ジェイエス・ロボティクス、“紙プログラミング”が可能な「てんとう虫ロボット」

~PC不要、小学生でも楽しみながら学習できる教材キット


 ジェイエス・ロボティクスは8月20日、教育・ホビー向けのロボットキット「てんとう虫ロボット(JX-TTM Ver 1.0)」を発表した。振動モーターと歯ブラシを使って前に進む小型ロボット。ライントレースやオルゴール演奏などが可能で、紙に書いたプログラムを読み込ませることもできる。価格は5,229円。8月21日より、秋葉原のロボットショップ・テクノロジアで販売する。

製品パッケージを持つジェイエス・ロボティクス代表取締役の佐藤仁(Jin Sato)氏ブリスターパッケージに入った製品。フルカラーのマニュアル(全18P)も入っている「てんとう虫ロボット」とは言うものの、外装のデザインは自由。ちょうど名刺が使えるサイズ

 ロボットの大きさは52×80×30mm(幅×奥行き×高さ)。基板には、AVRマイコンのATmega168(16KB Flash / 1KB RAM / 8MHz)、赤外線センサー×4個、LED×4個、振動モーター×2個、ブザー×1個などが実装されている。電源は単四電池を2本使用。

ロボット本体。単四電池×2本で、1週間くらいは使えるという。もちろん充電池も利用可能だ基板の裏面には赤外線センサーが並ぶ。ライントレースで使うほか、プログラムの読み取りにも利用する基板の表側。こちらの面には、LEDが4つ並ぶ。アナログ・デジタル用の拡張端子も見える

 この製品の特徴は、振動モーターによる駆動方式を採用していることだ。振動モーターは、携帯電話のマナーモードなどで利用されるものだが、これをロボットの両サイドに搭載、この振動がブラシに伝わり、前方への推進力を発生する。どちらか一方のみ動かせば、左右に曲がることもできる。DCモーターを使うのが一般的だろうが、振動モーターは壊れにくく、消費電力も小さいので長く遊べるという。

両サイドのアルミフレームに貼られているのが振動モーターだ。秋葉原の電子パーツショップなどでも販売されている斜めに切った歯ブラシに振動が伝わり、前に進む。ちなみに試した限りでは、東横インの歯ブラシが一番良かったとか【動画】なかなか味わいのあるライントレース。コースは太めのペンで自由に書くことができる

 もう1つの特徴は、紙に描いたパターンでプログラミングが可能ということ。下の写真を見てもらうと分かりやすいと思うが、プログラムの命令は3×2マスの白黒パターンで表されるので、これを並べていくことが、すなわちプログラムを作るということになるのだ。作成したプログラムは、ロボットの赤外線センサーを使って読み込み、マイコンのEEPROM領域に保存することが可能だ。

命令は全64種類。3bit×2段の6bitで表すことができる。条件分岐や変数まで用意されているプログラムカード。サンプル(左)が用意されているほか、自分でパターンを塗りつぶして動かすことも

 付属のプログラムカードには、9ステップまでの命令を並べることができるが、切り貼りすれば(まさに“リアル”カット&ペースト)、最高64ステップまで読み込ませることが可能。一般に“長いプログラム”などと言うことがあるが、64ステップの場合は「1m20cmくらいになる」ということで、本当に長~いプログラムとなる。内蔵プログラムも16種類用意されているので、プログラミングなしでも十分楽しめる。

 同社は2006年8月に設立。これまでは受託開発を行なってきたが、設立3周年という節目を迎え、今回、初めて自社製品として「てんとう虫ロボット」を発売した。「初めてロボットに触って、人生が変わってしまう子供もいるかもしれない。そう思ったときに、どういうロボットを作るべきか、ものすごく考えた」と、佐藤仁・同社代表取締役は語る。

「てんとう虫ロボット」の製品コンセプトPCを使わないことによるメリットもチューニングの要素も。いろいろ工夫できる

 製品は組み立てキットになっており、10分程度の作業で完成する。開発にあたり、小学4年生の子供たちに試してもらっていたそうで、製品の対象年齢は10歳以上とした。基本的にPC不要でプログラミングが学習できるが、別売の書き込みツールを使えば、C言語による本格的なプログラム開発も可能。センサーを追加できる拡張端子なども用意されており、高校生以上の教材としても利用できそうだ。


(大塚 実)

2009/8/21 14:49