関西電力など、世界初となる超高圧送電線の活線点検ロボットを開発


超高圧送電線の活線点検ロボット

 関西電力株式会社は、世界初となる遠隔操作が可能な超高圧送電線の活線点検ロボットを開発した。東京工業大学、株式会社かんでんエンジニアリング、株式会社ハイボット、株式会社ジェイ・パワーシステムズ、財団法人電力中央研究所らとの共同開発によるもの。

 これまで超高圧の架空送電線の点検は、点検員による徒歩やヘリコプターを使った巡視のほかに、電線に宙乗りして外観点検を行なわなければならなかった。しかし、この外観点検を行なうには停電が必要となり、電力の安定供給に支障がないよう行なう必要があった。また、点検作業のほかに、送電線を支えるがいし装置の取り替えや電線張り替え作業などは、比較的電力の供給が少ない春や秋に集中していたという。

 今回開発された超高圧送電線の活線点検ロボットを使うことで、人的作業がなくなるため安全面の確保、無停電で点検が可能になるなどのメリットが生まれる。また作業時に停電する必要がなくなるため、一定の時期に作業が集中しなくなる。

 超高圧送電線の活線点検ロボットは前輪、後輪として計4つのプーリーのほか、操縦用アイカメラ、バッテリ、上線および下線用電線点検センサー、CPUで構成。本体サイズは1.6×1.6m、重量は80kg。毎分20m、登板能力30度という作業能力を有し、これは人間と同等以上の能力だという。ロボットの主要部は導電率の高い金属シールドで覆われ、50万Vの高電圧下でも作業が行なえるよう設計。またバランス制御システムを組み込むことで、走行状況に応じて重心の位置を変え、常に安定を保つことができる。がいし装置などを乗り越える際は、プーリーを持ち上げて回避しながら前進することも可能。

 なお、同ロボットは平成22年度から一部実路線で試験導入され、その結果を踏まえた上で平成23年度から本格導入される予定。


(小林 隆)

2009/6/5 19:17