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高橋智隆氏、紫式部をイメージしたロボット「MURASAKI」を発表
~源氏物語千年紀 in 湖都大津


高橋智隆氏の新作「MURASAKI」
 2008年7月24日(木)、滋賀県大津市の石山寺にて、ロボガレージの高橋智隆氏が和をテーマにしたロボット「MURASAKI」を発表した。

 石山寺は、紫式部が源氏物語の構想を練った寺として知られており、今年は源氏物語が現存すると記録で確認された時から、ちょうど千年を迎える。それを記念し、3月18日(火)から12月14日(日)まで、石山寺一帯で「源氏物語千年紀 in 湖都大津」と題し、源氏物語に関するイベントや展示を行なっている。

 単に源氏物語が読み継がれた千年を振り返るだけではなく、次の千年に向けた感性を発信するのを目的に、石山寺内の施設「未来千年館」では大津市在住のロボットクリエイター高橋氏のロボットを常設展示している。


石山寺(滋賀県大津市打出浜) 源氏物語千年紀 in 湖都大津 石山寺内の密蔵院にある「未来千年館」

 新作ロボット「MURASAKI」は、同館のメイン展示ロボットとして紫式部をイメージして製作された。身長31cm、体重約1.5kgの車輪型ロボットで、着物の裾を引いて歩くようにするすると移動し、「いづれの御時にか。女御・更衣、あまたさぶらひ給ひけるなかに……」と、源氏物語の導入部を語り始める。


【動画】MURASAKIは、車輪で移動する 【動画】霧壺の一節を暗唱するMURASAKI 【動画】源氏物語を執筆したきっかけを語る

発話に合わせて、目に青く、口元には赤くLEDが灯る 右手の袂から扇を出す 扇には、この後源氏物語にちなんだ絵が描かれる予定

 自由度は、首に2軸、腕が3軸×2軸の計8軸。左右の手先は構造が異なり、右手は袂から扇を出し、左手は手首を動かす。サーボはFutaba製とJR PROPO製で、配置に応じて大・小のサイズを使い分けている。

 コントロールボードはヴイストン製のVS-RC003HV。MP3プレーヤーはプロトタイプを使用している。フレームの素材は、アルミとプラスティック。ニッケル水素電池が本体に内蔵されていて、MURASAKIをそのままコードにつないで充電する。

 MURASAKIは期間中常設で稼働するため、扱いやすさと耐久性、メンテナンス性を考慮した設計になっている。

 高橋氏は、クロイノで米TIME誌「Coolest Inventions 2004」に選定されたり、昨年はフランスCENTRE DES ARTS美術館にて「ロボ・ガレージ展」を開催するなど、世界的に活躍しているが、純日本風の建造物でロボットの展示を行なうのは今回が初めてだ。

 ロボットには未来的でモダンなイメージがあるが、高橋氏は「近い将来、一般家庭でロボットが人と共存していくのなら、和風建築の中でも違和感なく存在できなくてはいけない」と語る。今年初めに源氏物語千年紀 in 湖都大津実行委員会からロボット製作の依頼があった時に、新しいチャレンジとして取り組むことにしたという。

 製作期間は約5カ月。初の和風ロボット製作にあたり、日本の色彩と色の組み合わせや十二単について調べ、日本文化のすばらしさを再認識するきっかけになったという。

 「未来すぎるデザインでは展示する寺に似つかわしくなく、かと言って十二単を着せてはひな人形のようになってしまう」と、ロボットと紫式部のイメージのバランスを取ることに苦心したと語った。

 今後は、MURASAKIが持つ扇に絵を描いたり、源氏物語の朗読をさせたりとブラッシュアップしていく。今は発話に合わせて全てのモーションを細かく作っているが、源氏物語全篇のモーションを同じように製作するのは不可能である。MURASAKIの語る言葉に合わせて、モーションを自動再生する方式なども検討していくという。


裾にスイッチと、電源とコネクタが設置されている 両腕と首を動かして、感情を表現する 正面からだとクールで知的な印象だが、角度によって柔らかい表情に見える

サイズは身長31cm、体重約1.5kg 後ろ姿 横からみたところ

束ねた髪が頭を動かした時に自然に動くよう、重りが入っている 下からみたところ 「MURASAKI」完成イメージ


 MURASAKIは、26日(土)から一般公開される。当日は、11:00と15:00に高橋氏がデモンストレーションを行なう予定だ。開催時間は9:00~16:30。入場料は大人600円、中高生500円、小学生300円。


源氏夢回廊の入り口 源氏ショップには、源氏物語にまつわる書籍とともに高橋智隆著作「ロボットの天才」が販売されている

URL
  源氏物語千年紀 in 湖都大津
  http://www.otsucci.or.jp/genji/
  石山寺
  http://www.ishiyamadera.or.jp/index.html
  源氏夢回廊
  http://www.ishiyamadera.or.jp/yume_kairou.html
  ロボガレージ
  http://www.robo-garage.com/

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( 三月兎 )
2008/07/25 16:59

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