【iREX2009】産業用ロボットゾーン・ブースレポート


 国際ロボット展には、大きく産業用ロボット(IR)ゾーンとサービスロボット(SR)ゾーンの2つのゾーンがある。今回の国際ロボット展では、東京ビッグサイトのホール1~3が使用されているのだが、産業用ロボットのゾーンは、このうちホール1~2を占めている。本レポートでは、こちらの展示内容をピックアップしてお伝えしたい。

オレンジの部分が国際ロボット展の会場会場の産業用ロボット(IR)ゾーン

 産業用ロボットの傾向として見て取れるのは、小型化の進展だ。これまで、最も大きな市場は自動車産業であったが、昨今の不景気により、大きな設備投資は期待できない。代わりに、産業用ロボットのメーカーが注目しているのが、デジタル家電などの製造工程だ。まだ複雑な作業などは人手に頼っている部分も多く、自動化の余地があるということで、各社とも新製品の売り込みに躍起だ。

ファナック

 ファナックが力を入れていたのは、コンパクトな「ゲンコツ・ロボット」シリーズ。可搬重量0.5kgの「ゲンコツ・ロボット1号(M-1iA)」と、同6kgの「ゲンコツ・ロボット3号(M-3iA)」の2種類があり、さまざまな作業のデモを行なっていた。両モデルとも平行リンク機構を採用した高速ロボットで、4軸タイプと6軸タイプがある。

とにかく黄色一色のファナックブースゲンコツ・ロボット1号の仕様ズラリと並んだゲンコツ・ロボット1号
【動画】色を識別して仕分けするデモ【動画】基板をスロットに挿入する作業【動画】箱詰め作業。仕草の芸が細かくて面白い
より大きなゲンコツ・ロボット3号同社の内蔵ビジョン機能「iRVision」【動画】ゲンコツ・ロボット3号のデモ

安川電機

 安川電機は、2アームタイプの最軽量モデル「MOTOMAN-SDA5D」を初出展。可搬重量は5kg(アームあたり)と、従来の半分のモデルとなる。このMOTOMAN-SDA5D/SDA10Dのシリーズは、アームに力覚センサーを内蔵し、反力を高感度に検出できるのが特徴。双腕による把持・自在な持ち替え機能などで、高度な作業にも対応できる。

ファナックと並んで最大規模の安川電機ブース双腕形ロボットの「MOTOMAN-SDA5D」左の「MOTOMAN-SDA10D」に比べると一回り小さい

川田工業

 川田工業が展示している作業ロボット「NEXTAGE(ネクステージ)」のコンセプトは“優秀な助手”。人間と同じ環境に入って、協調作業できることをアピールしており、人間が近づくと停止するなど、安全性にも配慮した。詳細に関しては、コチラの記事を参照。

来場者の注目を集めていたNEXTAGEロボット3体によるデモが行なわれていた

川崎重工業

 川崎重工業は、小・中型汎用アームのRシリーズを初出展。アームの軽量化、小型モーターの採用などにより、従来のFシリーズに比べ、スピードが速くなった(40%増)のが特徴で、生産性を大幅に向上できる。可搬重量は3kgから80kgまで、10モデルが用意され、より細かいラインナップとなった。

川崎重工業のブースブースの半分を使って、Rシリーズを展示

日本バイナリー

 日本バイナリーのブースには、英Shadow Robot Companyが開発したロボットハンド「Shadow Dextrous Hand C6M」が展示されていた。24自由度を持つ本格的なもので、データグローブを使ったマスター・スレーブ動作のデモを行なっていた。

【動画】データグローブを使ったデモ指の各関節はワイヤーで駆動している

その他の展示

ユーシン精機はプラスチック射出成形を実際に披露していた【動画】石けん箱を生産中。出来上がったものは会場で配られていた【動画】ハイウィンのブースでは、キティちゃんが5m/secで高速横移動
【動画】京町産業車輌のブースでは、ドラム缶をひっくり返すロボットも【動画】マッスルは、自律分散協調システムのデモが目を引いていた岡杉巧作所が出展していた変わったバイス。任意の角度に動かせる
周囲とブースの雰囲気が違ったのはモス山形コケを使った屋上・壁面の緑化をアピール。メンテナンスも不要とか「今年のロボット大賞」のブースでは、歴代受賞ロボットを展示

(大塚 実)

2009/11/27 17:20