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「まるいち」ロボ、京商と白泉社のコラボで実現
~第47回日本SF大会で初披露


MANOI・まるいち
 8月23日(土)、大阪で開催された第47回日本SF大会「DAICON7」で、京商がキャラクターロボット「MANOI・まるいち」を披露した。

 “まるいち”は、1995年~2001年に少女漫画雑誌「LaLa DX」などに連載された「まるいち的風景」(柳原望著)に登場するロボットだ。作中の大手家電メーカーKAMATAが、開発・販売した家庭用汎用ヒューマノイドロボットという設定で、ストーリーの重要な位置を占める。

 2008年7月、「まるいち的風景」の文庫本版が発売されたのがきっかけとなり、白泉社と京商がコラボレーションで“まるいち”を製作した。

 ベースは、京商の二足歩行ロボットキットMANOI AT01で、外装を外し両肘に軸を追加している。外装は、人形作家の渡辺葉子氏が製作した。渡辺氏が、文庫版パタリロ(白泉社発行)の表紙人形を手掛けている縁で、実現したという。

 原作では、“まるいち”のサイズは3歳児くらいとなっているが、MANOI・まるいちはそこまで大きくない。正確なサイズは公表されなかったが、40~45cmといったところだろう。サイズこそ違うものの、見事な造形で原作のイメージそのままの“まるいち”だった。

 “まるいち”は、ごらんの通り丸い顔、丸い大きな目、丸い耳、丸い鼻と、円だけで構成されている。ところが、単純に丸を組み合わせただけでは、“まるいち”にならないそうだ。作者の柳原さんによると「バランスが難しいんです」ということだが、MANOI・まるいちは、正面からだけなく「どの角度から見ても、“まるいち”ですね。可愛い」と絶賛していた。


作中で大手家電メーカー「KAMATA」が開発・販売する家庭用汎用ヒューマノイドロボット“まるいち” 京商がMANOI AT01をベースに製作したMANOI・まるいち 柳原望著「まるいち的風景」。白泉社文庫

 「まるいち的風景」は、元々SFファンの間でも評価が高く、これまでも日本SF大会で“まるいち”をテーマにした企画が催されていた。今年は、柳原さんを囲んで開かれた茶話会「まるいち開発室」で、誕生したばかりのMANOI・まるいちをファンに披露した。

 会場には、2008KYOSHOアスリートCUPアシスタントの龍崎サヨさんが、原作のヒロインである“まるいち”発案者の美月なな子のコスプレをして登場。テーブルの上にMANOI・まるいちが立つと、ファンだけでなく柳原さんも一緒になって写真撮影を開始した。

 ひとしきり記念撮影した後に、いよいよMANOI・まるいちが歩き始めると、部屋いっぱいに「かぁわいぃぃ~」の声が広がった。

 もちろん、原作ファンなら絶対に外せない「なぐさめる」モーションも入っている。これは物語の主人公・有里幸太の父親が、生前に“まるいち”に登録したモーション。最期まで父親と折り合いが悪いままだった主人公が覚えている、父とのごく少ない優しい思い出で、「まるいち、なぐさめろ」と命令すると、「痛いの痛いの飛んでけ~」をしてくれる。第1話だけでなく、連載中に何度も出てくるモーションだ。

 MANOI・まるいちのモーションを製作した京商の岡本氏も原作のファンで、「飛んでけ」の前で一瞬手を止めてから、ぱっと広げる「親父の癖」もちゃんと再現されていた。


【動画】MANOI・まるいちが歩き出すと、ファンが口々に「かわいい~」と叫ぶ。「レトルトカレー作って!」は原作ネタ 【動画】原作の中で重要なエピソードになっている「痛いの痛いの飛んでけ~」モーション 【動画】原作ネタ「舞を舞え」でMANOI・まるいちが踊るのは、パラパラ。扇を持てば完璧だ

ヒロイン・美月ななこのコスプレでMANOI・まるいちを抱く龍崎サヨさん 主人公の有里幸太が所有する“まるいち”の得意技「なぐさめる」の決めポーズ

 MANOI・まるいちの動きを見た柳原さんは、「動いている“まるいち”は、健気でたまらない。もう掃除とかしなくていいよって言ってあげたくなります」と、MANOI・まるいちが可愛くてたまらないといった様子だった。

 柳原さんにMANOI・まるいちを抱いてもらうと、傍から見ても分かるほど緊張していて「どうやって抱けばいいんでしょう? 首は座っていますか?」と岡本さんに尋ね、場内から笑いを誘った。柳原さんは、MANOI・まるいちを怖々と抱きながら、じっと見つめ合っていた。初めて“まるいち”を抱いた感想は、「新生児を抱いたパパの気分」ということだ。

 最後に、MANOI・まるいちがラジオ体操を始めると、ファンがアカペラで曲を歌いながら応援した。全身を大きく回したり、両足で跳ぶ運動をするたびに、大爆笑が起きたり感嘆の声が上がった。会場からは「“まるいち”がいたら、ラジオ体操で皆勤賞を取る!」という意見も出ていた。


【動画】ラジオ体操第一をして、拍手喝采をあびるMANOI・まるいち 【動画】身体をまわし、両足で跳ぶ運動。MANOI・まるいちのジャンプに場内は大爆笑 【動画】最後の深呼吸をして、満場の拍手に向かってご挨拶

 ファンから「いくらで購入できますか?」という質問も出たが、残念ながらMANOI・まるいちバージョンを発売する予定は、今のところないそうだ。岡本氏は、「ベースはMANOIなので、キット価格+追加サーボ代で購入できます。ただし、外装は別途になります」と答えていた。

 ちなみに、MANOI AT01のキットは147,000円だ。原作のようにロボットの前でユーザーが動いて見せるだけでは動作登録はできないが、付属ソフトでオリジナルのモーションを作成できる。


MANOI・まるいちは、MANOI AT01の外装を外し、両肘にサーボを追加している MANOI・まるいちとMANOI PF01のツーショット。外装でかなり大きくなっていることがわかる 岡本正行氏 (京商株式会社ロボットグループマネージャー)

MANOI・まるいちを正面からアップで。丸だけで構成された顔は、バランスを取るのが難しいという 左てのひら。指は詰め物がしてあり、動かない 右手の甲

帽子は頭に固定されていて、脱げないようになっている 帽子のかぶり方で、可愛い印象が全く変わってしまうそうだ 帽子の素材は、靴と同じ。帽子は、この形に縫い止められている

燕尾服のディテールや、服のぶかぶか感に“まるいち”の雰囲気がよく出ている 靴はフェルト製 靴底は固い素材になっていた。チラシは、2001年のSF大会で配布されたものの白黒コピー

バッテリー交換は、服を脱がせて行なう シャツは綿が入っていて、内部の構造が表に響かないようになっている シャツとズボンはホックで留めてある。カバーバンドはおへその位置と、バックをホックで固定

 夕方には、柳原さんのサイン会も行なわれた。柳原さんの隣でMANOI・まるいちが手を振ったり、踊ったりしているのを見て、多くのファンが笑顔で手を振り返した。


サイン会会場で、ファンに手を振るMANOI・まるいち 夕方に行なわれたサイン会風景。列の左手側にいるMANOI・まるいちにファンが手を振っている 会場で発売されていた文庫本を購入すると、特製はがきがついてきた

 同日は、会場入り口前のオープンスペースで、二足歩行ロボット競技会「ロボハブ in DAICON7」が行なわれていた。京商もブースを出しており、MANOIやMANOI・まるいちをここでも展示、披露した。通りかかった来場者は、MANOI・まるいちに気がつくと「“まるいち”だぁ。可愛い~」と言いながら、写真を撮影していた。

 今後、MANOI・まるいちは京商マノイチームの一員として、各地で開催するイベント等に出演するという。


【動画】ロボハブステージに立って挨拶をするMANOI・まるいち 【動画】MANOI・まるいちの歩行。実は、当日の朝に歩き始めたばかりだという

【動画】「痛いの痛いの飛んでけ~」も、アテレコによって印象が変わる 【動画】ラジオ体操第一の曲付フルバージョン(73MB)。MANOI・まるいちと一緒に体操している人もいた

URL
  第47回日本SF大会「DAICON7」
  http://www.daicon7.jp/jp/index.html
  京商
  http://www.kyosho.com/
  MANOIシリーズ特設サイト
  http://www.kyosho.com/jpn/products/robot/index.html
  白泉社
  http://www.hakusensha.co.jp/
  つれづれやな(柳原望ブログ)
  http://ch07843.kitaguni.tv/

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( 三月兎 )
2008/08/27 14:44

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