大阪の観光大使“通天閣ロボット”製作発表

~来年3月、日本橋ストリートフェスタでデビュー


通天閣ロボットパネル

 12月24日、通天閣観光株式会社と日本橋まちづくり振興株式会社は、大阪のシンボルと言える通天閣をキャラクタ化した「通天閣ロボット」製作発表記者会見を行った。2010年3月の日本橋ストリートフェスタでのデビューを予定している。

 記者会見には、通天閣に祭られている「ビリケンさん」、日本橋ストリートフェスタ公式キャラクター「でんのすけ」、大阪日本橋キャラクター「音々(ねおん)ちゃん」も応援に駆けつけた。

 通天閣は、一昔前の繁華街という雰囲気が色濃く残る新世界界隈に建つ観光用展望塔だ。国の登録有形文化財であり、大阪のシンボルとして親しまれている。

 記者会見の冒頭で流れたプロモーションビデオは、長引く不況を嘆く街の人々の声に、しびれを切らした通天閣が立ち上がりロボットにトランスフォーム。「大阪、元気?」と声をかけた通天閣は、目をオレンジ色に輝かせ、自らが大阪の観光大使となるべく歩き始める……という内容。このビデオは、通天閣ロボット化計画で公開されている。

通天閣ロボットのパネルの前で記念撮影ビリケンさん、でんすけ、音々ちゃんも通天閣ロボット化計画の応援に駆けつけた

 今回のプロジェクトは、元々、キャラクタデザインを担当している中村拓哉氏(グラフィックパワー株式会社)が、通天閣を運営する通天閣観光株式会社に3DCGを持ち込んだのがきっかけとなった。同社の代表取締役である西上雅章氏は持ち込まれた3DCGを見て、「デザインがかっこいい。アニメではなく本物のロボットになった方が面白い」と思ったそうだ。西上氏は、前々から「通天閣は人型っぽいから、なんとかロボットにできないか」と考えていたこともあり、日本橋商店街と共同でロボットにしたら町おこしになるのではないかと提案したという。

 それを受けて、澤田沢治氏(日本橋まちづくり振興株式会社 代表取締役社長)は、「日本橋には3年前からロボット連絡会があるので、通天閣ロボット製作の話は喜んでお請けしました。大阪を訪れる観光客を日本橋に誘致し、通天閣界隈と一緒に発展していけるように努めたい」と語った。

 実際に通天閣ロボットを製作するロボットフォースの岩気裕司氏は(3DCGを見て)、「誰がこんなごっついロボットを作るんでしょうねぇ? 私ですかぁ。信じられないですね」と会場の笑いを誘った。岩気氏が「構想段階の仕様だが……」と断りながら仕様を発表した。

 通天閣ロボットは、身長170cm、体重30kg、軽金属と複合材でフレームを構成。二足で安定歩行するように、足は太く短い胴長短足のスタイルになる。トラス構造で贅肉が少ないロボットになるだろう。コントロール方式は、ラジコン遠隔制御とセンサーを使った自律動作。上半身の腕や頭を動かし、人と会話をする。「通天閣を訪れる観光客に、大阪生まれのロボットらしく突っ込みを入れて笑いを取れるロボットを目指したい」と語った。

 そもそも、通天閣のキャラクターは中村拓哉氏(グラフィックパワー株式会社 代表取締役)が「通天閣がいきなり立ち上がったら面白いな」と思ったのが発想の源だという。「この景気が悪い中、もう辛抱たまらん! と通天閣が立ち上がり、自ら大阪観光大使として全国各地を巡って圧倒的なパワーと強さで、大阪の元気をアピールしたい」と、中村氏の思いが込められている。

西上雅章氏(通天閣観光株式会社 代表取締役)澤田沢治氏(日本橋まちづくり振興株式会社 代表取締役)
岩気裕司氏(ロボットフォース代表)中村拓哉氏(グラフィックパワー株式会社 代表取締役)

 通天閣ロボットは、来年3月の日本橋ストリートフェスタでお披露目をした後も、開発を継続し機能をアップしていく。通天閣ロボットが完成したあかつきには、全日本タワー協議会に所属する18塔の仲間へ挨拶巡り、ゆるキャラ選手権大会へ出場、大阪の観光地訪問など積極的な活動をしていく予定。

 「通天閣を新世界界隈だけのシンボルとするのではなく、もっと広く地域と手を組み、大阪全体に観光客を集めたい」と、西上雅章氏は展望を語った。

通天閣。高さは103m。通天閣ロボットは1/60スケール。等身大を見たい人は、新世界へ来て!!通天閣の5階展望台から、日本橋商店街を望む(下中央の高架からJ&Pの看板方面へ右斜めの赤いライン)記者会見後、早速2階売店の隅にパネルが建てられていた

(三月兎)

2009/12/25 17:43