンプラリーなども予定されている。
鉄人建設予定地 | 鉄人の腕 | おそらく脚部 |
完成した暁にはJRの列車内からも見えるという | すぐ横は商店街 | その活性化を担う |
【動画】若松公園の現在の様子 | 建設中の様子を多くの子供たちに見てもらいたいという | 午前中は土砂降りだったそうだが起工式が始まるとこの青空に |
鉄人の頭部を取り囲む報道陣 |
(c)光プロ/KOBE鉄人PROJECT2009
2009/7/28 00:00