独立行政法人 中小企業基盤整備機構が主催する「ベンチャーフェアJAPAN2008」が東京国際フォーラムにて2月5日~2月7日の日程で開催中だ。210のベンチャーがブースで自社技術を展示している。
ロボット関連展示は残念ながら少ない。そのなかで株式会社日本ロジックマシンは、介護支援ロボット「ReginaJII(レジーナ・ジェー・ツー)」をビデオとパネルでアピールしていた。残念ながらブーススペースの関係上、実物は出展されていない。
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介護支援ロボット「レジーナJII」
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「レジーナJ」は、主として入浴時などの抱き上げ介護を支援するための垂直多関節双腕型のロボットだ。このロボットを使うことで、ベッドから浴槽へ行くまでに平均4~5回必要な載せ替えが、一度ですみ、しかもボタン操作だけで力を使わずに介助ができるという。アーム部分は浴槽に浸かるためにステンレス製で動作機構をなくしており、またそのほかも防水カバーで覆っているとのことだ。
手先は人を抱き上げるためのバケットハンドとなっている。特徴は左右が対称になっており、右左どちらも背もたれとすることが可能な点だ。どちらの壁にベッドが寄せてあっても使うことができるという。
本体重量は130kg。走行することもできる。自由度は9(アーム4、ハンド1、胴旋回1、クビ1、走行2)で、胴体はベッドとアームの間で楽に操作できるように工夫されているという。先端可搬重量は各アーム80kgで、両腕を使った総可搬重量は120kgとのこと。電源はDC24V、バッテリを使うことで2時間弱動かすことができる。
また、顔はタッチパネルになっており、操作が可能になっているほか、無線リモコン、音声認識ボードも内蔵している。
株式会社日本ロジックマシン代表取締役の森川淳夫氏は、本格的に使えるものとしては世界初だと胸を張る。同社は富山県の会社だ。主に産業用加工搬送機械の設計製造、コンピュータシステム開発、マイコン基板設計などを行なっており、事業を通して培われた制御技術及び機械設計技術を基に、介護支援ロボットや福祉機器、未来型ホームシステムの開発、カスタムロボットの設計製作等を行なっているという。
同社ブースでは、レジーナにも内蔵されている音声認識コントローラ「VC55」を切り出してホームコントローラとした商品が出展されていた。ドアコントローラや電灯など制御したい家電を直接これに繋ぎ、スイッチをオンオフする仕組みだ。
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株式会社日本ロジックマシン 代表取締役 森川淳夫氏
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音声認識コントローラ「VC55」
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設定の例
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【動画】音声認識コントローラのデモの様子
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そのほかはロボットにはあまり関係がなかったが、筆者個人が面白そうだと感じたものを簡単にご紹介する。
株式会社いろはプロジェクトは、太陽電池を貼り付けたバッグ「ソーラーバッグ」を出展。日中晴天時であれば、このバッグで携帯電話を3時間程度で充電できるという。電源プラグはシガーソケット型だが各メーカー用の端子のほか、USB端子も備えているので、USB機器も充電できる。ネックはおよそ3万円程度の価格だという。
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株式会社いろはプロジェクト「ソーラーバッグ」
ven_p1330872.JPG 充電も可能。
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充電も可能
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株式会社きゅぶふぁーむは「超高密度植物垂直ミスト水耕システム」をデモ出展していた。神戸大学と共同研究しているもので、垂直パネルを使うことで完全閉鎖型植物工場の生産効率向上を目指したものだ。将来的には従来型よりも設備投資で3割、ランニングコストで3割、生産性で1.5倍を目指しているという。
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株式会社きゅぶふぁーむ「超高密度植物垂直ミスト水耕システム」
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垂直パネルで植物を育成するユニークな構造
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オキ・ニューエモーション株式会社は、IRイルミネーターとカメラを使ったインタラクティブ・コンテンツ「Oneder motion(ワンダーモーション)」を出展していた。プロジェクターで投影された画像に対してアクションで操作できる。「2.5次元」の体感型コンテンツを目指したものだという。
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【動画】オキ・ニューエモーション株式会社の「Oneder motion」のデモ
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もちろん複数の人で楽しむことも可能
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頭上にはプロジェクターと赤外線イルミネーターとカメラ
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札幌のエコモット株式会社はエコ融雪リモコンシステム「ゆりもっと」を出展。主にアパート・マンション経営者や駐車場経営者を対象にしたシステムで、小型カメラと携帯電話等を使って融雪状況を写真で確認し、必要に応じて融雪システムを動かすもの。同社は他にも屋外専用の定点カメラ監視システムを出展していた。こういった現実的なシステムが徐々に普及していくことで、緩やかにユビキタス関連技術が普及していくのだろう。
株式会社ジョイ・ワールド・パシフィックは近赤外線を使ってカロリーを測定する機器「カロリーアンサー」を出展していた。調理した食材であってもそのままの状態で、電子レンジのような形をした「カロリーアンサー」に入れるだけで、一発でカロリーを測定できるという。近赤外線は700nmから3,000nmまでの波長域の光線だが、そのなかの一部の透過光がカロリーとほぼ相関するのだそうだ。精度はほぼ20%以内で、これは平均誤差として認められる範囲に入っているという。
また従来型は液体や含水率が高い食品では測定できなかったが、それも測定できる機器を開発したという。主にレストランや食堂、スーパーや百貨店などの総菜売り場、市場などを対象としている。
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エコモット株式会社「ゆりもっと」
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株式会社ジョイ・ワールド・パシフィック「カロリーアンサー」
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こちらは液体でもカロリーを測定できる機器
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株式会社テクノフェイスは「マンガコミュニケーションシステム」を出展していた。ブラウザ上で動くシステムで、写真そのほかを素材として登録し、少年漫画風や少女マンガ風といったジャンルを選び、写真ごとに強調度を適当に設定するだけで、自動的にコマ割りしてマンガ風にレイアウトしてくれるシステムだ。
出来上がった「マンガ」は、吹き出しや効果線を付けることもできる。現時点では画像で保存できるが、将来的にはHTMLやFLASHでの吐き出しへの対応も検討しているという。ブログ・SNS事業者がアドインモジュールとして導入することを目指しており、現在はウェブサイトでα版を公開している。ゲストとしても利用できるので、興味がある方は一度試してみてはいかがだろうか。ロボットを主人公にしたマンガなども簡単に作れるかもしれない。
もともと自身も漫画家を目指している同社研究開発部 研究員の小林由佳氏の漫画設計支援システム「POM」をベースにしたもの。小林氏はIPAの「未踏プロジェクト」で認定されたスーパークリエイターの一人でもある。
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株式会社テクノフェイス「マンガコミュニケーションシステム」
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複数枚の写真をマンガ風に自動レイアウトしてくれる
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■URL
ベンチャーフェアJAPAN2008
http://vfj2008.smrj.go.jp/
( 森山和道 )
2008/02/07 00:05
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