ガンダム、緑の大地に立つ!
「GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト」開催記念オープニングセレモニー

~富野由悠季監督、古谷徹氏、そしてGACKTも登場


 お台場・潮風公園(東京都品川区東八潮一二番)内の「太陽の広場」にて建造が進められていた18mの「ガンダム」の立像が、7月11日(土)から正式に公開される。財団法人東京都公園協会、東京港埠頭株式会社、社団法人東京都造園緑化業協会、株式会社フジテレビジョンから構成される「GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト実行委員会」によって建設されたものだ。前日の7月10日の夜にはオープニングセレモニーが開催され、ガンダム立像がライトアップされた。

 「GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト」とは、「緑あふれる都市再生と魅力あふれるまちづくりに向け、お台場潮風公園を中心に、都民と企業・行政が一体となって東京のメッセージを発信していく」というプロジェクト。目的は「都市の緑化推進、及び公園の活性化、各種の文化発信を図ること」。それにバンダイナムコグループが賛同し、特別協賛として参加。アニメーション作品『機動戦士ガンダム』放映30周年を記念した18mの実物大「ガンダム」立像を製作した。プロジェクトのシンボルとなるこの立像を通じて、幅広い世代に対して「緑あふれる都市東京の再生」と2016年の東京でのオリンピック開催実現を目指すためのメッセージを幅広い世代に発信していくことが目的だ。また、8月1日~31日までの1カ月間は、ガンダムの立像の左肩部分に、オリンピック招致ロゴがつけられ、「2016東京オリンピック・パラリンピック招致サポートバージョン」のガンダムが登場するという。

 イベント期間中には潮風公園内に環境をテーマにしたブースのほか、「GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト」オリジナルグッズ販売、飲食ブースのほか、フォトサービスブースなどを設置する。この収益の一部が「緑の東京募金」に寄付される。来場予定者数は150万人。

ついに姿を見せた18mのガンダム像足元から仰ぎ見る股の下から見上げたところ
大きさの迫力を少しでも感じて頂きたい
右足。動きによる装甲のずれ具合などもリアルに再現左足部。メカニズム部分も見える部分は作り込まれている後ろから
股関節肩の付け根右手指
目などはライトが点灯する両眼は5色の光源を使い、複合センサーであることを表現しているという
ボディの一部からミストを出すミストはかなりの量で、出したあとは周囲がぐっしょり濡れるほど

セレモニー

セレモニーの様子

 セレモニーには「GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト」実行委員会会長 尾田俊雄氏、東京都副知事 菅原秀夫氏、株式会社バンダイナムコホールディングス代表取締役社長石川祝男氏、機動戦士ガンダム総監督富野由悠季氏、そして主人公アムロ役の声優である古谷徹氏、特別ゲストとしてガンダムのファンとしても知られるアーティストのGACKT氏が登場した。まず尾田氏がイベント趣旨を、菅原副知事がオリンピック招致の目的を訴えたのち、石川氏が「まさにガンダム大地に立つ」と述べてファンと関係者たちへ感謝を述べた。

 富野由悠季氏は、ガンダムの青、赤、黄色、そして白のボディカラーを「おもちゃカラー」と表現。プロジェクトが始まるにあたってまず「大地のうるおいの色が緑だとすればオモチャカラーはなんなのか」と考えたという。だがおもちゃカラーが実際に大地の緑の上に立つ1/1スケールで見ると周囲の風景に意外と溶け込んで違和感がないこと、それが人が最初に触れる色であり、普遍的なカラーであることを認識、色んな意味を込められる色であり、またオリンピックのシンボルカラーとも共通していることに気が付いたという。

 富野氏は「子供達を引き寄せるカラーリングはとてもピースフル、ハッピーなものであり、大地に緑がないと我々は死んでいくぞ、という物語を作るときにいろいろなシンボルにできる色がおもちゃカラーだった。我々はこれからもおもちゃカラーに象徴されるものに寄り添って生きていく」と続けた。現実の形になって「おもちゃの色のパワー」は、初めて実感できたのだという。また、ガンダムを愛してくれた人はそれを感じていたのではないかと述べた。

 最後に富野氏は、「これからもおもちゃカラーや緑の色に象徴されるこの地球を我々は永遠に使わなくてはならない。そのメッセージを発信できる場としてこの場を頂けたことを本当に嬉しく思う。このイベントはこれから10万年続きます!」と締めくくった。

 「機動戦士ガンダム」主人公アムロ役の古谷徹氏は、時折感極まったように言葉を詰まらせながら、ゆっくりと開会挨拶を述べた。「緑あふれる環境都市・東京でのオリンピック開催を目標に掲げた、このプロジェクトに参加できることを心から感謝している。作品に関わって来た多くの関係者、ファンの皆様、プロジェクトの関係者の皆様に心から御礼申し上げ、このプロジェクトのメッセージが1人でも多くの人の心に届くことをお祈り申し上げたい」と述べた。さらに「ガンダムは今年生誕30周年を迎えた。節目であるとともに、さらに新しいスタートの年でもあると思っている。ガンダムという作品がこれからさらに10年、20年、30年と生み出されつづけ、変わらず皆様の応援と愛を賜りますよう、心から願い、祈っております」と続けた。

 最後に古谷氏は「この東京という都市が、緑あふれる都市として再生し、ここに住まう人々、子供たちにとって、希望あふれる都市であり続けることを祈りながら、『GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト』、いきまーす!!」と絶叫。

セレモニーに登場したGACKT氏【動画】セレモニーの様子

 この言葉に合わせて照明が暗転し、スモークとレーザー光、ライトや音響を使った演出が始まった。ガンダムファンにはお馴染みの音楽と、永井一郎氏によるあのオープニング・ナレーションに続いて、GACKT氏による都市生活と環境との調和を訴えるコンセプトメッセージが読み上げられた。

 その後、TV版「機動戦士ガンダム」主題歌「翔べ! ガンダム」が流れた。さらにそのまま「劇場版 機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙編」主題歌の「めぐりあい」が流され、「GREEN TOKYO。世界最大の都市に住む我々には大切な役割がある。美しい水と緑を守り、取り戻す。これは夢や理想ではない。日本は、禿げ山を何度も森に再生し、よみがえらせてきた。地球の森を、世界に提案する。今がそのときなのである」と、GACKT氏によるメッセージが再び流された。

レーザーやスモークで演出されたガンダム像

 そしてGACKT氏がカバーした「劇場版 機動戦士ガンダム II 哀 戦士編」主題歌の「哀 戦士」が流れるなか、GACKT氏本人が登場。GACKT氏は「GACKTです。我々が世界に勇気を与え、緑を、未来の子供たちに、届けましょう。それがいま、地球に住む我々の使命です」と来場者たちに訴え、そのままくるっと振り返りゆっくり歩みさって退場。最後に「ガンダム」のエンディングテーマである「永遠にアムロ」とオリジナルの「哀 戦士」が流れてエンディングという構成だった。

ガンダム像の前での記念撮影

 セレモニー終了後の囲み取材では、富野氏はガンダムカラーが極めて普遍的で平和的な色であったことを認識したことを改めて強調。「レトリックではなく本当に、「ガンダム」と「環境」という2つのものをくっつけたことは正解だったのかなと思った。ガンダム像は21世紀の自由の女神像の代わりになれるのではないか」と語った。

 「ガンダム」という作品について「自分の生きた証」だといつも答えているという古谷氏は「ガンダムのふくらはぎのボリュームがセクシー。等身大ガンダムを見るとこれをアムロは動かしたのか、アムロは偉かったなと思った」と感想を述べた。また、「乗ってみたくなった」と同時に「ガンプラを作りたくなった」という。改めて「ここがこの部分か」と考えながらガンプラを作り、潮風公園のジオラマなどを作ってみたいと思ったと述べた。

 GACKT氏は「ガンダムファンだけではなく、大勢の人に見てもらいたい」「このガンダムが戦争の兵器ではなく平和の象徴として語り継がれていくといいなと感じました」と述べた。

古谷氏、富野氏、GACKT氏(左から)
「ガンダムファンだけではなく、大勢の人に見てもらいたい」と語るGACKT氏

 そのほか会場では挿入歌「シャアが来る」なども流されていた。また昼間には主に、インストゥルメンタルユニット「DEPAPEPE」による公式テーマ楽曲である「beautiful wind」(オリジナル楽曲)と、「翔べ! ガンダム」のカバー曲が流されていた。18mガンダム像の迫力については言うまでもないが、確かに、DEPAPEPEの奏でる音楽を聞きながら緑の芝生に囲まれたこのガンダム像を見ると、日本の平和や環境の良さを実感する。

 なお実際にオリンピック招致に成功した暁には、潮風公園はビーチバレーの会場となる予定だという。また、ガンダムは東向きに立っているので、午後は逆光になる。シルエットもカッコいいが、もし正面から綺麗に撮りたいのであれば午前中をおすすめする。会場内にはカレーや焼きそば、かき氷などの飲食や、公式グッズを販売する屋台も出ている。

ガンダム像の後ろにはガンダムの足あと会場各所でオリンピック招致ののぼりがはためく販売されるオフィシャルグッズ
飲食用の屋台も。こちらはハム焼(500円)。夕焼けのなかのガンダム像

・一般問い合わせ先
 GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト ハローダイヤル:050-5548-8686
 期間:6月20日-9月5日(受付時間 8:00-22:00)

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(森山和道)

2009/7/11 03:53